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ストーカー事件で示談

2019-05-25

北海道札幌市のストーカー事件における示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

Aさんは、以前同じバイトをしていたVさんに恋愛感情を抱き、自身がバイトをやめた後もたびたび元バイト先に行ってはVさんと話しかけていました。
やがて、AさんはVさん宅がどこにあるのか知りたいと思い、バイト終わりのVさんの後をつけ、北海道札幌市厚別区にVさん宅があることを突き止めました。
自宅の前でAさんの存在に気づいたVさんは、Aさんに対して「気持ち悪いのでやめてください」と言いましたが、Aさんはその後もVさんにつきまとうなどストーカー行為を続けました。
後日、Aさんは北海道厚別警察署の警告にも耳を貸さなかったことから、ストーカー規制法違反の疑いで逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、弁護士示談交渉を依頼しました。
(フィクションです。)

【ストーカー行為について】

日本では、「ストーカー行為の規制等に関する法律」(通称:ストーカー規制法)により、ストーカー行為を行った場合の措置などが定められています。
ストーカー規制法が定める「ストーカー行為」とは、特定の相手に対して、ストーカー規制法が定義する「つきまとい等」を反復して行う行為と定義されています。
そして、「つきまとい等」とは、おおむね以下の要素を持つものです。
①恋愛感情などの好意またはそれが満たされなかったことに対する怨恨を充足する目的があること
②①の感情を向けられた本人または本人と一定の関係にある者(親族など)が対象であること
③身体の安全、住居等の平穏、名誉が害されたり、行動の自由が著しく制限される不安を覚えたりする方法で行為が行われること
また、「つきまとい等」の例としては、つきまといのほか、無言電話、メール、動物の死体など不快感または嫌悪感を抱く物の送付、卑猥な発言、侮辱などがあります。

ストーカー規制法は、ストーカー行為の規制を行政と司法の両面から行っています。
まず、警察署長などは、「つきまとい等」を繰り返すおそれがあるなど一定の場合において、行為者に対して警告や禁止命令を行うことができます。
これは一種の行政指導であり、逮捕を伴ったり刑罰が科されたりする刑事事件とは異なります。
他方、ストーカー行為については1年以上の懲役または100万円以下の罰金という罰則が定められており、これを科すことを目的として刑事事件となることもあります。
更に、行政指導の一環である禁止命令に背いてストーカー行為に及んだ場合、罰則が2年以下の懲役または200万円以下の罰金に引き上げられることがあります。

【ストーカー事件における示談】

ストーカー事件は、ストーカー行為の悪質性から、被害者が被疑者・被告人と一切関わりたくないという意思を示していることも珍しくありません。
そうした状況では、被疑者・被告人本人はもちろん、その家族でさえも示談交渉に及べないことがよくあります。

そこで、ストーカー事件において示談を行うなら、示談交渉弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士による示談には、以下のようなメリットがあります。
第一に、示談交渉を安全に進め、交渉決裂となるリスクを抑えることができます。
弁護士は法律に関わるトラブルを数多く経験しているのが通常であるため、示談の経験が豊富であり、示談交渉を円滑に進める術を身につけていると言えます。
そのため、時には法的知識という武器も駆使しつつ、被害者と加害者との間で妥当な落としどころを見つけられる可能性が高いでしょう。
第二に、適切な内容の示談を締結することで、示談という合意の効果を最大限に発揮することが期待できます。
示談は事件の解決を確認する役割を果たしますが、その役割を引き出せるかどうかは合意の条件や示談書の文言といった要素に掛かっています。
そうした要素の細部に気を配ることができるのは、法律の専門家である弁護士ならではと言っても過言ではありません。

以上のような弁護士の強みは、ストーカー事件での示談交渉においても重要な役割を果たすことが期待できます。
特に早期釈放や不起訴を目指すのであれば、ぜひ示談交渉弁護士に任せてください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件の豊富な経験を有する弁護士が自信を持って示談交渉に取り組みます
ご家族などがストーカー規制法違反の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

事務所での初回接見費用:初回無料
北海道豊平警察署までの初回接見費用:36,200円

器物損壊罪が不起訴

2019-05-24

北海道札幌市の器物損壊事件における不起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

Aさんは、知人のVさんがなかなか借金を返済してくれないことに腹を立て、北海道札幌市白石区のVさん宅の窓に向かって硬式野球のボールを投げました。
ボールは窓に直撃してガラスの破片が飛び散りましたが、日中でVさんが留守にしていたため怪我人はいませんでした。
その後、Vさん宅に仕掛けられていた防犯カメラの映像が決め手となり、Aさんは器物損壊罪の疑いで北海道白石警察署にて取調べを受けることになりました。
もともと野球中の事故を装おうと考えていたAさんは、焦って弁護士不起訴にできないか聞いてみることにしました。
(フィクションです。)

【器物損壊罪について】

刑法
第二百六十一条
…他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
(一部省略)

器物損壊罪は、他人の物(建造物、艦船、特定の内容の文書を除く)を「損壊」した場合に成立する可能性のある罪です。
器物損壊罪における「損壊」とは、物の効用を害する一切の行為を指すとされています。
上記事例では、Aさんが硬式野球用のボールを投げ、Vさん宅の窓ガラスを割っています。
このような行為は正に「損壊」と言え、Aさんは器物損壊罪として①3年以下の懲役、②30万円以下の罰金、③科料(1,000円以上1万円未満の金銭の納付)のいずれかが科されるおそれがあります。

ちなみに、窓ガラスのような建造物に付随する物が損壊されたケースでは、その物を建造物の一部と見て、器物損壊罪ではなく建造物損壊罪(刑法260条)が成立する余地があります。
裁判例には、工具を使うことで損壊することなく取り外しができた玄関ドアについて、外部との遮断、防犯、防風、防音などの機能上の重要性を重視して建造物損壊罪の成立を認めたものがあります。

【不起訴を目指すには】

刑事事件は、その全てが裁判になって最終的に刑罰が科されるというわけではありません。
中には、不起訴となって刑罰を科されることなく終了する事件が少なからずあります。
そのため、たとえ刑事事件を起こしてしまっても、一度冷静になって不起訴の可能性がないか弁護士に聞いてみることを心掛けるとよいでしょう。

不起訴の理由は多岐に渡りますが、その中でよく見られるものとして起訴猶予が挙げられます。
起訴猶予とは、検察官にとって起訴すれば有罪にできる見込みがあるものの、様々な事情を考慮して起訴を敢えて見送る処分です。
考慮される事情としては、①性格や来歴といった犯人に関する事情、②動機や軽重といった犯罪に関する事情、③犯罪後の情況が挙げられます

不起訴処分が下された場合、その事件は検察官による不起訴の判断を以って終了したものとみなされ、よほどのことがない限り起訴されて裁判が行われることはなくなります。
起訴されなければ裁判で事件が公になることはありませんし、懲役や罰金などの刑罰も科されませんので、被疑者にとって不起訴処分は非常に有益と言えるでしょう。

器物損壊事件で起訴猶予による不起訴を目指すなら、やはり被害者との示談が重要になります。
ただ、事件の張本人が直接示談交渉に及ぶことは、交渉の決裂や被害者からの不当な要求のリスクがあることから決しておすすめできません。
適正な内容の示談をできるだけ早く交わすなら、ぜひ法律の専門家である弁護士示談交渉を依頼してください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件専門の法律事務所として、これまで数多くの不起訴処分を獲得してまいりました。
器物損壊事件も自信を持ってお受けできますので、お困りなら弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

事務所での法律相談料:初回無料
北海道白石警察署までの初回接見費用:35,100円

不正アクセスで保護処分

2019-05-23

北海道札幌市の不正アクセス事件における保護処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道札幌市北区に住むAさん(17歳)は、日頃から同区内に住む同級生のVさんにからかわれていたため、たまには仕返しをしてやろうと考えました。
そこで、AさんはVさんがよく遊んでいるオンラインゲームのアカウントに勝手にログインし、ゲーム内のアイテムを見境なく削除していきました。
翌日、アイテムが消えていることに気づいたVさんは、北海道北警察署に不正アクセス被害にあったことを相談しました。
ほどなくしてAさんは不正アクセス禁止法違反の疑いを持たれたため、Aさんの両親は弁護士保護処分について聞いてみました。
(フィクションです。)

【不正アクセスについて】

不正アクセスは、IDとパスワードを用いたりコンピュータの不備を利用したりするなどして、本来であればアクセス権限がないコンピュータにアクセスをする行為です。
不正アクセス被害の増加を受け、日本では「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(通称:不正アクセス禁止法)が定められました。
不正アクセス禁止法は、「不正アクセス行為」の内容を定義したうえで、不正アクセス行為およびそれにつながる行為の禁止や、不正アクセス行為の防止に向けた国の責務などを定めています。

不正アクセス行為を行った場合、不正アクセス禁止法違反により3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
上記事例では、AさんがVさんのオンラインゲームのアカウントに勝手にログインしています。
その過程で、AさんはVさんのアカウントのIDとパスワードを用いていると考えられます。
そうすると、Aさんの行為は不正アクセス禁止法2条4項1号の不正アクセス行為に当たることになるでしょう。
ちなみに、不正アクセス行為の処罰に関して、それに用いたIDやパスワードをどのように入手かという点は問われません。
ただし、不正アクセス行為につながるIDやパスワードの不正取得、提供、保管などは、不正アクセス禁止法により罰則を伴う規制が別途行われています。

【少年事件における保護処分】

少年、すなわち20歳未満の者を被疑者とする刑事事件は、少年事件として通常の刑事事件とは異なる取り扱いが行われます。
通常の刑事事件では刑罰による制裁および犯罪予防が目指されるのに対し、少年事件では保護処分による少年の更生が目指されることになります。
その理由は、少年の心身は未だ発達段階にあり、性格や嗜好などが将来的に変化する可能性を秘めていると考えられているからです。

少年事件は、検察庁に送致されて取調べなどの捜査が行われた後、原則としてその全てが家庭裁判所に送致されることになります。
家庭裁判所では、非行事実の有無とその内容や、少年の素行、性格などについて調査を行ったうえで、必要に応じて少年審判を行います。
そして、少年審判の結果、更生に向けた具体的な処分である保護処分の内容が決定されることになります。

保護処分には、①保護観察、②児童自立支援施設・児童養護施設送致、③少年院送致の3つがあります。
それぞれの特徴は、おおむね以下のとおりです。

①保護観察
保護観察官および保護司の指導・監督のもと、他の施設に行くことなく自宅などで更生を図る処分です。
②③と異なり自宅での更生が中心となるため、保護処分の中では最もソフトなものと言えるでしょう。

②児童自立支援施設・児童養護施設送致
まず、児童自立支援施設送致は、不良行為を行い、またはそのおそれがある少年や、家庭環境などを理由に生活指導などを要する少年に対して行われます。
その名のとおり少年の自立に向けた支援が行われますが、施設に入所する場合と自宅などから通う場合の両方があります。
また、児童養護施設送致は、保護者の不在や虐待などにより適切な養護が望めない少年に対して行われます。
児童自立支援施設と異なり、自立支援だけでなく養護も目的とする点に特色があります。

③少年院送致
自宅などを離れて少年院に収容し、更生に向けた指導・教育を受けさせる処分です。
保護処分の中で最も強度のものであり、教育を兼ねていることから学校のような役割も併せ持ちます。

以上で見たように、保護処分には様々な種類があり、いずれが適切かは少年ひとりひとりにより異なってきます。
選択される保護処分の見通しも個々の事案により異なってくるので、もし何かお悩みであれば弁護士に相談してみるとよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、少年事件に詳しい弁護士が、保護処分を含む少年事件のポイントをしっかりとお伝えいたします。
お子さんが不正アクセスをしてしまったら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

事務所での法律相談料:初回無料
北海道北警察署までの初回接見費用:35,100円

横領罪で事件化阻止

2019-05-22

札幌市の横領事件における事件化阻止について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

Aさんは、かねてより持っていた土地を処分したいと考え、知人のVさんに対して時価相当の1500万円で売りました。
代金を受け取った後、AさんはVさんが登記について何も言ってこないのにつけ込み、事情を知らないBさんに同額で土地を売りました。
しばらくして、Vさんは上記二重売買の事実を知り、Aさんに事実確認を行ったうえで北海道南警察署に被害届を出す旨宣言しました。
困ったAさんが弁護士に相談したところ、弁護士は①横領罪が成立する可能性があること、②示談により事件化阻止を狙うべきであることを説明しました。
(フィクションです。)

【土地の二重売買に成立する罪】

土地の二重売買は、ある者に対して土地を売ったにもかかわらず、同じ土地を別の者に対しても売る行為です。
民法上、土地は当事者の意思表示(契約)のみにより当事者間において所有権が移転し、第三者に対する権利の証明などは登記というものにより図られることになります。
つまり、土地の売買はいわば契約と登記で1セットとなっており、登記をしない限り第三者に対して土地が自己の物であると主張できない可能性があるのです。

土地の二重売買は売買という民事事件ですが、それだけでなく横領罪が成立して刑事事件となる可能性もあります。
横領罪が成立する理由は以下のとおりです。
まず、先ほど説明したように、所有権の移転は売買における意思表示のみで行われます。
これにより土地は買主の物となりますが、他方で土地の権利の帰属を外部に示す登記は依然として売主が握っている状態になります。
これは、売主が「他人の物」となった土地を法律上支配している、すなわち「占有」していると言えます。

そして、土地の二重売買を行う場合、売主は1番目の買主を裏切って、まるで自身が土地の所有者であるかのように土地を売ることになります。
このような行為は、買主との信頼関係に背いており、なおかつ所有者本人にしか許されないものであるため、「横領」に当たると言えます。

以上を上記事例に当てはめると、Aさんは自己が「占有」する「他人の物」を「横領」したことから、横領罪が成立して5年以下の懲役が科されるおそれがあると言えます。
ちなみに、上記事例のBさんが「既に売主がいたなら絶対に土地を買わなかった」などと思っていたのであれば、更に詐欺罪が成立する余地もあります。

【事件化阻止に至るには】

刑事事件は犯罪の発生が不可欠の要素となっており、警察などの捜査機関が介入する点で民事事件(単なるお金の請求など)とは区別されます。
ただ、捜査機関が全ての刑事事件を把握しているということは当然ながらなく、特に被害者がいる事件の殆どは被害届などの受理により認知することになります。
逆に言えば、被害届が出る前の段階で揉め事が解決すれば、事件化阻止が実現し様々な負担を免れることができるということになります。

事件化阻止によるメリットは様々なものがあります。

まず、捜査機関の捜査が及ぶことがなくなるため、取調べなどに時間を割かずに済みます。
事件の捜査は取調べだけでも複数回に渡るのが通常なので、それを全く受ける必要がないというのは大きいです。

また、捜査の進行状況などに縛られることなく、直ちに事件を終了させることができます。
逮捕を伴う事件は別ですが、逮捕を伴わない事件は終了までに数か月を要することもよくあります。
これに対し、事件化阻止による終了は、終了までに要求される捜査を受けることがない結果、速やかに事件から解放されます。

更に、捜査機関から被疑者として扱われないので、犯罪を疑われて捜査を受けたという前歴が残りません。
前歴は有罪となった場合につく前科とは異なりますが、のちに罪を犯した際に不利益に作用することがありえます。
ですので、事件化阻止はそうした不利益を回避することにもつながります。

以上のように、事件化阻止は不起訴や執行猶予よりも綺麗に事件を終えることができる点で優れています。
ただ、事件化阻止を実現するには、捜査機関が事件を了知する前に被害者と示談などを行う必要があります。
その際には円滑かつ適切な示談交渉が最重要となるので、少しでも不安であればぜひ弁護士に相談してください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に詳しい弁護士が、事件化阻止に向けて示談交渉などに真摯に取り組みます。
土地の二重売買などにより横領罪を犯してしまったら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

事務所での法律相談料:初回無料
北海道南警察署までの初回接見費用:36,900円

人身事故で執行猶予

2019-05-21

札幌市の人身事故における執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

Aさんは、北海道札幌市東区を自動車で走行していた際、信号が赤だったにもかかわらずそれに気づかず停止しませんでした。
それにより、自転車を押して横断歩道を渡っていたVさんと接触し、Vさんに骨折など全治1か月程度の怪我を負わせました。
通報により現場に駆けつけた北海道東警察署の警察官は、事情聴取ののちAさんを過失運転致傷罪の疑いで逮捕しました。
Aさんと接見した弁護士は、処分の見通しとして執行猶予の説明をしました。
(フィクションです。)

【自動車による人身事故】

自動車で人身事故を起こした場合、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(通称:自動車運転処罰法)が適用されます。
自動車運転処罰法は、本来刑法が定める過失傷害罪などに当たる行為のうち、自動車によるものを別の罪として重く罰するための法律です。
そのため、自動車運転処罰法には、自動車による罪の内容と罰則に関する規定のみが定められています。

刑法が定める過失傷害の罪は、通常の過失、重過失または業務上過失といった違いはあるにせよ、基本的には傷害の原因を「過失」とひとまとめにします。
一方、自動車運転処罰法違反の罪は、人身事故に至った具体的な原因によっていくつかの罪に分かれます。

まず、自動車運転処罰法に列挙されていない過失による人身事故について、原則的な罪として過失運転致死傷罪が定められています。
法定刑は7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金となっていますが、傷害の程度が軽ければその刑を免除されることがあります。

次に、特定の危険な行為による人身事故について、危険運転致死傷罪という罪が定められています。
危険運転の例としては、酒や薬物の影響により正常な運転が困難な状態での運転、車を制御できないほど著しいスピードでの運転などがあります(詳しくは自動車運転処罰法2条参照)。
法定刑は、死亡事故であれば1年以上の懲役、それ以外の人身事故であれば15年以下の懲役です。

刑法を見てみると、過失致死傷の罪のうち最も重い業務上過失傷害罪でも、法定刑は5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金とされています。
一方、自動車による人身事故については、最も軽いもので過失運転致死傷罪に規定されている7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金です。
このことから、自動車による人身事故が過失犯の中でも特に重大だと考えられていることが分かります。

【執行猶予について】

上記事例では、Aさんが赤信号を見落としたことにより、横断歩道を渡っていたAさんと接触するという人身事故が起きています。
こうした行為は、自動車運転処罰法が定める危険運転には当たらないものの、自動車による人身事故である以上は過失運転致傷罪に当たると考えられます。

過失運転致傷事件においては、裁判に至った場合に執行猶予付き判決が下される可能性があります。
執行猶予が言い渡されると、言い渡された期間中は刑の執行が一時的に免除されます。
それだけでなく、執行猶予を取り消されることなく猶予期間が経過すれば、簡単に言うと刑が免除されてその執行を受ける必要がなくなります。
たとえば、仮に懲役2年6月、執行猶予4年の判決が下った場合、執行猶予が取り消されることなく4年が経過すれば刑の執行を免れられるということになります。
社会復帰が早期に実現できる点で、執行猶予は被告人にとって有益と言えるでしょう。

人身事故のケースを含む過失傷害事件では、故意に罪を犯したわけではないという理由で、執行猶予付き判決が下されやすい傾向にあります。
ただし、人身事故のケースにおいては、執行猶予を得るために弁護活動を尽くされなければならない場合がありえます。
たとえば、過失(不注意)の程度が著しかった、障害が残るほど怪我の程度が重かったなどの事情があるケースが挙げられます。
もしそのような人身事故を起こしてしまったら、執行猶予を得るために何をすればいいか弁護士に相談してみましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、人身事故に詳しい弁護士が、執行猶予の実現に向けて的確な弁護活動を行います。
人身事故を起こしてしまいお困りなら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

事務所での法律相談料:初回無料
北海道東警察署までの初回接見費用:34,700円

児童福祉法違反(淫行)で初回接見

2019-05-20

札幌市の児童福祉法違反(淫行)事件における初回接見について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道札幌市西区の中学校に務めるAさんは、体育を担当するかたわら女子バレー部の顧問をしていました。
その女子バレー部のキャプテンであるVさんは、熱心な指導を行いながらもいつも生徒のことを気遣ってくれるAさんに好感を抱いていました。
そのことに気づいていたAさんは、練習終わりにVさんを呼び出し、Vさんの同意のもと性交に及びました。
こうした関係がしばらく続きましたが、後日Aさんは児童福祉法違反(淫行をさせる行為)の疑いで北海道西警察署に逮捕されました。
逮捕の事実を知ったAさんの両親は、弁護士初回接見を依頼することにしました。
(フィクションです。)

【児童福祉法における「淫行をさせる行為」】

18歳未満の者と性交を行った場合、北海道では北海道青少年健全育成条例違反(淫行)として罰せられる可能性があります。
こちらの方は弊所でも多くの相談が寄せられていますが、これとは別に淫行を罰する法律として児童福祉法があります。
児童福祉法は、児童の心身に悪影響を及ぼしうる行為の一種として、「児童に淫行をさせる行為」を規定しています。
この文言を読む限りでは、飽くまでも第三者を対象として児童に淫行をさせる行為のみが禁止されているように思えます。
ですが、上記規定は、自身を対象として児童に淫行をさせる行為をも禁止するものと考えられています。
つまり、児童と直接淫行に及んだ場合も、「淫行をさせる行為」として児童福祉法違反となりうるのです。

児童福祉法に言う「淫行をさせる行為」とは、児童に対して事実上の影響力を行使し、児童による淫行を助長・促進させる行為を指すとされています。
つまり、児童との淫行の全てがこれに当たるわけではなく、児童による性交の意思決定に関して影響力を及ぼす淫行がこれに当たると考えられます。
上記事例のAさんは、バレー部の顧問として日頃から指導・教育を行うVさんを呼び出し、Vさんの同意のもと性交に及んでいます。
こうした行為は、Aさんに対して事実上の影響力を行使していると評価でき、児童福祉法違反の罪として①10年以下の懲役、②300万円以下の罰金、③①②の両方のいずれかが科されるおそれがあります。
ちなみに、児童の親など「現に監護する者」による淫行は、児童福祉法違反ではなく刑法が定める監護者性交等罪に当たる余地が出てきます。

【迅速な初回接見の必要性】

逮捕された被疑者は、警察署に留置されることで外部との接触が制限されます。
勾留決定以後であれば面会が可能となりますが、それまでには少なくとも逮捕から2~3日を要し、なおかつ事件の話を詳細にできるわけではありません。

そうした状況下において、弁護士による初回接見は様々な役割を期待することができます。

まず、弁護士接見(面会)に関する種々の制限が課されないため、一般人とは比べ物にならないほど自由に被疑者と会うことができます。
これにより、本来であれば面会が許されていない逮捕直後であっても、被疑者と会って話を聞くことができます。

また、被疑者との間における秘密を保持する必要があることから、弁護士による接見には警察官などの立会が認められていません。
そのため、事件の詳細やまだ捜査機関が知らない事柄でも、捜査機関への露呈を恐れることなく話すことができます。

更に、初回接見を行った弁護士は、逮捕中の被疑者に対して事件の見通しや取調べ対応などを伝えることができます。
そうした知識は、不安な状況に置かれた被疑者にとって有益なものでしょう。

以上のように、初回接見は被疑者にとっても弁護士にとっても非常に重要な役割を果たします。
事件をより良い方向に導くために、初回接見はお早目に弁護士にご依頼ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件のプロである弁護士初回接見に向けて準備を整えております。
ご家族などが児童福祉法違反(淫行をさせる行為)の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

事務所での法律相談料:初回無料
北海道西警察署までの初回接見費用:36,500円

事後強盗罪で示談

2019-05-19

札幌市の事後強盗事件における示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

Aさんは、北海道札幌市中央区内のスーパーマーケットにて、嗜好品や菓子などの商品を万引きして店を出ようとしました。
すると、Aさんの万引きを見ていた警備員に声を掛けられたことから、捕まりたくない一心で警備員に暴行を加えました。
騒ぎを聞きつけた客の協力により、のちにAさんは事後強盗罪の疑いで北海道中央警察署に逮捕されました。
Aさんの夫に事件を依頼された弁護士は、示談を行ってAさんの釈放と不起訴を目指すことにしました。
(フィクションです。)

【事後強盗罪について】

刑法第二百三十八条
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

事後強盗罪は、窃盗罪を犯した者だけに成立すると考えられている、強盗罪の一種です。
通常の強盗罪は、暴行または脅迫を手段として、相手方から金銭などの財産を奪取した場合に成立しうるものです。
一方、事後強盗罪は、最初から暴行や脅迫に及ぶつもりがあったわけではないものの、窃盗に及んだ後で暴行などを行った場合に成立しうるものです。

刑法238条を読んでみると、事後強盗罪は「強盗として論ずる」と規定されていることが分かります。
これは、罪名を事後強盗罪としたうえで、その法定刑や他の罪(たとえば強盗致傷罪)との関係などを強盗罪と同様のものとすることを意味します。
事後強盗罪がそう扱われる理由は、一定の目的のもと行う窃盗後の暴行や脅迫に、強盗罪の手段である暴行や脅迫と同様の危険性・違法性が認められるからとされています。

上記事例では、Aさんが万引きを行ったうえ、警備員に対して捕まりたくない一心で暴行を加えています。
そうすると、Aさんは「窃盗」として「逮捕を免れ」るために「暴行」を加えていることから、事後強盗罪として5年以上20年以下の懲役が科されるおそれがあります。
ちなみに、暴行などの程度が弱ければ、相手方の反抗を抑圧するに至らないとして事後強盗罪の成立が否定される余地があります。
逆に、暴行の程度が強く相手方が死傷した場合は、強盗致死傷罪として極めて重い刑が科される可能性が出てきます。

【示談がもたらす効果】

強盗罪は重大な犯罪の一つとして認知されており、それと同視される事後強盗罪についても同様のことが言えます。
とはいえ、事後強盗罪も特定の個人の利益を害する罪である以上、被害者と行う示談が重要となりえます。

まず、示談が成立することによって、逮捕中の被疑者の釈放を実現できる可能性が高まります。
示談の締結は、謝罪や被害弁償などの合意により、当事者間において事件が解決したことを確認する意味を持ちます。
そのため、示談が締結できると、逮捕および勾留の理由である逃亡や証拠隠滅のおそれが低下すると考えられます。

また、示談を通して被害者の処罰感情を薄められる結果、不起訴となる可能性も高まります。
事後強盗罪のような特定の個人に対する罪は、被害者が処罰を望んでいるかどうかが刑事処分に大きく関わってきます。
ですので、示談による処罰感情の軽減は、被害者が処罰を望んでいないとして不起訴につながる要素となるのです。

事後強盗罪は重大な罪ではありますが、以上のとおり示談によって円満に事件を解決できる場合があります。
そうした示談の効果を最大限に発揮するために、示談交渉はぜひ弁護士にお任せください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、これまで数多くの示談を行ってきた弁護士が、重大事件においても真摯に示談交渉に取り組みます。
ご家族などが事後強盗罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

事務所での法律相談料:初回無料
北海道中央警察署までの初回接見費用:33,900円

司法試験・予備試験受験生アルバイト採用求人募集

2019-05-18

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、司法試験・同予備試験を受験された方を対象に、札幌・仙台・さいたま・千葉・東京(新宿・八王子)・横浜・名古屋・京都・大阪・神戸・福岡の各支部事務所にて事務アルバイトの採用求人募集を行っています。司法試験・予備試験合格に向けて勉強やモチベーション維持をしたい方、弁護士・検察官・裁判官を目指していて刑事事件・少年事件に興味のある方にぴったりの法律事務所アルバイト業務です。司法試験・同予備試験を受験された方で刑事事件・少年事件にご興味をお持ちの方は是非ご応募下さい。

【札幌支部の事務所紹介】

札幌支部

住所:北海道札幌市中央区北1条西3丁目3-14 敷島プラザビル5階

札幌支部は、JR、地下鉄札幌駅徒歩7分圏内、地下鉄大通駅徒歩4分圏内という駅近の場所に事務所を構えております。JR、地下鉄札幌駅及び地下鉄大通駅という主要駅が最寄り駅で乗り入れ路線数も多いため、各方面からアクセスしやすい通勤環境です。札幌市中央区、北区、東区、西区、南区、白石区、豊平区、厚別区、清田区、手稲区など石狩振興局管内を中心に、北海道全域の刑事事件・少年事件に対応しており、札幌高等裁判所、札幌高等検察庁、札幌・函館・旭川・釧路地方裁判所、札幌・函館・旭川・釧路地方検察庁、札幌・函館・旭川・釧路家庭裁判所、北海道内各地方・家庭裁判所及び北海道内各地方検察庁の各支部管轄区域内で多くの刑事事件・少年事件の弁護活動に従事しております。法律相談数及び取扱事件数も非常に多いため、刑事事件専門の弁護士による刑事事件・少年事件の弁護活動又は付添人活動を間近に見ることができ、弁護士実務を肌で感じながら法律知識の確認向上を図ることができます。若い弁護士も多く在籍しているため弁護士と事務員間の会話も活発で事務所分雰囲気も非常に明るい職場です。アルバイトをしながら法律事務所の仕事や雰囲気を通じて社会人経験を積めるため、将来法曹になる方にとって必要な能力を少なからず身につけることができると思います。

【給与】

通常アルバイト 時給1000円〜、交通費全額支給

深夜早朝アルバイト 時給1250円〜、交通費全額支給

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司法試験・予備試験受験生アルバイト採用求人募集

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放火罪で保釈

2019-05-17

北海道紋別郡の放火事件における保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道紋別郡の会社に勤めるAさんは、新入社員のVさんがちやほやされているのに嫉妬し、Vさんに嫌がらせをしてやりたいと考えました。
そこで、Aさんは従業員用のロッカーにあったVさんの服に火をつけ、ロッカーに入っていた物を燃やしました。
幸いにも従業員のひとりが早期に出火を発見したため、そう燃え広がらないうちに鎮火されました。
その後通報により警察が駆けつけ、Aさんは事情聴取ののち建造物等以外放火罪の疑いで北海道興部警察署に逮捕されました。
Aさんはその後起訴されたため、弁護士保釈を依頼しました。
(フィクションです。)

【建造物等以外放火罪について】

刑法第百十条
放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

物を燃やすことで成立する放火罪には、①現住(現在)建造物等放火罪、②非現住建造物等放火罪、③建造物等以外放火罪の3つに分かれます。
そもそも、放火罪にいう「建造物等」とは、建造物、汽車、電車、艦船、炭坑を指します。
そのため、建造物等放火罪は、この4つ以外の物を放火した場合に限って成立するということになります。

建造物等以外放火罪の成立を認めるには、建造物等以外を放火したことで「公共の危険」が生じたと言えなければなりません。
この「公共の危険」とは、不特定または多数人の生命・身体・財産に対する危険だと考えられています。
そのため、たとえば火の大きさや周辺に存在する物からして、対象物以外に被害を与える危険性が認められないケースでは、建造物等以外放火罪は成立しないと考えられます。
ただし、対象物の効用を害したとして器物損壊罪が成立する可能性はあります。

上記事例では、Aさんがロッカーの中にあるVさんの服に火をつけ、Vさんの物を燃やしています。
そのため、Aさんは「放火」によって「焼損」を生じさせたと言えます。
加えて、犯行現場は他の従業員の物が入ったロッカーが並ぶロッカールームであり、人の出入りも当然にありえたと考えられます。
そうすると、「公共の危険」も発生していることから、Aさんは建造物等以外放火罪として1年以上10年以下の懲役が科されるおそれがあります。

【保釈による身柄解放】

放火罪は重大な犯罪であるため、捜査機関に発覚すれば逮捕および勾留の可能性はかなり高いと言えます。
そして、もし勾留中に起訴されると、被疑者勾留が被告人勾留へと切り替わり、最低でも2か月は身体拘束が伸びてしまいます。

そうした事態に陥った際、身柄解放を実現する有力な手段として保釈の請求が考えられます。
保釈とは、裁判所に対して指定された金額の金銭を預けることで、一時的に被告人を釈放する手続を指します。
保釈の最大の強みは、起訴前に釈放を実現できなかった事件において釈放を実現できる可能性がある点です。
保釈の際に預ける金銭は、証拠隠滅や逃亡などを図ると没収される担保のような役割を持ちます。
そして、その金額は不審な行動を抑制するに足る高額なものとなっているので、そうした行動には出ないだろうと考えられて釈放が認められやすいのです。

ただし、保釈を認めてもらうには、その前段階として保釈請求が認容される必要があります。
保釈請求に当たっては、法律の専門家である弁護士の視点が重要となることは否定できません。
ですので、保釈を目指すのであれば、保釈請求を含めて弁護士に事件を依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に強い弁護士が、長期間拘束されている方の保釈の実現に全力で取り組みます。
ご家族などが放火罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

事務所での法律相談料:初回無料
北海道興部警察署までの初回接見費用:0120-631-881にお問い合わせください

名誉毀損罪で無罪主張

2019-05-16

北海道紋別市の名誉毀損事件における無罪主張について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道紋別市に本社を置く出版会社Xの代表取締役Aさんは、「激しいDVにより離婚の危機?紋別市長の裏の顔」と称してVさんの名誉を毀損する記事を公表しました。
それを知ったVさんは、Aさんに記事の撤回と謝罪文の掲載を要求しましたが、Aさんは記事の内容が真実だと主張して要求に応じませんでした。
そこで、Vさんが北海道紋別警察署に被害届を出したことから、Aさんは名誉毀損罪の疑いで逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は、Aさんの言い分を聞いて無罪主張を行うことにしました。
(フィクションです。)

【名誉毀損罪について】

第二百三十条
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

名誉毀損罪は、人の名誉という目に見えないものを保護するために定められた犯罪です。
名誉毀損罪に言う「名誉」の「毀損」とは、他人の社会的評価を低下させるような行為をしたことを指すと考えられています。
「毀損した」という表現にはなっていますが、社会的評価を低下させる危険さえ認められれば名誉毀損罪は成立します。

上記事例において、出版会社の代表取締役であるAさんは、Vさんが妻にDVを行っていると読める記事を公表しています。
こうした行為は、公の場でVさんの社会的評価を低下させるような事実を摘示するものと言え、名誉毀損罪に当たると考えられます。
ちなみに、名誉毀損罪で有罪となった場合の刑罰とは別に、Aさんには損害賠償請求などの民事責任を追及される可能性もあります。

【例外規定による無罪主張】

名誉毀損罪は、事実の摘示という一種の表現行為を罰する罪であることから、時に憲法21条が保障する表現の自由と対立します。
そこで、表現の自由の重要性と個人の利益保護のバランスをとるために、名誉毀損罪を一定の条件下で適法(無罪)とする定めが刑法にあります。
その条件は以下のとおりです。

①摘示された事実が公共の利害に関する事実であること
(例)政治家の汚職に関する事実
②摘示の目的が専ら公益を図るためであること
(例)人の好奇心を満足させるためでなく、市民の利益のためだった
③摘示された事実が真実であること

基本的には全て満たす必要がありますが、摘示されたのが起訴前の犯罪事実なら①を、公務員または公選による公務員の候補者に関する事実なら①および②を満たすとみなされます。
上記事例では、市長であるVさんに関する事実について名誉毀損罪の成否が問題となっています。
そうすると、上記①および②の存在はあるとみなされることから、DVの事実が真実であれば名誉毀損罪の成立は否定され無罪になると考えられます。

また、たとえ真実だということが誤解だったとしても、確実な資料・根拠に基づく相当な理由があれば例外的に無罪となる余地があります。
この場合には、名誉毀損をした者に犯罪の故意がなく、刑事責任を負わせるのは相当でないと思われるからです。

以上のように、名誉毀損罪は他の犯罪と少し異なる側面があり、例外的な事情のもとで無罪になる可能性があります。
無罪主張弁護士が力を入れて取り組む分野の一つなので、もし名誉毀損罪を疑われて無罪を訴えるなら、一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に特化した弁護士が、依頼者様のご要望にお応えして無罪の証明にも果敢に挑みます。
ご家族などが名誉毀損罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

事務所での法律相談料:初回無料
北海道紋別警察署までの初回接見費用:0120-631-881にお問い合わせください

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