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盗品等有償譲受罪で自首
北海道三笠市の盗品等有償譲受事件における自首について、弁護士法人あいち刑事総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。
【事例】
トレーディングカードの収集が趣味のAさんは、北海道三笠市のカードショップXが日本で数枚しかないカードを仕入れたと聞き、早速Xに足を運びました。
そして、Aさんと普段から親交がある店長のBさんに事情を聞いたところ、実はBさんが元の所有者から盗んだことを打ち明けられました。
それでもカードが欲しかったAさんは、Bさんから言い値でそのカードを買い受けて自宅に飾りました。
数日後、Aさんは自身の行為が盗品等有償譲受罪に当たることを知り、北海道三笠警察庁舎に逮捕されるのではないかと思いました。
そこで、自首をした方がいいかどうか弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
【盗品等有償譲受罪について】
刑法
第二百五十六条
盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の懲役に処する。
2 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の懲役及び五十万円以下の罰金に処する。
他人の物を盗んだら罪になるのは周知の事実かと思いますが、そのことを知りながら盗んだ物を譲り受けるのも罪になることはご存知でしょうか。
盗品等有償譲受罪は、窃盗罪をはじめとする財産犯により得られた物を有償で譲り受けた場合に成立する可能性のある罪です。
盗品等関与罪の一つであり、被害の回復を困難にするとともに、財産犯を助長する点で処罰に値すると考えられています。
「有償で譲り受ける」と聞くと売買を思い浮かべますが、盗品等有償譲受罪に当たるケースはそれだけではありません。
何らかのかたちで譲受けの対価が存在すればよいので、たとえば他の物との交換や借金の返済の代わりであっても盗品等有償譲受罪に当たる余地があります。
上記事例では、Bさんが元の所有者から盗み出したカードをAさんが買い取っています。
更に、Aさんはカードが盗み出されたものであることを聞かされているため、盗品だと知っていると言えます。
そうすると、Aさんは盗品等有償譲受罪が成立し、10年以下の懲役および5年以下の罰金が科されるおそれがあります。
ちなみに、盗品等有償譲受罪の法定刑は懲役と罰金の両方であり、直接物を盗んだ場合に成立する窃盗罪より重くなっています。
これは、有償での譲り受けという行為が、窃盗などの強い動機づけとなる点で特に重く処罰すべきだと考えられているためです。
【自首のメリットとデメリット】
自首とは、自らの犯罪事実を警察などに明らかにし、その処分を委ねる意思表示のことです。
自首は法律上も定めがあり、刑法において「刑を減軽することができる」とされています。
自首による刑の減軽を狙ううえで、注意すべき点がいくつかあります。
まず、捜査機関が犯罪のことを知らなかったり、誰が犯人なのか分かっていなかったりする場合でなければなりません。
つまり、捜査機関が犯罪事実と被疑者を把握しており、ただ被疑者の居場所が掴めないというケースでは、たとえ自らの意思で自首しても刑の減軽は認められないことになります。
また、捜査機関に促されて罪を明らかにするのではなく、自らの意思で自首を行う必要があります。
たとえば、取調べ中に「他に余罪はないか」などと聞かれて自首するのは、自らの意思とは言えず刑の減軽は認められません。
ただし、刑法が定める刑の減軽とは別に、自首を通した反省の態度が量刑判断に影響を及ぼすことはあります。
場合によっては、逃亡や証拠隠滅のおそれが低いとして逮捕される可能性を抑えることも期待できるでしょう。
他方、自首は自らの犯罪事実を申告するものである以上、本来であれば穏便に済むはずだったことまで刑事事件となる可能性も否定できません。
そうした点において、自首はある意味「諸刃の剣」とも言えるでしょう。
もし自首すべきか迷ったら、ぜひ一度法律の専門家である弁護士に相談してみてください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、これまで数多くの刑事事件を扱ってきた弁護士が、個々の事案に応じて自首すべきか丁寧に検討します。
盗品等有償譲受罪を犯して自首のことでお悩みなら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
建造物侵入罪で逮捕
北海道小樽市の建造物侵入事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。
【事例】
北海道小樽市に住むAさんは、女性が放尿する場面をビデオ撮影しようと思い、小樽市が管理する海浜公園内公衆トイレの女性用トイレの一室に 入り潜んでいたところを、トイレを利用するために入ってきた女性から発見されました。
このトイレはコンクリート製の独立した建物で、出入口には、通常の公衆トイレと同様、男性用トイレ側には男性を抽象化したマークが、 女性用トイレ側には女性を抽象化したマークが掲示されていて、当然、看守者は置かれていませんでした。
その後、女性に通報されたAさんは、駆けつけた小樽警察署の警察官に建造物侵入罪の疑いで逮捕されました。
1 建造物侵入罪とは
【刑法】
(住居侵入等)
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわ
らずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
建造物侵入罪は、人の看守する建造物に正当な理由なく侵入することによって成立する罪です。
事例の公衆トイレは、①屋根を有して柱材で支持され、②土地に定着し、③人の起居出入りに適するという建造物の要件を満たしています
。しかし、Aさんが女性用トイレに入った目的は、盗撮であり、これに正当性がないことはいうまでもありませんが、不特定多数人が利用 することが予定され、また、看守者も置かれていない公衆トイレに「侵入」したといえるのか否かが問題となります。
判例では、侵入を看守者の意思に反する立入りとみるとしており、そして、意思侵害の有無は、当該建物の性質、使用目的、管理状態、管 理者の態度等がみて、現に行われた立入り行為につき、管理者がこれを容認していないと合理的に判断できるか否かで決せられます。
一方、「人の看守」とは、人が事実上管理・支配するという意味であり、一般公衆に公開されている場所(観光所や駅のホール、デパート 等)は、管理者の看守が及んでいるか否かが問題となりますが、この点について、多くの判例が管理者の看守が及んでいることを肯定して います。
これは、一般公衆が自由に出入りできる建造物であっても、一定の設置目的があり、一定の目的、用務を持つ者のために公開されているのであるから、みだりに人が出入りすることを防止できるだけの人的物的管理態勢が整っていれば、現実に出入りの制限をしていなくとも、 その管理者の看守内にあるものとの考えによるものです。
2 事例検討
事例の公衆トイレは、小樽市が公園利用者の用便のために公開している施設であり、看守者を置いてはいないものの、管理者(小樽市)は 、抽象化した男性と女性のマークを掲示することにより、利用者に対して、当該トイレが男性用と女性用に分かれていること、そして、性別により入る区間を制限・区別することを明確に意思表示しているものであり、また、このことは、通常人であれば容易に理解できるものです。
したがって、Aさんが盗撮目的で女性用トイレに入った行為は、管理者(小樽市)の意思を無視した立入り行為であり、また、管理者がこ れを容認することは当然あり得ないのですから、建造物侵入罪が成立します。
なお、事例の場合、軽犯罪法の
第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
三十二 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入った者
にいう「入ることを禁じた場所」に正当な理由なく入ったとして本罪の成立も考えられますが、本号は、刑法第130条の住居侵入罪等に 対して補充関係にあるので、建造物侵入罪が成立することが明白な事例のケースにおいては適用されません。
3 建造物侵入罪の弁護活動
1.早期に示談交渉に着手して、不起訴処分・略式罰金など有利な結果を導けるように活動します。
建造物侵入罪は、被害者がいる犯罪であるため示談解決がポイントとなります。
示談は契約ですので、被疑者と被害者が合意することにより作ることになりますが、相手の被害感情を考えると直接被疑者が被害者と交渉 を行うのは困難であり、示談ができたとしても不相当に過大な金額での示談解決になる可能性が大きいと考えられます。
一方、弁護士に依頼することにより被害者とコンタクトをとりやすくなり、冷静な交渉により妥当な金額での示談解決が図りやすくなります。
2.余罪について嘘の自白をしないようにアドバイス
被疑者の方が同時期に複数件の建造物侵入事件を起こしていたり、盗撮目的のためにカメラ設置をした覚えがあるものの正確な記憶を欠い ている場合等、刑事から「これもお前がやっただろう」と言われ、言われるがまま自白をしてしまうことも少なくありません。
記憶が曖昧な場合には、嘘の自白調書に署名・押印してはいけない等、取調べに対してアドバイスを行います。
3.早期の身柄解放を目指します。
逮捕・勾留されてしまうのは、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるためです。
そこで、弁護士は早期釈放・早期保釈のために証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを示す客観的証拠を収集し、社会復帰後の環境を整備する などして釈放や保釈による身柄解放を目指します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は刑事事件専門の法律事務所です。
弊所は、これまでに、建造物侵入罪を含む様々な刑事事件において、勾留阻止、身柄解放の多数の実績がありますので、ぜひご相談くださ いませ。
刑事事件専門で実力を培われた弁護士による多様な弁護活動をご用意しております。
初回相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。
また、すでに逮捕されている場合には、初回接見サービスにより弁護士が接見させていただきます。
北海道小樽市で建造物侵入罪など刑事事件に関する相談を含め刑事事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が逮捕された方は、弁護士法 人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
器物損壊罪で示談
北海道寿都郡の器物損壊事件における示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。
【事例】
北海道寿都郡在住のAさんは、隣に住むVさん宅からの騒音に悩まされていました。
どうやらVさんは友人と騒いでいるらしく、一度耐え切れなくなって苦情を申し立てるも相手にされませんでした。
ある夜、Aさんはついに耐え切れなくなり、Vさん宅の拳大の石を投げて窓ガラスを割りました。
これにより、Aさんは器物損壊罪の疑いで寿都警察署にて取調べを受けました。
取調べの際、Aさんは警察官に示談を勧められたことから、弁護士に事件を依頼することにしました。
(フィクションです。)
【器物損壊罪について】
器物損壊罪は、他人の物を「損壊」した場合に成立する可能性のある罪です。
建造物および文書は別の罪があるため対象から除かれますが、それ以外は広く器物損壊罪の対象となります。
「損壊」という言葉からは破壊や故障などを想像しますが、器物損壊罪が成立するケースというのはそれだけにとどまりません。
ここで言う「損壊」とは、物の効用を害する一切の行為を指すと考えられています。
つまり、その物を正常な理由を妨げる行為、たとえば隠す、汚すといった行為も器物損壊罪に当たる可能性があります。
上記事例では、Aさんが石を投げてVさん宅の窓ガラスを割っています。
これにより、Vさん宅の窓ガラスの効用は害されていると評価でき、「損壊」に当たると考えられます。
そうすると、Aさんには器物損壊罪が成立する可能性があります。
また、窓ガラスと建造物との接合の様子などによっては、器物損壊罪ではなく建造物損壊罪になる余地が出てきます。
器物損壊罪の法定刑が①3年以下の懲役、②30万円以下の罰金、③科料のいずれかであるのに対し、建造物損壊罪の法定刑は5年以下の懲役です。
この違いは大きいため、捜査の状況によっては建造物損壊罪ではなく器物損壊罪が成立すると主張することが有益な弁護活動となるでしょう。
【刑事事件における示談の意味】
「示談」と聞くと、刑事事件をお金で解決するというマイナスのイメージを持たれる方が多いかもしれません。
ですが、実際の示談は、金銭の支払い以外にも様々な合意を結びます。
示談というのは当事者間において事件が解決したことを示すものであり、中身もそれに値する内容でなければならないためです。
中心となるのは謝罪と被害弁償ですが、その他に接近禁止や転居などが合意されることもあります。
器物損壊罪は個人の財産を害する罪であり、その違法性は結局のところ個人に害を加えたことを根拠とします。
ですので、その個人である被害者が犯人を許しているのであれば、そこまで積極的に刑罰を科す必要がないと考えられます。
示談が処分の決定に大きな影響を及ぼす理由は、正にその点にあります。
当事者間で事件が解決されたことが確認されれば、いったん刑罰を科すのは考え直すべきだとして不起訴や執行猶予になるというわけです。
以上のように、示談が刑事事件において持つ効果は非常に大きいと言えます。
それだけに、被害者にとって納得のいく解決がなされなければ、たとえ示談書や念書が交わされたとしてもその効力を最大限に発揮するのは難しいでしょう。
きちんと中身のある示談を締結するなら、やはりトラブル解決のプロである弁護士に依頼するのが得策です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、示談の経験豊富な弁護士が、事件の円満な終了に向けて全力を尽くします。
器物損壊罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。事務所での法律相談料は初回無料です。
不法投棄の取調べ対応
北海道中川郡の不法投棄事件にかかる取調べ対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。
【事例】
Aさんは、北海道中川郡にあるアパートから退去する際、引越しの荷物に収まりきらなかった物をまとめて近くの空き地に捨てました。
数日後、自身が所有する土地に不法投棄がされていることに気づいたVさんは、不法投棄の被害に遭ったことを北海道本別警察署に相談に行きました。
警察がごみの内容を調べたところ、中にAさんの個人情報が記載されたものがあったことから、不法投棄の疑いでAさんの取調べを行うことにしました。
警察から連絡を受けたAさんは、弁護士から取調べ対応についてアドバイスを聞くことにしました。
【不法投棄をしてしまったら】
日本では、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(通称:廃棄物処理法)をはじめとする各種法令により、廃棄物の適正な処理が義務付けられています。
廃棄物処理法は、16条において、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と定めています。
この規定に違反してみだりに廃棄物を捨てると、①5年以下の懲役、②1000万円以下の罰金、③①②の両方のいずれかが科されるおそれがあります。
「廃棄物」の具体的な内容については廃棄物処理法が定めており、一般的な家庭ごみや粗大ごみは基本的に「廃棄物」に含まれます。
ですので、軽い気持ちで自宅から出たごみを不法投棄してしまうと、警察の介入により思わぬ事態に発展するリスクがあると言えるでしょう。
不法投棄のケースでよくあるのは、不法投棄された土地の管理者が警察に相談するなどして、防犯カメラの映像やごみの内容から犯人を割り出すパターンです。
こうしたケースでは、土地の管理者が不法投棄をした者に対して怒りを覚えており、その処理に掛かった費用の賠償を求められることがよく見られます。
不法投棄の内容物や総量によっては賠償額がかなりの金額になり、刑事事件とは別に民事上の責任を追及される可能性がある点には注意が必要です。
【取調べ対応の重要性】
不法投棄というのは、普段刑事事件とは無縁の生活を送っている方にとっても比較的身近な犯罪です。
そのため、不法投棄の疑いを掛けられたことで、生まれて初めて警察から被疑者として取調べを受けることになったという方も少なくないかと思われます。
ここで注意しておきたいのは、被疑者に対する警察の接し方が多種多様であり、場合によっては犯罪のうち心当たりのない部分についてまで厳しく追及されることがある点です。
警察は捜査機関として刑事責任を追及する立場にあるので、仕事柄どうしても被疑者を疑ってかかる必要があります。
そのため、厳しい取調べが行われる結果、被疑者が自身の認識と異なる事実を供述してしまうということもしばしば見られるのです。
不法投棄のケースで考えると、たとえば自身が捨てていないごみについてまで「自身が捨てたものかもしれない」と供述してしまうことが考えられます。
こうした事情から、取調べを受ける場合には、あらかじめ弁護士から取調べ対応を聞いておくことが非常に有益です。
事前に弁護士のもとへ相談に行けば、弁護士が個々の事案の特殊性を考慮したうえで、ひとりひとりに合わせた適切な取調べ対応を知ることができます。
この取調べ対応は、不慣れな取調べを受けるうえであなたの身を守る役割を果たすことが期待できます。
もし取調べを受けるに当たり少しでも不安があれば、気軽に弁護士に相談してみるとよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件の豊富な経験を有する弁護士が、取調べ対応を含めて事件に関する最適なアドバイスを致します。
もし不法投棄を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。事務所での法律相談料は初回無料です。
人身事故で執行猶予
札幌市の人身事故における執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。
【事例】
Aさんは、北海道札幌市東区を自動車で走行していた際、信号が赤だったにもかかわらずそれに気づかず停止しませんでした。
それにより、自転車を押して横断歩道を渡っていたVさんと接触し、Vさんに骨折など全治1か月程度の怪我を負わせました。
通報により現場に駆けつけた北海道東警察署の警察官は、事情聴取ののちAさんを過失運転致傷罪の疑いで逮捕しました。
Aさんと接見した弁護士は、処分の見通しとして執行猶予の説明をしました。
(フィクションです。)
【自動車による人身事故】
自動車で人身事故を起こした場合、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(通称:自動車運転処罰法)が適用されます。
自動車運転処罰法は、本来刑法が定める過失傷害罪などに当たる行為のうち、自動車によるものを別の罪として重く罰するための法律です。
そのため、自動車運転処罰法には、自動車による罪の内容と罰則に関する規定のみが定められています。
刑法が定める過失傷害の罪は、通常の過失、重過失または業務上過失といった違いはあるにせよ、基本的には傷害の原因を「過失」とひとまとめにします。
一方、自動車運転処罰法違反の罪は、人身事故に至った具体的な原因によっていくつかの罪に分かれます。
まず、自動車運転処罰法に列挙されていない過失による人身事故について、原則的な罪として過失運転致死傷罪が定められています。
法定刑は7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金となっていますが、傷害の程度が軽ければその刑を免除されることがあります。
次に、特定の危険な行為による人身事故について、危険運転致死傷罪という罪が定められています。
危険運転の例としては、酒や薬物の影響により正常な運転が困難な状態での運転、車を制御できないほど著しいスピードでの運転などがあります(詳しくは自動車運転処罰法2条参照)。
法定刑は、死亡事故であれば1年以上の懲役、それ以外の人身事故であれば15年以下の懲役です。
刑法を見てみると、過失致死傷の罪のうち最も重い業務上過失傷害罪でも、法定刑は5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金とされています。
一方、自動車による人身事故については、最も軽いもので過失運転致死傷罪に規定されている7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金です。
このことから、自動車による人身事故が過失犯の中でも特に重大だと考えられていることが分かります。
【執行猶予について】
上記事例では、Aさんが赤信号を見落としたことにより、横断歩道を渡っていたAさんと接触するという人身事故が起きています。
こうした行為は、自動車運転処罰法が定める危険運転には当たらないものの、自動車による人身事故である以上は過失運転致傷罪に当たると考えられます。
過失運転致傷事件においては、裁判に至った場合に執行猶予付き判決が下される可能性があります。
執行猶予が言い渡されると、言い渡された期間中は刑の執行が一時的に免除されます。
それだけでなく、執行猶予を取り消されることなく猶予期間が経過すれば、簡単に言うと刑が免除されてその執行を受ける必要がなくなります。
たとえば、仮に懲役2年6月、執行猶予4年の判決が下った場合、執行猶予が取り消されることなく4年が経過すれば刑の執行を免れられるということになります。
社会復帰が早期に実現できる点で、執行猶予は被告人にとって有益と言えるでしょう。
人身事故のケースを含む過失傷害事件では、故意に罪を犯したわけではないという理由で、執行猶予付き判決が下されやすい傾向にあります。
ただし、人身事故のケースにおいては、執行猶予を得るために弁護活動を尽くされなければならない場合がありえます。
たとえば、過失(不注意)の程度が著しかった、障害が残るほど怪我の程度が重かったなどの事情があるケースが挙げられます。
もしそのような人身事故を起こしてしまったら、執行猶予を得るために何をすればいいか弁護士に相談してみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、人身事故に詳しい弁護士が、執行猶予の実現に向けて的確な弁護活動を行います。
人身事故を起こしてしまいお困りなら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
麻薬所持で初回接見
北海道深川市の麻薬所持事件における初回接見について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。
【事例】
北海道深川市に住むAさん(15歳)は、友人のBさんから「飲むと疲れが吹き飛ぶよ」と言われ、何かのマークが書かれた錠剤を貰いました。
Aさんが試しにその錠剤を飲んでみたところ、今まで味わったことのないほどの多幸感を抱き、その効果が数時間持続しました。
錠剤の効果が切れてから、Aさんはそれが何らかの薬物だと考えるに至りましたが、あまりの快感からBさんに「またほしい」とお願いしました。
その後、Aさんはたびたびその錠剤を摂取していましたが、ある日麻薬及び向精神薬取締法違反(麻薬所持)の疑いで北海道深川警察署に逮捕されました。
Aさんが逮捕されるのを茫然と見ていたAさんの母は、弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです)
【麻薬所持について】
麻薬はケシという植物を原材料とする薬物であり、鎮痛作用をはじめとして身体に様々な作用を及ぼします。
麻薬の代表例としては、医療の現場で痛みを抑えるために用いられるモルヒネが挙げられます。
麻薬は使い方を誤ると身体に種々の悪影響を及ぼす危険なものであるため、日本では麻薬及び向精神薬取締法が様々な規制を設けています。
規制の内容は、「麻薬」として指定された薬物の輸出入、製造、譲渡しなどの禁止や、医療機関における麻薬の管理および麻薬中毒者に対する措置などです。
麻薬及び向精神薬取締法は、麻薬を特に危険性が高い「ジアセチルモルヒネ等」(ジアセチルモルヒネまたはその塩類を含む麻薬。代表例としてヘロイン)とそれ以外とに分けています。
そして、それぞれの麻薬の所持につき、以下のとおり罰則を定めています。
①ジアセチルモルヒネ等…10年以下の懲役
※営利目的なら1年以上の懲役と場合により500万円以下の罰金を併科
②①以外…7年以下の懲役
※営利目的なら1年以上10年以下の懲役と場合により300万円以下の罰金を併科
少年事件では刑罰が科されませんが、事件の重大性は犯した罪の法定刑にある程度比例します。
ですので、麻薬所持の非行事実が認められた場合は、厳しい結果を回避するために尽力する必要があると言えるでしょう。
【初回接見の重要性】
麻薬に関する事件では、情報を掴んだ捜査機関が最初に捜索差押を行い、物的証拠たる麻薬が見つかった時点で逮捕されるというケースがよく見られます。
そのため、もし麻薬所持が捜査機関に発覚した場合、逮捕の可能性は決して低くないと考えて差し支えありません。
被疑者が20歳未満の者である場合、その者が起こした事件は基本的に少年事件として扱われます。
少年事件の手続は通常の刑事事件とかなり異なりますが、逮捕以後に行われる初回接見の重要性については疑う必要がありません。
初回接見は、逮捕中の被疑者に対して捜査の流れや取調べ対応などを伝えられるとともに、事件の詳細を弁護士と被疑者の家族が知る貴重な機会です。
そのため、少年事件においても、やはり迅速な初回接見は要請されることになります。
加えて、弁護士の活動が多岐に渡る少年事件では、早期に初回接見を行って少しでも早く活動に着手することが非常に重要となります。
少年事件が目指すのは少年の更生であり、最終的に何らの保護処分もなしに終了することもあれば、自宅を離れて少年院に行かなければならないこともあります。
こうした処分の行く末は、非行事実の発覚後いかにして少年の健全な育成環境を整えられるかに掛かっているのです。
もし弁護士が初回接見を通して早期に事件を把握すれば、少年事件のポイントを押さえた環境整備を行う余裕が生まれます。
少年事件の主眼は少年の育成環境を整える点にあるので、そうした余裕を持つことは非常に大切だと考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、少年事件の経験豊富な弁護士が、事件の円満な解決を目指して力の限りを尽くします。
お子さんが麻薬所持の疑いで逮捕されたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所(0120-631-881)にお電話ください。
刑事事件・少年事件専門の法律事務所として、その後の活動を見据えて可能な限り早く初回接見を行います。
任意同行された
任意同行について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。
ある日警察官が自宅に来て、北海道警察の警察官に警察署までの同行を求められたら。
刑事ドラマなどで、刑事が「〇〇の容疑で署まで一緒に来てほしい。」などと言い、捜査用車両に乗り、刑事と一緒に警察署まで行くことを任意同行といいます。
◇任意同行の法的根拠◇
任意同行には法律上2種類のものがあります。
1つめは行政警察活動としての任意同行で、職務質問の際に行われます。
この任意同行については、警察官職務執行法に規定されていて、
警職法2条2項
その場で前項の質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができる。
とされています。
例えば、職務質問を受けた場所に多数の歩行者がいたり、交通量の多いとことで邪魔になったりする場合が考えられます。
2つめは、既に、犯罪の嫌疑をかけられた者に対する任意同行です。
先ほど刑事ドラマの例を挙げましたが、警察等が犯罪捜査により、被疑者として浮上した者に対して、取調べを行うためのものがこの任意同行です。
1つめの任意同行と根拠となる法律が違い、刑事訴訟法に規定されていて
刑事訴訟法第198条
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。
とされています。
◇任意同行は拒否できるのか◇
任意同行は、あくまで「任意」のものであるので、これに応じる義務はありませんし、拒否することも可能です。
拒否にも段階があって、まず、1つ目の「拒否」としては、任意同行を求められた場合に、警察署等に行くことを拒否してもよいのです。
警察官は、何かしらの理由を告げて警察署に来ることを説得します。
例えば、「ここで話をしていても埒が明かない。ゆっくり話を聞くから一緒に行こう。」「同行を拒否するのであれば、いつまで経ってもあなたの嫌疑が晴れないこととなる。話を聞かせてもらって早く終わらせよう。」「話を聞かせてもらえずに逃げ続けても、ずっと終わらない。」などと告げ、何とか警察署まで同行させようとしますが、あくまで任意同行のレベルであれば、これに応じる義務はありません。
また、2つ目の「拒否」としては、任意同行に応じて警察署に行った後であっても、途中でいつでも警察署等から帰ってもよいのです。
つまり、いったん任意同行に応じても、具合が悪くなったり、途中で気が変わったりした場合はいつでも取調べを拒否して、自宅に帰してもらうように要求することができます。
この点について、刑事訴訟法198条に、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。」と、出頭を拒むことや、出頭後、いつでも退去することができることが明確に規定されています。
◇任意同行を求められた際の対処法◇
任意同行を求められた場合に、これを拒否できることは既に述べたとおりです。
しかし、警察官としても面子がありますし、簡単に諦めることはほとんどなく、任意同行に応じるように説得してきます。
そして、その場合、応援の警察官を呼ぶなどして多くの警察官に周囲を囲まれることも少なくありません。
そのような場合に、任意同行を拒否しようと警察官の身体を押すなどすると、公務執行妨害と判断され逮捕されてしまう可能性があるので注意が必要です。
任意同行を拒否しても警察官等からしつこく任意同行を求められたり、半ば強制的に同行されそうになったりした場合は、すぐに弁護士に電話相談することをお勧めいたします。
北海道内で任意同行に関する相談を含め刑事事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。事務所での法律相談料は初回無料です。
自殺幇助罪で無罪主張
北海道弟子屈町の自殺幇助事件における無罪主張について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。
【事例】
北海道弟子屈町に住むVさんは、仕事のストレスからうつ病を患い、自宅に引きこもって生活をしていました。
ある日、Vさんの友人であるAさんは、Aさんが日頃服用している睡眠導入剤を譲ってほしいという申出をVさんから受けました。
最近服用していなかったことからそれを承諾したAさんでしたが、後日Vさんはそれを多量に服用して自ら命を絶ちました。
通報により駆けつけた北海道弟子屈警察署は、Vさんが死の直前までつけていた手記に「Aからもらった睡眠薬を飲んだ」との記載を見つけました。
これによりAさんは自殺幇助罪の疑いを掛けられたことから、弁護士に無罪主張を依頼することにしました。
(フィクションです)
【自殺幇助罪について】
刑法第二百二条
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。
他人の自殺を何らかの方法で手助けした場合、自殺幇助罪という罪により罰せられる可能性があります。
自殺幇助罪は、刑法202条が定める自殺関与等罪の一つです。
自殺幇助罪における「幇助」とは、自殺の決意を有する者の自殺行為を援助し、自殺を行わせる行為を指します。
典型例を言うと、自殺を希望している者に対して、ロープやナイフなどの自殺に必要な道具を渡したり、その者が自殺の意思を強めるような言葉を掛けたりする行為が挙げられます。
ただし、自殺幇助罪の成立を肯定するには、手助けをする者が自殺幇助罪に当たることを認識している必要があります。
そのため、相手方に自殺する意思があることを知らずに手助けをした場合、故意を欠く結果、自殺幇助罪は成立しません。
上記事例において、AさんはVさんの申出に応じて睡眠導入剤を渡していますが、Vさんが自殺しようとしていることなど全く知らなかったと考えられます。
そうすると、Aさんには故意がないと言え、自殺幇助罪の成立要件に欠けることになるでしょう。
【無罪主張をするには】
刑事事件において、犯罪を証明すべき立場にあるのは検察官をはじめとする捜査機関です。
そのため、検察官が犯罪の立証に成功しない限り、有罪となって刑罰が科されることはないのが基本です。
ただ、ここで検察官による立証を漫然と見ていればよいかというと、決してそういうわけではありません。
上記事例で問題となるのはAさんの内面であり、それを絶対的に証明することは不可能に近いと言えます。
そこで、故意のような内面に関する証明は、被疑者・被告人の発言や犯行前後の行動といった様々な事情を考慮し、故意があったかどうかを推認するというかたちになります。
こうした過程において、検察官が立証しない限り無罪になるだろうと悠長に構えていると、もっともらしい各種証拠の存在から故意があったと評価されて有罪となりかねません。
もし無罪を主張して犯罪の成立を徹底的に争うのであれば、やはり法律の専門家である弁護士に依頼することをおすすめします。
刑事事件に詳しい弁護士であれば、無罪を主張するうえで重要な証拠を押さえ、被告人が無罪であることを説得的に主張することができます。
また、事件の初期から弁護士の力を借りれば、取調べにおいて墓穴を掘る可能性も相当程度抑えることができます。
捜査機関や裁判所といった国家権力と闘うのは相当の労力を要するので、少しでも不安を抱いたら無罪主張を含めて弁護士を頼ってください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に詳しい弁護士が、無罪を主張してほしいというご要望にお応えして充実した弁護活動を行います。
もし自殺幇助罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。
通貨偽造事件で初回接見
北海道中川郡の通貨偽造事件における初回接見について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。
【事例】
Aさんは、自宅のプリンターを使って1万円札をカラーコピーし、一見して本物の1万円札と見間違えるような偽札を作成しました。
そして、その1万円札を北海道中川郡内の商店数店舗で利用したところ、ある店にて偽札だと見破られ警察に通報されました。
通報により駆けつけた北海道池田警察署は、取調べと家宅捜索を行ったうえで、Aさんを通貨偽造・同行使罪の疑いで逮捕しました。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです)
【通貨偽造について】
刑法
第百四十八条
行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2 偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
通貨偽造罪は、日本で流通している硬貨や札を偽造した場合に成立する可能性のある罪です。
札は一般的に紙幣と呼ばれていますが、実は通貨偽造罪が定める「紙幣」とは異なります。
通貨偽造罪に言う「紙幣」は政府が発行する通貨である一方、現在日本において流通している札は日本銀行が発行するものです。
そのため、一般的に紙幣と呼ばれるものは、政府の認可を受けて特定の銀行が発行する「銀行券」に当たります。
通貨偽造罪における「偽造」とは、権限のない者が通貨に似た見た目のものを作成することを指します。
上記事例では、Aさんが自宅のプリンターを用いて1万円札のカラーコピーを行い、一見して本物の1万円札と見間違えるような偽札を作成しています。
このような行為は正に「偽造」と言え、Aさんには通貨偽造罪が成立すると考えられます。
加えて、Aさんは作成した偽札を商品の購入に用いていることから、併せて偽造通貨行使罪も成立する余地があります。
【弁護士による接見の強み】
逮捕された被疑者は当然ながら外部との連絡が絶たれることとなり、面会が可能になるのは早くとも勾留決定後、すなわち逮捕から2~3日後です。
それまでの間、周囲の方は逮捕中の被疑者の様子を確認することができないため、特に被疑者の身を案じる家族や友人にとっては不安が募るのものです。
また、仮に面会が可能となっても、被疑者と事件に関する話をすることは一切できませんし、面会が可能な日時や頻度にも著しい制限があります。
更に、共犯者が存在するなど一定の事情がある場合、接見禁止という措置により面会などの接触が禁止されることもあります。
以上のような状況下でも、弁護士であれば種々の制限を受けることなく逮捕中の被疑者と接見(面会)を行うことができます。
弁護士が行う接見には、日時、場所、頻度および受け渡す物に関する制限が基本的にありません。
ですので、弁護活動の必要や被疑者またはその家族の要望に応じて、いつでも接見を行うことが可能となっています。
加えて、弁護士が接見を行う場合、警察署の職員は接見の場に立ち会うことができません。
そのため、警察には話しづらい事柄でも、弁護士との接見においては気兼ねなく話すことができるようになっています。
接見による被疑者・被告人との接触は、逮捕を伴う刑事事件において決して欠かすことのできない重要な行為です。
事件をよりよい方向に導くためにも、弁護士への接見の依頼はぜひ積極的に行ってください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に強い弁護士が、お申し込み後、迅速に初回接見を行える体制を整えています。
ご家族などが通貨偽造事件を起こして逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。
検察官の不起訴とは
検察官の不起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。
◇相談内容◇
私は、昨年の9月に痴漢をした件で不起訴処分(起訴猶予)を受けました。しかし、その2か月後の11月にまた痴漢をしました。現在はその件で検察庁から呼び出しを受けています。11月の件では起訴されても仕方ないと思っているのですが、9月の件でも起訴されてしまうのでしょうか?(フィクションです)
◇不起訴って何?◇
不起訴とは、検察官が下す終局処分(その事件について起訴・不起訴を終局的に決める処分)の一種で、その意味は文字通り、起訴されないということです。以下、具体的にみていきましょう。
~誰が決めるの?~
不起訴は、検察官が下す終局処分の一種ですから、不起訴を決めるは警察官でもなければ、裁判官でもなく、検察官です。検察官の元には、警察や検察の捜査で収集した証拠が全て届けられます。その証拠の中には、被疑者(犯人)にとって不利な証拠もあれば、有利な証拠も含まれています。したがって、検察官は、それらの証拠を総合的に判断して、事件を起訴するか、不起訴にするか判断できる立場にあるのです。なお、刑事訴訟法には不起訴について次の規定が設けられています。
刑事訴訟法247条(国家訴追主義)
公訴は、検察官がこれを行う。
刑事訴訟法248条(起訴裁量(便宜)主義)
犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴をしないことができる。
~いつ決めるの?~
上記のとおり、起訴するか、不起訴にするかの判断は検察官に委ねられていますから、その判断の時期も検察官の判断(裁量)に委ねられます。検察官は、捜査の過程で収集した証拠に基づいて終局処分を決めますし、証拠の収集には一定程度時間を要しますから、終局処分の判断までにも一定の時間を要します。ただし、身柄事件の場合は時間的制約がありますから、在宅事件に比べて証拠収集のスピードがあがり、その分、終局処分を下す時期も早くなります。
~何を基準に決めるの?~
検察官が収集した証拠に基づき判断します。そして、検察官は、起訴するだけの証拠が集まったか否かを見極めます。証拠が集まっていないと判断した場合、あるいは集まっているが、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況から起訴を必要としないとき(刑事訴訟法248条)は不起訴とします。
~不起訴にも種類があるの?~
検察官が不起訴と判断するに至った理由の「題名」のことを裁定主文といいます。よく目にするのが、「嫌疑不十分」と「起訴猶予」です。嫌疑不十分とは、検察官が起訴するに足りる証拠が集まっていないと判断したときに裁定するものです。起訴猶予とは、検察官が、証拠から犯罪であることは明らかであるが、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況から起訴する必要がないと判断したときに裁定するものです。
実は、この裁定主文は「嫌疑不十分」「起訴猶予」の他にもいろいろあります。例えば、そもそも被疑者が死亡している場合は「被疑者死亡」により不起訴となりますし、訴訟条件が欠けている場合も不起訴となります。
~不起訴になったらどうなるの?~
不起訴になれば、刑事裁判にかけられることや刑罰を受けること、前科が付くことがなくなります。したがって、裁判所や検察からの呼び出しに応じる負担もなくなります。また、不起訴獲得によって職場の雇用や資格取得の場面でもよい影響が出るでしょう。
~不起訴の理由は教えてくれるの?~
お客様の中には、不起訴になった理由を知りたいとご相談される方もおられますが、原則、検察官が不起訴とした具体的理由については教えてはくれません。被疑者に対する不起訴処分の告知について定めた刑事訴訟法259条にはその旨の文言が書かれていないからです。
刑事訴訟法259条
検察官は、事件につき公訴を提起しない処分をした場合において、被疑者の請求があるときは、速やかにその旨をこれに告げなければならない。
~今後、逮捕、起訴されることはないの?~
裁判と違って、不起訴処分には、それ以上事件を蒸し返してはいけないという決まりはありません。したがって、不起訴となったからといって、逮捕、起訴されないという保証はありません。証拠が足りなくて不起訴となっても(嫌疑不十分の場合)、処分後に新たな証拠が出てきた場合、起訴猶予で不起訴となっても、処分後に再犯を犯し情状が悪くなった場合などは、再度、逮捕、起訴されることがあります。
前者のケースは少ないと思われますが、後者のケースは十分にあり得ることです。したがって、起訴猶予で不起訴となった場合は、それだけで安心せず、その後の生活態度には十分気を付ける必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は刑事事件専門の法律事務所です。弊所は、これまでに、痴漢事件をはじめとする様々な刑事事件において、勾留阻止、身柄解放の多数の実績がありますので、ぜひご相談くださいませ。刑事事件専門で実力を培われた弁護士による多様な弁護活動をご用意しております。初回相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。
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