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商標法違反事件で逮捕

2019-03-17

北海道砂川市の商標法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

~事例~

北海道砂川市在住のAさんは、有名ブランド品を、コピー商品であることを知りながら海外から輸入し、自身の営むブランド品店で販売していました。
購入者はコピー商品と知らずに本当の商品と思って購入していました。
そして、Aさんは商標法違反の容疑で北海道砂川警察署に逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~商標権~

コピー商品や偽ブランド品に関する事件を目にすることは最近でも多いと思います。
では、コピー商品を売ることが何の犯罪となるのでしょうか。
まず、コピー商品を本物だと偽って販売すれば、詐欺罪になる可能性があります。
購入者自身は「この商品は本物のブランド品だ」と思っているのですから、購入したからといって、何らかの犯罪が成立することはありません。

さらに、商標権を侵害することによって商標法違反となる可能性が非常に高いです。
商標とは、業として商品の生産等をする者が、その商品に使用するマークや音などのことです。
要するに、いわゆるロゴマークのことです。
商標は登録することで商標権が発生します。

商標権とは、知的財産権の一種であり、指定の商品または指定の役務について、登録を受けた商標を独占的に使用できる排他的な権利のことをいいます。
そして、商標法とは、商標を使用する者に対して、その商標を独占的に使用することを認めて、業務上の信用が維持されること、および消費者の利益を保護することを目的としています。
簡単に言えば、商標権によってブランドを保護することで、ブランド品を扱うメーカーの信用を保護し、それを信用してブランド品を購入した消費者の利益も保護することを目的としています。

この場合、法定刑は10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又は併科です。
しかも、商標権侵害商品を販売した罪と、販売するために所持した罪とは別々の犯罪となります。
なので、Aさんの場合も2つの犯罪が成立してしまう可能性があり、さらに刑が重くなってしまう可能性もあるのです。

~商標法違反の弁護方針~

示談を目指す

もし、被害届提出や告訴がなされ、捜査の着手となれば、不起訴処分を勝ち取るための示談成立を目指して、被害者との示談交渉を進めます。
検察官は被疑者を起訴するかどうか判断するにあたり、示談の成否は重要視されます。
商標法違反において示談を成立させるためには、被害弁償がとても重要です。
しかし、海外の一流ブランドなどは、日本の支社などと交渉することになりますが、非常に示談が難しいことが多いです。

〇早期釈放を目指す

被疑者が逮捕されたことによる経済的な不利益や、体調面、社会的制裁などを事細かに上申書にまとめ、それを検察官などに提出し、身柄解放を行うための弁護活動を進めます。
また、商標法違反について深く反省してもらい、被害者に対して十分に謝罪します。
また、被疑者の方に謝罪文や反省文を作成してもらい、被害者、そして検察官裁判官にその書面を提出することで、きちんと反省している姿勢をアピールしていきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所ではこれまでに、商標法違反を含む様々な刑事事件において、勾留阻止身柄解放の多数の実績がありますので、ぜひご相談くださいませ。
商標法違反の疑いがかけられた場合、捜査機関は自宅や関係先を家宅捜索する可能性が高いです。
また商標法違反逮捕勾留された場合、入手経路等を捜査するため、10日間の勾留後、さらに10日間延長され、最大20日間勾留が続く可能性もあります。

北海道砂川市商標法違反に関する相談を含め刑事事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が商標法違反で逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
初回法律相談:無料
北海道砂川警察署までの初回接見料金:40,900円

 

傷害罪で逮捕された

2019-03-16

北海道美唄市の傷害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

◇事例◇

北海道美唄市に住むAさんは、スナック店内でカラオケ中、たまたま居合わせたVさんと体がぶつかるなどしてトラブルになり、Vさんをカラオケのリモコンで殴って、北海道美唄警察署傷害罪現行犯逮捕されました。後日、Vさんの容態が急変し、死亡してしまいました。
(このお話はフィクションです。)

◇傷害罪について◇

傷害罪とは、相手に暴行を加えた結果、怪我をさせた場合をいいます。
ここで暴行とは、人の身体に対して不法な有形力を行使することとされています。
被害者に怪我をさせるつもりはなかった場合でも、意識的に暴行を加えた結果、相手に怪我をさせた場合には、傷害罪が成立するとされています。
傷害罪の法定刑は、1か月以上15年以下の懲役、または1万円以上50万円以下の罰金です。

◇傷害致死罪について◇

傷害致死罪とは、身体を傷害し、よって人を死亡させた者に成立する犯罪です。
傷害致死罪の法定刑は、3年以上の有期懲役(20年以下)です。
傷害致死罪は、傷害罪を犯した結果、被害者が死亡した場合に成立する犯罪です。
殺人罪は、殺意がある場合に成立するのに対し、傷害致死罪は、殺意まではなく暴行または傷害の故意がある場合に成立します。
例えば、石を被害者に向かって投げて、被害者に命中させずに脅す意思の場合には、暴行の故意しか認められませんが、結果として石が被害者の頭に命中して、それによって死亡させた場合にも、傷害致死罪が成立します。
傷害致死罪のように、行為者が認識していた結果より重い結果が生じた場合に、より重い刑罰が科せられる犯罪を結果的加重犯といいます。
傷害致死罪は、結果的加重犯の典型です。
傷害致死罪は、人が死ぬという点では殺人罪と似ています。しかし、殺人罪は殺意をもって行為に出て、それによって人を死亡させるものです。これに対して、傷害致死罪は、殺人の故意はなく、暴行または傷害の故意だけをもって犯行に及び、傷害を負わせ、それによって人を死亡させるものです。

事例のケースは、Aさんは、リモコンで頭を殴打した傷害罪で逮捕されたわけですが、その後、Vさんは死亡しており、傷害の結果とVさんの死亡に因果関係があれば、傷害致死罪が適用され、傷害罪より重い刑罰が科せられることになります。
このようなケースでは、検察官が訴因変更を請求するなどします。
たとえば傷害罪傷害致死罪に訴因変更する、自動車運転過失致死罪から危険運転致死罪へ訴因変更するというような場合です。
訴因とは,検察官起訴した犯罪事実(公訴事実)のことです。

◇傷害罪・傷害致死罪の弁護活動◇

被害者のいる刑事事件ではいずれもいえることですが、示談はできるだけ早い段階で進めましょう。
逮捕前に示談ができれば、被害者に被害届を取り下げてもらえる可能性がありますし、傷害罪の場合、示談が成立すれば、起訴される可能性も低くなり、逮捕されない可能性も出てきます。
また、起訴されてしまっても、判決までに示談ができれば刑罰を軽くしてもらえる可能性は高くなります。
ただ、傷害致死罪は、示談での解決が難しくなります。
傷害罪で被害者が負った怪我の程度が軽い場合に比べ、重大な怪我を負った場合や、傷害致死罪のケースでは、示談が難しくなることが多いと言えます。
これらのケースでは、被害者や遺族の処罰感情も強く、賠償金額も高額になるからです。

傷害罪傷害致死罪で逮捕された場合、場合によっては重い罪を適用される可能性があります。そのため、逮捕直後から刑事事件の経験豊富な弁護士に対応を依頼することをおすすめします。

北海道美唄市傷害罪傷害致死罪など刑事事件に関する相談を含め刑事事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
初回法律相談:無料
北海道美唄警察署までの初回接見料金:40,100円

威力業務妨害罪で示談

2019-03-15

北海道苫小牧市の威力業務妨害事件における示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

◇事例◇

北海道苫小牧市に住むAさんは、北海道苫小牧市内にある酒卸店設置のフリーダイヤルの電話に、7日間で約800回にわたり、「V子(同店従業員)と話がしたい。話をさせてくれれば、今後一切電話をしない。V子と話をさせてくれなければ、何度も電話しますよ。」等と電話をかけました。後日、Aさんは、北海道苫小牧警察署警察官威力業務妨害罪で逮捕されました。そして、Aさんは、弁護士に依頼し、被害店舗に対する示談を進めることにしました。
(フィクションです。)

◇威力業務妨害罪について◇

業務妨害罪は、「虚偽の風説を流布し」又は「偽計を用いて」、あるいは「威力を用いて」人の業務を妨害することによって成立しますが、判例は、例えば、中華そば店に3か月足らずの間に約970回にわたって無言電話をかけて営業を妨害した事案について偽計を用いた業務妨害罪の成立を認めています。(東京高判昭48.8.7)

もっとも、「威力」か「偽計」かの判断基準については、「威力とは人の意思を制圧するような勢力」、「行為の態様又は行為の結果のいずれかが、公然・誇示的・可視的であれば『威力』であり、これが非公然・隠密的・不可視的であれば『偽計』である」、「偽計と威力の区別は欺罔的な色彩が強いか暴力的な色彩が強いかを基準とする。」などと解されています。

事例の場合は、無言電話とは異なり、「V子と話をさせてくれなければ何度でも電話しますよ。」と一面では脅迫的手段を用いて被害者を心理的に困惑させ、他面では店舗のフリーダイヤルの使用を物理的に不可能にするといった性質のものであり、その目的、態様、回数等に照らし社会生活上受容できる限度を超えていて、店舗の営業を妨害するに足りる威力を用いたものと考えられるので、威力業務妨害罪が成立することになります。

◇威力業務妨害罪における示談◇

示談」と聞くと、刑事事件をお金で解決するというマイナスのイメージを持たれる方が多いかもしれません。
ですが、実際の示談は、金銭の支払い以外にも様々な合意を結びます。
示談というのは当事者間において事件が解決したことを示すものであり、中身もそれに値する内容でなければならないためです。
中心となるのは謝罪被害弁償ですが、その他に接近禁止や転居などが合意されることもあります。

威力業務妨害罪は業務活動の自由を保護する罪であり、その違法性は結局のところ業務を営む被害店舗に害を加えたことを根拠とします。
ですので、その被害者である被害店舗が犯人を許しているのであれば、そこまで積極的に刑罰を科す必要がないと考えられます。
示談が処分の決定に大きな影響を及ぼす理由は、正にその点にあります。
当事者間で事件が解決されたことが確認されれば、いったん刑罰を科すのは考え直すべきだとして不起訴執行猶予になるというわけです。

以上のように、示談刑事事件において持つ効果は非常に大きいと言えます。
それだけに、被害者にとって納得のいく解決がなされなければ、たとえ示談書や念書が交わされたとしてもその効力を最大限に発揮するのは難しいでしょう。
きちんと中身のある示談を締結するなら、やはりトラブル解決のプロである弁護士に依頼するのが得策です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、示談の経験豊富な弁護士が、事件の円満な終了に向けて全力を尽くします。
威力業務妨害罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

事務所での法律相談料:初回無料
北海道苫小牧警察署までの初回接見費用:42,400円

不正アクセス禁止法で逮捕

2019-03-14

北海道千歳市の不正アクセス禁止法事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道千歳市に住むAさんは、友人Vさん宅に遊びに行った際に、Vさんが目を離した隙に無断でVさんの携帯電話とパスワードを利用して有料のインターネットサイトにアクセスし、情報サービスを受けました。(情報料1,000円相当)
後日、Vさんにその情報サービスの請求が来て、Vさんは千歳警察署に相談、後日、Vさんは不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反千歳警察署逮捕されました。
(フィクションです。)

1 不正アクセス禁止法について

コンピュータの普及によって私たちの生活は劇的に変わりましたが、その一方で、ハッカーや 悪質なコンピュータ利用者から情報を守る必要も出てきました。
不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)」は、「不正アクセス行為」を禁止することでネットワーク上の脅威を排除し、ネットワーク社会の健全化に努めるものです。
ここにいう「不正アクセス行為」とは、ホームページ編集、ネット注文、データ閲覧などの利用に際して識別符号(ID・パスワードや指紋、音声など)の入力を求めているコンピュータにネットワークを通じ て入り込み、これを利用できる状態にしたり、実際に利用する行為を指します。

具体的には、
他人へのなりすまし(2条4項1号)
→ 他人のID・パスワード等を無断で利用してコンピュータの認証を受けること
セキュリティホールの攻撃(2条4項2・3号)
→ 特殊な情報を入力してアクセス制御機能を回避し、セキュリティホール(プログラム上の不備でセキュリティが脆弱な部分)からコンピュータに侵入すること
をいいます。

不正アクセス行為を行った者には3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます(11条)。
また、他人の識別符号を無断で第三者に提供する行為も「不正アクセス行為を助長する行為」として禁止されています。提供の相手方が不正アクセス目的で取得しようとしていることを知りながら提供したとき は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金、知らなかったときでも30万円以下の罰金が科されることになっています(12条2号、13条)。

2 事例検討

インターネットの有料情報サービスが窃盗罪詐欺罪の客体となり得るか、また、他人のパスワードを利用したアクセス行為が不正アクセス禁止法に抵触するかが問題となります。
窃盗罪の客体は、固体・液体・気体の有体物に限らず電気についても管理可能であることからこれに当たるとされています。しかしながら、携帯電話を利用してインターネットにアクセスする、つまり、情 報の不正入手については、詐欺罪等の客体に当たる余地はあるものの窃盗罪の客体とはなり得ないので、事例の場合、窃盗罪は成立しません。

一方、詐欺罪の成立に関しては、「欺き行為→錯誤→財産的処分行為→財物又は財産上不法の利益の取得」という順次因果関係があることを必要とし、人が欺く行為が存在すればその後の因果関係が切れて も詐欺未遂罪が成立する余地はありますが、事例の場合、人を欺く行為が認められないことから、詐欺(未遂)罪も成立しません。

また、不正アクセス禁止法における不正アクセスとは、他人のIDとパスワードを窃用することにより他人になりすますなどした上、コンピュータの利用ができるようにする行為をいい、事例のように無断で 他人のパスワードを利用してインターネットにアクセスして情報サービスを受ける行為はまさしくこれに当たります。
以上のことから、事例については窃盗罪等の財産犯は成立しませんが、不正アクセス禁止法第3条が成立することになります。
なお、別論になりますが、相手方との会話のために単に携帯電話を無断で使用(通話)する行為については、現在のところ適用される刑罰法令もなく、民事上の責任を負うにとどまります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
弊所は、これまでに、不正アクセス禁止法を含む様々な刑事事件において、勾留阻止身柄解放の多数の実績がありますので、ぜひご相談くださいませ。
刑事事件専門で実力を培われた弁護士による多様な弁護活動をご用意しております。
初回相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。
また、すでに逮捕されている場合には、初回接見サービスにより弁護士接見させていただきます。

●初回法律相談無料
札幌方面千歳警察署までの初回接見料金:38,700円
札幌拘置所までの初回接見料金:36,300円

 

準強制わいせつ罪で逮捕

2019-03-13

札幌市の準強制わいせつ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道札幌市南区に住むAさんは、アパートに独り暮らしのB女(22歳、独身)にいたずらを住む目的で、深夜、同所の部屋に侵入しましたが、同女が男性と一緒に就寝していたので実行に及ぶことができませんでした。しかし、同女のパンティが見えていたことから興奮し、同女の身体に向けて射精し、逃走しました。B女は、Aさんが逃走する際の物音で目が覚め、自分のネグリジェに精液が付着していることに気付き、札幌方面南警察署に通報しました。
後日、Aさんは、札幌方面南警察署に、準強制わいせつ罪逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

1 準強制わいせつ罪とは

準強制わいせつ罪とは、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ・・・わいせつな行為をした場合」に成立する罪です。
事例の場合、熟睡していたことが心身の喪失若しくは抗拒不能に当たるのか、劣情を催し女性の身体に向けて射精することがわいせつ行為に当たるのか、の2点について検討してみましょう。

2 事例検討

第一に、判例は、睡眠中の婦女は抗拒不能に当たるとして、準強制わいせつ罪の成立を肯定しています。
第二に、準強制わいせつ罪は、強制わいせつ罪と同様に、本質的には個人の性的自由ないし性的感情の侵害を主たる罪質とする罪と解されますが、わいせつの行為とは、「いたずらに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する」行為とされます。
具体的には、陰部、乳房への接触や接吻、性交等接触行為が中心ですが、接触行為以外でも行為がなされた日時、場所、相手方の状態、被疑者の目的等の諸事情を合わせて考慮すればわいせつ行為に当たる場合があるとされ、直接陰部に触れなくても深夜、就寝中の婦女に対して、パンティの裾から太股に触る行為や裸にして写真を撮る行為もわいせつ行為に当たることがあります。
事例のように、就寝中の女性の身体に向けて射精する行為は、同女が就寝中で抗拒不能であることに乗じて行われたものであす。もっぱら自己の性的満足を得る目的で行われた相手方の感情を無視するものであり、なおかつ同女がこれを承諾すべきことを予期し得る事情があったとも考えられません。加えて、身体への接触がないとはいえ、身体に向けて射精したという点で身体への接触と同様に評価することができます。以上の事情を考慮すると、事例の行為は準強制わいせつ罪にいうわいせつ行為に当たると言えるでしょう。
したがって、事例の行為を判例及び基準に照らして判断すると、Aさんには準強制わいせつ罪が成立することになるのです。

3 性犯罪の弁護活動

早期に示談交渉に着手して不起訴処分略式罰金など有利な結果を導けるように活動します。
性犯罪は、被害者がいる犯罪であるため示談解決がポイントとなります。
更に、示談金だけではなく、被害者が許してもよい(「宥恕(ゆうじょ)」と言います)ということになれば、一層有利な結果を導くことが可能でなります。
示談は契約ですので、被疑者と被害者が合意することにより作ることになりますが、被疑者が捜査機関に被害者の連絡先を聴いても教えてもらえないのが通常です。
また、仮に連絡先を知っていたとしても、相手の被害感情を考えると直接被疑者が被害者と交渉を行うのは困難であり、示談ができたとしても不相当に過大な金額での示談解決になる可能性が大きいと考えられます。
一方、弁護士を通じれば、弁護士限りでという条件付き(被疑者には連絡先を教えないという条件付き)で検察官より被害者の連絡先を教えてもらえる場合が多々あります。
そのため、弁護士に依頼することにより被害者とコンタクトをとりやすくなります。
また、弁護士が間に入れば、冷静な交渉により妥当な金額での示談解決が図りやすくなります。

北海道札幌市南区準強制わいせつ罪など刑事事件に関する相談を含め刑事事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
●初回法律相談:無料
札幌方面南警察署までの初回接見料金:36,900
札幌拘置支所までの初回接見料金:36,300

振り込め詐欺事件で逮捕

2019-03-12

北海道江別市の振り込め詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

◇事例◇

北海道江別市に住むAさんは、証券会社の社員などを装って江別市の80代の女性に電話し、「社債の購入で名義を貸したのは犯罪だ。裁判所に差し押さえられるので、現金1,000万円を振り込んで欲しい」などと嘘を言い、現金1,000万円を指定口座に振り込ませて、その1,000万円を共犯者のBさんが引き出し、騙し取りました。
後日、二人は振り込め詐欺の容疑で札幌方面江別警察署通常逮捕されました。
(このお話はフィクションです。)

◇振り込め詐欺とは◇

振り込め詐欺は、被害者に電話をかけ、被害者の配偶者や子供、孫など親族を装って、現金の支払いを要求する犯罪手法です。
振り込め詐欺はその名の通り、詐欺罪に該当し、刑法246条により10年以下の懲役に付されます。また、このような犯罪を組織的に行った場合には組織的犯罪処罰法の適用によりさらに重い刑罰が科せられます。
振り込め詐欺はほとんど高齢者を対象としており、再三の警察取締りにも関わらず、増加の一途を辿っています。そのため、振り込め詐欺逮捕された場合は、厳罰傾向にあります。たとえ、犯罪の末端関与者であったとしても、厳しい判決が下されることが珍しくありません。振り込め詐欺の場合には、ほとんど全ての場合において、接見禁止処分が下されるので、弁護士以外は接見や面会ができません。
そのため、事件の解決には、弁護士による早期の介入が必要不可欠といえます。

◇振り込め詐欺の最近の傾向◇

振り込め詐欺は、「トバシ」と呼ぶ架空名義の携帯電話やプリペイド携帯電話、「イタ」と呼ぶ架空名義の預金口座を「道具屋」などに用意してもらい、犯行の役割分担は、被害者に電話をかけて騙す役の「かけ子」、事例でいうAさんと、振り込まれたお金をATMから引き出す「出し子」、事例でいうBさん、などに役割分担されています。
最近は、金融機関がATMを監視するなど、口座の使用が難しくなってきているので、被害者宅や被害者と一緒に銀行に出向き、手渡しで現金を受け取る「受け子」という役割が登場するケースも増えてきています。

◇振り込め詐欺における弁護活動◇

振り込め詐欺の弁護活動において、被害者との示談が重要となります。
ただ、振り込め詐欺は通常、被害者の数、被害金額が共に大きいのが特徴です。
また、被害者の処罰感情も強いため、限られた時間の中で、振り込め詐欺の被害者全員との示談が困難であったり、示談金の準備が難しくなったりするケースが多いです。
そもそも、警察や検察官も、犯人には振り込め詐欺の被害者の連絡先などを教えません。
犯人が被害者に対して、被害届取り下げなどの不当な圧力をかけるおそれがあるからです。
また、振り込め詐欺の被害者は犯人に連絡先を教えたり、交渉、面会したりすることは拒否するでしょう。
そのため、振り込め詐欺示談は、専門家である弁護士に依頼して示談交渉を進めるべきなのです。
実刑判決が科せられる可能性が非常に高い振り込め詐欺にあっても、無罪執行猶予判決を獲得するケースもあります。先ほど述べたように、「道具屋」や「受け子」、「出し子」などの末端関与者など様々な役割がありますし、その役割に応じて適切な弁護活動が必要となります。
振り込め詐欺グループは、ピラミッド型に組織化していることもあり、その上層部のことを末端関与者が知らず、さらに、事件の内容も知らされず、知らない間に振り込め詐欺に関与している場合もあり、そのような受け子の犯意を否定し、無罪判決が言い渡されたケースもあります。

北海道江別市振り込め詐欺に関する相談を含め刑事事件強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
初回法律相談:無料
江別警察署までの初回接見料金:38,200
札幌拘置支所までの初回接見料金:36,300

公然わいせつ罪及び北海道迷惑行為防止条例違反(痴漢)で逮捕

2019-03-11

札幌市の公然わいせつ事件及び北海道迷惑行為防止条例事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道札幌市西区に住むAさんは、他の客も乗車する札幌市内の路線バス内において、Aさんの側の座席に座っている半袖Tシャツを着たV女 (24歳)の腕に、同女が気付いて振り払うまでの数十秒間、露出させた自己の勃起した陰茎を押し当てました。
その後、Aさんは、札幌方面西警察署逮捕されました。
(このお話はフィクションです。)

1 公然わいせつ罪について

公然わいせつ罪は、公然とわいせつな行為をすることによって成立します。
「公然」とは、不特定又は多数の人が認識することのできる状態をいい、必ずしも公衆の面前であることを要しません。
加えて、現実に不特定又は多人数が認識したことも必要ではなく、その可能性があれば「公然」に当たると解されています。
また、「わいせつな行為」とは、その行為者又はその他の者の性欲の刺激・興奮又は満足を目的とする行為で、普通人の正常な性的羞恥心 を害し、善良な性的道義観念に反するものをいいます。
したがって、事例のように性器を露出する行為は、原則として「わいせつな行為」に当たると考えられます。

2 強制わいせつ罪について

強制わいせつ罪は、行為の相手方つまり被害者が13歳以上の者である場合は、暴行・脅迫をもってわいせつ行為をすることが必要です。
事例の場合、Aさんの行為が「わいせつ行為」に当たることに疑いはありませんが、強制わいせつ罪にいう暴行の程度は、「被害者の意思に反して当該わいせつ行為を行うに必要な程度」であることが必要であるとされています。
事例の場合、AさんがB女の腕に勃起した陰茎を押し当てた行為については、B女がそれを避けようとしても、なお強引に押し当てるなどの場合のほかは、それ自体はわいせつ行為に当たりますが、同時に暴行であるとは評価できないとされるので、Aさんの行為は強制わいせつ罪には当たらないでしょう。

3 北海道迷惑行為防止条例違反について

北海道迷惑行為防止条例第2条の2では、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような卑わいな言動を することよって成立し、当該行為を行った者は、6月以下の 懲役又は50万円以下の罰金となります(第11条)。
ところで、事例の場合、路線バスの車内であり、公共の乗り物であることに違いありません。次にAさんの行為が条例にいう「卑わいな言動」に当たるかについて、卑わいな言動とは、野卑でみだらな言動又は動作であって刑法第174条のわいせつより広い観念であって、わいせつに至らないもので性的道義観念に反し、他人に性的羞恥心又は不安心を覚えさせるものとされています。
Aさんの勃起した陰茎を露出させて押し当てる行為は、まさにこの卑わいな言動に当たります。
よって、Aさんは、条例違反の刑責も負い、公然わいせつ罪と条例違反は観念的競合に当たります。
※観念的競合とは~1つの行動で2つ以上の犯罪を起こすことです。 刑罰の考え方としては、2つ以上の犯罪の中で最も重い犯罪の刑罰が対 象となります。

4 性犯罪の弁護活動

早期に示談交渉に着手して不起訴処分略式罰金など有利な結果を導けるように活動します。
性犯罪は、被害者がいる犯罪であるため示談解決がポイントとなります。
更に、示談金だけではなく、被害者が許してもよい(「宥恕(ゆうじょ)」と言います)ということになれば、一層有利な結果を導くこと が可能でなります。
示談は契約ですので、被疑者と被害者が合意することにより作ることになりますが、被疑者が捜査機関に被害者の連絡先を聴いても教えてもらえないのが通常です。
また、仮に連絡先を知っていたとしても、相手の被害感情を考えると直接被疑者が被害者と交渉を行うのは困難であり、示談ができたとし ても不相当に過大な金額での示談解決になる可能性が大きいと考えられます。
一方、弁護士を通じれば、弁護士限りでという条件付き(被疑者には連絡先を教えないという条件付き)で検察官より被害者の連絡先を教 えてもらえる場合が多々あります。
そのため、弁護士に依頼することにより被害者とコンタクトをとりやすくなります。
また、弁護士が間に入れば、冷静な交渉により妥当な金額での示談解決が図りやすくなります。

北海道札幌市西区公然わいせつ罪北海道迷惑行為防止条例違反など刑事事件に関する相談を含め刑事事件に強い弁護士をお探しの方、 ご家族、ご友人が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
●初回法律相談:無料
札幌方面西警察署までの初回接見料金:36,500
札幌拘置支所までの初回接見料金:36,300

公務執行妨害罪で釈放

2019-03-09

北海道士別市の公務執行妨害事件における釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

Aさんは、憲法の改正を求める市民団体に所属しており、北海道内でたびたびデモ行進に参加していました。
ある日、北海道士別市にてデモが行われることを知ったAさんは、それに参加して憲法改正を叫びながら市内を行進することにしました。
そのデモは大規模なものであり、北海道士別警察署が治安維持のために介入するまでに至りました。
熱が入りすぎたAさんは、本来のルートから外れて行進を行おうとし、それを制止しようと近づいた警察官の体を掴むなどの暴行に及びました。
これにより、Aさんは公務執行妨害罪の疑いで現行犯逮捕されたことから、弁護士釈放を依頼することにしました。
(フィクションです。)

【公務執行妨害罪について】

公務員が職務を行うに当たり、その公務員に対して暴行または脅迫を加えた場合、公務執行妨害罪が成立する可能性があります。
刑法が公務執行妨害罪を通して保護しているのは、国や地方公共団体の事務である公務の円滑な遂行です。
そのため、公務執行妨害罪の主眼は公務の保護にあり、暴行・脅迫が向けられる公務員の保護ではないと考えられています。
このことから、公務執行妨害罪の手段となる暴行や脅迫は、怪我を負わせたり恐怖心を抱かせたりするものにとどまりません。
公務の円滑な遂行を阻害する危険さえあれば、暴行や脅迫の程度が激しかったり、実際に公務が阻害されたりせずとも、公務執行妨害罪に当たる可能性があります。

上記事例では、Aさんが警察官に対して体を掴むなどの暴行を加えています。
体を掴むという行為自体はさほど危険なものではありませんが、先述のとおり「暴行」と評価される可能性は十分あります。
そうすると、Aさんには公務執行妨害罪が成立し、①3年以下の懲役、②3年以下の禁錮、③50万円以下の罰金のいずれかが科されるおそれがあります。

【釈放を目指す】

逮捕を伴う刑事事件では、①逮捕→②被疑者勾留→③被告人勾留と身体拘束が継続する可能性があります。
それぞれの期間は、①が2~3日、②が10~20日、③が2ヶ月以上なので、何もしなければ身体拘束が相当程度長期になってしまいます。
そこで、身体拘束の長期化による不利益を防ぐべく、逮捕中の被疑者の釈放が急務となります。

釈放を実現できる可能性は、事件の内容に大きく左右されます。
重大あるいは複雑な事件であればあるほど、被疑者・被告人の逃亡や証拠隠滅のおそれが高いとされる傾向にあるからです。
公務執行妨害罪に関して言うと、それ自体は比較的軽い罪だと評価でき、一般的に釈放が実現しやすい部類に属します。
ですので、他の罪が成立するなど事件が重大でない限り、公務執行妨害罪の事案では積極的に釈放を狙っていくべきです。

弁護人となった弁護士は、釈放を実現するために、検察官や裁判官に逮捕勾留の妥当性に関する意見を主張することが多く見られます。
場合によっては、身元引受人から話を聞くなどして、被疑者が釈放されても逃亡や証拠隠滅を防げる環境整備を行うこともあります。
こうした活動は一般人には難しく、検察官や裁判官としても弁護士が行うからこそ認めている側面があります。
特に早期の釈放を目指すのであれば、弁護士に事件を依頼して適切な弁護活動を行ってもらうとよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、豊富な刑事事件の経験を有する弁護士が、釈放してほしいという要望に沿えるよう力を尽くします。
ご家族などが公務執行妨害罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

事務所での法律相談料:初回無料
北海道士別警察署までの初回接見費用:0120-631-881にお問い合わせください

犯人隠避罪で逮捕

2019-03-07

札幌市の犯人隠避事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道札幌市手稲区に住むAさんは、先輩のBさんに車を貸したところ、後日、Aさんの元に警察から、「あなたの車が信号無視をしているが、心当たりはないか。」と電話がありました。その連絡を受けたAさんは、Bさんが信号無視をしたと思い、お世話になっている先輩だから、自分が信号無視をしたことにしようとして、警察に出頭し、いわゆる反則切符を切られました。ところが、その後の捜査によって、実際にAさんの車を運転していたのはBさんであることが知られ、Aさんは札幌方面手稲警察署犯人隠避罪逮捕されてしまいました。

1 犯人蔵匿・隠避罪とは

犯人蔵匿・隠避罪は、罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させることにより成立します。
罰金以上の刑に当たる罪とは、法定刑として罰金以上の刑が規定されている罪のことです。
また、「罪を犯した者」とは、正犯者、共犯者をした者を問わず、それぞれ該当する罪の法定刑が罰金以上であれば、すべて含まれます。
蔵匿とは、警察官の発見、逮捕を免れるべき隠匿場所を提供してかくまうことをいい、隠避とは、蔵匿以外の方法によって、警察官の発見、逮捕を免れさせる一切の行為をいい、その手段・方法に制限はありません。
  ◇犯人の身代わりとして捜査機関に出頭する行為が隠避に当たるとした判例◇
  ・真犯人の検挙前に出頭する行為
  ・真犯人が別件で検挙取調べを受けているときに出頭する行為
  ・真犯人が既に当該事件で逮捕、勾留されているときに出頭する行為

2 交通違反の身代わり出頭

ところで、交通反則通告制度は、道路交通法違反の罪について、道路交通法上の罰則はあるものの、一定の違反行為に対しては刑罰に先行して行政上の措置によって、これを簡易迅速に処理しようとするものです。反則金の納付を通告し、その通告を受けた反則者が反則金を納付した場合には、その反則行為に係る事件について公訴が提起されなくなりますが、期間内に反則金を納付しない場合には刑事訴訟手続が進行します。
信号無視は交通反則通告制度の対象となるものですが、道路交通法第7条、同法第4条1項、同法第119条第1項第1項の2により、故意の場合は3月以下の懲役又は5万円以下の罰金、過失の場合でも同法第119条第2項により10万円以下の罰金と定められています。このことから、信号無視を行った違反者は「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」に当たります。
そして、事例のケースのように犯人の身代わりとして捜査機関に出頭する行為は、蔵匿以外の方法により警察官の発見、逮捕を免れる行為として「隠避」に当たります。
以上より、信号無視を犯した者の代わりに出頭したAさんの行為は犯人隠避罪に当たるのです。

3 犯人隠避罪の弁護活動

被疑者が逮捕されたことによる経済的な不利益や、体調面、社会的制裁などを事細かに上申書にまとめ、それを検察官などに提出し、身柄解放を行うための弁護活動を進めます。
また、被疑者の方に謝罪文や反省文を作成してもらい、検察官や裁判官にその書面を提出することで、きちんと反省している姿勢をアピールしていきます。

あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部刑事事件専門の法律事務所です。
弊所は、これまでに、犯人隠避罪を含む様々な刑事事件において、勾留阻止身柄解放の多数の実績がありますので、ぜひご相談くださいませ。
刑事事件専門で実力を培われた弁護士による多様な弁護活動をご用意しております。
初回相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。
また、すでに逮捕されている場合には、初回接見サービスにより弁護士接見させていただきます。

北海道札幌市手稲区犯人隠避罪など刑事事件に関する相談を含め刑事事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
●初回法律相談:無料
札幌方面手稲警察署までの初回接見料金:36,300
札幌拘置支所までの初回接見料金:36,300

窃盗罪で逮捕

2019-03-05

札幌市の窃盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

札幌市厚別区に住むAさんは、公園のベンチに座っていたB女がベンチに財布を置き忘れたまま立ち去るのを見ていました。それからAさんは、B女が立ち去ってから、時間にして30秒、距離にして25メートル離れた時点で、その財布を盗んで逃げました。
その後、Aさんは札幌方面厚別警察署逮捕されました。

(実際の事件を参考にしたフィクションです。)

1 窃盗罪と占有離脱物横領の違い

窃盗罪」は、他人の占有する財物を不法領得の意思(権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用処分する意思)をもって盗む行為です。一方で、「占有離脱物横領罪」は、占有が離れた他人の財物を、不法領得の意思をもって自己の支配下に置く行為です。
つまり、盗まれた財物の占有が被害者に継続していると認められる場合には窃盗罪が、すでに被害者の占有を離れていると認められる場合には占有離脱物横領罪が成立します。

2 最高裁の判断基準

事例のように、公衆が自由に出入りする場所に財物を置き忘れた場合に、被害者の占有の継続を認めるか否かについては、従来の裁判例ではその判断に当たって、時間や場所の近接性等を検討し、被害品がなお被害者の事実上の支配管理内にあったか否かを判断していたとみられますが、その判断にあたって、被害者が被害品を置き忘れてから、
① 犯人が盗んだ時点
② 被害者が置き忘れに気付いた時点
③ 被害者が被害品を取り戻した時点
のいずれの時点を問題にするのか統一されていなかったところ、平成16年8月25日の最高裁決定で、
占有継続の有無の判断に当たり考慮されるべきものは、①の被害者が置き忘れて「犯人が盗んだ時点」までの時間的・場所的近接性である
と明確に判示されています。

3 事例の検討
事例において、Aさんは、被害者が公園のベンツ上に財布を置き忘れてから約25メートル、時間にして約30秒後の時点で当該財布を盗んでいます。この事実からすると、被害者が置き忘れてから盗むまでの時点の間には、時間的・場所的近接性があり、被害者が財布を置き忘れたまま現場から立ち去りつつあったことを考慮しても、なお被害者の事実上の支配内にあると認められます。
そうすると、被害品に対する占有は未だ失われておらず、Aさんの行為は占有離脱部横領罪ではなく窃盗罪に該当すると考えられます。

4 窃盗罪の弁護活動
~示談交渉~
早期に示談交渉に着手して不起訴処分略式罰金など有利な結果を導けるように活動します。
窃盗罪は、被害者がいる犯罪であるため示談解決がポイントとなります(但し、チェーンストア等、店舗によっては本社の指示により示談には応じないという態度をとるところもあります)。更に、被害弁償だけではなく、被害者が許してもよい(「宥恕(ゆうじょ)」と言います)ということになれば、一層有利な結果を導くことが可能でなります。
示談は契約ですので、被疑者と被害者が合意することにより作ることになりますが、被疑者が捜査機関に被害者の連絡先を聴いても教えてもらえないのが通常です。
また、仮に連絡先を知っていたとしても、相手の被害感情を考えると直接被疑者が被害者と交渉を行うのは困難であり、示談ができたとしても不相当に過大な金額での示談解決になる可能性が大きいと考えられます。
一方、弁護士を通じれば、弁護士限りでという条件付き(被疑者には連絡先を教えないという条件付き)で検察官より被害者の連絡先を教えてもらえる場合が多々あります。
そのため、弁護士に依頼することにより被害者とコンタクトをとりやすくなります。
また、弁護士が間に入れば、冷静な交渉により妥当な金額での示談解決が図りやすくなります。

~身柄開放~
逮捕勾留されてしまうのは、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるためです。そこで、弁護士早期釈放早期保釈のために証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを示す客観的証拠を収集し、社会復帰後の環境を整備するなどして釈放保釈による身柄解放を目指します。

札幌市厚別区で窃盗に関する相談を含め刑事事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
初回法律相談:無料
札幌方面厚別警察署までの初回接見料金:36,200
札幌拘置所までの初回接見料金:36,300

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