【窃盗事件】少年がバイクを盗み逮捕
少年らがバイクを盗んだ疑いで逮捕された事例を題材に、観護措置の回避等の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
北海道札幌市東区在住のAは、札幌市内の高校に通う17歳です。
ある日、Aらは、Vが居住する集合住宅の敷地内から、敷地内に駐車してあったVが所有するバイクを無断で持ち去りました。
Vによる通報を受けて捜査をしていた札幌市東区を管轄する札幌方面東警察署の警察官は、少年Aらを窃盗の疑いで逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAの保護者は、少年事件に強いと評判の弁護士に相談することにしました(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。
~少年らによるバイクの持ち去り~
本件で少年Aらは、窃盗罪によって逮捕されています(刑事訴訟法199条1項)。
窃盗罪に関しては、刑法235条が「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」との規定を置いています。
これに対し、刑法254条は「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する」と定めており、両罪は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料」と法定刑に大きな違いがある点に注意を要します。
窃盗罪(235条)が成立するか占有離脱物横領罪(254条)が成立するかは微妙な場合も多く、事実関係を含め丁寧な検討が求められることになります。
少年事件においては、原則として成人の刑事事件のような刑が科されるわけではありませんが、どのような罪が成立するかを正確に把握する必要があることに変わりはありません。
上述のとおり窃盗罪を規定する刑法235条に「占有」という文言は含まれていませんが、判例・通説上、同条は被害者の占有をも保護する規定であると解されています。
つまり、いまだ「占有を離れた」とはいえず、占有が及んでいる「財物」を無断で持ち去った場合には窃盗罪が成立することになります。
本件についてみてみると、Vのバイクは、Vが居住している集合住宅の敷地内に駐車されていました。
仮にバイクが敷地以外の場所に駐車されていた場合等にはVの占有が及んでいないと考える余地もありますが、そのような事情がない限りは、たとえ駐車場所がVの居住している住居から多少離れていたとしてもVの占有が及んでいると考えるのが通常です。
したがって、Vの占有が及んでいる「他人の財物」たるバイクを、Vに無断で持ち去った(「窃取」した)少年Aの行為には、窃盗罪が成立することになります。
なお、集合住宅の敷地内に無断で立ち入った行為についても、刑法130条の罪(住居侵入等)が成立する可能性があることにも留意する必要があります。
~観護措置の回避等の弁護活動~
未成年者による少年事件において逮捕(・勾留)などがされた場合、家庭裁判所送致を経た上で観護措置という少年事件特有の身体拘束処分を受ける可能性があります。
観護措置が採られると、少年の身柄は少年鑑別所に送られることになります(少年法17条1項2号)。
観護措置の期間は実務上3~4週間に及ぶことが多く、身体拘束期間としては決して短いとはいえません。
したがって、これに伴う事実上の不利益(学校生活等への影響)が生じる可能性が高く、このような観護措置の回避等を行う弁護活動が極めて重要となるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、本件のような少年による窃盗事件を含む少年事件・刑事事件を専門的に扱っている弁護士事務所です。
少年事件に関する専門性の高い弁護士が迅速なご相談を承ります。
北海道札幌市東区にて、20歳未満の少年であるお子さんが窃盗事件で逮捕されてしまった場合、24時間365日対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までお電話ください。