Archive for the ‘財産事件’ Category
暴行後の強盗で逮捕
暴行後の強盗で逮捕
暴行後の強盗によって逮捕されてしまった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~事例~
北海道浦河郡在住のAは、北海道浦河郡内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは北海道浦河郡内の路上にて、Vに殴る蹴るの暴行を加えた後、Vから金品を奪う意思が生じ、反抗する意欲を失って倒れこんでいるVに向かって「財布はどこにあるんだ」などと言いながら、Vの上着から財布を抜き取った。
北海道浦河警察署の警察官は、Aを強盗の疑いで逮捕した(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。
~暴行(傷害)後の財物奪取行為~
刑法208条、204条はそれぞれ暴行罪、傷害罪について定めを置いています。
本件で、AによるVに対する殴る蹴るの行為には暴行罪が成立することは明らかであり、また暴行によってVに怪我を負わせた場合には傷害罪が成立することになります。
では、Aがその後にVの財布を抜き取った行為にはどのような罪が成立することになるのでしょうか。
Aが、Vの占有する財布をVの意思に反して奪い取っているわけですから、この行為には少なくとも窃盗罪(刑法235条)が成立します。
もっとも、上述のようにAはこのような窃盗行為の以前に暴行・傷害に当たる行為を行っています。
つまり、暴行(傷害)を手段として財物を奪っているとみることができる場合には、さらに重い強盗罪が成立する可能性があるということになるでしょう。
もっとも、強盗罪が成立する前提として、暴行(傷害)行為の時点で財物を奪取する意思が存在しなければならないと解されています。
これは刑法236条1項の強盗罪が「暴行又は脅迫を用いて」他人の「財物を強取」した者を強盗罪とすると規定していることからも分かります。
では、本件のように暴行(傷害)後にVの財布を奪う意思が生じた場合に強盗罪が成立する余地はないのでしょうか。
この点、強盗罪にいう「暴行又は脅迫」は、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものである必要があります。
しかし、すでに暴行(傷害)の時点で被害者の反抗が抑圧されるに至っていた場合には、これを継続するに足りる「暴行又は脅迫」が行われれば、これをもって強盗の手段として評価することが可能であると解されています(東京高判平成20年3月19日等参照)。
本件では、一旦Vに対する暴行(傷害)行為がされた後に、財布を奪うためにVが畏怖するような言動がなされています。
この行為をもって強盗罪にいう「脅迫」と捉えることも可能であり、この脅迫によって反抗を抑圧状態が継続している被害者から財布を「強取」したものと評価することができる場合には、強盗罪が成立することになります。
したがって、本件は、窃盗罪よりも重い強盗罪が成立する可能性があることに十分に注意を要するケースであるといえるでしょう。
~強盗罪における刑事弁護活動~
強盗罪(刑法236条1項)には、「5年以上の有期懲役」という重い法定刑が定められています(当然罰金刑などの定めはありません)。
もっとも、強盗罪も財産犯であることから被害弁償などを含めた被害者との示談の締結如何では、裁判や刑事処分を避ける(不起訴処分の獲得)も不可能ではありません。
したがって、強盗罪という罪名やその法定刑に臆することなく、まずは早期に刑事弁護士に相談することが肝要といえます。
他方で、裁判となれば実刑判決のおそれもあることから、非常に慎重な弁護活動を行うことが求められる事件類型ともいえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強盗事件の刑事弁護活動に対応している刑事事件専門の法律事務所です。
強盗事件の弁護活動には、経験と専門知識が不可欠であり、刑事事件専門の弁護士がその能力を存分に活かすことのできる事件の一つです。
強盗事件で逮捕された方のご家族は、24時間365日対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。
接見交通権とは?
接見交通権とは?
特殊詐欺に加担した場合の罪と接見交通権について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道札幌市南区在住のAは、札幌市南区内でアルバイトとして生活していました。
Aは日々の生活が厳しかったことから、いわゆる「高額バイト」を探しました。
その内容は、受け取ったカードから現金を引き出し、それを札幌市南区のとある住所にレターパックで郵送するというものでした。
Aは報酬につられてそれを実行しましたが、数ヶ月後に札幌方面南警察署の警察官が自宅に来て、特殊詐欺に加担したAを通常逮捕しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【特殊詐欺について】
オレオレ詐欺や、預貯金詐欺、キャッシュカード詐欺盗、架空料金請求詐欺、還付金詐欺など、被疑者(加害者)が被害者と直接対面せずにお金やキャッシュカード、その他プリペイドカード等を詐取する行為を総称して特殊詐欺と呼んでします。
特殊詐欺事件では、指示役と呼ばれる主犯格の被疑者は中々逮捕に至らず、その手足を担ってる受け子・出し子などが逮捕されるというケースが少なくありません。
ちなみに、受け子や出し子は以下のような役割です。
受け子:指示役に従って被害者宅に赴き、現金やキャッシュカードを受け取る役目。受け取った現金やキャッシュカードはコインロッカーに入れたり郵送したりするなどして別の者に渡す
出し子:上記で受け取ったキャッシュカードを使って、ATМなどで金を引き出す。この場合も、引き出した金は直接主犯格に渡すことは少なく、別の口座に送金したりコインロッカーに入れたりする
この受け子・出し子と呼ばれる役割の者は、前述のとおり指示役の手足です。
受け子の場合は「騙されたフリ作戦」などにより逮捕される可能性が高いですし、出し子の場合はATМ機本体や銀行・コンビニに設置されている防犯カメラに映像として残ってしまい、逮捕につながることが十分に考えられます。
一方で指示役(あるいは被害者に電話を架ける架け子と呼ばれる者)は受け子・出し子を操ることで被害金額の大半を手に入れ、捜査対象になりにくい状況にいることが実情です。
特殊詐欺に関わった場合、その被害金額や役割によっては、初犯であっても実刑を言い渡される場合があります。
【接見交通権について】
事件を起こした嫌疑をかけられている者は、被疑者と呼ばれる立場になります。
被疑者は原則として在宅で捜査を受けることになりますが、事件の内容や身元引受人の有無などを評価し、必要であると判断された場合には逮捕・勾留されることになります。
勾留された場合、警察署の留置施設や拘置所などに身柄を拘束され、検察官の釈放指揮書がなければ釈放されません。
とはいえ、勾留はあくまで捜査に必要である場合に行われる措置で、刑罰などではありません。
被疑者は、留置施設の中で自らのお金で弁当や菓子などを買うことができます。
また、原則として面会も認められていて、留置施設にある面会室に於て家族や会社の者などとの面会が許されます。
(最も、1日に1度限り、上限は3名、時間は15分、警察官の立会有などの制限はあります。)
しかし、ケースで挙げた特殊詐欺事件のような組織的な犯罪であり、共犯者などが複数いる事件の場合、裁判官の職権で「接見禁止決定」を下すことができます。
接見禁止が付いた場合、外部の者との面会が認められません。
接見禁止決定の内容にもよりますが、これは家族であっても例外なく面会できないという場合が多いです。
但し、弁護士には接見交通権という権利が認められているため、接見禁止決定の対象となりません。
また、弁護士の接見交通権には、秘密交通権と呼ばれ警察などの立会なしの接見が認められ、時間も原則として制限がありません。
(検察庁・裁判所などで接見する場合には、時間制限が設けられる場合があります。)
逮捕・勾留され、且つ接見禁止決定がついてしまった被疑者の方は、不安が募ることでしょう。
これは家族の方も同様で、被疑者の方の安否を確認したいと思うでしょう。
よって、接見禁止決定が付いている場合、弁護士に接見と併せて伝言を依頼したり、安否確認をしたりすることで安心を得られることでしょう。
北海道札幌市南区にて、ご家族が特殊詐欺事件の受け子・出し子などをして逮捕・勾留され、接見禁止決定が付いている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
まずは弁護士が接見に行き、逮捕・勾留されている方との接見をした上で、今後の流れや見通しについて丁寧に説明致します。
家族なのに面会できない?
家族なのに面会できない?
特殊詐欺事件に加担してしまった場合に問題となる罪と、接見禁止という制度について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道虻田郡在住のAは、北海道内の会社に勤める会社員です。
Aには多額の借金があり、もはや返済はできないような金額になっていました。
既に通常の消費者金融からは金が借りられなくなっていたAは、SNS上で高額バイトを探し、日当5万円以上と書かれた投稿を見つけました。
発信者にダイレクトメッセージで連絡を取ったところ、虻田郡内の指定された家に行って、銀行員を装ってキャッシュカードを受け取ってくるよう言われました。
Aは指示役に従って高齢者宅に行き、「●●銀行の者です。」と嘘をついてキャッシュカードを受け取り、受け取ったキャッシュカードは指定された場所に郵送しました。
後日、虻田郡内を管轄する俱知安警察署警察官がAの自宅に来て、特殊詐欺事件に加担した嫌疑で逮捕しました。
Aの家族はAと面会したいと申し入れましたが、警察官からは面会ができないと説明を受けました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【特殊詐欺について】
通常、詐欺事件は加害者が被害者に対面する等して被害者を騙し、金品を騙し取るという手口で行われます。
しかし、特殊詐欺の場合は、電話やメールなどを用いて被害者を騙すという点に、特徴があります。
特殊詐欺は、代表的な「オレオレ詐欺」や「預貯金詐欺」と呼ばれるもののほかに、存在しない架空の債権があると誤信させて振込を求める「架空請求詐欺」、作成したサイトをクリックすることで会員登録したとして登録料などを求める「ワンクリック詐欺」、自分は外国の軍人であなたと結婚するためには金が必要だとして金を振り込ませる「国際ロマンス詐欺」、還付金の手数料名目で金を騙し取る「還付金詐欺」など、その手法は多岐にわたります。
ケースのように他人の家に行ってキャッシュカード等を受け取る行為は俗に「受け子」と呼ばれますが、どのような罪に当たるのかについてはその方法によって異なります。
「キャッシュカードを交換する必要があるので私に渡してください。後日新しいキャッシュカードが郵送されます。」という説明をした場合、被疑者が被害者に対して嘘をつき、被害者がその嘘に騙され、キャッシュカードを渡したということで詐欺罪が成立します。
「このキャッシュカードは使えないので、封緘して保管しておいてください。後日、担当者が受け取りに来ます。」という説明をし、隙をついて封筒ごとすり替える、あるいは偽のキャッシュカードとすり替えるなどした場合、被害者の意に反してキャッシュカードを受け取っているため、詐欺罪ではなく窃盗罪が成立します。
罰条はそれぞれ以下のとおりです。
詐欺罪:10年以下の懲役
窃盗罪:10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
【家族であっても面会はできない?】
特殊詐欺事件については、捜査機関が被疑者を特定できた場合、捜査に必要であると判断されて逮捕・勾留されることが一般的です。
逮捕された時点では、基本的に家族を含め、捜査関係者及び弁護士を除いて面会は認められません。
被疑者は逮捕後72時間以内に勾留されるか釈放されるか、という判断がなされます。
勾留された場合、原則として家族だけでなく誰でも面会をすることができます。
但し、平日のみ、1日1回15分以内、警察官の立ち合いがあるなどの制限はあります。
一方で、特殊詐欺や薬物事件等、共犯者や事件関係者がいる事件については、裁判官が職権で接見禁止の決定を下します。
接見禁止決定を受けた被疑者については、勾留期間中、弁護士以外の者は家族も含めて面会をすることができません。
接見禁止決定が出たが家族だけでも面会したい、という方について、接見禁止の一部解除を申立てる必要があります。
申立てでは、家族が事件に関与していないこと、家族が証拠隠滅などを目的としているわけではなく被疑者自身の体調や職場への連絡などについて話をする必要があることなどを主張し、特定の家族などのみ接見禁止の対象から外すよう、職権を促します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
北海道虻田郡にて、家族が特殊詐欺などの刑事事件で逮捕されてしまい接見禁止の決定が下された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部に御連絡ください。
接見禁止の解除申し立ての経験が豊富な弁護士が、逮捕・勾留中の方のもとへ初回接見に行き、状況を確認したうえで解除の可能性などについて依頼者の方へ御説明します。
恐喝事件で少年院送致を回避
恐喝事件で少年院送致を回避
恐喝事件を起こしてしまった場合の弁護活動と、少年院送致について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
北海道小樽市在住のAは、小樽市内の高校に通う17歳の高校生です。
Aの家庭は厳格で、自由に遊ぶための小遣いをもらっていませんでした。
そこで、Aは遊ぶ金が欲しいと考え、後輩数名とともに小樽市内の交差点に隠れ、自動車が走ってきたところに飛び込んで事故を装い、降りてきた運転手に「今すぐ示談金として10万円払えば警察には通報しない」と伝え、金を受け取るという流れで計5人、50万円を受け取りました。
ある日、Aの家に小樽市内を管轄する小樽警察署の警察官が来て、恐喝事件で被害届が出ている旨伝えられ、Aは逮捕されました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【示談交渉のつもりが恐喝事件に?】
ケースについて、Aやその後輩は示談交渉という名目で運転手から金を受け取っています。
そもそも、示談とは、損害を受けた者等に対して、損害を生じさせた者等が、事件があったことを認めてそれについて謝罪し、金銭や代物といった形で賠償を行うことを意味します。
被害者のいる刑事事件について言うと、加害者が被害者に対して示談交渉を行い、被害弁済を行うということはあります。
しかし、被害者が、その立場を利用して金を脅し取った場合には、恐喝事件に発展します。
Aらの行為について見ると、走行中の車に向かって勝手に飛び込み、運転手に対して「今すぐ示談金として10万円払えば警察には通報しない」と言っています。
警察に通報するという行為そのものは正当な行為です。
しかし、事故現場においてその場で現金を受け取り、示談書の締結も行わないというのは、もはや示談交渉とは言えず、恐喝をしたと評価されます。
刑法249条1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する
【少年院送致回避に向けた弁護人・付添人活動】
ケースのAは17歳を想定しています。
20歳未満が罪に当たる行為をした場合、少年事件として成人の刑事事件とは異なる取り扱いがなされます。
少年事件の対象者である少年は、捜査が終了した時点で家庭裁判所に送致されます。
その後、一部の重大事件を除き、家庭裁判所の調査官が少年の調査を行い、裁判官が審判を行うか否かを決めます。
審判が行われた場合、少年に対しては刑事罰ではなく保護処分が下されます。
保護処分には、不処分のほか、保護観察処分、都道府県知事送致(児童相談所や児童自立支援施設への送致)、少年院送致などがあります。
少年が審判で少年院送致を言い渡された場合、少年は少年院に送致されます。
少年院に入ることを「入院」と言いますが、入院期間は最短で4か月間、最長で2年間です。
入院期間中、少年は中学校・高校と同じような授業が行われたり、集団生活を送ることで集団のルールについて指導したり、退院にして社会復帰するうえで必要な資格取得の指導をしたりと、様々な教育・指導が行われています。
少年院に入院することで得られる知識や経験は多々あるといえます。
しかし、施設内処遇の性質上、社会と切り離されてしまうことから、その後の生活で支障をきたす可能性も否定できません。
そのため、お子さんを少年院に送致されないよう求める保護者の方は多いことでしょう。
少年院送致を回避するためには、
・お子さんが事件について反省していることや、更生に向けた取り組みや教育を受けていること、事件関係者との交友関係を断っていること、
・保護者の方が事件を深刻に捉えてお子さんが事件を起こした理由などを分析できている、お子さんの指導方針に変化がみられる、
・被害者がいる事件については、保護者が被害弁済を行っている
といった事情があるため、社会内処遇で十分である、ということを積極的に主張していく必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、受任直後から少年と保護者からそれぞれしっかりとお話を伺い、必要なアドバイスを行っていきます。
北海道小樽市にて、お子さんが恐喝などの事件を起こしてしまい、少年院送致などの保護処分を受ける可能性がある場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部に御相談ください。
まずは、弁護士がお子さんのもとに接見に伺い、事件の詳細を確認したうえで今後の見通しや必要な弁護活動・付添人活動について御説明します。(初回接見・有料)
強盗による死亡事件で裁判員裁判に
強盗による死亡事件で裁判員裁判に
強盗が被害者を殺害してしまった場合の罪と、裁判員裁判制度について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
北海道札幌市東区在住のAは、札幌市東区でアルバイトをしながら生活をしています。
しかし、昨今の情勢からアルバイト先が休業においやられ、A自身の収入が途絶えてしまいました。
生活に困ったAは窃盗をしようと考え、留守中のV宅に忍び込んで金品を探していました。
しかし、その間にVが自宅に帰ってきて窃盗をしていたAに気付き、通報しようとしました。
Aは通報されてはいけないと思い、近くにあったゴルフクラブでVの頭部を3発殴ったところ、Vは死亡してしまったという居直り強盗事件です。
札幌方面東警察署の警察官は、捜査の結果Aによる強盗事件であるとして、Aを強盗殺人の嫌疑で逮捕しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【強盗が被害者を死亡させてしまった】
強盗が被害者を死傷させてしまったという痛ましい事件について、実はいくつかのパターンがあり、それぞれで罪が異なります。
以下で、それを検討していきます。
①予定して被害者を死傷させ、金品を奪った
予め準備をしたうえで被害者宅などに行き、被害者を死亡させたり怪我させたりしたうえで通報させないようにして、金品を奪っていった場合には、強盗殺人・強盗傷害罪が成立します。
強盗殺人罪の条文は以下のとおりです。
刑法240条 強盗が、人を負傷させたときは無期または六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
つまり、
被害者に怪我をさせて金品を奪った強盗傷害事件:「6年以上の懲役」又は「無期懲役」
被害者を死亡させて金品を奪った強盗殺人事件:「無期懲役」又は「死刑」
となります。
②予定外に被害者が帰宅したため、口封じのため死傷させた
ケースはこの場合を想定しています。
空き巣などのために家に入ったものの、犯行中に被害者が自宅に帰ってきた場合などで、とっさに相手に暴行を加えた結果、これは居直り強盗と呼ばれるものです。
居直り強盗は、「事後強盗」と呼ばれる罪にあたります。
条文は以下のとおりです。
刑法238条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕をまぬかれ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
罰条は、「強盗として論ずる」と定められていますので、①と同様です。
ケースの場合はVが死亡しているため、事後強盗致死罪が成立し、死刑又は無期懲役刑に処されることになります。
③被害者を死亡させたのち、落ちていた金品を拾った
強盗の目的ではなく、遺恨がある相手などを殺害したのち、そばにあった金品や落とした財布などを見て持ち帰る意思が生じ、それらを持ち去った場合、これは①②とは異なります。
予めお金を盗る目的で入った①②とは異なり、もともとはお金を盗る意思がなく、相手が死亡したのちにこの金品を盗んでやろうと考えているため、強盗の故意がないため、強盗殺人罪や事後強盗致死罪は成立しません。
これについて、判例は、このような事件について、死亡した直後であっても占有が継続しているという立場をとり、殺人罪と窃盗罪が成立するとしています。
なお、学説には判例同様に殺人罪と窃盗罪を認める説のほかに、強盗殺人を認める説、殺人罪と占有離脱物横領罪を認める説があります。
【裁判員裁判制度について】
裁判員裁判とは、職業裁判官(司法試験に合格して裁判官に任命された者)3名のほかに、選挙権を有する18歳以上の一般人から無作為に選出される裁判員6名が合議体を組み、被告人の有罪/無罪と有罪の場合の刑罰を決めるというものです。
裁判員裁判対象事件は
⑴死刑又は向きの懲役若しくは禁錮にあたる罪に係る事件
⑵裁判所法第26条第2項第2号に掲げる事件であつて、故意の犯罪により被害者を死亡させた罪に係るもの
とされています。(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律2条1項各号)
強盗殺人罪の場合も殺人罪(+窃盗罪)の場合も、刑罰に死刑又は無期懲役刑が用意されているため、⑴にも⑵あたり、裁判員裁判の対象事件となります。
裁判員裁判は、一般の裁判員が加わるため、弁護側も検察官側もフローチャートを用いたり量刑資料(これまでの裁判ではこのような刑罰が言い渡されている、といった資料)を提示したりと、通常の刑事裁判に比べて準備が必要です。
よって、裁判員裁判の対象事件で起訴される可能性がある方、起訴された方は、裁判員裁判の経験がある刑事事件専門の弁護士に依頼をすることが望ましいと言えます。
北海道札幌市東区にて、ご家族が強盗殺人罪や事後強盗致死罪などの裁判員裁判対象事件を起こしてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
結婚詐欺事件で勾留理由開示
結婚詐欺事件で勾留理由開示
結婚をする気がないにも拘わらず結婚する約束をして金品を騙し取る結婚詐欺事件での問題点と、勾留理由開示という手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道千歳市在住のAは、千歳市内の会社に勤める会社員の男性です。
Aは、インターネットの出会い系サイトを利用し、結婚する気がないにも拘わらず結婚を前提に交際するという者を探し、千歳市内に住む5人に対して結婚を前提に話を進めているかのように装い、デートなどを重ねた上で「婚姻費用として一緒に貯蓄をしよう」と言い、各人から自分の口座に数十万円ないし一千万円ほどの金を振り込ませました。
その後、AはSNSなどのアカウントを全て削除し、被害者からの連絡を遮断しました。
結婚詐欺事件の被害者複数名からの相談や被害届を受けた千歳市を管轄する札幌方面千歳警察署の警察官は、捜査の末Aを結婚詐欺の嫌疑で逮捕しました。
逮捕後、Aは勾留され接見禁止という決定が下されたため、Aの家族は面会が出来ません。
そこで、Aの家族は、Aを一目見る方法がないか、弁護士に質問しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【結婚詐欺事件について】
結婚詐欺という言葉は俗語であり、正式な定義はありません。
結婚詐欺と呼ばれる行為が刑事事件に発展する場合とは、
①被疑者側は結婚する気はないが結婚する前提であると偽っていて、被害者側は結婚することを信じている
②被疑者側が被害者側に金品を要求し、被害者側は結婚の約束をしていなければ支払わない金品を渡したり貸したりした
ということが必要になるかと考えられます。
そのため、例えば被害者が、被疑者に結婚する気がないことを承知してい乍ら騙されたふりをしていた場合には①の要件を欠くと考えられますし、金品の要求はされておらず実際に渡したり貸したりしていない場合には②を欠くため(精神的苦痛などにより民事上の請求は考えられますが)刑事事件には発展しません。
詐欺罪の条文は「人を欺いて税物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。」と定められています。(刑法256条1項)
【勾留理由開示請求について】
逮捕された被疑者は、その後72時間以内に「勾留」という手続きに付されます。
勾留を請求するのは検察官、判断するのは裁判官ですが、弁護人は検察官や裁判官に対して勾留に対して意見を述べる、あるいは勾留の不服申し立て(準抗告)を行うことができます。
弁護人が勾留された理由を確認するために、まずは勾留状という書類を閲覧・謄写することを検討しますが、勾留状には被疑事実のほかに、刑事訴訟法60条1項のどの項目に当てはまるか(住所不定・罪証隠滅の恐れ・逃亡の恐れ)や「捜査未了」といった抽象的な情報しか得ることができません。
そこで、弁護人は勾留理由開示請求という手続きをとる場合があります。
勾留理由開示請求は公開の法廷で行われ(刑事訴訟法83条1項)、法廷に於ては、裁判長が勾留の理由を告げなければなりません(同法84条1項)。
刑事訴訟法82条1項 勾留されている被告人は、裁判所に勾留の理由の開示を請求することができる。
同2項 勾留されている被告人の弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹その他利害関係人も、前項の請求をすることができる。
【勾留理由開示請求のメリット】
上述のとおり、勾留理由開示の主たる目的は「なぜ勾留の手続きをされたのか」を確認することです。
勾留された理由を裁判官から引き出すことで、身柄解放のための手がかりを掴むことが出来る場合があります。
裁判官が勾留する理由を説明すれば、その問題をクリアすれば身柄解放される確率が高まるためです。
また、勾留理由開示請求では弁護人の意見陳述ができるため(同法84条2項)、勾留の違法性や不当性について裁判官等に対して主張する必要があります。
更に、勾留の決定時に接見禁止が決定された場合、弁護士以外は(たとえ家族であっても)被疑者と面会をすることができません。
しかし、勾留理由開示の手続きは公開の法廷で行われることから、御家族も傍聴という形で勾留されている方の顔を見ることができます。
御家族にとっても勾留されている方にとっても、話はできずとも実際に顔をみることで安心するという点もあるでしょう。
北海道千歳市にて、御家族が結婚詐欺事件で逮捕され、勾留理由開示請求について知りたいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部に御連絡ください。
盗んだ物を買い取った
盗んだ物を買い取った
他人が盗んだ物を、第三者である(盗んだ加害者でも盗まれた被害者でもない)者が買い取った場合の刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道札幌市豊平区在住のAは、札幌市豊平区内の会社に勤める会社員です。
Aは欲しいブランドもののバッグがあったのですが、高値のためそれを買えずにいました。
その話を聞いたXは、Aに対して「それなら、知人がその会社で働いているから、今度持ってきて格安で売ってあげる。」と言いました。
そして数日後、Xは本当にAが欲しがっていたブランドもののバッグを持ってきて、それをAに定価の半値で販売しました。
ところが、そのブランドもののバッグはXがブランドショップで商品を万引きしてきたものでした。
AはXから買い取った商品にタグが付いていることに気が付きXを問いただしましたが、貴女は知らない方が良いと言われ、それ以上追求しませんでした。
後日、札幌市豊平区を管轄する札幌方面豊平警察署の警察官がAの自宅に来て、Aが持っているブランドもののバッグについての質問をされました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【盗品を買い取ると犯罪に】
ケースについて見ると、Xはブランドもののバッグを万引きしていますので、窃盗罪に当たります。
では、それを購入したAについてはどうなるのでしょうか。
まず、Aは万引きを指図したり手助けしたりしたわけではないので、窃盗教唆や窃盗幇助などの罪には問われません。
しかし、Aが盗品と知っていて買い取った場合、盗品等譲受罪に問われる可能性があります。
条文は以下のとおりです。
刑法256条1項 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の懲役に処する。
2項 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の懲役及び五十万円以下の罰金に処する。
ケースの場合、半値とはいえ買い取りをしていますので、上記2項が問題となります。
盗品等譲受罪の対象となるのは、「盗品その他財産に対する罪に当たる行為」で得られたものです。
窃盗罪のほか、強盗などの罪、横領などの罪、詐欺罪、恐喝罪などで得られたものが対象です。
また、盗品等譲受罪は故意犯ですので、譲り受けたものが盗品等であることを知っている必要があります。
とはいえ、Xがいつ、どこで盗んだのか、という詳しいところまでの認識は必要ありません。
未必の故意についても認められます。
そのため、例えばケースについては、タグの有無や相場と買値の金額差などを総合的に判断し、Aに「盗品かもしれない」という認識があれば、立件される可能性があります。
【盗品等譲受罪で弁護士に相談】
盗品等譲受罪は、消費者にとっても簡単に見抜けない場合があり、また、捜査機関としても立件が難しい場合が考えられます。
ケースの場合、Aが盗品なのか否かについてどう認識していたのか、という点は重要なポイントになると言えます。
認識は客観的な部分は当然重要になりますが、内心の部分の内容であることから、取調べ等の対応が重要になってきます。
よって、取調べを受ける前に刑事事件・少年事件の経験が豊富な弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
北海道札幌市豊平区にて、盗品等譲受罪などの刑事事件で取調べを受ける可能性がある方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部に御連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で御相談いただけます。
御予約:0120-631-881(24時間・365日受付)
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