恋愛感情を持たせてお金をだましとった事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
【事例】
日本国内に住む外国籍の男性AさんとBさんは、外国の軍人などのふりをして、SNS上で日本国内に住む複数の女性と交流していました。
Aさんは、交流相手の女性の1人であるVさん(札幌市東区在住)に恋愛感情を抱かせた上で、日本で暮らすために必要な荷物を送ったので、代わりに受け取ってほしいなどとお願いしました。
承諾したVさんは、自分の住所や電話番号を伝えました。
すると今度はBさんが運送業者を名乗ってVさんに連絡し、荷物が税関で止まっているので、これを発送するための手数料として50万円を送金してほしいと頼みました。
Vさんは、手続きが進めばAさんが来日して会うことができると思い込んでしまい、指定された口座に50万円を送金しました。
後日、Aさんとの連絡が取れなくなって詐欺であることに気が付いたVさんは、札幌方面東警察署に相談。
捜査の結果、Aさんの犯行であることが判明し、Aさんは逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~国際ロマンス詐欺~
恋愛感情を巧みに利用し、相手からお金などをだまし取るロマンス詐欺というものがあります。
特に今回の事例のように外国人が日本人をだますパターンは国際ロマンス詐欺などと呼ばれています。
被害者としては30歳代後半から50歳代前半の女性が多くなっているようです。
犯行方法や被害実態についてはこちらに詳しく載っています。
国際ロマンス詐欺。被害者510人のリアルな声を集めると、盗られていたのは金銭だけではなかった。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/terue-shinkawa0226_jp_5c735c07e4b03cfdaa5700a7
(ハフポスト)
このような詐欺に気を付けなければならないのは当然ですが、詐欺をした側も重い罰則を受けることを覚悟しなければなりません。
刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
詐欺罪には罰金刑が定められていません。
多額のお金をだまし取り、それを使ってしまって返還もできないという状況になれば、執行猶予になることも難しいでしょう。
~刑事手続きの流れ~
犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
勾留期間の最後に検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。
被害金額が少ない、被害者に賠償して示談が成立しているといった事件では、前科も付けずに刑事手続を終わらせる不起訴処分となることもありえます。
ただ、今回の事例にように計画的な犯行で、50万円というある程度大きな被害が出ている事件では、不起訴処分はなかなか望めないですし、前述のように執行猶予となるのも容易ではありません。
裁判で執行猶予となったとき、あるいは実刑判決で刑務所に入り出所したときには、国外退去となることが予想されます。
~弁護士にご相談ください~
今回は国際ロマンス詐欺の事例をもとに解説しましたが、日本人同士で恋愛感情を悪用した詐欺の事例もあり、被害状況などによっては実刑判決となってしまいます。
あなたやご家族が詐欺事件など何らかの犯罪をしたとして逮捕されたり、取調べを受けたといった場合には、被害者への謝罪・賠償をして示談を結び、執行猶予など出来るだけ軽い判決につなげるために、ぜひ弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
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