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看護師が強制わいせつ罪

2019-06-05

北海道砂川市の看護師による強制わいせつ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

看護師になって3年目になるAさんは、友人のVさんと北海道砂川市の居酒屋で酒を飲み、その後自宅で飲み直すことにしました。
そして、自宅に戻って2人で酒を飲んでいたところ、Aさんは酒の勢いもあってVさんに無理やりキスをしました。
VさんはすぐにAさんを拒絶し、「良い飲み友達だと思ってた」とだけ言い残してAさん宅を後にしました。
翌朝、Aさんは事の重大性を認識してVさんに連絡したところ、「北海道砂川警察署に被害届を出します。もう連絡しないでください」と言われました。
Aさんは、仮に強制わいせつ罪で有罪となった場合、看護師資格に影響が出るのではないかと考え、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

【強制わいせつ罪について】

刑法
第百七十六条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪は、暴行または脅迫を手段として(対象が13歳未満の者なら不要)わいせつな行為をした場合に成立する可能性のある罪です。

強制わいせつ罪などに言う「わいせつな行為」とは、裁判例によると以下のように定義されています。
「徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ,かつ,普通人の正常な性的羞恥心を害し,善良な性的道義観念に反するもの」
「わいせつな行為」に当たる代表的なものとしては、胸を揉む、陰部に手を触れる、無理やりキスをする、といった行為が挙げられます。

また、手段となる暴行・脅迫は、相手方の反抗を困難にする程度が要求されると考えられています。
ただ、裁判例では、相手方の意思に反してさえいれば比較的緩やかに暴行・脅迫が認定されるようです。
ですので、たとえ暴行や脅迫の程度が軽かったとしても、強制わいせつ罪に当たる可能性は十分あるでしょう。

【看護師資格の取消しを回避するには】

強制わいせつ罪の法定刑は6か月以上10年以下の懲役となっており、裁判で有罪となれば懲役刑が科されることは避けられません。
保健師助産師看護師法によれば、看護師は罰金以上の刑に処せられた場合に看護師免許を与られないことがあります。
そして、現在業務に従事している看護師であれば、①戒告、②3年以内の業務の停止、③免許の取消しのいずれかを行われることもあります。
懲役刑は罰金刑より重いため、看護師資格の取消しや業務の停止に至る可能性は高いでしょう。

上記のような事態を回避するためには、なんとか不起訴を獲得し、裁判となるのを阻止する必要があります。
そのためには、やはり被害弁償や謝罪などを行って被害者と示談を締結し、被害者の処罰感情を和らげることが大切です。
強制わいせつ罪は重大な罪ですが、個人の利益を侵害する罪である以上、その個人の処罰感情次第では不起訴となる可能性があります。
きちんとした内容の示談を交わし、被害者の意思を検察官に伝えることができれば、強制わいせつ罪といえども不起訴となる可能性は高まるでしょう。

一度検察官により不起訴処分が下されれば、よほどのことがない限りその処分が撤回されることはありません。
ですので、たとえ強制わいせつ罪を犯してしまっても、不起訴となれば看護師資格が取り消されるリスクを相当程度抑えることができます。
お困りであれば、ぜひ弁護士に事件を依頼して不起訴を目指してください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件専門の看板を掲げる弁護士が、看護師などの資格の取消しを回避すべく真摯に弁護活動に取り組みます。
看護師の方で強制わいせつ罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

事務所での法律相談料:初回無料

暴行罪で不起訴

2019-06-03

北海道夕張市の暴行事件における不起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

Aさんは、北海道夕張市内を走行する電車に乗っていた際、乗客のVさんとトラブルになりました。
2人は近くの駅で降車して言い合いになり、AさんがVさんの胸倉を掴んで近くの柱に押し付けました。
その姿を駅員が目撃して警察に通報し、Aさんは北海道夕張警察庁舎にて暴行罪の疑いで取調べを受けることになりました。
後日、Aさんは弁護士の元を訪れて、なんとか不起訴で穏便に済ませられないか相談することにしました。
(フィクションです。)

【暴行罪について】

刑法
第二百八条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪は、他人に対して暴行を加えたものの、怪我などの傷害には至らなかった場合に成立する可能性のある罪です。
暴行罪と聞くと、第一に殴る蹴るといった典型的な暴行を想像される方が多いかと思います。
ですが、ここで言う「暴行」とは、不法な有形力を行使する一切の行為と考えられています。
つまり、暴力のみにとどまらず、相手方に向けられた不法な行為であれば広く暴行罪に当たる余地があるということです。
最近いわゆる「あおり運転」が問題となっていますが、これについても警視庁が暴行罪の適用を促すような通達を行っています。
「罪に当たらないと思っていた行為が実は暴行罪だった」というケースは、よくよく探してみると意外に多いかもしれません。

上記事例では、AさんがVさんの胸倉を掴んで柱に押し付けています。
このような行為は正に「暴行」と言え、Aさんは暴行罪として①2年以下の懲役、②30万円以下の罰金、③拘留、④科料のいずれかが科されるおそれがあります。
ちなみに、上記暴行によりAさんが外傷を負ったり失神したりした場合、傷害罪などのより重い罪が成立する可能性が出てきます。

【不起訴について】

刑事事件には裁判のイメージがつきまといがちですが、実際のところ裁判に至る事件というのは全体の1割もありません。
略式起訴を合わせても起訴率は全体の3割強にとどまっており、それと家庭裁判所送致を除く全体の6割強が不起訴で終了しているという実情があります(以上、法務省公表の平成29年実績)。

検察官により不起訴処分が下された場合、その日を以って事件は終了し、よほどのことがない限り起訴などにより事件が蒸し返されることはありません。
ですので、もし不起訴の知らせを受けたら、もはやその事件に関して捜査や刑罰がなされることはないと考えてよいでしょう。

不起訴には様々な理由がありますが、代表的なものとして①起訴猶予、②嫌疑不十分、③嫌疑なしの3つが挙げられます。
まず、起訴猶予とは、被疑者の事情、事件の内容、事件後の出来事などの様々な事情を考慮して行われる不起訴処分です。
後述のとおり、実務上最も多い不起訴の理由が起訴猶予であり、たとえば被害者と示談を締結した際などに行われるが多くあります。
次に、嫌疑不十分とは、その名のとおり犯罪の疑いが十分でない場合に行われる不起訴処分です。
裁判で有罪を立証できるほど証拠が揃っていない場合に行われると考えられます。
最後に、嫌疑なしとは、その名のとおり犯罪の嫌疑がない場合に行われる不起訴処分です。
たとえば、捜査を行った結果別の者が犯人であると判明した場合などがこれに当たります。

不起訴の理由の中で群を抜いて多いのは起訴猶予で、その割合は起訴などを含む全事件の5割強に及びます。
仮に罪を犯してしまったのが明らかであっても、示談などその後の弁護活動次第では不起訴となる可能性は少なからずあります。
弁護士に相談した際には、ぜひ不起訴の可能性がないか聞いてみるとよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に詳しい弁護士が、不起訴の可能性を含む事件の見通しを丁寧にお伝えします。
暴行事件を起こしてしまいお困りなら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

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盗品等有償譲受罪で自首

2019-06-02

北海道三笠市の盗品等有償譲受事件における自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

トレーディングカードの収集が趣味のAさんは、北海道三笠市のカードショップXが日本で数枚しかないカードを仕入れたと聞き、早速Xに足を運びました。
そして、Aさんと普段から親交がある店長のBさんに事情を聞いたところ、実はBさんが元の所有者から盗んだことを打ち明けられました。
それでもカードが欲しかったAさんは、Bさんから言い値でそのカードを買い受けて自宅に飾りました。
数日後、Aさんは自身の行為が盗品等有償譲受罪に当たることを知り、北海道三笠警察庁舎に逮捕されるのではないかと思いました。
そこで、自首をした方がいいかどうか弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

【盗品等有償譲受罪について】

刑法
第二百五十六条
盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の懲役に処する。
2 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の懲役及び五十万円以下の罰金に処する。

他人の物を盗んだら罪になるのは周知の事実かと思いますが、そのことを知りながら盗んだ物を譲り受けるのも罪になることはご存知でしょうか。
盗品等有償譲受罪は、窃盗罪をはじめとする財産犯により得られた物を有償で譲り受けた場合に成立する可能性のある罪です。
盗品等関与罪の一つであり、被害の回復を困難にするとともに、財産犯を助長する点で処罰に値すると考えられています。

「有償で譲り受ける」と聞くと売買を思い浮かべますが、盗品等有償譲受罪に当たるケースはそれだけではありません。
何らかのかたちで譲受けの対価が存在すればよいので、たとえば他の物との交換や借金の返済の代わりであっても盗品等有償譲受罪に当たる余地があります。

上記事例では、Bさんが元の所有者から盗み出したカードをAさんが買い取っています。
更に、Aさんはカードが盗み出されたものであることを聞かされているため、盗品だと知っていると言えます。
そうすると、Aさんは盗品等有償譲受罪が成立し、10年以下の懲役および50万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
ちなみに、盗品等有償譲受罪の法定刑は懲役と罰金の両方であり、直接物を盗んだ場合に成立する窃盗罪より重くなっています。
これは、有償での譲り受けという行為が、窃盗などの強い動機づけとなる点で特に重く処罰すべきだと考えられているためです。

【自首のメリットとデメリット】

自首とは、自らの犯罪事実を警察などに明らかにし、その処分を委ねる意思表示のことです。
自首は法律上も定めがあり、刑法において「刑を減軽することができる」とされています。

自首による刑の減軽を狙ううえで、注意すべき点がいくつかあります。
まず、捜査機関が犯罪のことを知らなかったり、誰が犯人なのか分かっていなかったりする場合でなければなりません。
つまり、捜査機関が犯罪事実と被疑者を把握しており、ただ被疑者の居場所が掴めないというケースでは、たとえ自らの意思で自首しても刑の減軽は認められないことになります。
また、捜査機関に促されて罪を明らかにするのではなく、自らの意思で自首を行う必要があります。
たとえば、取調べ中に「他に余罪はないか」などと聞かれて自首するのは、自らの意思とは言えず刑の減軽は認められません。

ただし、刑法が定める刑の減軽とは別に、自首を通した反省の態度が量刑判断に影響を及ぼすことはあります。
場合によっては、逃亡や証拠隠滅のおそれが低いとして逮捕される可能性を抑えることも期待できるでしょう。他方、自首は自らの犯罪事実を申告するものである以上、本来であれば穏便に済むはずだったことまで刑事事件となる可能性も否定できません。
そうした点において、自首はある意味「諸刃の剣」とも言えるでしょう。
もし自首すべきか迷ったら、ぜひ一度法律の専門家である弁護士に相談してみてください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、これまで数多くの刑事事件を扱ってきた弁護士が、個々の事案に応じて自首すべきか丁寧に検討します。
盗品等有償譲受罪を犯して自首のことでお悩みなら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

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往来危険罪の捜査の流れ

2019-06-01

北海道千歳市の往来危険事件における捜査の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

Aさんは、就職活動でV株式会社の選考に落とされたことの恨みから、Xの電車の運行を妨害しようと北海道千歳市内の線路上に石を置きました。
これにより、線路上を走行している電車は緊急停止し、その後数時間にわたって運行ダイヤが乱れるなどの影響が出ました。
北海道千歳警察署はすぐに捜査を開始し、Aさんを往来危険罪および威力業務妨害罪の疑いで逮捕しました。
Aさんと接見した弁護士は、Aさんに対して予想される捜査の流れを伝えました。
(フィクションです。)

【往来危険罪について】

刑法
第百二十五条
鉄道若しくはその標識を損壊し、又はその他の方法により、汽車又は電車の往来の危険を生じさせた者は、二年以上の有期懲役に処する。
2 灯台若しくは浮標を損壊し、又はその他の方法により、艦船の往来の危険を生じさせた者も、前項と同様とする。

往来危険罪は、電車・汽車・軍艦・船舶の往来の危険を生じさせた場合に成立する可能性のある罪です。
往来危険罪における「往来の危険」とは、電車などの転覆や脱線といった、交通の安全を害するおそれのある状態を指します。
必ずしも実害が出る必要はなく、交通の安全を害する可能性が認められれば「往来の危険」の存在は肯定されます。
上記事例では、電車が走行する線路上にAさんが置き石をしています。
このような行為は、正に電車の脱線などにより交通の安全を害する危険性があると言えます。
そうすると、Aさんには往来妨害罪が成立し、2年以上の有期懲役(上限20年)が科されるおそれがあります。

更に、線路への置き石は、石を置くことで電車の運行という業務を妨害する危険を有するものです。
そのため、威力業務妨害罪に当たるとして3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される余地もあります。
ちなみに、「業務を妨害した」とありますが、実際にダイヤ乱れなどの結果が生じなくともその危険さえあれば業務妨害罪は成立すると考えられています。

【捜査の流れ】

往来危険罪に当たりうる事件は、列車の脱線などの大事故を招くおそれがある大変危険なものです。
そのため、重大な事件として逮捕の可能性は高いことが予想されます。

刑事事件の流れは、逮捕・勾留による身体拘束が行われるか否かで大きく異なってきます。
以下では、往来危険罪の疑いで逮捕されたケースを想定し、想定される大まかな捜査の流れを見ていきます。

まず、逮捕後に警察官から①犯罪事実の要旨と②弁護人(基本的には弁護士)を選任できる旨が告げられたうえで、事件に関する弁解が聴取されます。
そして、引き続き身体の拘束が必要だと判断された場合、逮捕後48時間以内に身柄が検察庁に送致されます。
この時間内に取調べが行われることも多くあります。

身柄が検察官により引き受けられた後は、警察官から行われたのと同様に、再び事件に関する弁解が聴取されます。
その後、検察官は被疑者を更に長期間拘束すべきか判断し、必要性を感じれば被疑者の身柄を受け取ってから24時間以内に勾留請求をします。

検察官が勾留請求を行うと、裁判官がその当否を吟味し、身体拘束の継続が必要だと判断されれば勾留が行われます。
勾留は検察官による勾留請求の日から10日間行われるのが原則ですが、捜査の進捗次第では更に10日以内の範囲で延長されます。
加えて、勾留中に起訴が行われれば、被疑者は被告人となって勾留が最低2か月(その後必要に応じて1か月毎に更新)になります。

以上のように、捜査機関は身柄拘束に関して時間制限があることから、被疑者にとっては手続が淡々と進む印象を受けます。
漫然と時を過ごしていれば身体拘束が長期化してしまうので、釈放を目指すのであれば弁護士に依頼するなどして積極的に動く必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件専門の弁護士が、捜査の流れを把握したうえで最適な弁護活動を行います。
ご家族などが往来危険罪などの疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

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危険ドラッグ所持で情状弁護

2019-05-31

北海道夕張郡の危険ドラッグ所持事件における情状弁護について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道夕張郡に住むAさんは、大学時代の友人からの紹介がきっかけで、自宅でたびたび危険ドラッグを摂取するようになりました。
ある日、Aさんが危険ドラッグを摂取して外出したところ、近辺を警らしていた警察官に声を掛けられました。
警察官は、Aさんの受け答えから何らかの薬物犯罪の疑いをもち、Aさんを北海道栗山警察署まで連れて行きました。
検査の結果、Aさんに指定薬物を含む危険ドラッグを所持している疑いが持たれ、Aさんは家宅捜索を経て薬機法違反の疑いで逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は、Aさんに今回の同様の前科があることを知り、裁判に向けて情状弁護の準備をすることにしました。
(フィクションです。)

【危険ドラッグ所持について】

危険ドラッグとは、麻薬や覚せい剤といった既存の薬物に手を加え、既存の薬物と同等かそれ以上の危険性を持つに至った薬物です。
もともと、危険ドラッグは既存の薬物に対する法規制を潜り抜けるために製造されたものです。
ですが、製造の過程で様々な物が混入した結果、本来目指していた薬物の作用より危険なものになってしまうことが出現してしまったようです。

危険ドラッグに関する規制は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律」(通称:薬機法など)により行われています。
薬機法は、医療をはじめとする一定の用途以外で、「指定薬物」の所持、売買、製造などの行為を行うことを禁止しています。
そして、危険ドラッグの多くは、厚生労働省が定める省令によって「指定薬物」と認定された物質を含んでいます。
このようにして、危険ドラッグの規制が行われているのです。

危険ドラッグを所持した場合、薬機法違反として①3年以下の懲役、②300万円以下の罰金、③①②の両方のいずれかが科されるおそれがあります。
もし大量に所持していたなど犯情が重ければ、科される刑は厳しいものになることが予想されるでしょう。

【危険ドラッグ所持事件での情状弁護】

危険ドラッグに関する罪は、覚せい剤や麻薬といった他の薬物と比べて法定刑が軽くなっています。
そのため、特に初犯の場合、略式起訴により罰金刑が科されて直ちに事件が終了することもよく見られます。

とはいえ、略式起訴となるかは具体的な事件の内容と検察官の裁量によりますし、何より前科があったり犯情が重かったりすれば正式裁判の可能性は飛躍的に高まります。
そうしたケースでは、情状弁護により少しでも刑を軽くすることが重要となります。
情状弁護は、裁判において被告人に有利な事情を主張し、執行猶予や検察官の求刑より軽い刑といった、より寛大な判決を求める弁護活動です。
情状弁護において主張する内容は、犯罪の動機や内容といった犯罪に関する事情だけでなく、反省の態度や被害弁償といった犯罪後の事情も含まれます。

刑事事件における刑罰には、制裁的な側面と犯罪予防的な側面があると考えられています。
そのため、情状弁護を効果的に行うには、この2つの側面に結びつく事情を的確に選択する必要があります。
具体的にいかなる事情を主張するのが良いかは、どうしてもひとりひとりの事件の内容により異なってくるものです。
情状弁護の内容次第で執行猶予の可能性や刑の減軽の程度も変わってくるので、情状弁護の実効性を高めるならぜひ法律の専門家である弁護士に相談してみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、危険ドラッグに詳しい刑事事件専門の弁護士が、個々の事件に応じて最適な情状弁護を行います。
ご家族などが危険ドラッグ所持の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

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替え玉受験で執行猶予

2019-05-30

北海道小樽市の替え玉受験事件における執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道小樽市のX大学に通うAさん(21歳)は、大学職員のBさんが密かに替え玉受験のあっせんをしていることを知りました。
そして、AさんはBさんから詳しい話を聞き、受験生のCさんに代わって入学試験を受けることにしました。
Bさんの働きもあって無事試験を受け終えたAさんでしたが、その後この替え玉受験の事実が公となり、遂には北海道小樽警察署の捜査が及びました。
後日、Aさんは有印私文書偽造罪・同行使罪などの共犯の疑いで逮捕され、勾留中に起訴されました。
Aさんの弁護人となった弁護士は、執行猶予の可能性があることをAさんに説明しました。
(フィクションです。)

【替え玉受験は何罪か】

替え玉受験とは、入学試験や資格試験などにおいて、志願者である本来の受験生に代わって別の者が試験を受験する行為を指します。
本来の受験生は入学許可や資格などを、替え玉受験生は合格の対価としての金銭を得ることが一般的な目的です。

替え玉受験に対する制裁は、入学許可などの撤回や受験の禁止といった、内部的な処分に終始するケースがよく見られます。
ですが、仮に刑事事件となった場合、主に以下のような罪が成立する可能性があります。

①文書偽造罪
替え玉受験における答案は、志願者による作成が求められているにもかかわらず、実際には替え玉受験生により作成されています。
そうすると、答案の作成により文書偽造罪が、更に答案の提出により偽造文書行使罪が成立する可能性があります。
ちなみに、このことは本来の受験生が替え玉受験に同意していても変わりません。

②建造物侵入罪
更に、替え玉受験生が替え玉受験のために大学などに立ち入るのは、大学という他人が管理する場所に不当な目的で入ることを意味します。
そうすると、正当な理由なく建造物に侵入したものとして、建造物侵入罪が成立する可能性もあります。

③偽計業務妨害罪
また、替え玉受験は試験の実施主体を欺く行為であり、場合によっては円滑な試験の運営を妨げる危険を有することがありえます。
このことから、偽計業務妨害罪に当たる余地も出てきます。

以上のように、替え玉受験に関与した者には様々な罪が成立するおそれがあると言えます。
そのうえ、替え玉受験というのは周到な計画の下複数人で行われるのが殆どであるため、そのことが不利益な事情となって重い処罰に値すると評価される可能性もあります。
目先の利益に囚われて替え玉受験に関与してしまうと、後々取り返しのつかない事態が生じうることは留意しておくべきです。

【執行猶予について】

執行猶予とは、裁判により有罪となって刑が言い渡された場合に、一定の期間その刑の全部または一部の執行をしないものとする制度のことです。
一部執行猶予の方は、より柔軟に再犯防止と改善更生を図るため、比較的最近になって導入されました。

執行猶予のメリットは、有罪判決を言い渡されたからと言ってすぐに受刑しなくともよい点です。
これにより、懲役を言い渡された直後に刑務所に収容されるという事態を回避できるため、社会復帰が容易になると言えます。
更に、執行猶予を取り消されることなく猶予期間を経過すれば、刑の言い渡しは効力を失うとされています。
つまり、期間中に執行猶予が取り消されるような問題を起こさなければ、もはや刑を受ける必要はなくなります。
ちなみに、一部執行猶予があった場合は、一部以外について服役を終えた後に全部執行猶予と同様の流れになります。

執行猶予を獲得するためには、刑の執行を猶予するに足りる程度の酌むべき事情が必要です。
たとえば、事件について反省している、被害弁償を行った、罪を犯すやむを得ない理由があった、などの事情が挙げられます。
事件が重大であればあるほど、執行猶予を獲得するハードルは高くなることが予想されます。
もし執行猶予の可能性を少しでも高めるのであれば、弁護士に事件を依頼してできる限り有利な証拠を収集してもらうとよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件の豊富な経験を有する弁護士が、執行猶予の獲得に向けて的確な弁護活動を行います。
ご家族などが替え玉受験をして文書偽造罪などを疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

事務所での法律相談料:初回無料

 

強要罪で少年院回避

2019-05-29

北海道岩見沢市の強要事件における少年院回避について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道岩見沢市の中学校に通うAさん(15歳)は、友人のBさん、Cさんと共に、部活の後輩であるVさん(13歳)をいじめていました。
ある日、AさんらはVさんを部室に呼び出し、Vさんを3人で囲んで「裸にならねえと痛い目見るぞ」などと言って服を脱がせました。
後日、そのことを知ったVさんの両親が北海道岩見沢警察署に相談したため、Aさんらを強要罪の疑いで逮捕しました。
Aさんの父親は、弁護士のもとを訪ねて「少年院回避してほしい」と依頼しました。
(フィクションです。)

【強要罪について】

刑法
第二百二十三条
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。

強要罪は、他人に対して無理やり何かをさせたときに成立する可能性がある罪です。
強要罪が成立するためには、強要の手段として暴行または脅迫の存在が必要となります。
この暴行または脅迫は、強要の相手方が恐怖心を抱き、行動の自由が侵害される程度のものである必要があるとされています。
つまり、暴行や脅迫により相手方が恐怖し、他の行動に出ることができずやむを得ず要求された行為に及べば、強要罪は成立すると考えられます。

上記事例では、Aさんら3名がVさんを囲み、「裸にならねえと痛い目見るぞ」などと言って裸になるよう要求しています。
こうした行為は、脅迫により義務のないことを行わせるものといえ、Aさんらには強要罪が成立すると考えられます。

子どもによるいじめは学校という閉じた場所で行われるため、それが警察沙汰になるというのは想像しにくいかもしれません。
ですが、罪に当たる行為が行われている以上、その内容や保護者の態度いかんでは当然に刑事事件となる可能性があることは留意しておくべきです。

【少年院を回避するには】

20歳未満の者が罪を犯した場合、その事件は通常の刑事事件ではなく少年事件として扱われるのが原則です。
少年事件は逆送されない限り刑罰が科されず、その代わりに保護処分という少年の更生に向けた措置がとられることになります。

保護処分には、①保護観察、②児童自立支援施設・児童養護施設送致、③少年院送致の3つがあります。
このうち最もよく耳にするのは③少年院送致ではないかと思います。
少年院送致とは、その名のとおり少年を少年院に入院させ、そこでの生活を通して更生を図るための保護処分です。
一般的に、少年院送致が行われるのは、家庭や学校・職場といった少年の現在の環境では更生が達成しづらいケースです。
そうしたケースに当たるかどうかの判断は、少年事件が家庭裁判所に送致された後で行われる調査と、それを受けて必要に応じて行われる少年審判によります。
これらの手続を経て、少年自身や周囲の力でどの程度更生が見込めるか確かめられ、最終的な保護処分の内容が決められることになるのです。

少年院送致を回避するためには、第一に少年の更生が実現できる環境をきちんと整える必要があります。
それは少年自身の問題にとどまらず、主に保護者をはじめとする少年の周囲の問題でもあります。
大切なのは、悪いことをしたからといって少年を責めたりせず、非行に至った原因を紐解いてきちんと少年に向き合うことです。
具体的に何をすればいいかは少年ひとりひとりにより違うので、困ったら少年事件に詳しい弁護士に聞いてみるとよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、少年事件に強い弁護士が、少年院送致を回避するために行うべきことを丁寧にお伝えします。
お子さんが強要罪を犯してしまったら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

事務所での法律相談料:初回無料
北海道岩見沢警察署までの初回接見費用:39,700円

痴漢事件で釈放

2019-05-28

北海道江別市の痴漢事件における釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

Aさんは、北海道江別市のショッピングモールに買い物に行った際、同じく買い物中の好みの女性Vさんとすれ違いました。
そこで、Aさんは偶然を装って痴漢をしようと思い、背後を通り抜けるふりをしてVさんのお尻を撫でました。
その様子を他の買い物客に目撃され、Aさんは北海道迷惑防止条例違反(痴漢)の疑いで北海道江別警察署に逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は、勾留を阻止して釈放を目指すことにしました。
(フィクションです。)

【痴漢について】

北海道迷惑防止条例は、公共の場所において、著しく羞恥させ、または不安を覚えるような方法で、他人の身体に触れてはならない旨規定しています。
痴漢」と呼ばれる行為の多くはこれに当たり、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金(常習はそれぞれ1年以下、100万円以下)が科されるおそれがあります。

また、痴漢の内容が悪質な場合、北海道迷惑防止条例違反ではなく強制わいせつ罪に問われる可能性もあります。
「わいせつな行為」の例としては、無理やりキスをする、胸を激しく揉む、膣や肛門に指を入れるといった、痴漢の中でも程度が甚だしいものが挙げられます。
こうした行為を行えば、強制わいせつ罪として6か月以上10年以下の懲役が科されるおそれが出てくるでしょう。

更に、あらかじめ痴漢を目的として公共の場所に立ち入った場合、建造物侵入罪をはじめとする侵入罪が成立する可能性もあります。
公共の場所は通常誰でも自由に立ち入ることができますが、その目的が不当なものであれば「正当な理由」に欠けるとして侵入罪の要件に当てはまります。
法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金であり、痴漢の刑罰に加算されるかたちになるため注意が必要です。

以上のように、一口に「痴漢」と言っても、具体的にいかなる罪が成立するかは個々の事案によります。
取調べ対応などの捜査対策も事件ごとに変わってくるので、やはり弁護士にどうすべきか直接聞くことをおすすめします。

【釈放を目指して】

個々の事案によりますが、痴漢事件は比較的罪が軽く、なおかつ事件の内容も単純であることが多いです。
そのため、逮捕を行わずに在宅で捜査したり、仮に逮捕したとしても短期間で釈放したりすることがよくあります。
ですが、そうした運用がどこの捜査機関でも定着しているかというとそういうわけではありません。

刑事事件では、釈放を実現するうえで①逮捕の期限である72時間、②勾留の期限である10日間(延長されれば20日間)、③起訴後という3段階を意識することになります。
捜査機関はそれぞれの期限内に被疑者の身柄拘束を継続すべきか判断することになっており、それに合わせて釈放を目指す弁護士なども動くことになるからです。
先ほど説明したように、逮捕を伴う痴漢事件の多くは上記①のタイミングで釈放されますが、比較的軽微な事案であるにもかかわらずそれが叶わないことがあるのもまた事実です。
そうしたケースでは、弁護士は適宜、裁判官や検察官に意見を申し立て、被疑者の身体拘束の継続が妥当でないことを訴えて釈放を目指すことになります。
この釈放に向けた手段は複数のものがあり、いずれが最適かは状況に応じて変化していきます。
一日でも早い釈放を目指すなら、ぜひ弁護士釈放の実現を依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に特化した弁護士が、釈放に向けた的確な弁護活動に取り組みます。
ご家族などが痴漢をして逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

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北海道江別警察署までの初回接見費用:38,200円

建造物侵入罪で逮捕

2019-05-27

北海道札幌市の建造物侵入事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

Aさんは、キャッシュカードを偽造して他人の預金を引き出そうと考え、ATMにスキミング用の装置を取り付けることにしました。
そこで、北海道札幌市手稲区内の郵便局に立ち入り、計画どおりATMのキャッシュカード挿入口にスキミング用の装置を取り付けました。

その翌日、郵便局の従業員がATMに不審な装置が取り付けられていることに気づき、北海道手稲警察署に相談することにしました。
しばらくして、ATM付近に設置されていた防犯カメラの映像が決め手となり、Aさんは建造物侵入罪などの疑いで逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、弁護士初回接見を依頼しました。
(フィクションです。)

【建造物侵入罪について】

刑法
第百三十条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

建造物侵入罪は、正当な理由なく建造物に立ち入った場合に成立する可能性のある罪です。
住居侵入罪や不退去罪とともに、刑法130条に規定されています。
建造物侵入罪における「正当な理由」とは、建造物への立入りを適法と見ることができる事情を指します。
その例としては、建造物の管理者の同意がある、暴漢に襲われてやむを得ず逃げ込んだ、といったものが考えられます。

建造物侵入罪は管理者の同意があれば成立しないため、誰でも自由に立入りが認められている建造物への立入りには適用されないようにも思えます。
ですが、そうした出入りが自由な建造物は管理者の同意が推定されていると言え、その推定が破られれば建造物侵入罪に当たる余地が出てきます。
上記事例において、Aさんはスキミング用の装置をATMに取り付ける目的で郵便局に立ち入っています。
こうした目的は、郵便局の管理者である職員の同意が推定されない不法はものと考えられます。
そうすると、Aさんには建造物侵入罪が成立し、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
ちなみに、スキミング装置の取付けについては、支払用カード電磁的記録不正作出等準備罪に当たる可能性があります。

【逮捕の種類とその概要】

刑事事件では、事件の重大性や被疑者の態度などを考慮して逮捕が行われることがあります。
この逮捕には、①通常逮捕、②現行犯逮捕、③緊急逮捕の3種類があります。
以下では、それぞれの逮捕の概要を説明していきます。

①通常逮捕
通常逮捕は、過去に起きた事件について、裁判官に逮捕状を請求して行う基本的な逮捕です。
たとえば、捜査機関が自宅を訪ねて逮捕する場合や、警察署で取調べをした際に逮捕する場合などが考えられます。
事前に裁判官に逮捕状を請求する必要があるとされているため、安易な通常逮捕は抑制されていると言えます。

②現行犯逮捕
現行犯逮捕は、犯罪を行っている最中またはその直後である者に対し、逮捕状を取得することなく行う逮捕です。
現行犯は誤認逮捕の可能性が低い一方、直ちに被疑者の身柄を確保する必要があるため、例外的に逮捕状なくして行うことができるものとされています。
また、捜査機関だけでなく私人でも行える点も特徴の一つです。

③緊急逮捕
緊急逮捕は、一定の重大な罪を犯した疑いが充分である者に対し、事後的に逮捕状を取得することを条件に行う逮捕です。
事前に逮捕状を取得する必要がない点で捜査機関に大きな権限があるため、対象となる罪の限定と充分な嫌疑の要求という厳しい要件となっています。
もし緊急逮捕を行った後で逮捕状の請求が却下された場合、被疑者は直ちに釈放されなければなりません。

以上のように、逮捕にはそれぞれ別個の定めがなされており、それを捜査機関が遵守したかどうかは弁護士にとって重要な事情となります。
場合によっては証拠排除による無罪や国に対する損害賠償請求に関わってくるので、違法な逮捕があったと感じたら一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に特化した弁護士が、依頼者様の利益を最大化させるべく手を尽くします。
ご家族などが建造物侵入罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

事務所での法律相談料:初回無料
北海道手稲警察署までの初回接見費用:36,300円

詐欺罪で控訴

2019-05-26

北海道札幌市の詐欺事件における控訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道札幌市豊平区の建築会社Xに勤めるAさんは、上司であるBさんから指示を受け、Vさんに頼んでXに300万円の融資をしてもらいました。
融資を依頼した理由は、Bさん曰く「元請けからの工事代金の入金が遅れている。このままだと材料の仕入代が足りない」というものでした。
これを信じてVさんに融資を頼んだAさんでしたが、後になって実は請け負った工事など存在せず、Bさんの詐欺の片棒を担がされていたことに気づきました。
Vさんからの被害届を受け、北海道豊平警察署はAさんおよびBさんを詐欺罪の疑いで逮捕しました。
その後、Aさんは裁判で有罪判決を言い渡されたことから、弁護士に控訴を依頼しました。
(フィクションです。)

【詐欺罪について】

刑法
第二百四十六条
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

詐欺罪は、他人から金銭などの財産を騙し取った場合に成立する代表的な罪です。
詐欺罪が成立する基本的な流れは、①欺く行為、②それによる相手方の誤信、③誤信した状態での財産の交付というものです。
上記事例では、Bさんの指示を受けたAさんが、元請けからの入金が遅れたことで材料費が不足しているという虚偽の事項を伝えています。
そして、VさんはXが融資を必要としていると誤信し、Xに対して300万円の融資をしています。
そうすると、Aさんの行為は客観的に見て詐欺罪に当たると言えます。

ただ、AさんはBさんが話した融資の必要とする理由を信じており、AさんにVさんを欺くつもりがあったわけではありません。
犯罪の成立を認めるには個々の犯罪について故意が必要なので、Aさんは詐欺罪の故意が否定される結果、詐欺罪は成立しないと考えられます。
ちなみに、こうしたケースでは、事情を知らないAさんを意のままに操ったBさんに詐欺罪が成立する余地があります。

【控訴による判決変更の可能性】

上記事例のAさんは、無罪だと考えられるにもかかわらず、裁判において詐欺罪で有罪判決が言い渡されています。
このように、判決の内容が求めていたものと異なる場合、控訴によってその内容を覆すことができる場合があります。

控訴とは、ある事件で言い渡された1回目の判決(第一審と言います)に不服がある場合に、その内容の当否を上位の裁判所に判断してもらう手続です。
第一審の判決が言い渡された日の翌日を1日として、14日以内であれば申し立てることができます。
控訴は被告人も検察官も行うことができますが、被告人が行う場合、被告人にとって不利益な変更が行われることはありません。
そのため、第一審より悪い結果になったらどうしようなどと考える必要はなく、安心して控訴の申立てを行うことができます。

刑事事件における控訴は、第一審に見直すべき点がないかを事後的に判断することになっています。
そして、見直すべき点を指摘する義務は控訴を申し立てた当事者にあり、なおかつ見直すべき理由は法律に定められた特定のものでなければなりません。
その例としては、裁判の公開などの裁判の大原則に反している、本来裁判ができない事件の裁判をした、事実の誤認がある、などが挙げられます。
もしその理由に妥当性がなければ、新たな判決が言い渡されることなく控訴審は終了してしまいます(棄却)。

以上に挙げた控訴に関する定めは一部であり、他のものも含めると控訴の手続はかなり複雑なものになっています。
ですが、場合によっては無罪や執行猶予になることもあるため、控訴の有用性は決して見逃すべきではありません。
もし第一審の判決の内容を不服に思ったら、一度控訴について弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件専門の弁護士が、控訴のご依頼についても自信を持ってお受けできます。
ご家族などが詐欺罪で有罪となり、控訴を望まれているなら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

事務所での法律相談:初回無料
北海道豊平警察署までの初回接見費用:34,300円

 

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