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【解決事例】相手から襲われて抵抗したら傷害罪で逮捕

2022-11-30

【解決事例】相手から襲われて抵抗したら傷害罪で逮捕

相手から襲われて抵抗したら傷害罪で逮捕された事例における弁護活動等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

~事例~

北海道札幌市中央区在住のAさんは、障がい者の世話をする仕事をしていました。
とある障がい者が暴れたため、押さえ付けたところ、この障がい者の顔に傷を付けてしまいました
数日後、警察に呼ばれ、取調べを受けました。
警察から、ストレス発散のためにわざと傷を付けようとして攻撃したんだろう、と追及されました。
Aさんは当初は否定していましたが、警察官からの長時間の威圧的な取調べにより、精神的に厳しくなって認めてしまいました。
警察の作成した調書に署名押印したところ、逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、傷害事件などの刑事事件に強いと評判の弁護士に相談して依頼することにしました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

~傷害について~

刑法
傷害
第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(正当行為)
第三十五条 法令又は正当な業務による行為は、罰しない。
(正当防衛)
第三十六条 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
(緊急避難)
第三十七条 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
2 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。

相手からの攻撃から身を守るために抵抗したら、正当防衛や緊急避難が成立する可能性があります。
しかし、正当防衛や緊急避難が認められるのは簡単ではありません。
弁護士がきちんと状況を分析し、ポイントを押さえた主張をする必要があります。

~傷害の正当防衛・緊急避難事件における弁護活動~

違法取調べが行われていると判断し、Aさんには完全黙秘をさせることにしました。
警察と検察に対して、違法取調べに対する抗議書面を提出しました。
Aさんの言い分を詳しく聞き取り、弁護士が調書を作成して証拠として残しました。
検察官に意見書を提出したところ、釈放されて不起訴となりました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、正当防衛緊急避難事件を含む刑事事件を専門的に扱っている法律事務所です。
弊所には、正当防衛緊急避難事件に関する弁護活動を日々行っている弁護士が多数所属しています。
北海道札幌市中央区にて傷害事件などとして不当な逮捕をされてしまった方のご家族やご知人は、年中無休で対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までまずはご連絡ください。
担当の者が、逮捕された方に対する弁護士による早期接見(面会)サービスなどについて、分かりやすくご案内差し上げます。

ゲームセンターでの暴力事件~暴行罪と傷害罪~

2022-11-03

ゲームセンターでの暴力事件~暴行罪と傷害罪~

被害者の男性に頭突きをしたとして暴行の疑いで男が逮捕された事件を参考に、暴行罪傷害罪の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。

事件概要(10月26日配信の北海道ニュースUHBの記事を参考にしています)

 札幌市内のゲームセンターの駐車場で男性に頭突きをしたとして、北海道江別市に住む男が逮捕されました。
 警察によると、2人はゲームセンターを訪れていた客同士で、事件前コインのスロットで遊んでいる際に、従業員にコインを補充してもらう順番をめぐりトラブルとなっていました。
調べに対し、男は「頭がくっついただけ」と話し、容疑を否認しています。

暴行罪について

暴行罪は、刑法208条に定められています。
刑法208条「暴行を加えた者が、人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」

暴行罪は、他人に対して暴行を加え、それが傷害に至らなかったときに成立する犯罪です。
法定刑は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料です。
本罪にいう「暴行」は、人の身体に対する不法な有形力の行使のことをいいます。
判例は「暴行」の概念を広く解釈しており、殴る、蹴る、引っ張る等の典型的な暴行以外にも、病原菌、毒物、麻酔薬の作用、さらには、光、電気、熱、音の物理力を行使する場合も含まれるとしています。

傷害罪について

傷害罪は、刑法204条に定められています。
刑法204条「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」

傷害罪は、人の身体を「傷害」した場合に成立する犯罪です。
法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金であり、暴行罪に比べて刑が重くなっています。
本罪にいう「傷害」とは、人の生理的機能を害することをいいます。
具体的には、創傷や打撲のような外傷以外に、めまい、失神、嘔吐、中毒、胸部疼痛などが傷害に当たります。

暴行罪と傷害罪の違いについて

上記のことから分かるように、暴行罪傷害罪の違いは、被害者の生理的機能を害をしたか否かにあります。
事件概要のようなケースだと、頭突きにより被害者の男性が皮下出血を起こしたり、出血したような場合は、人の生理的機能を害したといえ傷害罪が成立することになります。一方で、頭を軽く当てただけで怪我が無かったような場合であれば暴行罪が成立します。

暴行罪・傷害罪に強い弁護士

暴行罪傷害罪の弁護活動を得意とする弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、無料相談のご予約をフリーダイヤル0120-631-881にて24時間、年中無休で受け付けております。
まずは、お気軽にお電話下さい。

爆破予告で威力業務妨害罪に

2022-10-12

爆破予告で威力業務妨害罪に

爆破予告をした場合に問題となる威力業務妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

【ケース】

北海道日高郡在住のAさんは、日高郡内で自営業をしています。
ある日、Aさんは深夜に日高郡内にある病院Vの夜間窓口を訪れたところ、病院職員から「緊急の治療を必要としている人以外は利用できない」旨言われ、日中に来院するよう指示されました。
それに逆恨みをしたAさんは、数日後、病院Vの代表電話に非通知で電話し「おたくの病院に爆弾を仕掛けたから気を付けてね」と言い、電話を切りました。
後日、日高郡内を管轄する静内警察署の警察官がAさんの自宅に来て、Aさんを威力業務妨害罪で通常逮捕しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【爆破予告で威力業務妨害罪に】

今回のケースでは、Aさんが病院Vに対して爆破予告をしたことが問題となっています。
この、「爆発物をしかけた」等と電話やメール、インターネット上で発言する行為は、威力業務妨害罪に当たる場合があります。
条文は以下のとおりです。

刑法234条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
刑法233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

威力業務妨害罪のいう「威力」は、人の意思を制圧するような勢力を指します。
イメージしやすい例で言うと、団体で店の中や前に乗り込んで大声を上げて訪れた客などを威嚇するような行為です。
どの預な場合に威力に該当するかについては、「犯行の日時場所、犯人側の動機目的、員数、勢力の態様、業務の種類、被害者の地位等諸般の事情を考慮し、それが客観的に見て人の自由意思を制圧するに足るものであるかを判断すべきであって、現実に被害者が自由意志を制圧されたことを要するものではない。」とされています。(最判昭28・1・30)

爆破予告は、直接的な暴力行為などではありませんが、爆破予告を受けることで被害者は威嚇を受け、実際に爆発物が設置されているかどうかに関わらず業務遂行を阻害されます。
事実、爆破予告を受けた場合には、警察署に通報し、建物に居る人を非難させたり爆発物を探したりと実際に業務を妨害することになります。

【家族が威力業務妨害罪で逮捕されたら弁護士へ】

家族が爆破予告などによる威力業務妨害罪で逮捕・勾留された場合、すぐに弁護士に依頼をすることをお勧めします。
逮捕・勾留された場合、当日から弁解録取や取調べといった刑事手続きが行われるほか、勾留する/起訴するといった重要な手続きが進んでいきます。
その際、間違ったニュアンスを伝えて間違った調書が作成されたり、時として意に反する供述を誘導されたりして、不利益な状況に追いやられる恐れがあります。
そのため、すぐに弁護士に接見を依頼し、被疑者に自身の状況や今後の手続きを知らせるとともに、取調べ等でのアドバイスをする必要があります。

北海道日高郡にて、病院などに爆破予告をしたという嫌疑で家族が威力業務妨害で逮捕・勾留された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の初回接見サービスを御利用ください。
逮捕・勾留されている弁護士が被疑者のもとに向かい、事情を伺った上で、今後の手続きや取調べでのアドバイスを行ったうえで、依頼された御家族に事案の内容等の説明をいたします。

他人に尿をかけて刑事事件に

2022-10-06

他人に尿をかけて刑事事件に

他人に尿などの体液をかけた場合に問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道札幌市東区在住のAは、札幌市東区内の会社に勤める会社員です。
Aは職場でいわゆるパワハラなどを受けていて、ストレスが溜まっていました。
そこで、ストレスを発散する目的で、札幌市東区にあるモエレ沼公園に行き、好みの異性に対し、予めフィルムケースに入れていた自身の尿をかけ、被害者が嫌悪する表情を見ることで満足感を得ていました。
モエレ沼公園内で同種事件が多発しているという通報を受けた札幌市東区を管轄する札幌方面東警察署の警察官がパトロールを強化していたところ、Aが自分の尿を他人にかける犯行を目撃したため、Aを現行犯逮捕しました。

報道を見てAの逮捕を知ったAの家族は、他人に体液をかける行為はどのような罪にあたるのか、刑事事件専門の弁護士に質問しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【他人に体液をかけた場合の罪】

上記ケースは全てフィクションですが、Aのような「他人に体液をかける」という事件は全国で少なからず発生しています。
そして、実際にケースのように被疑者が逮捕されるという事案もあります。
では、他人に体液をかける行為はどのような罪に当たるのか、以下で検討します。

~器物損壊罪~
先ず、他人の物に体液をかけた場合には、器物損壊罪が適用されます。
条文は以下のとおりです。
刑法261条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

前三条とは、「公用文書等毀損罪」「私用文書等毀損罪」「建造物等損壊及び同致死傷罪」の3つの罪を言い、これらに該当しない物を損壊した場合には、器物損壊罪が適用されます。
今回のケースではヒトの体液である尿を想定しています。
そして、状況から察するに、被害者の服やカバンなどの持ち物にかかるような場合が考えられます。
通常、服やカバンに尿がかかったからといって、すぐに変色して洗濯しても色落ちしない、あるいは溶けるなどの物理的な損壊は考えにくいです。
しかし、器物損壊罪のいう「損壊」について、判例・通説の見解は効用喪失説という考え方で、物理的な損壊を伴っていなくても持ち主が利用したくないと考えるような状態にするような行為は器物損壊罪にあたるとされています。
恐らく、赤の他人から突然尿をかけられた場合に、たとえクリーニングなどにより汚れを落としたとしても、再び使いたいと思わない方が多いのではないでしょうか。
よって、Aの行為により被害者の衣服やカバンなどに尿などの体液がかかった場合、器物損壊罪が適用されます。

~暴行罪~
次に、他人に体液がかかった場合には、暴行罪の適用が検討されます。
暴行罪の条文は以下のとおりです。
刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪というと、殴る蹴るの暴行をイメージしてしまいがちですが、暴行とは「人の身体に対する不法な有形力の行使」と定義しています。
例えば、唾などをかける、他人の髪を無断で切る、被害者の近くに石を投げる、などの直接的な暴力行為がなかったとしても、暴行罪が成立する可能性があります。
ケースのように体液をかける行為も同様で、ケースのAの行為により被害者の身体に尿などの体液がかかった場合、暴行罪が適用されます。

【体液をかける行為で逮捕される?】

前章でお伝えしたとおり、他人に体液をかける行為は器物損壊罪暴行罪を構成します。
刑事事件を起こした場合、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由がある場合、捜査機関は被疑者を逮捕することができます。
体液をかける行為を繰り返した場合、警察官はケースのように事件が多発している現場で張り込み捜査を行い事件を現認したうえで声掛けし逮捕するという場合のほか、防犯カメラの映像や体液のDNAといった客観的な証拠を手掛かりに捜査を行い通常逮捕する、という場合が考えられます。
被疑者が罪を認めていて、逃亡や証拠隠滅の恐れがないなどと判断された場合には、在宅で捜査を進めることもあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
北海道札幌市東区にて、見知らぬ他人に尿などの体液をかける事件を起こした方、あるいは家族がそのような事件を起こして逮捕されているという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部に御連絡ください。
フリーダイヤル:0120-631-881

【解決事例】酔っ払いに絡まれて反撃したら事件に

2022-09-09

【解決事例】酔っ払いに絡まれて反撃したら事件に

酔っ払いに絡まれて暴力を受け、反撃したら加害者として扱われてしまった事例における弁護活動等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

~事例~

Aさんは北海道札幌市中央区の飲食店がある通りを歩いていたところ、酔っ払いに絡まれ、殴られたり蹴られたりしました。
自分の身を守るために仕方なく、Aさんは、酔っ払いを押し倒し、押さえ付けました。
直ぐにその場を離れましたが、後日に札幌方面中央警察署の警察官が来て、傷害罪で取調べを受けました。
警察官に説明しても納得してくれず、犯人扱いされ、厳しい取調べが続きました。
困ったAさんは、刑事事件に強いと評判の弁護士に相談することにしました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

~正当防衛について~

(正当防衛)
第36条 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
(傷害)
第204条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

相手からの不当な攻撃から自分の身を守るため、相当な範囲で反撃をしても、正当防衛として犯罪は成立しません。
しかし、正当防衛が認められるのはハードルが高く、きちんと証拠を確保して主張していく必要があります。

~正当防衛における弁護活動~

Aさんから事件状況を細かく聞き取り、Aさんと相手の動きの流れを確認しました。
目撃者がいたため、協力を求め、聞き取りを実施しました。
取調べでは状況に応じて黙秘権を行使させ、弁護士が警察署に同行しました。
検察官に意見書を提出し、Aさんは不起訴となりました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、正当防衛事件を含む刑事事件を専門的に扱っている法律事務所です。
弊所には、正当防衛事件に関する弁護活動を日々行っている弁護士が多数所属しています。
北海道札幌市中央区にて正当防衛事件で傷害罪などで逮捕された方のご家族やご知人は、年中無休で対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までまずはご連絡ください。
担当の者が、逮捕された方に対する弁護士による早期接見(面会)サービスなどについて、分かりやすくご案内差し上げます。

職務質問で銃刀法違反事件に発展

2022-08-22

職務質問で銃刀法違反事件に発展

銃刀法違反の問題に発展する行為と、職務質問について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

【ケース】

北海道余市郡在住のAさんは、余市郡内で自営業で生活をしています。
Aさんは過去に仕事で現金を持っていたところを強盗に襲われたことがあり、護身のため、ジャケット内側のポケットに合口(刃物)を呑んでいました。
その際、余市郡を管轄する余市警察署の警察官がAさんに対し職務質問を行い、その際の所持品検査でAさんが合口を所持していることが発覚しました。
刃体の長さは20cmほどあったこともあり、余市警察署の警察官は、Aさんを銃刀法違反で現行犯逮捕しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【銃刀法違反について】

まずは刃物を所持していた場合に問題となる銃砲刀剣類所持等取締法(以下、銃刀法)及び軽犯罪法の条文について見て行きます。

銃刀法22条 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが8センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。
同31条の18第2項 次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2号 第22条の規定に違反した者

軽犯罪法1条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
2号 正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者

今回Aさんの事例で想定しているのは、刃体の長さが20cmの合口です。
そして、その合口を懐に吞んでいたことから、刃物を携帯していた、あるいは隠し持っていたということができます。
刃体の長さが6cm以上あることから、Aさんの場合は銃刀法違反に当たると考えられます。

なお、銃刀法は「業務その他正当な理由」がある場合については、刃物の所持を禁止していません。
例えば、Aさんが引越しの最中で多くの梱包を開封する必要がある場合には正当な理由があると認められますし、板前さんが自分の包丁を自宅から職場に持ち運んでいる最中であれば業務上の理由ということが言えるでしょう。
しかし、Aさんが主張する「護身の目的」というのは、正当な理由には当たらないとされています。

【職務質問について】

Aさんが合口を所持していると発覚したきっかけは、警察官による職務質問とそれに付随する所持品検査によるものでした。
職務質問については、以下のとおり規定されています。

警察官職務執行法2条
1項 警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。
2項 その場で前項の質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができる。
3項 前二項に規定する者は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない。
4項 警察官は、刑事訴訟に関する法律により逮捕されている者については、その身体について凶器を所持しているかどうかを調べることができる。

職務質問については上記のとおり規定されていますが、所持品検査については上記4項で「逮捕されている者については…凶器を所持しているかどうかを調べることができる。」と規定されています。
Aさんは、所持品検査を受けた時点では逮捕されていないため、所持品検査については任意に行われていると考えられます。
Aさんが所持品検査に納得して応じていた場合には特段問題にはなりませんが、Aさんが拒否しているにも拘わらず警察官が無理やりAさんの懐に手を入れて合口を取り出した場合などでは、任意の範囲を超えて所持品検査をしたと評価される恐れがあります。
職務質問が適切に行われたかどうかについては、慎重に確認をする必要があるでしょう。

北海道余市郡にて、家族が職務質問と所持品検査を受け、合口を所持していたことが発覚し銃刀法違反で逮捕された場合、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の初回接見サービスをご利用ください(初回接見サービスは有料です。)

殺人未遂事件で現行犯逮捕

2022-07-29

殺人未遂事件で現行犯逮捕

殺人未遂の罪がどのような場合に成立するのか、現行犯逮捕はどのような手続きか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

【ケース】

北海道美唄市在住のAさんは、美唄市内の会社に勤める会社員です。
Aさんには恋人Vさんがいましたが、Vさんが別の者とも交際していることが分かり、AさんがVさんの住む美唄市内のアパートでVさんを問い詰めたところ、Vさんはいわゆる浮気を認めました。
激高したAさんは、台所に行って包丁を持出し、Vさんの腹部を刺しました。
その後Aさんは自ら消防に通報し、消防署から警察に通報があり、臨場した美唄市内を管轄する札幌方面美唄警察署の警察官は、Aさんを殺人未遂罪で現行犯逮捕しました。

幸い、Vさんは命に別条はありませんでした。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【殺人未遂事件について】

今回、AさんはVさんの腹部を刺した行為による殺人未遂の罪を犯したという事例を想定しています。
この場合に問題となるのは、傷害罪と、殺人未遂罪です。

≪傷害罪について≫
傷害罪の条文は以下のとおりです。

刑法204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪は、文字どおり人を傷害した場合に成立します。
傷害の程度は事件によって様々で、ちょっとした切り傷や数週間で治るむち打ち症のような場合であっても、ケースのように腹部を刺されるような状態であっても、傷害に変わりありません。
被害者の傷害の程度によって、量刑が変わってきます。

≪殺人未遂罪について≫
殺人未遂罪は、殺人罪と未遂犯処罰規定が適用された場合に構成される罪です。

刑法199条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
刑法203条 第199条及び前条の罪の未遂は、罰する。
刑法44条  未遂を罰する場合は、各本条で定める。
刑法43条  犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

Aさんの場合、Vさんを殺害するための行為として包丁を手に持ち、実際にVさんの腹部を刺した結果、Vさんは死亡しなかった(遂げなかった)、という場合には、殺人未遂罪が適用されます。

≪傷害罪と殺人未遂罪の区別≫
Aさんは、逮捕された時点では殺人未遂罪で処理されていますが、実際に起訴され裁判になる際には、傷害罪と殺人未遂罪のどちらに当たるのか慎重に捜査が行われたうえで、罪が決まります。

殺人未遂罪については、被害者を殺害しようとする意思があった、あるいは、死ぬかもしれないが構わないという認識があった場合に成立します。
他方で傷害罪は、被害者が死ぬ可能性を認識していなかった場合に成立します。
この区別は、被疑者(犯人)自身の取調べにおける供述が問題となるほか、客観的な状況(包丁を予め持ってくる等準備行為があったか、刺した箇所は死に至る可能性が高い部分かどうか、刺したのは1度だけか複数回刺したか、など)をも踏まえて検討されます。

【現行犯逮捕について】

事件を起こしたとされる被疑者に対し、捜査機関は原則として在宅で捜査を行います。
しかし、一定の要件を満たしていて身柄拘束が必要な場合には、被疑者を逮捕したうえで捜査を行います。
とはいえ、逮捕は私人の権利を侵害する行為ですので、令状主義に則り、原則として裁判所が発布した令状に従って逮捕するのが原則です(通常逮捕)。

ケースのように事件を起こした直後に逮捕される現行犯逮捕は、逮捕の中でも例外的立ち位置にあります。
これは令状主義の例外規定ではありますが、憲法もこれを認めていて、実務では全逮捕者のうち約40%が現行犯逮捕により行われています。

現行犯逮捕については、逮捕時には裁判所が発付する令状は必要ありませんが、逮捕後に「現行犯人逮捕手続書」という書類を作成します。
また、逮捕されてから48時間以内に検察官に送致する必要があり、検察官は逮捕から72時間以内に勾留請求を行わなければ被疑者を釈放しなければなりません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、比較的軽微な事件から、殺人未遂罪のような重大事件まで、幅広く対応しています。
北海道美唄市にて、家族が殺人未遂罪現行犯逮捕されてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
まずは弁護士が現行犯逮捕・勾留されている方のもとへ初回接見に伺い、事件の内容等を聴取したうえで今後の見通し等についてご説明いたします。

【解決事例】家庭内暴力で傷害事件を起こして逮捕

2022-07-05

【解決事例】家庭内暴力で傷害事件を起こして逮捕

家庭内暴力で傷害事件を起こして逮捕されてしまった事例における弁護活動等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

~事例~

北海道札幌市中央区在住のAさんは、自宅でお酒に酔い、妻と喧嘩となり、殴って怪我を負わせてしまいました。
直ぐに通報され、Aさんは札幌方面中央警察署の警察官に逮捕されました。
Aさんの両親は、刑事事件に強いと評判の弁護士に相談することにしました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

~家庭内暴力について~

(暴行)
第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
(傷害)
第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

近年は家庭内暴力に対する警察の対応が厳しくなり、少しでも手を出したら通報されて逮捕されることがあります。
被害者と同居しているのであれば、釈放は簡単には認められません。
家庭内暴力の背景事情を確認したうえで、お互いにとってどのような解決が望まれるのかを検討していきます。

~家庭内暴力における弁護活動~

弁護士がAさんに接見したところ、お酒の酔いも冷め、深く反省しておりました。
両親に身元引受人になっていただき、家には帰らずに実家の両親と一緒に生活することを約束し、釈放が認められました。
被害者である妻が代理人弁護士を立ててきました。
今回の事件以前から夫婦関係は上手くいっていなかったことから、お互い離婚を考えていました。
弁護士同士で話し合い、離婚について今後円滑に話し合うことを約束し、示談が成立しました。
示談が成立したことを検察官に報告し、不起訴となりました。

家庭内暴力を起こしてしまった場合、逮捕され、身体拘束が長引く可能性があります。
釈放されず、仕事もできず、今後の人生に大きな悪影響が生じます。
刑事弁護に精通した弁護人がきちんと対応していく必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、家庭内暴力を含む刑事事件を専門的に扱っている法律事務所です。
弊所には、家庭内暴力に関する弁護活動を日々行っている弁護士が多数所属しています。
北海道札幌市中央区にて家庭内暴力で逮捕された方のご家族やご知人は、年中無休で対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までまずはご連絡ください。
担当の者が、逮捕された方に対する弁護士による早期接見(面会)サービスなどについて、分かりやすくご案内差し上げます。

【解決事例】恐喝未遂で事件に

2022-06-26

【解決事例】恐喝未遂で事件に

恐喝未遂で事件になった事例における弁護活動等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

~事例~

北海道札幌市南区在住のAさんは、友人の被害者と喧嘩をしており、お金が欲しいわけではないが脅すために、被害者の秘密をばらされたくなかったら100万円を支払うように、との内容の手紙を送りました。
犯行がばれて、数か月後にAさんは札幌方面南警察署から呼ばれ、取調べを受けました。
Aさんは、刑事事件に強いと評判の弁護士に相談することにしました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

~恐喝未遂事件について~

(恐喝)
第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
(未遂罪)
第二百五十条 この章の罪の未遂は、罰する。

恐喝しても財物を得られなかったら、未遂罪となります。
恐喝罪が成立するためには不法領得の意思が必要であり、「権利者を排除して他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思」がなければなりません。
しかし、不法領得の意思の存在を争うことが難しい状況もあり、示談を成立させて不起訴を獲得する方法がいいと思われます。

~恐喝未遂事件における弁護活動~

弁護士が被害者に接触し、示談交渉をしました。
これまでの経緯も含めて感情的になっている側面も強く、交渉は難航しました。
しかし、最終的には、今後お互いに接触しないことを約束し、示談が成立しました。
検察官に示談を報告し,不起訴処分となりました。

恐喝事件を起こしてしまった場合、逮捕され、身体拘束が長引く可能性があります。
被害者の意向を確認したうえで、臨機応変に検討して示談を働きかけていくことになります。
刑事弁護に精通した弁護人がきちんと対応していく必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、恐喝事件を含む刑事事件を専門的に扱っている法律事務所です。
弊所には、恐喝事件に関する弁護活動を日々行っている弁護士が多数所属しています。
北海道札幌市南区にて恐喝事件で逮捕された方のご家族やご知人は、年中無休で対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までまずはご連絡ください。
担当の者が、逮捕された方に対する弁護士による早期接見(面会)サービスなどについて、分かりやすくご案内差し上げます。

公務執行妨害で略式手続

2022-06-20

公務執行妨害で略式手続

公務執行妨害が成立する場合と、略式手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

事例

北海道札幌市白石区在住のAは、札幌市白石区内で自営業をしています。
ある日、Aは札幌市白石区内の商業施設を利用していたところ、警ら(パトロール)中であった警察官Vから声をかけられました。
警察官VはAに対して職務質問に応じて欲しいと伝え、所持品検査と氏名の分かるものの提示を求めましたが、Aはそれを拒否しました。
そこで警察官Vは無線機で同僚の応援を求めようとしたところ、それに気付いたAは、警察官Vの無線機を無理矢理引っ張り、応援を呼ばせないようにしようとしました。
この行為について、札幌市白石区内を管轄する警察官複数名が応援に来て、Aを公務執行妨害の疑いで逮捕しました。
Aの逮捕を知らされたAの家族は、刑事事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~警察官に対する公務執行妨害~

刑法には、業務妨害行為に対する罪が複数規定されています。
例えば、よく知られているものとして威力業務妨害罪(刑法234条)や偽計業務妨害罪(同233条)などがあります。
さらにこれらとは別に、公務員によって行われる公務を保護するという別の観点から以下の犯罪が定められてます。

公務執行妨害及び職務強要)
刑法第95条 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
2 公務員に、ある処分をさせ、若しくはさせないため、又はその職を辞させるために、暴行又は脅迫を加えた者も、前項と同様とする。

本事例では、「公務員」たる警察官Vの「職務を妨害」していること自体は、それほど問題となるケースではないでしょう。
では、AはVに対して「暴行又は脅迫」(以下では、暴行のみを問題とすることとします)を加えたといえるのでしょうか。
例えば、刑法は208条において暴行罪を定めていますが、ここでいう「暴行」は人の身体に対する有形力の行使であると言われています。
そうだとすると、本事例においてAによる業務妨害行為は、必ずしもVの身体に対するものとはいえない可能性があります。
もっとも、刑法を含めた法律学では条文上同じ文言が使われていたとしても、同概念であるとは限らないことに注意を要します。。
その典型が「暴行」概念であり、暴行罪(刑法208条)と公務執行妨害罪(刑法95条1項)の「暴行」は、同内容とは解されていません。
公務執行妨害罪における「暴行」とは、公務員に向けられた有形力の行使であれば足りると解されているのです(広義の暴行)。
したがって、Aの行為は直接Vの身体には向けられていなくても、Vが業務上使用する物に対する有形力の行使とさえいえれば、公務執行妨害罪を構成するということができます。

~略式手続きの活用~

第6編 略式手続
刑事訴訟法第461条 簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、100万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。

上記のとおり、刑事訴訟法は第6編(461条以下)において「略式手続」についての規定を置いています。
これは、公判手続(通常の刑事裁判)によらず、書面審理のみで略式命令による裁判を認める制度です。
本件で問題となっている公務執行妨害罪(刑法95条1項)は、「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」と懲役刑・禁錮刑のほかに罰金刑も定められています。
そして、上記刑訴法461条は「略式命令で、100万円以下の罰金……を科することができる」と定めていることから、「50万円以下の罰金」を処断刑として選択できる本公務執行妨害事件にも適用可能ということになります。
略式手続は被疑事実に争いがなく比較的軽微な事件でのみ行われる手続ですが、被疑者・被告人にとって早期・迅速に刑事手続から解放されるというメリットを有します。
その反面として、同手続を利用することによる前科がつくなどのデメリットも存在することから、専門家である弁護士に制度に関する詳細な説明(メリット・デメリット、利用可能性等)を相談することが必須といえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、公務執行妨害事件を含む刑事事件を専門的に扱っている弁護士が所属する法律事務所です。
北海道札幌市白石区にて、ご家族が公務執行妨害事件で逮捕されてしまい、略式手続について知りたいという方は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

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