駅構内でわいせつ行為をし、その後線路を逃走した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説いたします。
~今回のケース~
札幌市に在住のAさん(30歳)は、ある日、JRの手稲駅構内のベンチで寝ていた女性Vさん(20歳)の胸を触るなどのわいせつ行為を行いました。
わいせつ行為によりVさんが目を覚ましてしまったため、Aさんは逮捕されるのが怖くなり、ホームドアを乗り越えて線路上を逃走し、隣駅まで行き、その改札から出て行きました。
翌日、北海道手稲警察署の警察官がAさんの自宅にやってきて、Aさんを準強制わいせつ罪と威力業務妨害罪の疑いで逮捕しました。
Aさんが逮捕されたとの連絡を受けたAさんの両親は、自分たちがどうすれば良いか分からなかったので、刑事事件に強い弁護士に相談をすることにしました。
~問題となる条文~
〇刑法 第178条 準強制わいせつ
1 人の心神喪失もしくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は第176条の例による。
・「心神喪失」
心神喪失」とは「精神又は意識の障害によって正常な判断能力を喪失している状態」のことをいいます。 例えば、飲酒による酩酊状態や、覚せい剤などの薬物を摂取した状態のことをいいます。
今回のケースのように、睡眠中にわいせつ行為が行われた場合は、被害者は自己の性的自由が害されていることを認識していない状況なので、「心神喪失」であったと判断されます。
・「抗拒不能」
「抗拒不能」とは「心神喪失以外の理由で、物理的・心理的に対抗できないか、又は抵抗するのが著しく困難な状態」にあることをいいます。例えば、医師が必要な施術のように誤信させてわいせつな行為をした場合が挙げられます。
・罰則
準強制わいせつ罪で起訴されて、有罪判決が確定すると、強制わいせつ罪と同じ、「6月以上10年以下の懲役」が刑罰として科せられることになります。
〇刑法 第234条 威力業務妨害
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
・「威力」
「威力」とは、「人の意思を制圧するような勢力」のことをいいます。
暴行・脅迫はもちろん、社会的地位を利用した威迫や物の隠匿なども「威力」に含まれます。
・「業務」
「業務」とは、「職業その他社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務又は事業」のことをいいます。
そのため、妨害された業務が営利的、経済的なものである必要はありません。
・「妨害」
現実に業務が妨害されることは必要なく、妨害の結果を生じさせるおそれのある行為が行われるだけで妨害行為にあたるとされています。
・今回のケースの場合
Aさんが線路上を逃走したことにより、電車を動かすことができなくなりダイヤが大幅に乱れたため、Aさんの逃走は「威力」にあたり、それによってV2鉄道は 「業務を妨害」されたと判断されて、威力業務妨害罪に該当する可能性 があります。
・罰則
威力業務妨害罪で起訴されて、有罪が確定すると、前条と同じ、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が刑罰として科されることになります。
~今回のケースにおける弁護活動~
〇接見
今回のケースのような性犯罪事件を含む事件の場合、被害者との接触のおそれがあることから、身体拘束(逮捕・勾留)を受ける可能性が高いです。
身体拘束を受けた場合、ご家族の方は接見(面会)に行くことは可能ですが、接見のできる時間は限られていますし、接見禁止命令が出されている場合は、ご家族の方であっても接見することが出来ません。
そこで、ご家族の方から、接見禁止などの制約が一切ない弁護士に接見を依頼することをおすすめします。
〇示談交渉
示談が成立することによって、検察官に不起訴処分にするよう働きかけることが容易になります。
しかし、今回のケースのような、性犯罪事件の場合は特に、被害者の方と罪を犯してしまった方とが直接会って示談ができる可能性は極めて低いです。
そこで、法律の専門家である弁護士が、罪を犯してしまった方の代わりに被害者の方や被害を受けた会社との示談交渉を行うことができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、準強制わいせつ事件などの性犯罪事件や威力業務妨害事件など、刑事事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。