Archive for the ‘性犯罪’ Category

釈放を求め準抗告を行う

2023-08-27

釈放を求め準抗告を行う

児童買春事件で逮捕・勾留されたという事件を想定して、釈放を求める準抗告申立の手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道室蘭市在住のAさんは、室蘭市内で飲食店を経営しています。
AさんはSNSで知り合った室蘭市内に住む17歳の児童Vさんに対し、現金2万円を渡して性行為をしました。
SNSでのやり取りを知ったVさんの保護者は室蘭市内を管轄する室蘭警察署の警察官に相談して被害届を提出したことから、室蘭警察署の警察官はAさんを児童買春の罪で通常逮捕しました。
Aさんが勾留されたことを知ったAさんの親族は、釈放の可能性について弁護士に相談しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【児童買春の罪】

令和5年の改正刑法により、いわゆる性同意年齢の引き上げが行われ、16歳未満の児童との性行為は原則として不同意性交罪として処罰されることになりました。
また、16歳・17歳に対して性行為等をした場合
・児童や保護者に対して対価を渡していた場合には児童買春の罪に
・それ以外の結婚を前提にしていない性行為については各都道府県の定める青少年保護育成条例違反に
該当するとして捜査され処罰されることが考えられます。
今回のAさんの事例では、17歳の児童Vさんに対して2万円の対価を渡して性行為をしているため、児童買春の罪に問われます。
条文は以下のとおりです。

児童買春、児童ポルノ処罰法2条2項
この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
1号 児童
2号 (略)
3号 (略)

【準抗告申立により釈放を求める】

被疑者が逮捕された場合、逮捕から72時間以内に釈放されるか、勾留裁判を担当する裁判官により勾留質問という手続きを経て勾留が認められるかの2択です。
勾留が認められた場合、原則として10日間、その後1度延長が認められるので最大で20日間、身柄拘束されることになります。
また、被疑者は20日の間に起訴されるか釈放されることになりますが、起訴された場合、その後も勾留は続きます。

勾留を回避し釈放を求めるためには、弁護士により、勾留の裁判が行われる前に検察官や裁判官に対して勾留が不要であることを主張していく必要があります。
とはいえ、逮捕から勾留が認められるまでの手続きは、通常逮捕の翌日や翌々日頃までに行われるのが一般的で、それまでに弁護人の選任が間に合わないという方も多いです。
(なお、一定の要件を満たした場合に国が選任する国選弁護人は、勾留が決まった後に初めて選任されます。また、当番弁護士は勾留前であっても一度限り接見することができますが、「弁護人」ではないため釈放を求める弁護活動はできません。)

勾留が認められた場合には最大20日間の勾留が避けられないのかというと、必ずしもそうではありません。
勾留が認められた場合、
・勾留裁判に対する不服申し立てる(勾留を認めた勾留裁判を取り消すよう申し立てる)準抗告申立て
・勾留裁判後に変更した事情を主張し釈放を目指す勾留取消請求
という方法で釈放を求めます。

このうち準抗告申立てについては、勾留の判断に対して「逃亡や証拠隠滅の恐れ等がないため勾留を認めた判断は誤りである」という主張を行います。
準抗告の判断は、勾留の判断を下した裁判官とは別の裁判官3名で行われます。
とはいえ、別の裁判官が判断するとはいえ、一度裁判官が認めた勾留を覆すことは容易ではありません。
その意味で、勾留される前に弁護士に弁護を依頼し、勾留の判断前に検察官・裁判官に対して勾留が不要である旨意見することが望ましいと言えます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、これまでに児童買春の罪を含め数多くの刑事事件を担当していて、準抗告申立てにより釈放が認められたケースも多くございます。
北海道室蘭市にて、家族が児童買春の罪で逮捕・勾留されてしまい準抗告申立により釈放を求める場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。

痴漢ではなく不同意わいせつ罪に?

2023-08-09

痴漢ではなく不同意わいせつ罪に?

列車内で他人の身体に触れたことで痴漢に該当すると考えていたところ、不同意わいせつ罪で捜査されたという事例を想定して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が検討致します。

【事例】

北海道小樽市内に住むAさんは、小樽市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、小樽市内を走行中の函館本線に乗車していたところ、眠っているVさんを見つけました。
Aさんは劣情を催し、眠っているVさんの股間付近を服の上から触り、それでもVさんが起きないことを確認した後、次いで脚を撫でまわしました。
最初に触ってから5分ほど経った後、Vさんは目が覚めてAさんの行為に気付き、駅員に被害申告しました。
その後臨場した小樽警察署の警察官に捜査を受けることになったAさんは、当初は俗にいう痴漢事件で捜査を受けていたものの、車内の防犯カメラの映像等から不同意わいせつ罪の嫌疑に変わりました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【痴漢について】

公共の場所で他人の尻や脚、胸などを触る行為は、俗に痴漢と呼ばれ各都道府県の定める迷惑行為防止条例に違反します。
ケースの場合、北海道小樽市での痴漢事件を想定していることから、北海道迷惑行為防止条例が問題となります。

北海道迷惑行為防止条例2条の2 何人も、正当な理由がないのに、次に掲げる行為をしてはならない。
1項 公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をすること。
ア 衣服等の上から、又は直接身体に触れること。

【不同意わいせつ罪について】

次に、不同意わいせつ罪について、条文は以下のとおりです。

刑法176条1項 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処する。
 1号~3号 略
4号 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
 以下略

【痴漢と不同意わいせつ罪のどちらに当たるか】

今回事例で想定したAさんの事件の場合、痴漢事件であるとして北海道迷惑行為防止条例違反と評価される場合と、及び不同意わいせつ事件と評価される場合の両方が考えられます。

まず、痴漢については、列車内という公共の乗物の中で被害者の股間付近や脚をさわるという「周知させる方法で」「身体に触れる」行為であることから、痴漢に当たることは間違いないでしょう。
次に不同意わいせつ罪については、被害者が眠っていたことから、「睡眠その他の意識が明瞭でない状態にある」のは間違いないことから、その状態に乗じて「わいせつな行為」にあたる行為をしたのかという点が問題となります。
Aさんの場合、5分間と長時間に亘り股間や脚を触り続けているという内容から、わいせつな行為をしたと評価され、痴漢ではなく不同意わいせつ罪に当たると評価される可能性があります。

もっとも、被害者が眠っていたという状況から、目撃者や車内の防犯カメラの映像が残っていなければ、不同意わいせつ罪での立件は難しいと考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、日々多くの相談が寄せられています。
中には、痴漢不同意わいせつ罪のように、事件の内容を検討した結果ご自身が考えている以上に重い罪に問われるというものもあります。
北海道小樽市にて、痴漢不同意わいせつ罪などの性犯罪事件を起こしてしまい、自身の行為がどのような罪に問われるのか知りたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による無料法律相談をご利用ください。

【お客様の声】下着の窃盗で保護観察付き執行猶予

2023-07-24

【お客様の声】下着の窃盗で保護観察付き執行猶予

他人の家に侵入して下着の窃盗を繰り返した事件の裁判で保護観察付きの執行猶予判決が言い渡されたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【事例】

北海道滝川市在住のAさんは、滝川市内で飲食店を経営しています。
Aさんは逮捕される以前、滝川市内で他人の住居に侵入して下着を盗む下着ドロボー行為を繰り返していました。
被害者の一人が滝川市内を管轄する滝川警察署に被害届を提出したことで捜査が開始され、Aさんはその被疑者として通常逮捕されました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【下着の窃盗で問題となる罪】

先ず、他人の下着を盗んだ(窃取した)ことから、窃盗罪の成立が検討されます。
条文は以下のとおりです。

刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

他人の使用した下着とはいえ、財物であると評価される可能性が高いことから、窃盗罪が成立します。

次に、他人の住居や敷地に侵入して下着を窃取した場合、住居侵入罪が適用されます。
条文は以下のとおりです。

刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

下着を窃取するために他人の敷地に侵入する行為は正当な理由があるとは言えないことから、住居侵入罪についても成立すると考えられます。

【保護観察付きの執行猶予判決】

今回Aさんに言い渡された刑は、保護観察付きの執行猶予でした。
執行猶予判決には一部執行猶予と全部執行猶予がありますが、Aさんの場合は全部執行猶予でした。
全部執行猶予は、刑法25条各項で、禁錮以上の前科がないなどの一定の条件下で「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けた」あるいは「情状により」、「1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる」と定められています。
よく報道などで「懲役1年執行猶予3年の有罪判決」などと聞くかと思いますが、この場合、判決の宣告から14日を経たのち3年の間に刑事罰が科せられるような再犯事件などがなければ、1年間刑事収容施設に行く必要がなくなります。
但し、執行猶予の期間中に再犯事件を起こした場合、その事件での裁判で執行猶予が取消され、再犯事件の刑事罰+懲役1年、ということになります。

更に、Aさんには保護観察が付されました。
刑法25条の2第1項では、全部の執行猶予の期間中に保護観察に付することができると規定されています。
そして保護観察の内容については、更生保護法にその定めがあります。
保護観察が付された場合、法務省の職員である保護観察官やそのサポートをする保護司によって更生保護や再犯防止のための面談等により報告・指導が行われます。
保護観察期間中は健全な生活を保持すること、保護観察官や保護司の呼出しに応じること、引越しの際には事前に届け出ること、等の遵守事項が定められていて、違反した場合には保護観察所長が検察官に申し出、検察官は裁判所に執行猶予の取消しを請求することができます。

成人事件の保護観察付執行猶予は、性犯罪や薬物事件で特に用いられます。
今回のAさんの場合、罪名こそ窃盗罪・住居侵入罪ですが、その実は下着ドロボーといういわば性犯罪事件であることから、保護観察付きの執行猶予判決が言い渡されました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
下着ドロボーのような性犯罪事件の場合、被害者がいる事件とはいえ被害金額は少ないが被害者の被害感情は強く、加害者に対し厳しい刑事処罰を求める場合が少なくありません。
また、下着ドロボーは検挙されるまでに同種の犯罪を繰り返していることも多く、余罪捜査も含めて厳しい取調べが予想されます。
北海道滝川市にて、家族が下着ドロボーで逮捕されてしまい、保護観察付きの執行猶予判決が言い渡される可能性がある場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。

【法改正】不同意性交等罪の成立

2023-07-15

【法改正】不同意性交等罪の成立

国会で、強制性交等罪・準強制性交等罪が改正され、不同意性交等罪が成立しました。
令和5年7月13日から施行されることになります。
これまでの暴行・脅迫要件だけではカバーすることが難しいと思われる部分も含められ、改正がなされました。
以前よりも犯罪が成立しやすくなっております。
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が、不同意性交等罪の概要を解説いたします。

<条文>

不同意性交等)
第177条 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3 十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

<1項>

①前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、
②同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、
③性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、
婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。

と規定されております。
①の前条第一項各号に掲げる行為又は事由は、以下の通りです。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

以前の強制性交等罪・準強制性交等罪より犯罪が成立しやすくなりました。
暴行・脅迫でなくても、①の行為又は事由その他これらに類する行為又は事由が認められ、②被害者の同意が認められなければ、十分だと評価されることになります。
③性交等の範囲も広がり、性交・肛門性交・口腔性交だけでなく、膣若しくは肛門に身体の一部若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの、が含まれることになりました。
女性器に指を入れるだけで成立が認められることになります。

<2項>

①行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、
②性交等をした者も、
前項と同様とする。

と規定されています。
①被害者をだました場合は真の同意がないので、犯罪が成立することになります。
医療行為や宗教的行為等とだましたり、暗闇の中で恋人や配偶者と偽ったり、等の場合が考えられます。

<3項>

十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

と規定されています。
被害者が16歳未満の場合は、被害者の同意があっても、犯罪が成立します。
被害者が13歳以上16歳未満の場合は、被害者と加害者の年齢差が5年以上であれば、被害者の同意があっても、犯罪が成立します。

<時効期間>

以前は強制性交等罪・準強制性交等罪の時効期間は10年でしたが、改正により不同意性交等罪の時効期間は15年に延長されました。
さらに、その被害者が犯罪行為が終わつた時に18歳未満である場合における時効は、15年の期間に当該犯罪行為が終わつた時から当該被害者が18歳に達する日までの期間に相当する期間を加算した期間を経過することによつて完成する、とされました。
若い年齢であるほど被害を言い出せない事情を考慮したものです。

不同意性交等罪は、以前の強制性交等罪・準強制性交等罪より犯罪が成立しやすくなりました。
被害者の同意がなければほぼ犯罪が成立すると思われますし、相手の同意があると思ったとの主張もかなり難しいと思われます。

被害者から警察に被害届が出されたら、逮捕され、長期間身体拘束され、起訴されて裁判にかけられ、実刑判決で長期間刑務所に入ることになると思われます。

起訴前に被害者と示談が成立したら、検察官が不起訴にする可能性が高まります。
まずはなるべく早く弁護士に相談し、弁護士を通じて被害者と接触し、誠実に話し合う必要があります。
被害者との話し合いは慎重に対応する必要があります。

もし性交等自体がなかったりしたら、犯罪が成立しないことを毅然と主張していく必要があります。
捜査機関の取調べで不当な働きかけがなされる可能性があり、早期に弁護士を入れて慎重に対応する必要があります。
どのように話すべきか、黙秘するべきか、その時の状況に応じて方針を判断しなければなりません。
警察官が怒鳴ってきたり強引な誘導をしてきたりした場合は、弁護士を通じて警察に抗議書面を提出したり、やはり黙秘をして対抗する必要があるかもしれません。
否認主張を裏付ける証拠を探す必要があるかもしれません。
刑事弁護について高度な判断が求められます。
やっていないから大丈夫だ、真実が明らかになるだろう、と安易に考えてきちんとした対応をしていなかったら、後に取り返しの付かない事になりかねません。

【不同意性交等罪で弁護士に依頼】

刑事事件ではスピードが大切です。
すぐに弁護士に連絡し、相談して依頼しましょう。
逮捕後最大72時間は、たとえ家族の方でも逮捕された人との接見ができませんが、弁護士が代わりに連絡を取ってくれます。
逮捕された場合、最長で23日間、身体が拘束されますが、その間に検察官が起訴をするかどうかを判断します。
検察官が起訴の判断をする前に、示談を成立させなければなりません。
非常に限られた時間で活動しなければならず、急がなければなりません。
また、逮捕直後に不当な取調べが行われ、不利な内容の調書が作成されてしまうかもしれません。
早く弁護士が接見し、取調べへの対応方法に関してきちんとしたアドバイスをする必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事を専門とする弁護士が迅速に対応いたしますので、お気軽にお電話ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
不同意性交等罪についての無料法律相談のご予約は
フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)
までお気軽にお電話ください。

【法改正】不同意わいせつ罪の成立

2023-07-12

【法改正】不同意わいせつ罪の成立

国会で,強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪が改正され,不同意わいせつ罪が成立しました。
以前よりも犯罪が成立しやすくなっております。
令和5年7月13日から施行されることになります。
今回は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が,不同意わいせつ罪の概要を解説いたします。

【不同意わいせつの罪】

(不同意わいせつ)
第176条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により,同意しない意思を形成し,表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて,わいせつな行為をした者は,婚姻関係の有無にかかわらず,六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し,表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ,若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し,若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ,若しくは行為をする者について人違いをさせ,又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて,わいせつな行為をした者も,前項と同様とする。
3 十六歳未満の者に対し,わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については,その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も,第一項と同様とする。

<1項>
①1号から8号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により
②同意しない意思を形成し,表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて
③わいせつな行為をした者
が成立要件となります。
婚姻関係の有無は問われず,夫婦間でも成立します。

1号の,「暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。」について,暴行は人の身体に対する有形力の行使をいい,脅迫は人を畏怖させるに足りる害悪の告知をいいます。

2号の「心身の障害を生じさせること又はそれがあること。」は,身体障害,知的障害,発達障害,精神障害等やその他の一時的な障害等をいいます。

3号の「アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。」は,お酒や薬物の影響により抵抗を困難にさせること等をいいます。

4号の「睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。」は,眠らせたり睡眠中の犯行等をいいます。

5号の「同意しない意思を形成し,表明し又は全うするいとまがないこと。」は,気をそらせた隙にいきなり犯行をする事等をいいます。

6号の「予想と異なる事態に直面させて恐怖させ,若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し,若しくは驚愕していること。」は,性的行為が行われるとは思わせないで性的行為に誘導し,恐怖や驚愕している状態で性的行為に及ぶ事等をいいます。

7号の「虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。」は,普段から暴力等で脅して怖がっている状態を利用して行為に及ぶ事等をいいます。

8号の「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。」は,親と子供,上司と部下,教師と生徒,等の関係性で断りづらい状況を利用して行為に及ぶ事等をいいます。

<2項>
①行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ,若しくは行為をする者について人違いをさせ,又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて
②わいせつな行為をした者
が成立要件となります。

「行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ,又はそれらの誤信をしていることに乗じて」とは,医療行為等とだまして行う事等をいいます。

「行為をする者について人違いをさせ,又はそれらの人違いをしていることに乗じて」とは,暗闇の中で別人の恋人と勘違いさせて行為をする事等をいいます。

<3項>
16歳未満の者に対し,わいせつな行為をした者は,同意等の有無を問わずに犯罪が成立します。

「当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については,その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。」とは,被害者が13歳以上16歳未満の場合は,わいせつ行為をした者が被害者より5歳以上年齢が離れている場合に,同意等の有無を問わずに犯罪となる,ということをいいます。
5歳以上年齢が離れていなかったとしても,1項2項により犯罪が成立する可能性はあります。

【強制わいせつ罪等と不同意わいせつ罪の比較】

法改正によって新設された不同意わいせつ罪は、以前の強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪より犯罪が成立しやすくなっております。
安易にわいせつ行為をしてしまったら,通報されて逮捕される可能性があります。
逮捕されたら,逮捕・勾留合わせて最長23日間,警察署の留置場などで身体拘束されることになります。
外部と連絡を取ることは制限され,連日捜査機関による取調べを受けるため,被る精神的苦痛は非常に大きなものとなります。
当然,会社や学校に行くことはできません。
逮捕されたことが会社や学校に知られてしまう可能性も高まります。
逮捕されることで,報道される可能性が高まります。
検察官や裁判所に釈放を求めていくことになりますが,釈放が認められるハードルは高く,簡単には認められません。
刑事に強い弁護士に相談・依頼し,被害者との示談交渉や釈放活動をして,裁判に備えることが必要になってきます。

不同意わいせつ罪をしていないにもかかわらず,相手が警察に被害を訴えて,警察が捜査や逮捕をしてくることがあります。
密室の取調室で,「被害者がこう言っている」「証拠はもうそろっている」などと言われ,警察の言われるままに話を持っていかれ,不当な内容の供述調書が作成されてしまいます。
刑事に詳しくない弁護士が対応した場合,そのような不当な状況を放置することもあります。
刑事に詳しい弁護士のきちんとしたサポートが必要になってきます。
取調べでどのようなことを言うか,弁護士と相談しながら進めていきます。
警察の威圧的な取調べが行われていたら,弁護士が抗議をしたり,黙秘を指示したりして,きちんと対応しなければなりません。
こちらに有利な証拠がないか,検討することにもなります。
起訴されて裁判となったら,きちんとこちらの主張をしていかなければなりません。

【不同意わいせつ罪で弁護士に依頼】

刑事事件ではスピードが大切です。
すぐに弁護士に連絡し,相談して依頼しましょう。
逮捕後最大72時間は,たとえ家族の方でも逮捕された人との接見ができませんが,弁護士が代わりに連絡を取ってくれます。
逮捕された場合,最長で23日間,身体が拘束されますが,その間に検察官が起訴をするかどうかを判断します。
検察官が起訴の判断をする前に,示談を成立させなければなりません。
非常に限られた時間で活動しなければならず,急がなければなりません。
また,逮捕直後に不当な取調べが行われ,不利な内容の調書が作成されてしまうかもしれません。
早く弁護士が接見し,取調べへの対応方法に関してきちんとしたアドバイスをする必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事を専門とする弁護士が迅速に対応いたしますので,お気軽にお電話ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では,刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
無料法律相談のご予約は
フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)

までお気軽にお電話ください。

【お客様の声】取調べでの言動に対して警察署へ抗議

2023-07-06

【お客様の声】取調べでの言動に対して警察署へ抗議

準強制わいせつ事件を起こしたとして捜査を受けていた事件で、警察署に抗議文を送付したという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【事例】

北海道夕張郡在住のAさんは、夕張郡内で出張マッサージの仕事をしています。
ある日、夕張郡内を管轄する栗山警察署の警察官から連絡があり、出頭するよう言われました。
心当たりがない中で出頭したAさんは、警察官から「何で呼ばれたか分かっているだろう」「心当たりがないはずがないだろう」と大声で聴かれたうえ、分からないと伝えたところ「マッサージを受けた女性が陰部を触られたと言っている」と言いました。
Aさんは「心当たりはない」「弁護士に相談したい」と言ったところ、更に厳しい口調で詰問されました。
更には、ポリグラフ検査(俗に言う噓発見器)を用いたり「お前の性癖も調べるぞ」と言ったりする等して、精神的に追い詰めるような言動が見受けられました。

Aさんは当事務所の弁護士による無料相談を受け、弁護を依頼されました。
弁護士は、まずはAさんから取調べでの状況について丁寧に聞き取りを行い、問題点を列挙したうえで、書面化して栗山警察署宛に抗議文を内容証明郵便で郵送しました。
その内容としては、
①当該取調官(警察官)の威圧的・威迫的な言動や態度を改めること
②取調べの様子を録音録画すること
を目的としていました。

弁護士が抗議文を郵送した後に行われたAさんの取調べでは、①取調官の態度は改善され、②取調べ状況の録音録画も行われました。

最終的に、Aさんの事件では検察官送致(いわゆる書類送検)すらされることなく、終了しました。
Aさんは事件化しなかったという結果に加え、取調べでの不安を払拭されたことに大変満足されていました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【被疑者の取調べ】

取調べを受けている時点で、対象者は「被疑者」つまり罪を犯したと疑われている者であり、疑いが事実であるかどうかは不明です。
しかし、準強制わいせつ罪のような密室で行われていて目撃者がいないような事件の場合、警察官や検察官などの取調官は先に被害者の話(被害申告・供述調書)を見聞きすることから、被疑者が罪を犯したという認識で取調べを行う場合が少なくありません。
今回のAさんの場合も、施術を受けた者が被害申告した内容を前提に、警察官がAさんの取調べを行っています。
そのため、初めからAさんが「心当たりがない」と言っているにもかかわらず、嘘をついていることを前提に厳しい取調べが行われたと想像されます。

【取調べでの抗議】

Aさんのように、話を聞いてもらえず、厳しい口調で取調べが行われる、という場合は少なくありません。
そのような取調べが行われている場合、弁護士に依頼をして、弁護士に抗議文の提出や取調べ同行などの適切な対応により状況を改善することが望ましいと言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、これまでに数多くの刑事事件・少年事件の弁護活動を行ってきました。
Aさん以外にも、取調べで威迫的・脅迫的な取調べが行われ、精神的に追い詰められたことから、抗議文を提出したり取調べに同行したりといった活動を行いました。
北海道夕張郡にて、準強制わいせつ罪で取調べを受けている方、厳しい取調べで抗議して欲しいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。

強制性交等罪で逮捕された

2023-06-15

強制性交等罪で逮捕された

強制性交等罪を犯してしまったら,逮捕・勾留され,実刑で長期間刑務所に入る可能性が高いと言えます。
被害者への示談活動や,事実を争うのであればきちんと裁判の準備をしなければなりません。
今回は,強制性交等罪・準強制性交等罪について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

・(被害者が13歳以上)強制性交等罪が成立する場合とは

(強制性交等)
第177条 十三歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いて性交,肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は,強制性交等の罪とし,五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し,性交等をした者も,同様とする。

個人の性的自由・性的自己決定権を保護法益とします。
被害者となり得る人は,女性に限らず,男性も含まれます。
加害者も,男性だけでなく,女性も含まれます。

暴行は,身体に向けられた不法な有形力の行使をいいます。
脅迫は,害悪の告知をいいます。
暴行・脅迫は,性交等をしようとする相手方に対して向けられる必要があります。
脅迫は,その告知した内容が虚偽のものであってもよく,犯人が害悪の実現に影響力を有するものとして告知されれば足ります。
暴行・脅迫は,被害者の反抗を著しく困難にする程度のもので足り,反抗を抑圧する程度に達する必要はありません。
その程度については,暴行・脅迫の態様のほか,時間的・場所的状況,被害者の年齢・精神状態等の諸般の事情を考慮して客観的に判断されることになります。
性犯罪に直面した被害者が恐怖のあまり抵抗できなくなることも少なくない等という被害者の心理や,被害者と相手方との関係性等を十分踏まえた検討がなされることになります。
暴行のみを断片的に取り上げればそれ自体はそれほど強いものとはいえなくても,その余の事情として被害者が被害を受けるに至ったそれまでの経過やその際に置かれていた立場・状況等をも併せて考慮して,当該暴行が被害者の性的意思決定の自由を抑圧し,反抗を著しく困難にする程度に達するといえるものか判断することになります。

本条の実行行為としては,性交に加え,肛門性交及び口腔性交が含まれており,これらを性交等といいます。
性交とは,膣内に陰茎を入れる行為をいいます。
肛門性交とは,肛門内に陰茎を入れる行為をいいます。
口腔性交とは,口腔内に陰茎を入れる行為をいいます。
性交等には,行為者が自己又は第三者の陰茎を被害者の膣内・肛門内・口腔内に入れる行為だけでなく,自己又は第三者の膣内・肛門内・口腔内に被害者の陰茎を入れる行為を含みます。

因果関係として,暴行・脅迫が性交等の時点まで継続する必要はないが,暴行・脅迫によって反抗を著しく困難にする状態が性交等の時点においても存在することが必要です。

・(被害者が13歳未満)強制性交等罪が成立する場合とは

被害者が13歳未満の場合は,暴行・脅迫がなくても成立します。

13歳未満の者に対する場合を除き,被害者の真意に基づく承諾があれば,本罪は成立しません。
承諾は,自由な意思決定による真意のものである必要があります。
黙示の承諾でもよいが,その場逃れのための真意に基づかないときは,承諾する旨の言動があったとしても,ここにいう承諾ではありません。
反抗を著しく困難にする程度の暴行・脅迫があるときは,特別の事情がない限り,自由な意思決定による真意の承諾とは認められないことになります。

本罪は,故意犯です。
前段については,13歳以上であることの認識は不要であり,後段については,13歳未満であることの認識が必要です。
被害者が自由な意思決定による真意の承諾をしたものと誤信したときは,故意を欠くことになります。
しかし,安易に信じても,故意が阻却されることはありません。
誤信の有無についても,被害者の心理等に関連する心理学的・精神医学的知見等を踏まえた上で,犯人の認識していた事実等に基づき,適切に判断される必要があります。
反抗を著しく困難にする程度の暴行・脅迫を自ら行った場合に,被害者の真意の承諾があると誤信したと認められるには,特別の客観的事情の存在が必要です。

実行の着手時期は,前段では手段となる暴行・脅迫を開始した時点,後段では性交等に至る客観的な危険性が認められる行為を開始した時点,となります。
手段となる暴行・脅迫といえるには,性交等の遂行を可能にするような客観的事情が必要です。
性交等の行為を行った時点で既遂となります。
性器の一部没入で既遂に達し,射精することを要しません。

・相手がお酒や薬などで意識がハッキリしない中での性交等

(準強制性交等)
第178条 2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心神を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて,性交等をした者は,前条の例による。

本条が適用されるのは,13歳以上の者に対し,その心神喪失又は抗拒不能の状態に乗じ,あるいは暴行・脅迫によらずに心神喪失又は抗拒不能にして,性交等をした場合です。

心神喪失とは,精神的な障害によって正常な判断力を失った状態をいいます。
抗拒不能とは,心理的又は物理的に抵抗ができない状態をいいます。
類型的には,睡眠・酩酊・高度の精神遅滞等のように被害者が性交等について認識できない場合と,他の行為を装ったときのように性交等自体については認識しながらも錯誤のために自由意思に従って行動する能力を失っている場合があります。
心神喪失・抗拒不能の程度については,完全不能でなくともよく,反抗が著しく困難な状態で足り,常識的に不能といえれば認められます。

実行行為は,心神喪失又は抗拒不能の状態を利用して,あるいは暴行・脅迫によらずに心神喪失又は抗拒不能にして,性交等をすることです。
心神喪失又は抗拒不能の状態を利用した例としては,被害者が高度の精神遅滞の状態にあるのを利用した場合,睡眠中であるのを利用した場合,泥酔状態にあるのを利用した場合,第三者の暴行・脅迫によって抗拒不能の状態にあるのを利用した場合などがあります。
他方,暴行・脅迫によらずに心神喪失又は抗拒不能にした例としては,被害者に密かに睡眠剤を飲ませ,あるいは催眠術を使うなどしてそのような状態にした場合があります。
以上のような例に対し,詐欺的手段,例えば,結婚の約束や金品の贈与の約束等によって,主観的には抗拒不能の状態になったとしても,それは動機の錯誤ないし緑由の錯誤に過ぎず,客観的には承諾しないことも可能な状況にあると認められるから,本条に該当しません。

故意として,被害者が心神喪失又は抗拒不能の状態にあることを認識していることが必要です。

着手時期は,心神喪失又は抗拒不能に乗じた場合には,性交等に至る客観的な危険性が認められる行為を開始した時点です。
性交等に向けて通常行われる行為やそれに接着した行為を開始することが必要です。
他方,心神を喪失させ又は抗拒不能にさせて性交等をした場合の着手時期は,性交等を行う目的をもって手段となる行為,心神を喪失させ又は抗拒不能にさせる行為を開始した時点となります。

・事務所紹介

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は,刑事を専門とする弁護士が迅速に対応いたしますので,お気軽にお電話ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では,刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
無料法律相談のご予約は
フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)
までお気軽にお電話ください。
逮捕された場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による有料の初回接見サービスをご利用ください。
接見して状況を確認した後,説明させていただいた後に,正式契約となったら事件を対応させていただきます。
強制性交等事件では迅速な対応が必要となりますので,お早めにご相談ください。

被告人質問と被害者参加制度

2023-04-18

被告人質問と被害者参加制度

強制わいせつ事件で起訴された場合に問題となる、刑事裁判での被告人質問被害者参加制度について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道札幌市西区在住のAさんは、札幌市西区の会社に勤める会社員です。
Aさんは、札幌市西区で酒に酔って歩いていたところ、通行人Vさんとすれ違い、劣情を催してVさんを路地裏に無理やり連れて行き、下着を脱がせ陰部を触るという強制わいせつ事件を起こし、後日札幌方面西警察署の警察官に逮捕されました。
その後勾留期間を経て起訴されたAさんは、担当する弁護士から「被害者参加制度に基づき被害者が刑事裁判に参加します」との説明を受けました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【強制わいせつ罪について】

今回の事件は、Aさんが酒に酔って通行人である他人Vさんの下着を脱がせて陰部を触る、という行為が問題になります。
問題となる強制わいせつ罪の条文は以下のとおりです。

刑法176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

なお、わいせつ行為をした際や被害者が抵抗した際に擦り傷の怪我をした場合には、強制わいせつ致傷罪とより重い罪が科せられます。
強制わいせつ致傷罪の罰条は「無期又は3年以上の懲役」で、起訴された場合は裁判員裁判対象事件となります。

【被告人質問について】

刑事裁判では、簡単に説明すると以下の流れで手続きが進められます。

・冒頭手続き(人定質問、起訴状朗読、被告人の権利告知、罪状認否)
・証拠調べ手続(冒頭陳述、検察官立証、弁護側立証、被告人質問、情状立証)
・最終弁論(論告、弁論、最終陳述)
・判決言い渡し

今回は、証拠調べ手続で行われる被告人質問について、解説します。

被告人質問とは、その名のとおり被告人(つまり、犯人として起訴された人)に対して行われる質問です。
被告人質問のタイミングは証拠調べ手続のどこで行っても良いのですが、実務では証拠調べ(証拠書類の提示や証人尋問など)が行われた後に被告人質問を設ける場合が一般的です。
被告人質問の目的は、事件についての弁解や意見を聴くことにあります。
被告人質問では、基本的に弁護人が質問⇒検察官が反対質問⇒裁判官が補充質問、という流れで行われます。

「被告人は、終始沈黙し、又は個々の質問に対し、供述を拒むことができる。」と定められているため被告人は供述拒否をする権利が認められていますが(刑事訴訟法311条1項)、裁判官が供述を求めたり、検察官や弁護人が裁判官に対し「被告人に供述を求める」よう促すことができます(同条2項、3項)。

【被害者参加制度と被告人質問】

今回想定している強制わいせつ事件では、わいせつ行為を受けた被害者がいます。
刑事裁判は被告人の有罪/無罪や有罪の場合の刑事罰を決める手続きですので、被害者は直接の当事者ではありませんが、被害者(あるいは、もし被害者が死亡したような事件では被害者遺族)が刑事裁判で意見したり質問したりしたいと考える場合があります。
これを考慮して、2007年の法改正により被害者参加制度が新設されました。
法改正以前も意見陳述の制度はありましたが、被害者参加制度では、意見陳述のほかに証人尋問や被告人質問ができるようになりました。

被害者参加人やその代理人弁護士が被告人質問をしたいと考えた場合、まずは裁判所に申し出ます。
裁判所は、被告人の弁護人に意見を聴き、必要があると認める場合で審理の状況等から相当と認める場合は、被害者参加人により被告人質問を認めます。
被告人質問は意見陳述の手続きとは異なるため、被害者参加人はあくまで「質問」をすることになります。

被害者参加人が行う被告人質問は、多くの場合が代理人弁護士により質問が行われる場合が一般的です。
しかし、ともすれば検察官以上に厳しい質問や答えに窮する質問が行われる可能性があります。
被害者参加等決定をされた事件では、通常の刑事裁判以上に綿密な打合せを行い、想定される質問等について検討する必要があるでしょう。

北海道札幌市西区にて、家族が強制わいせつ事件で逮捕・勾留された、あるいは被害者参加制度で被害者参加人が被告人質問をする可能性があるという場合、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
弁護士による初回接見サービス(有料)や、在宅事件での無料相談についてご案内致します。

強制性交等(旧:強姦)事件で保釈請求

2023-03-09

強制性交等(旧:強姦)事件で保釈請求

いわゆる強姦にあたる行為をした場合に問題となる強制性交等罪を犯した場合に問題となる罪と保釈請求の手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道虻田郡在住のAさんは、虻田郡内で自営業をしています。
事件当日、Aさんは同僚との会合で酒に酔ってしまい、同僚のVさんに解放されて自宅まで送ってもらいました。
その際、Aさんは劣情を催してしまい、いきなり自身のズボンと下着を脱ぎ、Vさんの頭を押さえてVさんの口に自身の陰茎を無理やり入れました。
数日後、Aさんは虻田郡内を管轄する札幌方面俱知安警察署の警察官によって強制性交等罪で通常逮捕されました。
家族は、Aさんが勾留され起訴されたことから、保釈を求めて弁護士に弁護を依頼しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【強制性交等罪と強姦罪】

強制性交等という言葉に馴染みのない方もおられるかもしれません。
平成29年の刑法改正以前は、強姦罪と呼ばれていたものです。
強姦罪は「暴行又は脅迫を用いて、13歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、3年以上の有期懲役に処する。13歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。」とされていました。
ここで出て来る「姦淫」とは、男性器を女性の性器に挿入する行為を意味します。

法改正後、強制性交等罪は「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。」と定めました。

法改正により、
・親告罪だったものが、被害者の刑事告訴なしでも起訴できる非親告罪に変わった。
・肛門性交(俗にいうアナルセックス)や口腔性交(俗にいうフェラチオ)が対象となった。
・肛門性交や口腔性交については、男性が被害者として扱われるようになった。
といった点が変更となりました。

ケースで想定した事件では、Aは口腔性交をしていますので、俗にいう本番行為をしていなかったとしても事件の対象となります。

【保釈請求について】

事件を起こした被疑者とされている者は、逮捕されてから48時間以内に検察官に送致され、送致を受けた検察官は送致から24時間以内に勾留請求するか、釈放する必要があります。
検察官が勾留の必要があると判断した場合、裁判所に対して勾留請求を行い、勾留請求を受けた裁判所は被疑者の勾留が必要か、被疑者の話を聞く機会を設けたうえで勾留についての判断を行います。
勾留の期間は10日間ですが、1度に限り延長することができるので、最大で20日間、勾留されることになります。

担当検察官は、勾留の満期日までに捜査あるいは捜査指揮を行い、被疑者を起訴するか処分保留で釈放しなければなりません(もっとも、処分保留で釈放した後に別件での逮捕により引続き身柄拘束が続くという場合もあります。)。
検察官が起訴した場合には刑事裁判にかけられることになりますが、身柄はどうなるかというと、起訴後勾留という手続きに切り替えられることになります。
起訴後勾留の期間は2カ月と定められていますが、その後も1か月ごとに更新をすることができて、判決の言い渡しを受けるまで続けることができます。

起訴後勾留されている方の身柄を解放するためには、保釈請求を行うことで釈放を求めるというケースが一般的です。
保釈は、被告人側(被告人自身や親族、弁護人)が裁判所に対して請求を行い、裁判官は検察官の意見を聞いた上で保釈をするか否かの判断を下します。
裁判官が保釈を認め、そこで言い渡された保釈金を納付することで、身柄を解放されます。
保釈請求は被告人本人が行うこともできますが、逃亡や罪証隠滅の恐れがないことを書面で主張する必要があるため、一般の方が行う場合はハードルが高いと言えます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件のみを扱う弁護士事務所です。
北海道虻田郡にて、強姦行為をして強制性交等罪で捜査を受けている、今後受けるかもしれないという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が強姦などで逮捕・勾留されている場合はこちら。

児童ポルノ所持で家宅捜索

2023-02-18

児童ポルノ所持で家宅捜索

児童ポルノを所持した場合に問題となる罪と家宅捜索という手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道美唄市在住のAさんは、美唄市内で自営業をしています。
Aさんは、美唄市内の公園で、自身のスマートフォンで見知らぬ他人のお子さんが遊んでいるところを無断で撮影し、保護者から通報され札幌方面美唄警察署の警察官による職務質問を受けました。
その際、Aさんのスマートフォンの動画フォルダから児童ポルノと思われる動画データが見つかったため、美唄警察署の警察官は、Aさんに児童ポルノ所持の疑いがあるとして家宅捜索を行うことにしました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【児童ポルノ所持について】

18歳未満の性的な動画や画像の所持は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下では児童買春、児童ポルノ処罰法)により禁止され、違反した場合には処罰の対象となります。

(児童ポルノの定義)
児童買春、児童ポルノ処罰法2条3項 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
1号 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
2号 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
3号 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

児童ポルノは、自身で撮影した場合はもちろんのこと、他人の撮影した動画や画像を購入したりダウンロードしたりする行為、児童自身に自撮りさせるなどして受け取る行為も禁止されています。

【家宅捜索について】

捜査機関が対象者の家や職場などを捜査するいわゆる家宅捜索は、正式には「捜索」と「差押え」という2つの手続きが行われているものです。
両者は強制処分ですので、原則として令状に基づいてのみ行われます。

まず、警察官などの捜査官は、裁判所に対し令状を請求します。
この令状は、捜索と差押えの双方を許可する「捜索差押許可状」という書類で発付される場合が一般的です。
捜索差押許可状の発付を受けた捜査官は、令状を執行することになります。
執行に際しては、処分を受ける者に対し、事前に令状を示す必要があります。
また、捜索・差押えに際しては立会人が必要です。

差し押さえられた物は、裁判等での証拠品として扱われます。

北海道美唄市にて、児童ポルノ所持などの嫌疑で取調べを受けている、家宅捜索を受けた、家宅捜索が適法に行われていたか疑いがある、等の方がおられましたら、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
在宅事件の場合は事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合はこちら。

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