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偽計業務妨害罪で逮捕

2019-10-24

北海道砂川市の偽計業務妨害事件について、弁護士法人あいち刑事総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

北海道砂川市に住むAさんは、近所のスーパーと商品購入をめぐって揉めたことがあり、その腹いせに、そのスーパー店内のパン売り場で販売されている食パンに、縫い針を混入しました。
そしてその後、その食パンを買った客からスーパーに「食パンに縫い針が混入されていた。」と電話連絡があり、スーパーは縫い針が混入されたことが発覚したのです。
スーパーから被害届を受理した北海道砂川警察署が捜査を開始し、Aさんは偽計業務妨害で通常逮捕されました。
(フィクションです)

【偽計業務妨害罪】

偽計業務妨害罪とは、虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の業務を妨害する罪です。
本罪は、刑法233条後段に規定され、刑事罰は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。
本罪の行為の客体は、「人の業務」です。
「業務」とは、職業その他社会生活上の地位にもとづいて継続して行う事務をいいます。
業務については、経済的活動に該当する場合が多いものですが、経済的活動ではない公益活動、宗教活動も本罪の対象になり得ます。
適法な業務であることが必要かについては、法律に違反している業務であっても、違法性が顕著なもの以外、業務に該当するというのが一般的見解です。
都道府県知事の許可のない浴場の営業でも、業務に該当することを認めた判例があります。
虚偽の風説を流布」するとは、客観的真実に反する内容の噂を不特定または多数の人に伝播させることをいいます。
偽計」を用いるとは、人を欺き、誘惑し、または、人の錯誤・不知を利用することをいいます。
偽計が認められた具体例としては、
〇 内容虚偽の仮処分申請書を提出し、係判事を欺いて得た仮処分命令にもとづき社屋を明け渡させて経営を不能にした行為
〇 そば店に3か月の間に970回にわたり無言電話をかけて業務を妨害した行為
〇 外面から分からないように漁場の海底に障害物を沈め,漁網を破損させた行為
〇 他紙の購読者を奪おうと企て,自己の経営する新聞を改題し体裁等を酷似させて発行した行為
〇 他人名義で虚偽の電話注文をして,徒労の商品配達をさせた行為  
〇 「マジックホン」という機器を使用して,電話機に対する課金装置の作動を不可能にした行為
などがあります。

事例のような売り物である食品に針を刺すといった行為はお店に対する業務妨害罪となるわけですが、針を刺すという人にけがをさせかねない危険な行為ということを考えると、偽計ではなく威力ではないかとも思われます。
事例の場合、客が連絡してくるまで被害者であるスーパーはパンに針が刺さっているということを知らずその意思を制圧されたわけではないので威力ではなく、他の商品にも針が刺さっているかもしれないというお店の錯誤を誘発させる偽計ということになります。
そのような行為によって商品の点検をするなどさせてお店の業務を妨害しているのです。一方、犯人がお店に電話などをして「食パンに針を仕込んだ。」と告げた場合には,お店の意思を制圧するに足りるだけの勢力を用いたということになり,威力業務妨害ということになります。

【早期釈放を実現するには】

被疑者として逮捕された場合、その後48時間以内に事件が検察庁に送られ、検察庁で24時間以内に勾留請求が行われる可能性があります。
そして、もし裁判官が勾留の妥当性を認めれば、逮捕中の被疑者は10日から20日もの間拘束されていまいます。
逮捕を含めると身体拘束の期間は最長23日間に及び、様々な不利益を受けることが予想されます。

この間に行うべきことの一つとして、被疑者の釈放を実現するための身柄解放活動が挙げられます。
特に重要なのは、長期の身体拘束である勾留が決定する前の段階です。
この段階では、検察官と裁判官に対して、被疑者が逃亡や証拠隠滅に及ぶおそれが低いことや、仮に及ぼうとしてもそれを阻止できることを主張する必要があります。
勾留がつく理由というのは基本的に逃亡と証拠隠滅のおそれの存在なので、この点を解消することが不可欠となってくるのです。

上記事例のように恐喝などの粗暴な面が見られる場合、被害者(被害店舗)との接触がどうしても懸念されるところです。
そうしたケースでは、やはりその点のフォローが非常に重要になってくるでしょう。
早期の釈放に向けてベストな対応を行うなら、ぜひ弁護士に事件を依頼して的確な弁護活動を行ってもらってください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件のスペシャリストを自負する弁護士が、一日でも早い釈放の実現に向けて尽力します。
ご家族などが営業妨害をして逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

麻薬事件で逮捕

2019-10-23

北海道内の麻薬事件について、弁護士法人あいち刑事総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

若いころから覚せい剤の密売で生計を立てているAさんは、知人を通じて、ヨーロッパから100キロ単位の覚せい剤の密輸を企てました。
ヨーロッパの密売人が、重機の輸入品に覚せい剤を隠して日本に輸入しようとしたのですが、この取引を察知した、麻薬取締局と、北海道警察本部薬物対策課によって、重機に隠されて輸入された覚せい剤が、覚せい剤を模した結晶に入れ替えられたのです。
その事実を知らないAさんは、重機が搬入された倉庫に覚せい剤を取りに行き、そこで捜査当局によって逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

【麻薬特例法】

「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」を省略して「麻薬特例法」といいます。
麻薬特例法は、平成4年に施行された法律で、薬物犯罪による薬物犯罪収益等のはく奪、規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図ることなどを目的にしています。

麻薬特例法で規制されている薬物は、麻薬、向精神薬、大麻、あへん、けしがら、覚せい剤です。
麻薬特例法でいう「薬物犯罪」とは、覚せい剤に限った場合、覚せい剤の輸出入、製造の罪(営利目的を含む)、又はこれらの未遂罪、所持、譲渡し及び譲受けの罪(営利目的を含む)、又はこれらの未遂罪、譲渡しと譲受け(営利目的を含む)の周旋の罪です。

【薬物等の譲り受け等】

規制薬物としての薬物等の譲り受け等の罪に関しては麻薬特例法第8条第2項に規定があります。
ここでは、薬物犯罪(規制薬物の譲渡し、譲受け又は所持に係るものに限る)を犯す意思をもって、薬物その他の物品を規制薬物として譲り渡し、若しくは譲り受け、又は規制薬物として交付を受け、若しくは取得した薬物その他の物品を所持した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する旨が明記されています。
ここでの「薬物」とは、規制薬物でないことが明らかである薬物のほか、規制薬物であるか否かの証明が十分でない薬物を含みます。
つまり、譲り受けなどした物が覚せい剤などの現物(薬物)でなくても、本罪による逮捕、処罰が可能になるのです。
この規定は、覚せい剤等の規制薬物に係る不正行為を助長する行為を防止するために設けられています。
つまり、規制薬物として譲り受けする行為は、覚せい剤等の規制薬物に係る不正行為を助長し、社会に害悪を及ぼす行為と考えられているのです。
覚せい剤取締法の譲り受け事件は、覚せい剤そのものが存在しなければ立件することが困難ですが、麻薬特例法ではその必要はありません。
ただ、現物が覚せい剤等の薬物ではないことから、本罪の法定刑は覚せい剤取締法よりもかなり軽くなっています。

【執行猶予を目指して】

麻薬所持を含む薬物事犯は、基本的に不起訴で終わるということがあまり期待できません。
ですので、もし事件が発覚すれば、よほどのことがない限り起訴されて裁判に至ると考えて構いません。
逮捕および勾留による身体拘束の可能性も高くなっています。

上記の点と罰則の重さを踏まえると、麻薬所持事件において第一に目指すべきは執行猶予の獲得だと考えられます。
執行猶予が獲得できれば、裁判が確定してから直ちに刑務所に収容されるという事態を回避できます。
そのため、裁判が終わってから社会復帰をすることが可能となっています。
更に、執行猶予期間中に罪を犯すなどして執行猶予が取り消されなければ、期間の満了をもって刑を免れることができます。
有罪となって刑を言い渡された事実が消えるわけではありませんが、もはや刑の執行を憂う必要がない点は有益です。

執行猶予を獲得するうえで重要なのは、裁判で更生の意思をきちんと示し、目指すべき将来があることを裁判官に訴えることです。
そのためには相応の労力を費やすことが必要であり、闇雲に行うのは賢明ではありません。
少しでも執行猶予の可能性を高めるのであれば、ぜひ法律の専門家である弁護士に相談しましょう。
もし事件を依頼すれば、執行猶予獲得に向けた手厚いサポートが受けられるはずです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件の経験豊富な弁護士が、執行猶予の獲得に向けて手を尽くします。
ご家族などが麻薬事件で逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

スナックの無許可営業

2019-10-21

北海道江別市のスナックの無許可営業事件について、弁護士法人あいち刑事総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

Aさんは、北海道江別市の繁華街で、風俗営業の許可が必要なスナックを無許可で営業していたとして、北海道江別警察署に逮捕されました。
5年ほど前にお店をオープンした当初、Aさんは、居酒屋の営業をしていましたが、売り上げが伸び悩み、2年ほど前から女性スタッフを雇い、お客さんの横に座らせてお酌をするスナック形式での営業を始めました。
このように営業形態を変更したところ売り上げが伸び始めたので、1年前からは店内を改装し、照明器具を取り付けたり、ボックス席を設ける等したのですが、Aさんは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律で義務付けられている、スナック営業の許可を届け出ていませんでした。
Aさんは、半年ほど前に、北海道江別警察署の立ち入り検査を受け、無許可営業であることを警告されていましたが、その後も許可を得ず営業を続け、今回の逮捕に至りました。
逮捕の知らせを受けたAさんの妻は、弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです)

【風営法上のスナックとは】

風営法とは、正式には「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」という名称の法律で、通称として「風営法」や「風適法」と呼ばれています。
風営法上で規制されている業態としては、
①第1号営業:キャバクラやホストクラブ等顧客を接待する飲食店
②第2号営業:照度10ルクス以下の飲食店
③第3号営業:客席の広さが5㎡の飲食店
等が挙げられます。
また、パチンコ店やゲームセンター等が風営法上の規制の対象となっており、その他性風俗店やダンスクラブも規制の対象となっています。
ただし、スナックの場合には線引きが難しい場合があり、接待を含まない場合には風俗営業とは認められないことがありますが、実際は大半の場合風俗営業とみなされます。

【許可が必要なスナック営業】

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律では、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」を風俗営業の「接待」とし、許可を得ずに接待することは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反に当たるとしています。
「接待」とは、警察庁の「解釈運用基準」で定められており、法律によって明確化されているものではありません。
この運用基準では
①談笑やお酌をする
②ショーを見せる
③カラオケでデュエットしたり、客の歌に手拍子をとり拍手する
④ダンスをさせる
などが接待に当たるとしていますが、客のタバコに火をつけたり、おしぼりを手渡すことも接待行為に該当すると判断されて、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の適用を受けることがあるので注意しなければなりません。

【スナックの無許可営業で逮捕されると】

接待を含むスナックを無許可で営業していた場合、風営法に違反する行為となります。
逮捕後に起訴され有罪判決を受けると、「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又は懲役と罰金の併科」が科せられることになります。
また、その他行政上の処分が下され、一定期間店の営業ができなくなる場合があります。

【初回接見の重要性】

被疑者として逮捕されると、その後2~3日程度は家族を含む他人との面会が許されないことが多くあります。
加えて、警察が逮捕の理由を家族などに詳しく教えてくれるわけでもないため、被疑者の周囲としては何が起きたのか全く分からないことも珍しくありません。
一方、その間に被疑者は弁解を聴取されたり取調べを受けたりすることになり、日常生活において馴染みのない状況下で独りにならなければなりません。

以上のような場合には、弁護士初回接見を依頼することを強くおすすめします。
弁護士には被疑者・被告人に防御権を有効活用させる責務があり、一般人には認められない様々な特権が認められています。
これにより、弁護士であれば、面会の制限を受けることなく逮捕直後の被疑者と接見(面会)することができるのです。
一度弁護士が被疑者と接触できれば、被疑者に対しては取調べ対応や事件の流れなどを、周囲に対しては被疑者の状況を伝えることが可能となります。
更に、初回接見のスピードは、その後の事件の方向性に直結する、いわば弁護活動の出発点となるものです。
ですので、もし逮捕の知らせを受けたら、まずはためらうことなく弁護士に初回接見を依頼してください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に特化した弁護士が、お申込み後遅くとも24時間以内に初回接見を行う態勢を整えております。
ご家族などが風営法違反(無許可営業)の疑いで逮捕されたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

傷害事件の観護措置回避

2019-10-20

【事例】

北海道赤歌市の公立高校に通うA君(16歳)は、赤歌市にある自宅に帰宅中に、他校の生徒V君(16歳)とトラブルになり、V君の顔面を殴ってしまいました。
V君が被害届を提出したことにより、北海道赤歌警察署が捜査を始めました。
ある日、自宅に北海道赤歌警察署の警察官が訪れ、V君は傷害罪の疑いで逮捕されてしまいました。
(この話はフィクションです)

【少年が逮捕された後の流れ】

問題となる法律は刑法第204条です。
刑法第204条 傷害罪
「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」

この傷害罪に対して、成人は「刑事訴訟法」で手続きを進めますが、少年は「少年法」という別の法律で手続きを進めていきます。
少年事件でも、「逮捕から最大48時間留置期間があり、その後検察官に送致され、さらに勾留された場合は10日から20日の間の勾留期間が設けられる」という流れは成人事件と同じです。
少年事件は、勾留期間が過ぎると、家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所に送致された後、「観護措置」が決定した場合は、成人事件より拘束期間が長期になるおそれがあります。

【観護措置回避を目指すには】

罪を犯した者が20歳未満の場合、その事件は通常の刑事事件ではなく少年事件として扱われ、刑罰を科すのではなく少年の更生が目指されることになります。
こうした目的から、少年事件の流れや手続は、通常の刑事事件とは様々な点において違いが見られます。

少年事件の特徴の一つとして、観護措置という手続の存在が挙げられます。
観護措置とは、少年審判に向けて身柄の確保や心身鑑別を行うべく、少年を少年鑑別所での鑑別または家庭裁判所調査官の監護に付する手続です。
ただ、実務上は少年鑑別所に収容して行う観護措置が一般的となっており、家庭裁判所調査官の監護に付するケースというのは殆どありません。

通常の観護措置は、身体拘束をされている少年が家庭裁判所に送致されてから24時間以内に行われます。
この段階で観護措置が行われると、逮捕および勾留による最長23日間の身体拘束に加え、更に2週間から8週間(最も多いのは4週間)身体拘束が継続されます。
その間は学校や仕事へ行けなくなることから、観護措置がもたらす不利益は決して小さくはないと言えます。

そこで、弁護士としては、少年の観護措置を回避すべく付添人活動を行うことになります。
観護措置の目的は少年の身柄の確保と資質の調査であるため、弁護士は観護措置によらずともその目的が達成できることを主張することになります。
ただ、具体的な主張の内容は、少年ひとりひとりの性格や家庭環境などにより千差万別と言っても過言ではありません。
もしご自身のお子さんの観護措置回避を目指すのであれば、一度遠慮なく弁護士に相談されるとよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士は、少年事件のプロとして、観護措置をはじめとするお子さんの不利益を可能な限り除去いたします。
お子さんが傷害罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

強盗罪で逮捕

2019-10-18

北海道静内町の強盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

Aさんは、長年の付き合いがあるBさんからの誘いを断り切れず、面識のないCさんを含む3人で強盗をすることになりました。
そして、Aさんらは北海道静内町のコンビニVに入り、ナイフで従業員を脅して約10万円を脅し取りました。
後日、Vさんが警察に通報したことで捜査が開始され、Aさんらは強盗罪の疑いで逮捕されました。
北海道静内警察署に留置されたAさんは、勾留の際に接見禁止決定が出ました。
Aさんの両親は、Aさんと面会できないことを知り、弁護士接見禁止解除を依頼しました。
(フィクションです。)

【強盗事件】

暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取すれば強盗罪になります。
強盗罪は、法定刑として「5年以上の有期懲役」と非常に重い罰則が定められています。
暴行、脅迫を用いて他人の財物を奪うという点では、恐喝罪とよく似ていますが、恐喝罪は、被害者の任意の財産的処分行為に基づいて、財物の交付又は財産上の利益の移転を受けるのに対して、強盗罪は被害者の意思に反して財物又は財産上の利益を強取する犯罪であることから、暴行、脅迫の程度は恐喝罪よりも強くなければなりません。
法律的に、強盗罪が成立するための暴行、脅迫の程度は、社会通念上、相手方の反抗を抑圧する程度だと言われており、それは犯人の被害者との力関係や凶器等、犯行時の様々な状況が考慮されて判断されます。
ですから、例えば刃物を示して現金を奪い取る犯行態様であっても、強盗罪が適用される事件もあれば、恐喝罪の適用にとどまる事件もあるのです。

【共犯】

共に犯罪を実行すれば共犯となります。
共犯は刑法第60条に規定されており、共犯と認められた場合は正犯と同じ刑事罰を受ける可能性があります。
つまりAさんの場合、強盗罪の共犯として認められれば、強盗罪の法定刑内で刑事罰を受ける可能性があるのです。
また共犯には、実行犯に犯行を教唆した教唆犯(刑法第61条)と、実行犯の犯行を幇助する幇助犯(刑法第62条)があります。
幇助犯の場合は、正犯よりも刑事罰が軽減されるので、もしAさんに強盗罪の幇助が認められた場合は、強盗罪の法定刑よりも軽い範囲内で刑事罰が言い渡されることとなるのです。
共犯として認められるかどうかは、専門家であってもその判断が二分する場合がよくあり、無罪判決が言い渡される刑事裁判も少なくありません。

【接見禁止解除を実現するには】

多くの警察署において、逮捕後の被疑者と面会を行うことはできません。
そのため、もし逮捕中の被疑者との面会を希望するのであれば、その実現は早くとも逮捕から2~3日後の勾留決定後だということは考えておく必要があります。

ところが、事件によっては、たとえ勾留後であっても面会が許されないことがあります。
その理由は、裁判官の判断で勾留の際に接見禁止が付いたからだと考えられます。
接見禁止とは、面会を許すと外部の者の力を借りて逃亡や証拠隠滅に及ぶ可能性が高い場合(たとえば共犯事件)に、弁護士以外の者との面会を禁止する決定を指します。
面会の他に本来一定の範囲内で許される書面や物品の差入れも禁止されることがあり、その場合には一部の日用品の差入れを除いて一切の接触が絶たれます。

接見禁止は裁判官による決定の一種であるため、それに対して不服を申し立てたり陳情をしたりして、接見禁止の全部または一部を解除できる可能性があります。
これが接見禁止解除であり、それまで禁止されていた面会等を行えるようになる点で有益なものです。
ただ、一度裁判官により決定された判断を覆すには、やはり法律も加味した相応の主張を行うことが必要となります。
そうであれば法律の専門家である弁護士の強みを活かすことができるので、接見禁止解除をお考えならぜひ弁護士に相談してみてください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に特化した弁護士が、接見禁止解除をはじめとして依頼者様の要望を真摯にお聞きします。
強盗罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

殺人事件の裁判員裁判

2019-10-17

北海道栗山町の殺人事件における裁判員裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道栗山町に住むAさんは、同町内を車で走行中、前方を走るバイクに対して100キロ以上のスピードであおり運転をした後、車を衝突させてバイクの運転手を死亡させました。
衝突させた車を運転していたAさんに対して殺人罪が適用されました。

【あおり運転】

皆さんもご存知のように、あおり運転が社会問題となり、世間を騒がせています。
警察等の捜査当局は、あおり運転(道路交通法違反)に対して道路交通法以外を適用して取締りを強化しており、これまで、暴行罪傷害罪危険運転致死罪等が適用されています。
しかし、警察の発表によりますと、あおり運転の摘発は増加傾向にあるようです。
その要因の一つとして、車に搭載されたドライブレコーダーがあります。
今回の事例でも、Aさんの車に踏査されたドライブレコーダーの映像と音声が有力な証拠となって検察側は殺人罪での起訴に踏み切りました。

【殺人罪】

殺人罪は、刑法第199条に定められた法律で、皆さんが身近に感じる中で最も重い犯罪ではないでしょうか。
殺人罪の法定刑は「死刑又は無期若しくは5年以上の有期懲役」です。
事件の内容にもよりますが、殺人罪で起訴されて有罪が確定した事件のほとんどは、10年以上の長期服役が言い渡されており、その中では数件の死刑判決も言い渡されています。
しかし、殺人罪で起訴された事件でも、適切な弁護活動を行うことによって執行猶予判決を得たり、傷害致死罪等、殺人罪よりも軽い法律での刑が言い渡される可能性があります。

【裁判員裁判】

裁判員裁判とは
①死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
②短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪のうち故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係る事件
については、通常の裁判官だけの裁判ではなく、裁判員も含めた裁判員裁判で審理が行われる刑事裁判です。
今回、Aさんが起訴された殺人罪の法定刑は「死刑若しくは無期若しくは5年以上の懲役」ですので、上記①に当たります。
裁判員裁判は、殺人事件や強盗致死傷事件だけでなく、通貨偽造事件や営利目的での薬物輸入事件、危険運転致死事件などの、基本的に国民の関心の高い事件が対象となっています。

通常の刑事裁判は、検察官や弁護士、裁判官という法律の専門家が中心となって行われてきましたが、裁判員裁判は、国民の中から選任された裁判員が裁判官ととともに、刑事被告人が有罪であるか否か、どれくらいの刑を課すべきかを決めることとなります。
裁判員裁判は、原則として、裁判官3人と裁判員6人の合議体で行われることとなります。
裁判員裁判は、一般人が裁判に参加することもあり、通常の刑事裁判とは異なり短期間に集中して行われ、第一回公判から判決の言い渡しまでは2週間もかかりません。
そのため、裁判員裁判が開始されるまでに、裁判の争点や証拠を整理する公判前整理手続が、必ず行われます。
公判前整理手続とは、第一回公判前に検察官・弁護人双方の主張すなわち事件の争点や証拠を整理する手続きのことで、この手続きには被告人も出頭することもできます。
公判前整理手続で、裁判の争点と証拠が整理され、被告人にとっては、検察官の手持ちの証拠を開示させることができるという利点があります。
裁判員裁判は、法律家以外がその審査に参加することから、法律的な要素だけでなく、裁判員の印象も、その後の判決に大きく影響すると言われています。
そのため、従来は証人尋問をせずに被害者や目撃者、被告人の調書を読み上げるだけで済まされていたのが、裁判員の前で証人として尋問するようになり、これまで調書で問題となっていた、供述者の供述の信用性についてしっかり尋問できるようになりました。

裁判員裁判の刑事弁護は、従来の刑事裁判とは異なり、卓越した刑事事件専門の知識と、豊富な経験が必要となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、これまで数多くの刑事事件を解決に導いてきた実績と、豊富な経験がございます。
殺人事件を起こしたご家族、ご友人の刑事弁護をご希望の方、殺人事件裁判員裁判に強い弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

脅迫罪で逮捕

2019-10-15

北海道帯広市の脅迫事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道帯広市に住むAさんは、境界線を巡って、3年前から隣人とトラブルになっています。
このトラブルは、お互いが弁護士を代理人に入れて民事訴訟で争っていましたが、結局、Aさんの主張は認められませんでした。
そのことが納得できず、腹を立てたAさんは、先日、自宅前に偶然会った隣人に対して「このままで終わると思うなよ。子供の送り迎えに気を付けろよ。」と言いました。
すると、このことを隣人が、北海道帯広警察署に届け出たのでたことから、Aさんは脅迫罪で逮捕されてしまったのです。
Aさんの家族は、逮捕の知らせを受けて弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです。)

【脅迫罪~刑法第222条~】

人の生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加える旨を告知すれば脅迫罪となります。
脅迫罪は、結果の発生を必要としない危険犯です。
脅迫罪は、相手方だけでなく、相手方の親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加える旨を告知した場合にも成立します。

~害悪の告知~
法律的に、脅迫のことを「害悪の告知」と表現しますが、どの程度の内容が害悪の告知に当たるのでしょうか。
それは、人を畏怖させるに足りるものであれば、その内容や、告知方法に制限はないとされています。
そして人を畏怖させるものかどうかについては、相手方の境遇や年齢、その他の事情を考慮されます。
また人が畏怖したかどうかは、告知した内容だけでなく、告知者の態度や、人柄、その他の状況を総合的に考慮して判断されます。
ちなみに害悪の内容が、犯罪となったり、違法である必要はなく、害悪が一定の条件によって実現する旨を告知した場合や、単に害悪が及ぶ可能性をほのめかしても脅迫罪に当たります。

~脅迫罪の量刑~
脅迫罪の法定刑は「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」です。
初犯であれば、示談がなくても不起訴や略式罰金といった刑事罰となる可能性が非常に高いですが、再犯の場合や、犯情が悪質な場合は実刑となる可能性があるので注意しなければなりません。

【初回接見のメリット】

逮捕・勾留を伴う刑事事件では、弁護士による接見(面会)が被疑者・被告人との重要なパイプとなります。
特に、弁護士との最初の面会である初回接見は、弁護活動の出発点として非常に重要です。
以下では、初回接見を依頼されるご家族やご友人の方から見て、初回接見にどのようなメリットがあるか列挙します。

逮捕の理由を知ることができる
ご家族を含む周囲の方に対して、警察が逮捕の理由を事細かに教えてくれることはあまりありません。
ですので、なぜ逮捕されたのかという点については、逮捕された本人に聞かない限り分からないことが多々あるのです。
そこで弁護士初回接見をすれば、後述する面会の禁止や、立会人(警察官)の存在による会話の制限を受けることなく話を聞くことができます。

伝言のやりとりをすることができる
①とも関連することですが、逮捕中の被疑者は、逮捕から2~3日が経過するまでは原則として面会ができません。
更に、その期間が経過した後であっても、接見(等)禁止決定というものが下されていれば面会は許されません。
こうした制限があっても、弁護士であればいつでも自由に被疑者と面会することができます。
ですので、ご家族などの伝言をお伝えしたり、ご本人からの伝言を承ったりすることができます。

今後の流れを知ることができる
刑事事件というのは、犯した罪の内容や事件の性質などによって、事件の流れや身体拘束の期間が異なります。
そのため、今後の流れは個々の事件によって様々と言えます。
ここで弁護士が介入すれば、今どのような状況なのか、これからどうなるのかということをきちんとお伝えできます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に強い弁護士が、初回接見を通して事件に巻き込まれた方の不安を可能な限り解消します。
ご家族などが脅迫罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

盗撮事件の示談

2019-10-13

北海道小樽市の盗撮事件における示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

会社員のAさんは、JRを通勤で利用しています。
先日、帰宅でJRを利用した際、前の座席に座っていた女性の、組んでいた足の隙間から下着が見えたので、ムラムラしたAさんは、持っていたスマートフォンで女性の下着を盗撮しました。
そして、その様子を目撃した男性に捕まってしまい、この男性によってAさんは、小樽駅で下車させられて駅長室に連れていかれました。
駅長が通報して駆け付けた、北海道小樽警察署の警察官によって警察署に連行されたAさんは、スマートフォンを押収され、取調べを受けました。
(フィクションです)

【盗撮事件】

JR北海道など、北海道内を走行する電車内で盗撮をすれば「北海道公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(以下「北海道迷惑防止条例」とする。)」の適用を受けます。
Aさんのように、電車の中で、女性の下着を盗撮する行為は、北海道迷惑防止条例第2条第2項第2号に該当し、その法定刑は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります。

【盗撮事件の量刑】

盗撮事件で警察に捕まった場合、まず警察の捜査を受けることになります。
警察官による取調べだけでなく、スマートフォンやパソコン等を解析されて余罪についても捜査されます。
そして警察の捜査が終了すれば検察庁に書類送検されます。
そこで検察官が、警察での捜査結果を踏まえて、被疑者の取調べをおこなって起訴するか否かを決定するのです。
それまで被害者と示談している場合や、被害者が特定されていない場合等は、不起訴となる可能性が非常に高いでしょう。
しかし再犯である場合や、余罪が複数件ある場合などは、被害者と示談したり、被害者が特定されていなくても略式罰金の可能性はあります。
「被害者の処罰意思がなければ罰せられないのでは?」と考える方もいるでしょうが、盗撮の被害者の意思に関係なく刑事罰が科せられることもあり得るのです。
何れにしても、初犯であれば悪くても略式罰金までで、起訴されて正式裁判にまで発展する可能性はないと考えられるでしょう。

【示談交渉の困難さ】

盗撮を含む性犯罪のケースでは、被害者の方から示談交渉を含めて一切の接触をしたくないと言われることも珍しくありません。
その理由としては、恐怖心や嫌悪感を抱いている、加害者に対する処罰感情が強い、傷害事件などと異なり金銭的損害を被ったわけではない、などが考えられます。
そのため、盗撮事件においては、一般的に示談交渉が難航しやすいという特徴があります。

弁護士による示談交渉には、以下のようなメリットがあります。
まず、事件の当事者同士が直接交渉を行う必要がない点が挙げられます。
弁護士が介入すれば、被害者と接触できる可能性が高まるだけでなく、非難される側として足元を見られるリスクも回避できます。
被害者としても、加害者と連絡を取る必要がないことから、安心して示談交渉を行うことができます。
次に、法律の専門家としての強みを発揮できる点が挙げられます。
弁護士は刑事事件において意味のある活動を把握しているのが通常であるため、事件との関係で必要十分な活動を的確に行うことができます。
加えて、示談書のかたちで適切な内容の合意を結ぶことで、後々紛争が蒸し返された際に上手く対処できる可能性も高くなります。
以上の点から、示談交渉弁護士に任せるとよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、数々の刑事事件と接してきた弁護士が、示談交渉にも自信を持って取り組みます。
盗撮を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

器物損壊罪で逮捕

2019-10-11

北海道苫小牧市の器物損壊事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

Aさんは、会社の飲み会で大量にお酒を飲み、泥酔した状態で北海道苫小牧市にある自宅の最寄り駅に着きました。
Aさんが駅の近くにあった自動販売機で水を買おうとしたところ、自動販売機が故障しており、お金を入れてボタンを押しても飲料が出てきませんでした。
そのことに苛立ちを覚えたAさんは、自動販売機の飲料の取り出し口を思いっきり蹴り、取り出し口を壊しました。
その様子を見ていた住民の通報により、Aさんは器物損壊罪の疑いで北海道苫小牧警察署に現行犯逮捕されました。
(フィクションです。)

【器物損壊罪について】

刑法
第二百六十一条
…他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
(一部省略)

器物損壊罪は、他人の物(建造物、艦船、特定の内容の文書を除く)を「損壊」した場合に成立する可能性のある罪です。
器物損壊罪における「損壊」とは、物の効用を害する一切の行為を指すとされています。
上記事例では、AさんがVさん宅に向かって野球用の硬球を投げ、窓ガラスを割っています。
このような行為は正に「損壊」と言えるため、Aさんは器物損壊罪として①3年以下の懲役、②30万円以下の罰金、③科料(1,000円以上1万円未満の金銭の納付)のいずれかが科されるおそれがあります。
ちなみに、窓ガラスのような建造物に付随する物が損壊されたケースでは、その物を建造物の一部と見て、器物損壊罪ではなく建造物損壊罪(刑法260条)が成立する余地があります。
裁判例には、工具を使うことで損壊することなく取り外しができた玄関ドアについて、外部との遮断、防犯、防風、防音などの機能上の重要性を重視して建造物損壊罪の成立を認めたものがあります。

【親告罪】

親告罪とは、告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪です。
Aさんの行為に適用されるであろう器物損壊罪をはじめ、名誉毀損罪、侮辱罪、秘密漏示罪、過失傷害罪、私用文書等毀棄罪、略取誘拐罪や親族間の窃盗罪等がこれに当たります。
ちなみに平成29年の刑法改正までは、強制わいせつ罪や強姦罪(現在の強制性交等罪)等も親告罪とされていましたが、現在は非親告罪となっています。

親告罪には、告訴不可分の原則があります。
これは、共犯の1人または数人に対してした告訴または告訴の取消しは、他の共犯に対してもその効力を生じることです。
これを告訴の主観的不可分と言います。
また犯罪事実の一部に対してした告訴または告訴の取消しは、その全部について効力が生じます。
これを告訴の客観的不可分と言います。

【親告罪の刑事弁護活動】

親告罪には
・告訴がなければ起訴できない
・一度取消した告訴は、同じ事実で再び告訴できない
という決まりがあります。
そのため器物損壊罪のような親告罪の刑事弁護活動は、被害者との示談が最優先されます。
未だ被害者が告訴していない場合は、示談書の中で告訴しないことを約束してもらい、既に告訴してしまっている場合は、告訴を取消すことを約束してもらうのです。
そういった内容の示談を、起訴されるまでに締結することができれば、器物損壊罪のような親告罪で警察の捜査を受けていても、刑事罰が科せられることはありません。

北海道苫小牧市の刑事事件でお困りの方、器物損壊罪のような親告罪で警察の捜査を受けておられる方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

強制わいせつ致傷罪で逮捕

2019-10-10

北海道富良野市の強制わいせつ致傷事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

北海道富良野市に住む看護師のAさんは、家の近くで自転車に乗っていたときにすれ違った女性が好みのタイプだったため、引き返して再度すれ違うようにして、すれ違い様に女性の胸を触りました。
女性はその勢いに押されて転倒し、手首を骨折してしまい、全治2か月のけがを負いました。
Aさんはすぐにその場を逃走しましたが、防犯カメラの映像などから特定され、後日、北海道富良野警察署の警察官が自宅に訪れ、Aさんは強制わいせつ致傷罪で逮捕されてしまいました。
(この事例はフィクションです)

【強制わいせつ致傷罪(刑法181条1項】

刑法第176条前段
「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。」

刑法181条1項
「第176条(強制わいせつ)、第178条1項前段(準強制わいせつ)、若しくは第179条第1項(監護者強制わいせつ)の罪、又はこれらの罪の未遂罪を犯し,よって人を死傷させた者は、無期又は3年以上の懲役に処する」

強制わいせつ罪における暴行にはわいせつ行為自体が含まれる場合もあります。
そのため、痴漢行為であっても強度のものは強制わいせつ罪となる可能性があるのです。
そして、強制わいせつ致傷罪の「傷害」の内容については今回の路上痴漢のような外傷による怪我を負った事例だけでなく、心的外傷後ストレス傷害(PTSD)を傷害と認定した裁判例も存在します。
さらに、わいせつ行為後に逃走しようとして、相手を突き飛ばしたような場合であっても相手が傷害を負った場合は時間的、場所的関係が考慮されるものの、強制わいせつ致傷罪となる可能性があります。

【看護師資格の取消しを回避するには】

強制わいせつ致傷罪の法定刑は無期又は3年以上の懲役となっており、裁判で有罪となれば懲役刑が科されることは避けられません。
保健師助産師看護師法によれば、看護師は罰金以上の刑に処せられた場合に看護師免許を与られないことがあります。
そして、現在業務に従事している看護師であれば、①戒告、②3年以内の業務の停止、③免許の取消しのいずれかを行われることもあります。
懲役刑は罰金刑より重いため、看護師資格の取消しや業務の停止に至る可能性は高いでしょう。

上記のような事態を回避するためには、なんとか不起訴を獲得し、裁判となるのを阻止する必要があります。
そのためには、やはり被害弁償や謝罪などを行って被害者と示談を締結し、被害者の処罰感情を和らげることが大切です。
強制わいせつ致傷罪は重大な罪ですが、個人の利益を侵害する罪である以上、その個人の処罰感情次第では不起訴となる可能性があります。
きちんとした内容の示談を交わし、被害者の意思を検察官に伝えることができれば、強制わいせつ致傷罪といえども不起訴となる可能性は高まるでしょう。

一度検察官により不起訴処分が下されれば、よほどのことがない限りその処分が撤回されることはありません。
ですので、たとえ強制わいせつ罪を犯してしまっても、不起訴となれば看護師資格が取り消されるリスクを相当程度抑えることができます。
お困りであれば、ぜひ弁護士に事件を依頼して不起訴を目指してください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件専門の看板を掲げる弁護士が、看護師などの資格の取消しを回避すべく真摯に弁護活動に取り組みます。
看護師の方で強制わいせつ致傷罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

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