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【窃盗事件】少年がバイクを盗み逮捕

2022-01-31

【窃盗事件】少年がバイクを盗み逮捕

少年らがバイクを盗んだ疑いで逮捕された事例を題材に、観護措置の回避等の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例

北海道札幌市東区在住のAは、札幌市内の高校に通う17歳です。
ある日、Aらは、Vが居住する集合住宅の敷地内から、敷地内に駐車してあったVが所有するバイクを無断で持ち去りました。
Vによる通報を受けて捜査をしていた札幌市東区を管轄する札幌方面東警察署の警察官は、少年Aらを窃盗の疑いで逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAの保護者は、少年事件に強いと評判の弁護士に相談することにしました(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~少年らによるバイクの持ち去り~

本件で少年Aらは、窃盗罪によって逮捕されています(刑事訴訟法199条1項)。
窃盗罪に関しては、刑法235条が「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」との規定を置いています。
これに対し、刑法254条は「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する」と定めており、両罪は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料」と法定刑に大きな違いがある点に注意を要します。
窃盗罪(235条)が成立するか占有離脱物横領罪(254条)が成立するかは微妙な場合も多く、事実関係を含め丁寧な検討が求められることになります。
少年事件においては、原則として成人の刑事事件のような刑が科されるわけではありませんが、どのような罪が成立するかを正確に把握する必要があることに変わりはありません。

上述のとおり窃盗罪を規定する刑法235条に「占有」という文言は含まれていませんが、判例・通説上、同条は被害者の占有をも保護する規定であると解されています。 
つまり、いまだ「占有を離れた」とはいえず、占有が及んでいる「財物」を無断で持ち去った場合には窃盗罪が成立することになります。
本件についてみてみると、Vのバイクは、Vが居住している集合住宅の敷地内に駐車されていました。
仮にバイクが敷地以外の場所に駐車されていた場合等にはVの占有が及んでいないと考える余地もありますが、そのような事情がない限りは、たとえ駐車場所がVの居住している住居から多少離れていたとしてもVの占有が及んでいると考えるのが通常です。
したがって、Vの占有が及んでいる「他人の財物」たるバイクを、Vに無断で持ち去った(「窃取」した)少年Aの行為には、窃盗罪が成立することになります。
なお、集合住宅の敷地内に無断で立ち入った行為についても、刑法130条の罪(住居侵入等)が成立する可能性があることにも留意する必要があります。

~観護措置の回避等の弁護活動~

未成年者による少年事件において逮捕(・勾留)などがされた場合、家庭裁判所送致を経た上で観護措置という少年事件特有の身体拘束処分を受ける可能性があります。
観護措置が採られると、少年の身柄は少年鑑別所に送られることになります(少年法17条1項2号)。
観護措置の期間は実務上3~4週間に及ぶことが多く、身体拘束期間としては決して短いとはいえません。
したがって、これに伴う事実上の不利益(学校生活等への影響)が生じる可能性が高く、このような観護措置の回避等を行う弁護活動が極めて重要となるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、本件のような少年による窃盗事件を含む少年事件・刑事事件を専門的に扱っている弁護士事務所です。
少年事件に関する専門性の高い弁護士が迅速なご相談を承ります。
北海道札幌市東区にて、20歳未満の少年であるお子さんが窃盗事件で逮捕されてしまった場合、24時間365日対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までお電話ください。

機密情報を盗み出し逮捕

2022-01-21

機密情報を盗み出し逮捕

機密情報を盗み出したことによって逮捕された事例を題材に、刑事弁護活動等について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

事例

北海道札幌市中央区在住のAは、札幌市中央区内の会社に勤める会社員でした。
その際、Aは自らが勤務する部署において、機密情報等を管理する権限を有する業務に従事していました。
その後、Aは辞令を受け、上記業務とは無関係の部署に異動しました。
もっとも、Aは以前の業務において管理していた金庫の暗証番号を知っていたことから、同金庫内から機密情報の記載された書類等を無断で持ち出しました。
上記事実に関して捜査していた、北海道札幌市中央区を管轄する札幌方面中央警察署の警察官は、Aを逮捕しました(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~横領罪と窃盗罪~

第38章 横領の罪
(横領)
第252条 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。
(業務上横領)
第253条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

まず、Aの行為に成立すると考えられるのが、横領罪です(刑法252条以下)。
その中でも本件では、通常の横領罪(委託物横領罪とも呼ばれます)と業務上横領罪の成否が問題となると考えられます。
まず、上記引用条文からも分かるとおり、より重い法定刑を定めている業務上横領罪が成立するかどうか考えてみましょう。

この点、通常の横領罪と業務上横領罪の異なる点は、文字通り、「業務」上の横領行為であったか否かです。
本件では、Aは過去に機密情報に関する管理に関する業務に従事していましたが、機密情報を持ち出した時点では、社内の辞令にもとづき全く別の業務に従事しています。
したがって、Aには本件機密情報の管理に関する「業務」性が失われているといえ、業務上横領罪は成立しません。

では、次に通常の横領罪(刑法252条1項)が成立するか検討してみましょう。
横領罪が成立するためには、横領行為の客体である「他人の物」をAが「占有」している必要があります。
つまり「占有」がAに帰属している場合には横領罪が成立する一方で、そうでない場合には窃盗罪が成立することになります。
本件では、Aが異動になった段階で「物」の「占有」はAから失われており、横領罪は成立せず、他人の占有を侵害したとして窃盗罪(刑法235条)が成立するになるでしょう。

なお、Aは異動によって別の部署に異動していたのですから、財物を領得する目的で以前の部署に立ち入った行為には建造物侵入罪(刑法130条前段)が成立する可能性があることにも注意が必要です。

~刑事弁護士による弁護活動について~

刑事弁護士の役割・任務は、被疑者・被告人となってしまった方の権利・利益を擁護することにあります。
特に逮捕など身柄拘束されてしまった場合、逮捕されてしまえば有罪まで一直線に進むと誤解してしまう方も少なくありません。
また、逮捕・勾留されれば、多くの場合は警察署の留置所に拘束され孤立無援の状態に置かれてしまいます。
そこで、重要となってくるのが弁護士との接見(面会)です。
弁護士との接見(面会)は、いわゆる秘密接見であり、立会人なしで行うことができます。
したがって、逮捕・勾留されてしまっている方も、法律上・事実上の不利益が生じるおそれなどを気にすることなく率直な考えや悩みなどを吐露することができます。
また、弁護士を通して、家族や職場との連携を採ることも可能となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗罪や横領罪を含む刑事事件を専門的に取り扱っている法律事務所です。
窃盗事件・横領事件で逮捕された方のご家族は、年中無休の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までお早目にご連絡ください。
ご相談者様のご希望を伺った上で、早期接見等の実現に向けて迅速に対応してまいります。

暴行後の強盗で逮捕

2022-01-11

暴行後の強盗で逮捕

暴行後の強盗によって逮捕されてしまった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事例~
北海道浦河郡在住のAは、北海道浦河郡内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは北海道浦河郡内の路上にて、Vに殴る蹴るの暴行を加えた後、Vから金品を奪う意思が生じ、反抗する意欲を失って倒れこんでいるVに向かって「財布はどこにあるんだ」などと言いながら、Vの上着から財布を抜き取った。
北海道浦河警察署の警察官は、Aを強盗の疑いで逮捕した(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~暴行(傷害)後の財物奪取行為~

刑法208条、204条はそれぞれ暴行罪、傷害罪について定めを置いています。
本件で、AによるVに対する殴る蹴るの行為には暴行罪が成立することは明らかであり、また暴行によってVに怪我を負わせた場合には傷害罪が成立することになります。
では、Aがその後にVの財布を抜き取った行為にはどのような罪が成立することになるのでしょうか。

Aが、Vの占有する財布をVの意思に反して奪い取っているわけですから、この行為には少なくとも窃盗罪(刑法235条)が成立します。
もっとも、上述のようにAはこのような窃盗行為の以前に暴行・傷害に当たる行為を行っています。
つまり、暴行(傷害)を手段として財物を奪っているとみることができる場合には、さらに重い強盗罪が成立する可能性があるということになるでしょう。
もっとも、強盗罪が成立する前提として、暴行(傷害)行為の時点で財物を奪取する意思が存在しなければならないと解されています。
これは刑法236条1項の強盗罪が「暴行又は脅迫を用いて」他人の「財物を強取」した者を強盗罪とすると規定していることからも分かります。
では、本件のように暴行(傷害)後にVの財布を奪う意思が生じた場合に強盗罪が成立する余地はないのでしょうか。

この点、強盗罪にいう「暴行又は脅迫」は、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものである必要があります。
しかし、すでに暴行(傷害)の時点で被害者の反抗が抑圧されるに至っていた場合には、これを継続するに足りる「暴行又は脅迫」が行われれば、これをもって強盗の手段として評価することが可能であると解されています(東京高判平成20年3月19日等参照)。
本件では、一旦Vに対する暴行(傷害)行為がされた後に、財布を奪うためにVが畏怖するような言動がなされています。 
この行為をもって強盗罪にいう「脅迫」と捉えることも可能であり、この脅迫によって反抗を抑圧状態が継続している被害者から財布を「強取」したものと評価することができる場合には、強盗罪が成立することになります。
したがって、本件は、窃盗罪よりも重い強盗罪が成立する可能性があることに十分に注意を要するケースであるといえるでしょう。

~強盗罪における刑事弁護活動~

強盗罪(刑法236条1項)には、「5年以上の有期懲役」という重い法定刑が定められています(当然罰金刑などの定めはありません)。
もっとも、強盗罪も財産犯であることから被害弁償などを含めた被害者との示談の締結如何では、裁判や刑事処分を避ける(不起訴処分の獲得)も不可能ではありません。
したがって、強盗罪という罪名やその法定刑に臆することなく、まずは早期に刑事弁護士に相談することが肝要といえます。
他方で、裁判となれば実刑判決のおそれもあることから、非常に慎重な弁護活動を行うことが求められる事件類型ともいえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強盗事件の刑事弁護活動に対応している刑事事件専門の法律事務所です。
強盗事件の弁護活動には、経験と専門知識が不可欠であり、刑事事件専門の弁護士がその能力を存分に活かすことのできる事件の一つです。
強盗事件で逮捕された方のご家族は、24時間365日対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。

ストーカーはどのような罪に?

2021-12-30

ストーカーはどのような罪に?

ストーカーの定義と刑事罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道日高郡在住のAは、日高郡内で個人事業主として働いていました。
Aは,取引先の従業員Vに好意を抱いていましたが,VはAを袖にしていました。
しかし諦められなかったAはVに対して日に最大114通の新規メールを送るほか,メールに返信がないことを理由にVの自宅まで行き,返信してくれるまで帰らないと言いました。
不安を感じたVは日高郡内を管轄する静内警察署に行き相談を行い,Aは聴聞の手続きを経て禁止命令書の交付を受けました。
しかし,Aはその手続きに納得がいかず,Vの家に行き,自分と会うよう執拗に迫りました。
そこに、Vの自宅付近をパトロールしていた静内警察署の警察官がAを現認し、Aをストーカー規制法違反で現行犯逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【ストーカーとは?】

日常会話で、しばしストーカーという言葉を用いる場合があるかと思います。
ストーカーと呼ばれる行為は、被害者にとって不安や恐怖を植え付けるだけでなく、重大事件を引き起こす恐れもある重大な問題です。
我が国では、平成12年にストーカー行為等の規制等に関する法律(通称:ストーカー規制法)という法律でストーカー行為を規制しています。

ストーカー規制法のいう「ストーカー」とは、「つきまとい等」、あるいは承諾なしに位置情報を取得する行為を、特定の人物に対して、繰り返し行うことを指します。(ストーカー規制法4条)
「つきまとい等」は、ストーカー規制法2条1項に列挙されていますが、難しい言葉も散見されるため、以下内閣府のホームページよりその定義を引用します。

「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又は配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の行為を行うことです(同2条)。
①つきまとい、待ち伏せ、押しかけ、うろつき
②監視していると告げる
③面会、交際等の要求
④著しく粗野又は乱暴な言動
⑤無言電話、連続した電話・メール・SNSのメッセージ等
⑥汚物などの送付
⑦名誉を傷つける行為
⑧性的しゅう恥心の侵害

内閣府男女共同参画局より
https://www.gender.go.jp/policy/no_Violence/e-VAw/lAw/06.html

【ストーカーで刑事罰を受ける場合】

ストーカー行為は、被疑者の行為と被害者側の希望により、
A:刑事事件化する場合
B:行政指導・処分を受ける場合
に大別されます。
≪B:行政指導・処分を受ける場合≫
先ずはBについては、「警告」と「禁止命令等」があります。
警告は、行政指導であり、口頭あるいは書面で「警告」を行います。(同4条各項)
禁止命令等は、行政処分であり、事前又は事後に加害者側からの意見を聴く「聴聞」の手続きを行ったうえで、「禁止命令等」の書面を交付します。

両者の違いは、禁止命令等を受けた後に再び接触等をした場合に、禁止命令違反として通常のストーカー行為より厳しい刑事罰が科せられるという点にあります。

≪A:刑事事件化する場合≫
Aについては、他の暴行や窃盗などと同じく、捜査機関による捜査を受け、検察官から起訴された場合には刑事罰が科せられる可能性があるという一般的な刑事事件と同様です。
ストーカー行為
⑵禁止命令違反
の2種類があります。

⑴については、これまで行政処分や指導を受けていない場合、あるいはBで列挙した「警告」を受けた場合が該当します。
罰条:1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(同法18条)
⑵について、これは前述したBの禁止命令等を受けたにも拘わらず、再び加害者が被害者側に接触した場合に成立します。
罰条:2年以下の懲役又は200万円以下の罰金(同法19条各項)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、ストーカー規制法違反を含めた刑事事件・少年事件全般をカバーしています。
ストーカー規制法は、加害者側は罪の意識がない、あるいは乏しいものの、被害者側強い不安や処罰感情が生じている可能性が高いことから、加害者側が想像している以上に厳しい手続き・処分に発展する恐れがあります。
北海道日高郡にて、御家族がストーカー規制法違反で逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部に御連絡ください。

風俗トラブルで否認

2021-12-23

風俗トラブルで否認

性風俗店でサービスを受けたのち、風俗嬢や店舗から警察に被害届を出すなど訴えられている風俗トラブルの問題と、それを否認する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道札幌市中央区在住のAは、札幌市中央区内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは札幌市中央区内の派遣型性風俗(いわゆるデリバリーヘルス)に事前連絡をしたうえで、札幌市中央区内のホテルで指名した風俗嬢と落ちあい、サービスを受けました。
その際、Aは風俗嬢に対して「本番しても良い?」と聞き、風俗嬢は1万円追加してくれたらと回答しました。
しかし、サービスを受け終わったのち、風俗嬢は「やっぱり1万円じゃなくて2万円追加でくれない」と言われ、Aはそれを拒みました。
結局、Aは予め言われた金額のみ支払い、ホテルを後にしました。
後日、札幌方面中央警察署の警察官から連絡が来て、風俗嬢から強制性交で被害届が出ていると言われ、指定した日時に出頭するよう言われました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【風俗トラブルとは?】

・盗撮をしてしまった
風俗嬢との行為の最中などを小型カメラやスマートフォンで録画・撮影した場合、盗撮行為となります。
盗撮は、軽犯罪法と迷惑防止条例(ケースの場合北海道ですので北海道迷惑行為防止条例)違反のいずれかの適用が考えられます。

北海道迷惑行為防止条例2条の2第2項 何人も、公衆浴場、公衆便所、公衆が使用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所における当該状態の人の姿態を、正当な理由がないのに、撮影してはならない。
(罰条は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金、常習の場合は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金。)

軽犯罪法1条23号 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者(処罰規定は「拘留又は科料」。)

・強要や本番行為をしてしまった
風俗サービスを受けている時点である程度の性的な行動については同意があるものと考えられます。
とはいえ、当然風俗嬢が嫌がるわいせつ行為を強要したり同意なしに本番行為をした場合には、強要罪や強姦(強制性交等罪)の適用が考えられます。

刑法223条1項 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
刑法177条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

【否認事件で弁護士へ】

ケースについて考えると、Aは性行為をしようと考えて風俗嬢に同意を求め、1万円を支払えば良いと回答しました。
結果として、金額についてもつれたため、その1万円は支払うことはありませんでした。

本番行為が問題となる罪には強制性交罪や強要罪が考えられますが、Aの行為は脅迫又は暴行を用いて本番行為をさせたことや、暴行は又は脅迫を用いて性交をした、という事実はありません。
お金の関係で話がもつれていて、1万円支払ったらという前提は崩れていますが、強制性交罪や強要罪には関係しません。(2項詐欺の適用はありますが、1万円は払うという意思が前提であれば2項詐欺も成立しないでしょう。)
よって、Aとしては強制性交などの罪で被害届を出されているものの、実際には同意があったとして否認することになるでしょう。

俗トラブルなどで被害届を出され、否認したいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部に御連絡ください。
在宅事件の場合、無料で御相談いただけます。

リベンジポルノ防止法違反で家宅捜索

2021-12-16

リベンジポルノ防止法違反で家宅捜索

交際相手などの性的な画像をインターネット上にアップロードするリベンジポルノで問題となる罪と家宅捜索について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道千歳市在住のAは、千歳市内の会社に勤める会社員です。
Aには交際相手Vがいましたが、破局するに至りました。
しかし、Aはそれに納得がいかず、復縁を求めて居ましたがVは相手にしませんでした。
そこで、Aは交際中に撮影していたVとの性行為動画を、Aの顔にのみモザイクをかけたうえで、一般人がアダルト動画を投稿できる不特定多数が見られる掲示板にアップロードしました。
そしてそのリンクと「俺と一緒にならないなら、一緒に地獄に落ちろ」という文言を、Vに送りました。
Vは千歳市を管轄する千歳警察署の警察官に相談をしたうえで、刑事告訴しました。

後日、千歳警察署の警察官がAの自宅に来て、家宅捜索を行うと言われ「捜索差押許可状」と書かれた書類をAに提示しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【リベンジポルノについて】

元交際相手等に対して交際を迫り、その要求がかなわなかった場合などに被害者のわいせつな動画や画像などを公表する行為を、リベンジポルノなどと呼びます。
リベンジポルノは「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(通称、リベンジポルノ防止法)で禁止されている行為です。

リベンジポルノ防止法では、以下のような動画や画像を「私事性的画像記録」と定義しています。(リベンジポルノ防止法2条1項各号)
①性交又は性交類似行為に係る人の姿態
②他人が人の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下この号及び次号において同じ。)を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
③衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

この「私事性的画像記録」を、被害者が特定できる状態で、不特定又は多数の者が見られるような方法でインターネット上にアップロードしたり、公共の場所などに張り紙などの方法で貼り付ける行為は、リベンジポルノ防止法の定める「公表罪」に当たります。
罰条:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

なお、リベンジポルノ防止法の「公表罪」は親告罪と規定されているため、被害者の刑事告訴がなければ検察官は起訴することができません。

【家宅捜索について】

家宅捜索は、捜査機関(主に警察官)が行う捜査の一環です。
家宅捜索の目的は刑事事件の証拠を収集することです。
押収されるものは事件によって千差万別で、
・犯行時に使われた凶器
・犯行時に被疑者が着ていた衣服や靴、バッグ等
・スマートフォンやパソコンなどの電子端末
・車のエンジンキー
・薬物事件における薬物
等が挙げられます。

家宅捜索を行う場合には、令状と立会人が必要です。
家宅捜索の場合、証拠品を探す「捜索」を行うための令状と、捜索の結果出てきた証拠物件を「押収」するための令状の2種類が必要です。
実務では、2種類の令状の効力を有する「捜索差押許可状」が用いられる場合が一般的です。
この令状は、裁判所が発付します。

家宅捜索の結果、証拠品を押収して捜査機関に持ち去ることになりますが、その際にはどの証拠品を持ち出したのかをまとめた「押収品目録」を交付することと、執行した内容を書面化した「差押調書」の作成を必要とします。

家宅捜索と逮捕とは必ずしもリンクするわけではありません。
逮捕されてから後日家宅捜索が行われるパターン、家宅捜索で証拠品を押収した直後に一緒に発付を受けていた逮捕状に基づき逮捕するパターン、家宅捜索で押収した証拠品を鑑定・捜査したうえで逮捕に踏み切るパターンなど、様々です。
また、家宅捜索をしたうえで、在宅捜査を進められるということもあります。

しかし、家宅捜索を受けた場合、その多くは被疑者として捜査対象になっているため、逮捕されるかどうかを問わず、弁護士に相談した方が良いと言えるでしょう。

北海道千歳市にて、リベンジポルノ防止法違反で家宅捜索を受けた方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料でご相談を受けることができます。

放火事件でポリグラフ検査

2021-12-09

放火事件でポリグラフ検査

放火事件で問題となる罪と、ポリグラフ検査という捜査手法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道日高郡新ひだか町在住のAは、ある日を境に後を付けられているような気がしました。
気になったAは後を付けていた者に何者かと声掛けしたところ、日高郡新ひだか町を管轄する札幌方面静内警察署の警察官であることを告げ、後日任意で出頭するよう求められました。
指定された日時に静内警察署に出頭したAは、取調室に入るよう言われ、そこで放火の嫌疑がかかっていることを知らされました。
Aは自身には身に覚えのないことだと否認を貫いたところ、警察官からは、次はポリグラフ検査を行うから同意してくださいと言われました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【放火で問題となる罪】

故意に火をつける行為を放火と呼び、例えば調理中に誤って火災を生じさせてしまう失火と区別されます。
放火に関する罪は、被疑者・被告人が何に火をつけたのかにより区別され、罰条もそれぞれ異なります。
①人がいる建物や住宅に放火した
オフィスや飲食店といった人がいる建物に放火した、あるいは、住宅などに放火した場合には、現住建造物等放火罪が成立します。
たとえ人が死傷しなかった場合でも、厳しい刑罰を科せられる可能性がある罪です。

罰条:死刑または無期もしくは五年以上の懲役に処する。(刑法108条)

②非現住建造物等放火罪
人がいない建物・住居として使用していない建物に放火した場合には、非現住建造物等放火罪が適用されます。
例えばオフィスビルが無人だった場合には②が適用されますが、オフィスに人が残っていた場合には①が適用されるということになります。

罰条:自己所有の建造物については一年以下の懲役又は十万円以下の罰金(刑法109条2項)
※但し、公共の危険を生じなかった場合には不可罰
  :自己所有ではない建造物については二年以上の有期懲役(刑法109条1項)

③建造物等以外放火罪
①②にあたらない物に放火した場合には建造物等以外放火罪が適用される可能性が高いです。

罰則:自己所有物であれば一年以下の懲役又は十万円以下の罰金
※但し、公共の危険が生じなかった場合には不可罰
  :自己所有ではない物であれば一年以上十年以下の懲役
※但し、公共の危険が生じなかった場合には不可罰

なお、①②にあたらない場合に、③ではなく森林法などの特別法に違反する場合もあります。

【ポリグラフ検査とは】

ポリグラフ検査は、被疑者が否認しているが、捜査機関はその者が事件に関与していると考えている場合などに用いられます。
ポリグラフ検査というと噓発見器と思いがちですが、その表現は正確ではなく、自分の記憶に反したことを言っている場合に反応する心拍数や発汗量などを測定する機械です。

ポリグラフ検査を行うためには被検者である被疑者の同意が必要です。
例えば、家宅捜索は任意で協力しなければ令状を用いた強制捜査ができますが、ポリグラフ検査の場合は令状による強制捜査はできません。

ポリグラフ検査を行うのは刑事課などの取調官ではなく、科学捜査研究所の専門技師です。

ポリグラフ検査は必ずしも証拠として使うために用いられるわけではなく、捜査機関が否認している被疑者を認めに転じさせるための心理的な作戦として用いることが考えられます。
一方で、証拠書類として請求することも考えられます。

このポリグラフ検査について、過去の判例を見ると、証拠能力を肯定している場合があります。
弁護士としては、起訴後に検察官側がポリグラフ検査を用いた証拠を請求した場合、同意するべきか否か慎重に判断する場合があるでしょう。

北海道日高郡新ひだか町にて、放火などの罪でポリグラフ検査の同意を求められた場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料でご相談いただけます。

喧嘩で刑事事件に発展

2021-12-02

喧嘩で刑事事件に発展

喧嘩をした場合に問題となる罪と刑事手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道苫小牧市在住のAは、小牧市内の会社に勤める会社員です。
Aは酒場で酒を飲んでいて、隣の席のVがうるさかったことで注意をしたところ、Vとの口論になりました。
その後、VがAの肩を押したことから喧嘩に発展し、最初は殴り合いが続いていましたがVが転倒したことからAはその倒れたVを繰返し殴り、最終的にVは頭から血を流して救急搬送されました。
通報を受けて臨場した苫小牧警察署の警察官は、Aを、喧嘩で傷害を負わせたとして、現行犯逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【喧嘩はどのような罪?】

人間生活のうえで何かしらのトラブルが生じることは少なくないと思われます。
本来であれば相互譲り合ってその場を収めたり、民事裁判などを起こして解決を図ったりすることが望ましいのですが、残念ながら暴力行為に発展するということがあるかもしれません。
喧嘩をした場合にはどのような罪にあたるのでしょうか。
以下で検討していきます。

<暴行罪・傷害罪>
まず、相手に対する暴力行為では暴行罪・傷害罪が検討されます。
暴行罪は相手に対する不法な有形力の行使であり、暴行によって相手が怪我を負った場合には傷害罪が適用されます。
条文はそれぞれ以下のとおりです。

刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
刑法204条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

<殺人未遂罪・殺人罪>
暴行罪や傷害罪で収まらない場合の罪に、殺人未遂罪や殺人罪が挙げられます。
殺人罪は、喧嘩の結果相手を殺す、あるいは死ぬかもしれないという意思をもって相手に暴力行為を行うことで成立する罪です。
結果として被害者が死亡しなかった場合には殺人未遂罪が適用されます。

捜査機関としては殺人未遂罪や殺人罪には殺意の立証が必要です。
取調べで相手を殺す意思があったことを供述することや、客観的に見て相手が死んでしまうだろうと思われる行動(例えば、刃物を持ち出した、ゴルフクラブを持ち出した、相手の頭部を繰り返し殴った等)といった部分から評価されます。

<暴力行為処罰法違反>
もし喧嘩の際に刃物を持ち出した場合、暴力行為処罰法違反で検挙されることも考えられます。
これは、喧嘩の結果相手が死傷したか否かを問わず、成立する罪です。

暴力行為処罰法の条文は以下のとおりです。
非常に読み辛い内容ですが、「凶器を示し」て「刑法208条(=暴行罪)」「の罪を犯した」者に対して、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処すると定めているのです。

暴力行為処罰法1条 団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ、団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ又ハ兇器ヲ示シ若ハ数人共同シテ刑法第二百八条、第二百二十二条又ハ第二百六十一条ノ罪ヲ犯シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ三十万円以下ノ罰金ニ処ス

<決闘罪>
事前通告をした上で戦いを行う、いわゆる決闘をした場合には「決闘罪ニ関スル件」に当たる可能性もあります。
ケースの場合、Aは決闘を挑んだうえ決闘を行っていたため、以下の条文は問題となります。

決闘罪ニ関スル件第一条 決闘ヲ挑ミタル者又ハ其挑ニ応シタル者ハ六月以上二年以下ノ重禁錮ニ処シ十円以上百円以下ノ罰金ヲ附加ス
第二条 決闘ヲ行ヒタル者ハ二年以上五年以下ノ重禁錮ニ処シ二十円以上二百円以下ノ罰金ヲ附加ス

【刑事裁判とは】

刑事裁判は、刑事事件を起こした「被疑者」の捜査を行い、起訴するに足りる証拠があると検察官が判断した場合には、被疑者を起訴します。
起訴された被疑者は「被告人」という立場に変わり、刑事裁判を受けることになります。
刑事裁判のスピードは事件によって大きく異なりますが、比較的軽微と思われる犯罪であれば起訴されてから1~2カ月ほどで1回目の裁判が行われます。
回数によってもまちまちで、2~4回ほどで終了する裁判が多い印象ですが1回の裁判で判決言い渡しまで行われることもあります。

北海道苫小牧市にて、御家族が喧嘩により傷害罪などの罪で御家族が逮捕された、あるいは取調べを受けているという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部に御連絡ください。

勾留されたが釈放してほしい

2021-11-18

勾留されたが釈放してほしい

児童買春がどのような罪に当たるのか、また、逮捕されて勾留決定を受けた場合に勾留を取り消したいという場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道室蘭市在住のAは、室蘭市内の会社に勤める会社員です。
Aは出会い系サイトで不特定多数の女性と会って金を渡して性交渉をする、いわゆる買春行為を行っていました。
ある日、Aの自宅に室蘭市内を管轄する室蘭警察署の警察官が来て、相手女性の一人が未成年者だったとしてAを児童買春の嫌疑で逮捕しました。
裁判所からの勾留通知でAが逮捕・勾留されたことを知ったAの家族は、勾留の取消しができないのか、刑事事件専門の弁護士に質問をしました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【児童買春について】

一般的に「援助交際」と呼ばれる行為は、「買春(かいしゅん)」「売春(ばいしゅん)」に当たります。
売春は売春防止法という法律で「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交すること」と定められています。
買春は俗語で、一般的に売春の相手方になった(つまり、誘われるなどしてお金を貰って性行為をした)ことを意味します。

18歳未満の児童を相手に買春する行為は「児童買春」として、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(通称:児童買春、児童ポルノ処罰法)」で禁止されています。
児童買春は男性が女子児童に対して行う印象が強いかと思いますが、女性が男子児童に、男性が男子児童に、女性が女子児童に対して行った場合でも、成立する罪です。

児童買春、児童ポルノ処罰法2条2項 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等…をすることをいう。
1号 児童
同法4条 児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

【お金や物を渡さなくても青少年育成条例違反に】

前章の児童買春の罪は、「対償を供与し、又はその供与の約束」をすることを要件としています。
では、その対償を渡さなければどうなるかというと、児童買春には当たりませんが、各都道府県が定める青少年育成条例に違反することとなります(自治体により名称が異なります。)。
ケースは北海道室蘭市を想定していますので、北海道青少年健全育成条例が問題となります。
対象となる条文は以下のとおりです。

同条例38条1項 何人も、青少年に対し、淫行又はわいせつな行為をしてはならない。
   57条 第38条第1項又は第2項の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

【勾留を取り消したい】

刑事事件を起こした場合、事件の内容や状況、共犯者の有無などの事情を鑑みて被疑者を逮捕する場合と逮捕せず在宅で捜査を行う場合があります。
逮捕された場合その期間は72時間で、それまでに勾留されるか、釈放されることになります。

まず前提として、逮捕された場合にはすぐに弁護士に依頼して勾留を回避するための弁護活動を行うことが、一番の近道です。
しかし、逮捕後すぐには弁護士に依頼できずに勾留されてしまった、という場合もあるでしょう。
その場合には、勾留を覆すための手続きを行う必要があります。
勾留を取消すための方法には、「勾留決定に対する準抗告(じゅんこうこく)の申し立て」と、「勾留取消請求」の2種類があります。

準抗告とは、裁判官の判断に対する不服申し立ての手続きです。
簡単に言うと、弁護側は裁判官が勾留決定をした場合に「勾留の判断は間違っている」と主張し、検察官側は裁判官が勾留を付けなかった場合に「勾留を付けない判断は間違っている」と主張することになります。(刑事訴訟法429条1項2号)

勾留取消は、勾留を決定した時点では勾留する理由があったものの、その後事情が変更したことにより「勾留の理由又は勾留の必要がなくなつた」という場合に、釈放を求めるものです。
例えば、被害者がいる事件で被害者との示談が成立して被害届の取下げや刑事告訴の取消が行われた場合などに、この手続きが用いられる場合があります。(刑事訴訟法87条1項)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士事務所です。
当事務所では、これまで数多く身柄拘束事件の依頼を受け、準抗告や勾留取消請求により釈放に至った事件も少なくありません。
北海道室蘭市にて、御家族が児童買春などの罪で逮捕されたのち勾留手続きがなされ、準抗告や勾留取消請求などの方法により釈放を求めるという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部に御連絡ください。

ひき逃げ事件で自首を検討

2021-11-15

ひき逃げ事件で自首を検討

ひき逃げ事件で問題となる罪と、自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道浦河郡浦河町在住のAは、浦河郡浦河町で自営業をしています。
Aは浦河郡浦河町にて自動車を運転していて、丁字路を左折しようとしたところ、Aの自動車の左側を走行していた自転車に乗っていたVに気付かず、接触してしまういわゆる巻き込み事故を起こしてしまいました。
Aはすぐに自動車を停車させてVを見たところ、Vが立ち上がって倒れた自転車を起こしていることを確認しました。
Aは自動車を降りて警察に通報しようと考えましたが、もしこれがきっかけで運転免許停止処分を受けた場合には仕事ができなくなってしまうと考え、通報をせずにその場を離れました。

しかし、自身の行為がひき逃げに当たり、逮捕される可能性があると考えたAは、浦河郡浦河町を管轄する札幌方面浦河警察署に自首するべきか悩んでいます。

【ひき逃げ事件について】

ひき逃げという言葉は法律用語ではなく、法律に出てくる言葉ではありません。
ひき逃げと呼ばれる事件が成立する場合とは、①人身事故(過失運転致死傷罪)を起こし、②その後被害者に対する救護義務を怠って現場から離れた場合を指します。
①人身事故ではなく、車が他の車や物に接触して破壊してしまう物損事故だった場合、ひき逃げではなく当て逃げになります。

①人身事故
まず、ひき逃げが発生する場合について、人身事故が発生したことが前提になります。
AはVの怪我の有無を確認していませんが、もしVが打撲などの軽傷を含め怪我をしていた場合、「運転上の必要な注意を怠り、よって人を死傷させた」として自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転処罰法)5条(過失運転致死傷罪)に当たります。

罰条:七年以下の懲役又は禁錮若しくは百万円以下の罰金
※但し、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

②救護義務違反
事故が発生した場合、運転手(やその同乗者の一部)には被害者を救護し、通報する義務があります。
この救護義務に違反して立ち去る行為は、道路交通法の定める救護義務違反にあたります。
救護義務については、道路交通法72条で「交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。」と定められています。

罰条:十年以下の懲役又は百万円以下の罰金

【自首について】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、「自首したい」という方の相談を受けます。
自首とは何か、改めて解説します。

そもそも、自首がどのようなものなのか、条文を確認します。
自首は刑法42条1項で「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」と定められています。

警察署や交番などに指名手配のポスターが貼られていますが、そのポスターを見た指名手配犯が警察に赴くことは、自首には当たりません。

また、最近はスマートフォンや防犯カメラの普及により、容易に動画や画像が撮影され、SNSにアップロードされる時代になりました。
中には刑事事件の犯行現場が納められた画像・動画もあり、SNS上で炎上したり、マスメディアが報道したりする場合もあるようです。
これについては、捜査機関が事件を把握して捜査を開始しているかどうかにより、自首の成立は変わってきます。

ケースについてみると、Aはひき逃げ事件を起こして1時間後には弁護士に相談し、自首を検討しています。
被害者はすぐに通報していると思われますが、捜査機関が事件について知って、且つ被疑者を特定していた場合に自首は成立します
捜査機関がその間に被疑者を特定できているかは不明ですが、時間が経てば経つほど捜査機関が被疑者を特定する確率は高くなると言えるので、自首するのであれば早いほうが良いと考えられます。

とはいえ、自首した場合にはすぐに自首調書を作成することになりますが、自首調書には事件のあらましを書く必要があることから、自身の記憶や考えを整理して自首することが望ましいと言えます。
そのため、早期に弁護士に相談し、自首した後の流れや取調べでのアドバイスを受けることをお勧めします。

北海道浦河郡浦河町にて、ひき逃げ事件を起こしてしまい自首を検討している方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

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