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強制性交等罪で逮捕

2019-09-23

北海道旭川市の強制性交等事件について、あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

Aさんは、北海道旭川市内を歩いていたところ、20代前半と思しき男性Vさんの姿が目に入りました。
そこで、AさんはVさんの喉元にカッターナイフを示して「騒いだら殺すぞ」と言い、Vさんを人気のない路地裏に連れ込みました。
そして、Vさんに自身の男性器を咥えさせ、Vさんの口内で射精してすぐに逃走しました。
後日、Vさんが旭川東警察署に相談したことで、Aさんは強制性交等罪の疑いで逮捕されました。
(フィクションです。)

【強制性交等罪について】

かつて強姦罪と呼ばれていた罪は、平成29年の刑法改正によって強制性交等罪という名に改められました。
この改正には、罪名以外の改称にもいくつか重要な変更が含まれています。
そのうち最も重要な点として、処罰対象となる行為の範囲が拡大されたことが挙げられます。
強姦罪はもっぱら女子に対する姦淫(性交)を処罰の対象とし、それ以外の行為はせいぜい強制わいせつ罪が成立するに過ぎないものとしていました。
これに対して、強制性交等罪は、通常の性交のほか口腔性交および肛門性交も処罰の対象と定められました。
処罰対象となる行為が広がったことで、男女問わず強制性交等罪の加害者にも被害者にもなりうることが確定しました。

強制性交等罪の成立要件は、暴行または脅迫を手段として性交等に及ぶことです。
ただし、被害者が13歳未満の者であれば、性交等の事実のみを以て強制性交等罪が成立します。
強制性交等罪の手段となる暴行・脅迫は、相手方の反抗を困難にする程度のものが要求されます。
そのため、強制性交等罪の成否を巡って、しばしばそうした程度の暴行・脅迫があったかどうかが問題となります。
一般的に、暴行が執拗だったり脅迫に凶器が用いられたりした場合、暴行・脅迫の程度が甚だしいと評価されやすくなります。

【強制性交等罪の弁護活動】

法改正前の「強姦罪」の場合は、性器が挿入されなければ、性器を挿入しようとしたが入らず、性器同士が接触した事実があっても、それは「強姦未遂」とされることがありました。
法改正により行為の幅が広がったため、性行為等を行う意思が明確にあり、暴行や脅迫を加え相手の腕をつかんだ程度の行為でも、強制性交等罪の未遂罪に問われる可能性が増えました。

「強姦罪」の時代には未遂であれば執行猶予がつくことも珍しくはありませんでしたが、性犯罪の厳罰化が進んでいるため、弁護士に依頼し、被害者に対する被害弁償示談、裁判官に対して十分に反省していることを伝える上申書を提出するなど、弁護活動をしてもらうメリットは十分にありますし、示談を成立させ、被害者からの許しを得ることは、刑事事件の処分を決める上でもとても重要な事情になります。

【処分・処罰の見込みについて】

強制性交等罪については、逮捕され、さらに最大20日間、警察署の留置場に勾留されて取調べなどの捜査を受けることになるでしょう。
起訴されて裁判を受ける場合、有罪となれば前科がなくても実刑判決が言い渡される可能性が高いです。
悪質性が高い場合や被害者の年齢が低いなどの被害が大きい場合、また余罪が多数あるなどの場合は、より重い刑が言い渡されることになります。

【合意があったのに後でレイプされたと訴えられた場合】

合意の上での性交渉をしたのに、後に相手からレイプされたと強制性交等罪の被害を訴えられた場合、すぐに弁護士に依頼することをおすすめします。
通常、性交渉は密室で二人きりで行われるものですし、合意の有無の立証は簡単とはいえません。
しかし、事件前後の言動など、合意を裏付けることができる証拠がある場合があります。
例えば、性交渉前に被害者とやり取りしたメールで性交渉を約束していたり、性交渉後にも被害者を送り届け、その後も連絡を取り合っていたり、仲良くデートしたりと、合意を推認させる事情を証拠として集めることが重要です。
ですから、早急に事件に強い弁護士の力を借り、合意があったことを立証する必要があります。

北海道旭川市強制性交等罪に関する相談を含め刑事事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

建造物損壊罪で逮捕

2019-09-21

北海道滝川市の建造物損壊事件について、あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

北海道滝川市に住むAさんは、隣の住宅に住んでいるVさん宅からの騒音にうっぷんが溜まっていました。
ある日、Aさんは遂に騒音に耐え切れなくなり、Vさん宅の壁に向かって拳大の石を投げつけました。
これにより壁が壊れたことから、VさんはAさんが犯人であることを突き止めたうえで北海道滝川警察署に被害届を出し、Aさんは建造物損壊罪で逮捕されました。
(フィクションです。)

【建造物損壊罪について】

刑法
第二百六十条
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

建造物損壊罪は、器物損壊罪や文書毀棄罪と並ぶ毀棄・隠匿の罪の一つです。
建造物損壊罪における「損壊」とは、器物損壊罪と同様、財物の効用を害する一切の行為だと考えられています。
そのため、建物の一部が欠けるような行為にとどまらず、たとえば塗料で建物を汚す行為なども建造物損壊罪となる余地があります。
また、建造物のうちどこまでを建造物損壊罪の対象にするかという点は争いがあります。
たとえば、建物の壁の損壊が建造物損壊罪に当たることは理解できるかと思いますが、壊さずとも付け外しができる網戸を損壊した場合はどうかといった具合です。
裁判例は、損壊された物の物理的構造だけでなくその機能も重視すべきだとしており、過去に取り外し可能な住居の玄関ドアも建造物損壊罪の対象になると判断しました。

器物損壊罪の法定刑が①3年以下の懲役、②30万円以下の罰金、③拘留、④科料であるのに対し、建造物損壊罪の法定刑は5年以下の懲役です。
こうした法定刑の違いは、刑法260条が掲げる対象物の重大性から生じていると考えられます。
損壊したのが建造物の一部かどうかで、科される刑がかなり異なってくる点には注意しておきましょう。

【不起訴を目指すには】

刑事事件は、その全てが裁判になって最終的に刑罰が科されるというわけではありません。
中には、不起訴となって刑罰を科されることなく終了する事件が少なからずあります。
そのため、たとえ刑事事件を起こしてしまっても、一度冷静になって不起訴の可能性がないか弁護士に聞いてみることを心掛けるとよいでしょう。

不起訴の理由は多岐に渡りますが、その中でよく見られるものとして起訴猶予が挙げられます。
起訴猶予とは、検察官にとって起訴すれば有罪にできる見込みがあるものの、様々な事情を考慮して起訴を敢えて見送る処分です。
考慮される事情としては、①性格や来歴といった犯人に関する事情、②動機や軽重といった犯罪に関する事情、③犯罪後の情況が挙げられます

不起訴処分が下された場合、その事件は検察官による不起訴の判断を以って終了したものとみなされ、よほどのことがない限り起訴されて裁判が行われることはなくなります。
起訴されなければ裁判で事件が公になることはありませんし、懲役や罰金などの刑罰も科されませんので、被疑者にとって不起訴処分は非常に有益と言えるでしょう。

建造物損壊事件で起訴猶予による不起訴を目指すなら、やはり被害者との示談が重要になります。
ただ、事件の張本人が直接示談交渉に及ぶことは、交渉の決裂や被害者からの不当な要求のリスクがあることから決しておすすめできません。
適正な内容の示談をできるだけ早く交わすなら、ぜひ法律の専門家である弁護士示談交渉を依頼してください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件専門の法律事務所として、これまで数多くの不起訴処分を獲得してまいりました。
建造物損壊事件も自信を持ってお受けできますので、お困りなら弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

通貨偽造罪で逮捕

2019-09-19

北海道寿都町の通貨偽造事件について、あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

北海道寿都町に住むAさんは、自宅のプリンターを使って1万円札をカラーコピーし、一見して本物の1万円札と見間違えるような偽札を作成しました。
そして、その1万円札を北海道寿都町の商店数店舗で利用したところ、ある店にて偽札だと見破られ警察に通報されました。
通報により駆けつけた北海道寿都警察署は、取調べと家宅捜索を行ったうえで、Aさんを通貨偽造・同行使罪の疑いで逮捕しました。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです)

【通貨偽造の罪】

刑法
第百四十八条
行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2 偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。

通貨偽造・同行使罪は、行使の目的で貨幣等を偽造し、偽造された貨幣等を行使する罪です。
通貨偽造・同行使罪で客体となるのは日本で流通し使用する事のできる貨幣、紙幣、銀行券です。
通貨偽造罪における「偽造」とは、権限のない者が通貨に似た見た目のものを作成することを指します。
上記事例では、Aさんが自宅のプリンターを用いて1万円札のカラーコピーを行い、一見して本物の1万円札と見間違えるような偽札を作成しています。
このような行為は正に「偽造」と言え、Aさんには通貨偽造罪が成立すると考えられます。
加えて、Aさんは作成した偽札を商品の購入に用いていることから、併せて偽造通貨行使罪も成立する余地があります。

行使」についてですが、通貨偽造の罪でいう「行使」とは、偽造通貨を真正なもののように装って流通に置くことを意味します。
Aさんの様に、商店で買い物の支払いに使用した場合は、当然「行使」に当たりますが、教材用や装飾用、作成技術の興味だけで作成した場合は行使の目的があるとはいえません。
また支払い能力を示すために使用する、いわゆる「見せ金」として使用した場合も行使目的は否定されます。

【弁護士による接見の強み】

逮捕された被疑者は当然ながら外部との連絡が絶たれることとなり、面会が可能になるのは早くとも勾留決定後、すなわち逮捕から2~3日後です。
それまでの間、周囲の方は逮捕中の被疑者の様子を確認することができないため、特に被疑者の身を案じる家族や友人にとっては不安が募るのものです。
また、仮に面会が可能となっても、被疑者と事件に関する話をすることは一切できませんし、面会が可能な日時や頻度にも著しい制限があります。
更に、共犯者が存在するなど一定の事情がある場合、接見禁止という措置により面会などの接触が禁止されることもあります。

以上のような状況下でも、弁護士であれば種々の制限を受けることなく逮捕中の被疑者と接見(面会)を行うことができます。
弁護士が行う接見には、日時、場所、頻度および受け渡す物に関する制限が基本的にありません。
ですので、弁護活動の必要や被疑者またはその家族の要望に応じて、いつでも接見を行うことが可能となっています。
加えて、弁護士が接見を行う場合、警察署の職員は接見の場に立ち会うことができません。
そのため、警察には話しづらい事柄でも、弁護士との接見においては気兼ねなく話すことができるようになっています。

接見による被疑者・被告人との接触は、逮捕を伴う刑事事件において決して欠かすことのできない重要な行為です。
事件をよりよい方向に導くためにも、弁護士への接見の依頼はぜひ積極的に行ってください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に強い弁護士が、お申し込み後、迅速に初回接見を行える体制を整えています。
ご家族などが通貨偽造事件を起こして逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

詐欺罪で逮捕

2019-09-18

北海道倶知安町の詐欺事件について、あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

北海道倶知安町に住むAさんは、友人のBさんからの紹介でとあるバイトをすることになりました。
そのバイトとは、とあるアパートの一室でレターパックを受け取り、その中に入っている現金を指定された口座に入金するというものでした。
内容と報酬の高さから振り込め詐欺であることに気づいたAさんでしたが、生活に困っていたことから仕方なくそのバイトに手を出しました。
後日、被害に遭ったVさんが警察に相談したことで事件が発覚し、Aさんは詐欺罪の疑いで北海道倶知安警察署に逮捕されました。
(フィクションです。)

【詐欺罪について】

詐欺罪は、他人を欺いて財産を交付させた場合に成立する可能性がある罪です。
相手方の正常な判断能力を害する点に特徴があり、積極的に嘘をつくなどした場合のみならず、告げるべきことを告げなかった場合にも成立する余地があります。
たとえば、買い物の会計で渡されたお釣りが多いと気づいたにもかかわらず、そのことを伝えずにお釣りを受け取った場合、詐欺罪に当たる可能性があります。

振り込め詐欺に代表されるように、詐欺罪は複数名が行為を部分的に担当して遂げるケースがよく見られます。
詐欺罪が成立するのは、①欺く行為、②相手方の錯誤、③錯誤に基づく財産の交付、④財産の移転という各過程を辿る場合です。
振り込め詐欺を例に挙げると、電話を掛けて欺く役、被害者から現金を受け取る役、受け取った現金を特定の口座に入金する役、というような役割分担が行われることが多いのです。

このように各々が行った行為は部分的であっても、基本的には関与者全員に詐欺罪の成立が認められます。
上記事例のAさんは、レターパックを受け取り、中の現金を特定の口座に入金していたに過ぎません。
ですが、こうした行為が詐欺の一環として行われていたのであれば、詐欺に当たる他の行為についても責任があるものとして扱われます。
そして、Aさんが振り込め詐欺だと気づいていた以上、詐欺の故意も認められ、詐欺罪は成立すると考えられます。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役であり、役割の軽重を問わず罰金刑になる余地はありません。
ですので、ひとたび詐欺罪で有罪となれば、その刑は厳しいものになることが見込まれるでしょう。

【弁護士の見解】

何年も前から「振り込め詐欺」は社会問題となっており、警察等の捜査当局は取り締まりに力を入れています。しかし、警察に逮捕されるのは、受け子や出し子といった犯人グループの末端がほとんどで、組織の壊滅にまで捜査が及ぶケースは非常に少ないです。
その様な背景から裁判所は振り込め詐欺の関係被疑者、被告人に対して厳しい判断を下す傾向にあります。
振り込め詐欺の受け子で逮捕された場合、よほどの事情がない限り、勾留は免れないと考えて間違いないでしょう。それだけでなく、事件関係者との通謀を避けるために接見禁止となる可能性も非常に高いです。
また、勾留期間中には余罪に対する捜査が行われるので、振り込め詐欺に関係する事件で逮捕された場合は、勾留が20日間まで延長される可能性が非常に高いでしょう。Aさんの息子さんの場合ですと、さらにその後も、余罪の詐欺事件で再逮捕される可能性が十分に考えられます。
また勾留中の捜査結果次第にはなりますが、余罪事件も含めて起訴される可能性も十分に考えられ、その場合は実刑判決が言い渡されるおそれがあります。

【振り込め詐欺における弁護活動】

振り込め詐欺の弁護活動において、被害者との示談が重要となります。
ただ、振り込め詐欺は通常、被害者の人数、被害金額が共に大きいのが特徴です。
また、被害者の処罰感情も強いため、限られた時間の中で、振り込め詐欺の被害者全員との示談が困難であったり、示談金の準備が難しくなったりするケースがほとんどです。
また、振り込め詐欺の被害者は犯人に連絡先を教えたり、交渉、面会したりすることは拒否するでしょう。
そのため、振り込め詐欺の示談は、専門家である弁護士に依頼して示談交渉を進めるべきなのです。
実刑判決が科せられる可能性が非常に高い振り込め詐欺にあっても、無罪執行猶予判決を獲得するケースもあります。先ほど述べたように、「道具屋」や「受け子」、「出し子」などの末端関与者など様々な役割がありますし、その役割に応じて適切な弁護活動が必要となります。
振り込め詐欺グループは、ピラミッド型に組織化していることもあり、その上層部のことを末端関与者が知らず、さらに、事件の内容も知らされず、知らない間に振り込め詐欺に関与している場合もあり、そのような受け子の犯意を否定し、無罪判決が言い渡されたケースもあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件のプロである弁護士が、最短でお申込み直後、遅くとも24時間以内に初回接見に向かいます。
ご家族などが詐欺罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

児童買春で逮捕

2019-09-17

北海道室蘭市の児童買春事件について、あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

北海道室蘭市の会社員Aさんは、インターネット上の掲示板で「パパ募集」という書き込みを見つけ、その書き込みをした者に連絡を取りました。
そして、書き込みの主であるBさん(16歳)と会い、一緒に食事をしてから2万円を渡しました。
その後、AさんはBさんと定期的に会うようになり、やがてお金を払って性行為に及ぶようになりました。
このことがBさんの補導をきっかけに明らかとなり、Aさんは児童買春の疑いで北海道室蘭警察署の捜査を受けることになりました。
Aさんは、少女に年齢を確認して「20歳」と聞いていたので、年齢の不知による無罪を主張しています。
(フィクションです。)

【児童買春について】

児童買春については、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」という法律に規定されています。
それによると、「児童買春」とは、金銭などを対価に児童(18歳未満の者)との間で行う「性交等」を指します。
「性交等」には、口腔性交や肛門性交だけでなく、自身の性器、肛門、乳首を児童に触らせたり、児童の性器などを触ったりする行為も含まれます。
金銭などの供与の相手方は、児童だけでなく、性交等をあっせんした者や児童の保護者でも構いません。
たとえば、児童の親に金銭を渡して児童と性交を行った場合も児童買春に当たります。

金銭などを対価することなく単純に同意のある性交等を行った場合、北海道では「淫行」として北海道青少年健全育成条例により罰せられます。
ただ、この条例が定める淫行の罪の法定刑は、2年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
これに対し、児童買春の罪の法定刑は、5年以下の懲役または300万円以下の罰金です。
こうして並べてみると、対価の供与やその約束の存在がいかに罪を重くしているかがよく分かります。
更に、性交等の相手方が13歳未満の者であれば、以上の罪ではなく強制性交等罪に当たる可能性が出てきます。
強制性交等罪の法定刑は5年以上の懲役(上限20年)であり、下限が5年の時点で相当重い罪だと言えるでしょう。

【年齢の不知】

児童買春を規制している児童買春・児童ポルノ処罰法では「児童の年齢を知らないことを理由として児童買春行為の処罰を免れることはできないが、過失がない時は、この限りではない。」ことが明記されています。
これは、年齢の不知の過失を処罰する趣旨を規定したものです。
つまり、買春行為に際して、相手方の年齢を可能な限り調査して年齢を確認する義務を尽くしたにもかかわらず、児童であることを知り得なかったことを立証しない限り処罰を免れない旨を規定しているのです。
買春行為の相手方の、具体的な年齢調査の程度や方法については、事件ごとに検討されるでしょうが、一般的には児童に年齢を確認したり、身体の外形的な発育状態によって18歳以上であると信じたとしても調査義務を尽くしたとはいえないでしょう。
例えば運転免許証など、年齢が確認できる身分証で年齢を確認するまでしていれば、例え相手が18歳未満であっても、年齢の不知で児童買春罪の適用を免れる可能性があります。

【量刑】

児童買春行為に対する法定刑は「5年以下の懲役又は300万円以下の罰金」です。
児童を保護する観点から、世界的に児童買春行為は厳しく取り締まられています。
Aさんのような児童買春行為で警察に逮捕された場合、初犯であれば略式起訴されて罰金刑となる可能性が高いでしょうが、再犯の場合は正式に起訴され刑事裁判で刑事罰が決定するでしょう。
児童買春の量刑は、事前に児童の親御様と示談することによって、少しでも軽減できる可能性があります。

北海道で起こった刑事事件でお困りの方、ご家族、ご友人が児童買春事件で逮捕され、年齢の不知による無罪を主張している方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

大麻の栽培事件

2019-09-15

北海道深川市の大麻の栽培事件について、あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

土木作業員をしているAさんは、北海道深川市にある職場の近くに、仕事道具を置くために借りている倉庫で大麻を栽培しています。
Aさんは、10年以上前に友人から大麻の栽培方法を教えてもらってからずっと、この倉庫で大麻を栽培しているのです。
最初は自分が使用する分だけを自宅マンションで栽培していましたが、今では、倉庫で大量の大麻を栽培しており、インターネットで知り合った大麻愛好家に密売しています。
先日、Aさんから大麻を購入した客が警察に逮捕されたという話を聞いたAさんは、警察の捜査が自身にまで及ぶのではないか心配です。
(フィクションです)

【大麻取締法】

大麻取締法では、大麻の所持、譲渡、譲受、輸出入、栽培が禁止されており、Aの行為は、栽培と譲渡の違反になるでしょう。

~大麻取締法第3条第1項~
大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。
ここでいう大麻取扱者とは、大麻栽培者及び大麻研究者のことです。
大麻栽培者とは、都道府県知事の免許を受けて、繊維若しくは種子を採取する目的で大麻草を栽培する者のことです。
また大麻研究者とは、都道府県知事の免許を受けて、大麻を研究する目的で大麻草を栽培し、大麻を使用する者のことです。(大麻取締法第2条)

~栽培の禁止~
大麻取締法第24条に大麻の栽培を禁止する旨と、その罰則が明記されています。
◇大麻取締法第24条第1項◇
「大麻を、みだりに栽培し…た者は、7年以下の懲役に処する。」旨が明記されています。
ここでいう「みだりに」とは、社会通念上正当な理由が認められないという意味です。
上記のとおり、法律上、大麻の栽培が認められているのは大麻取扱者だけですので、それ以外の者が大麻を栽培すれば、この「みだりに」と言えるでしょう。
◇大麻取締法第24条第2項◇
営利の目的で、大麻を栽培した者は、10年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する」旨が明記されています。
営利の目的とは、犯人が自ら財産上の利益を得たり、第三者に得させることを、動機・目的とすることを意味します。
簡単に言うと、営利目的に大麻を栽培することとは、販売して利益を得ることを目的に大麻を栽培することです。
大麻を営利目的で栽培していたことは、栽培した大麻を実際に販売していたかどうか、またそれによって利益を得ていたかどうかによって立証されます。

~譲渡の禁止~
大麻取締法第24条の2に、大麻の譲渡を禁止する旨と、その罰則が明記されています。
◇大麻取締法第24条の2第1項◇
「大麻を、みだしに…譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。」旨が明記されています。
◇大麻取締法第24条の2第2項◇
営利の目的で、大麻を譲り渡した者は、7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処する」旨が明記されています。
単に、一度だけ友人に大麻を有償で譲り渡しただけで、営利目的の大麻譲渡とは認められないでしょう。
営利目的の大麻譲渡は、複数回に渡って、大麻を有償で譲渡するといった反復継続性が必要となり、それによって利益を得ていなければなりません。

【執行猶予とは何か】

仮に大麻栽培が発覚したとしても、初犯で栽培の量もそれほど多くなければ執行猶予となる可能性が十分あります。
執行猶予とは、刑の執行に一定の猶予期間を設けるとともに、その期間中に執行猶予が取り消されなければその後も刑の執行をしないこととする制度です。
執行猶予の利点は、刑の全部執行猶予が言い渡された場合に、判決後直ちに刑務所に収容されるという事態を回避できる点です。
これにより、たとえ懲役刑を言い渡されたとしても社会復帰を実現できる余地が出てくるのです。

執行猶予は、一定の事情が発生した場合に必ず取り消され、または取り消されることがあります。
執行猶予が必ず取り消される事情としては、たとえば執行猶予の言い渡し後に禁錮以上(懲役を含みます)の刑が科される場合が挙げられます。
また、執行猶予が取り消される可能性がある事情としては、たとえば保護観察付の執行猶予となった際、保護観察中に遵守すべき事項を遵守しなかった場合が挙げられます。
執行猶予は早期の社会復帰を目指せる点で有益な制度ですが、制度の内容は複雑であり、なおかつ目指すためには裁判における相応の振舞いが求められます。
もし執行猶予に関して疑問があれば、ぜひ一度お近くの弁護士に相談してみてください。
執行猶予の見込みや、執行猶予を目指すためにやるべきことなど、きっと役立つアドバイスを受けることができるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に詳しい弁護士が、執行猶予のことならなんでも丁寧にお答えいたします。
ご家族などが大麻事件で逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

覚せい剤の所持事件

2019-09-13

北海道寿都町の覚せい剤の所持事件について、あいち刑事事件総合法律事務所札幌の弁護士が解説します。

【事件】 

北海道寿都町に住むAさんは、覚せい剤の所持事件で実刑判決を受け2年前に刑務所から出所してきました。
出所後は真面目に働き覚せい剤を絶っていましたが、1週間前に、かつての友人と偶然街で出会い、再び覚せい剤に手を出してしまいました。
友人に誘われて、売人から覚せい剤を入手し、友人の家で一緒に使用したのです。
そして残った覚せい剤を財布の中に隠して持ち歩いていたのですが、昨日、この財布をどこかに落としてしまいました。
(フィクションです。)

【覚せい剤の所持事件】

~財布が警察に届け出られたら(警察の捜査)~
Aさんが落としてしまった財布を誰かが拾って警察に届け出られたら、間違いなく覚せい剤が見つかってしまうでしょう。
当然、警察は覚せい剤の所持事件として捜査を開始します。
まず、覚せい剤であることを証明するために鑑定し、覚せい剤であることが判明すれば、今度は覚せい剤の所有者を特定します。
財布の中に入っていた身分証等から財布の所有者を特定するだけでなく、覚せい剤が入っているポリ袋から指紋を採取する等の捜査を尽くして覚せい剤の所有者を特定するのです。
Aさんが特定されるかどうかは、財布の中身や、指紋が検出されるか否か、財布を紛失した際の状況等によりますが、警察の鑑識技術や、街中のいたる所に防犯カメラが設置されている状況を考えると、Aさんが特定される可能性は非常に高いでしょう。

~逮捕されるか?~
Aさんが覚せい剤の所持事件で逮捕される可能性は非常に高いでしょう。
覚せい剤の所持、使用事件は、覚せい剤の入手先等を捜査する必要があり、逮捕しなければ、覚せい剤の入手先等への通謀のおそれが高いことから、Aさんに限られず、警察は、よほどの理由がない限り覚せい剤事件の犯人を逮捕、勾留して取調べを行います。
そして注意しなければならないのが、覚せい剤の所持事件で逮捕されたとしても、覚せい剤の使用を疑われて採尿されるということです。
そして採尿された尿から覚せい剤反応が出た場合、覚せい剤の使用事件でも捜査されるのです。
Aさんの事件を例すると、もしAさんが覚せい剤の所持事件で警察に逮捕された場合、逮捕された直後に採尿されます。
そして逮捕された覚せい剤の所持事件で拘束(勾留)されて取調べを受けている最中に、この尿が鑑定されて、尿から覚せい剤反応が出れば、覚せい剤の使用事件でも取調べを受けることになります。
ここで気になるのが再逮捕されるかどうかです。
①覚せい剤に同一性がある場合
所持していた覚せい剤と、使用した覚せい剤に同一性がある場合は、改めて入手先等を捜査する必要がないので再逮捕される可能性は低いでしょう。
同一性があるとは、例えば、使用した覚せい剤の残りを所持していて、その所持していた覚せい剤が発覚して覚せい剤の所持事件で逮捕された場合など、使用事件と所持事件の覚せい剤の入手先が同じことを意味します。
②覚せい剤の同一性がない場合
所持していた覚せい剤と、使用した覚せい剤に同一性がない場合は、改めて入手先等を捜査する必要があるので再逮捕される可能性が高いでしょう。
これは、所持していた覚せい剤の入手先と、使用した覚せい剤の入手先が異なる場合です。
この場合は、覚せい剤の常習性が疑われる可能性があり、警察の取調べも厳しくなるでしょう。

【実刑の回避】

覚せい剤の使用事件は、初犯ですとほとんどの事件で執行猶予付判決となります。
しかし、Aさんの様な再犯の場合は、実刑判決の可能性が非常に高くなります。
ただ、前刑からの期間や、薬物への依存程度、更生に向けた取り組みによっては、減刑され実刑判決を回避できる可能性があります。
覚せい剤使用の再犯で、実刑を回避したい方は、薬物事件に強い弁護士にご相談ください。

北海道の薬物事件に強い弁護士、覚せい剤使用事件の再犯で実刑を回避する弁護士のご用命は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、覚せい剤使用等の薬物事件に関するご相談を年中無休で受け付けております。
事務所での法律相談料は初回無料です。

痴漢事件で逮捕

2019-09-12

札幌中央警察署管内の痴漢事件について、あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

昨夜、会社員のAさんは、お酒を呑んで帰宅途中の札幌市営地下鉄の車内で、女性のお尻に触ったとして痴漢事件で逮捕され、札幌中央警察署に留置されています。
Aさんは、約10年前にも同様の痴漢事件で罰金刑を受けています。
そのため普段は、女性から痴漢と間違えられないように、満員電車の中では女性に近寄らないようにして注意していたのですが、昨夜はお酒に酔っていたこともあり、事件を起こしてしまいました。
(フィクションです。)

【痴漢の罪について】

刑法が定めている性犯罪は、強制わいせつ罪強制性交等罪(旧強姦罪)といった、相当の悪質性があると考えられるものです。
そのため、多くの痴漢で見られる他人の身体に触れる程度の行為を罰する罪は、刑法には規定されていないということができます。
そこで、各都道府県が定める迷惑防止条例という条例により、強制わいせつ罪などに至らない程度の行為でも罰せられることになっています。

北海道においても、「公衆に著しく迷惑を掛ける暴力的不良行為等の防止に関する条例」(通称:北海道迷惑防止条例)が定められています。
この条例は「卑わいな言動」を禁止しており、多くの痴漢はこれに含まれると考えられます。
条例の効力が及ぶのは各自治体なので、北海道における痴漢には北海道迷惑防止条例が適用されるということになります。
罰則は、通常の場合6か月以下の懲役または50万円以下の罰金、常習の場合1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
常習痴漢に当たるかどうかは、前科の内容や余罪の程度などの様々な要素に基づき判断されます。
過去に何度も痴漢をしていれば、常習と見られる可能性は著しく高まることが予想されます。

痴漢の程度が悪質であれば、迷惑防止条例ではなく強制わいせつ罪に当たる余地が出てきます。
強制わいせつ罪の罰則は6か月以上10年以下の懲役なので、そうなった場合は事件の重大性ががらりと変わってくるでしょう。

【痴漢事件で逮捕されると】

ご家族、ご友人が痴漢で逮捕された方は、弊所の初回接見サービスをご利用ください。
初回接見は「弁護人になろうとする者」の立場で面会するのですが、弁護人と全く同じ条件で面会することができるので、事件の詳細や、逮捕された方の認否を警察官の立会なしで聞き取ることができます。
そして聞き取った内容をふまえて弁護士は、今後の刑事手続きや刑事処分の見通しを立てて、逮捕されている方やその家族に伝えます。
痴漢事件で逮捕された場合、事実を認めていれば勾留される可能性が低いです(逮捕から48時間以内に釈放されます)が、否認している場合は勾留されて拘束時間が長くなる可能性があります。
また初回接見では、逮捕されている方やご家族から、今後の刑事弁護活動の希望をうかがいます。

【弁護活動~釈放に向けて~】

痴漢事件を起こして警察に逮捕されると48時間以内に釈放されるか、検察庁に送致されて勾留請求されるかです。(ごくまれに検察庁に送致された後に起訴されることもある。)
そして弁護士の活動で、この勾留を阻止し早期釈放することができます。
弁護士が作成する書面に添えて、ご家族等の上申書や逮捕されている方の誓約書を検察官や、裁判官に提出することによって、検察官の勾留請求や、裁判官の勾留決定を阻止することが可能になります。
この様な身柄解放活動が全て認められるわけではありませんが、上記のように痴漢事件の法定刑は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金と、刑事事件で扱われる法律の中では比較的軽微な犯罪です。
そのため否認等特別な事情がない場合、勾留される可能性は低く、例え検察庁が勾留請求したとしても、弁護士身柄解放活動を行えば、勾留請求が却下されて釈放される可能性があります。

【弁護活動~減軽に向けて~】

弁護士は、早期釈放を求める身柄解放活動の他に、刑事処分を軽くするための活動を行います。
痴漢事件は、被害者と示談することによって刑事処分を軽くすることが可能です。
ただ注意しなければならないのが、示談によって刑事処分を軽くするには、被害者にお金を支払うだけでは足らず、示談書の内容が重要になってきます。
示談書に「加害者を許し、被害届を取り下げる。」「加害者を許し、加害者の刑事罰を望まない。」といった宥恕の条項が含まれていなければ、刑事処分に反映されないこともあるので注意しなければなりません。

北海道内の電車内における痴漢事件で、ご家族、ご友人が逮捕された方、刑事事件でお困りの方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

傷害罪で逮捕

2019-09-11

札幌北署管内の傷害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

Aさんはプロの総合格闘技の選手です。
先日、友人とお酒を呑んで帰宅途中に、酔払いのサラリーマンVさんとトラブルになった際、Vさんの顔面を殴りつけました。
Vさんは転倒した際に、コンクリートの地面に頭を強打し、その翌日に死亡してしまいました。
当初Aさんは、通報で駆け付けた札幌北警察署の警察官に、傷害罪で現行犯逮捕されていましたが、その後、傷害致死罪に変わって勾留されました。
(フィクションです。)

【傷害致死罪について】

他人に傷害を加え、それ原因で他人が死亡してしまった場合、傷害致死罪が成立する可能性があります。
人を死亡させるという点では殺人罪と共通しますが、両者の間には故意という大きな違いがあります。
つまり、殺人罪は人を殺害する意思がなければ成立せず、その意思がなければ傷害致死罪が成立するに過ぎません。
こうした区別が行われるのは、刑法が定める責任主義という考え方があるからです。
国家が刑罰を科すに当たっては、対象者に刑罰の内容に応じた責任が存在すると認められなければなりません。
そうした観点から見たとき、思いどおり殺害した場合と不幸にも殺害に至ってしまった場合とでは、責任の程度に少なからず違いがあります。
そこで、殺人罪とは別に傷害致死罪を規定し、法定刑を殺人罪よりも軽いものとしました。
殺人罪の法定刑は、死刑、無期懲役、5年以上の有期懲役(上限20年)のいずれかです。
これに対して、傷害致死罪の法定刑は3年以上の有期懲役です。

上記事例では、AさんがVさんを殴っているものの、飽くまでも痛めつける意思があるにとどまっています。
そうすると、Aさんに殺意があったとは言えず、殺人罪ではなく傷害致死罪に当たると考えられます。
ただし、裁判における故意の判断は、被告人の供述を含む様々な事情を総合的に考慮して行われます。
そのため、「殺すつもりはなかった」などと供述したからといって、それだけで殺人罪ではなく傷害致死罪として扱われるとは限らない点に注意が必要です。

【情状弁護による刑の減軽】

先述した法定刑から、傷害致死罪は罰金刑で終わるということがありえません。
加えて、死亡により被害者と示談ができないとなると、非常に高い確率で裁判に至ると考えられます。
そうなると、重きを置くべき弁護活動は情状弁護が挙げられます。

情状弁護とは、裁判において被告人に有利な事情を主張・立証し、可能な限り寛大な処分を求める弁護活動です。
刑事裁判において、有罪となるために犯罪を立証する義務は検察官にあります。
ですが、被告人に有利な事情までわざわざ検察官が明らかにしてくれるということは通常ありません。
そこで、被告人側としては自身に有利な事情を証拠と共に主張し、量刑が過度に重くならないようにしなければならないのです。

情状弁護において主張すべき事情は、事件の内容や被告人の特性などにより多種多様です。
一般的に言うと、犯行動機に共感できる、犯行態様が悪質でない、被害者側の処罰感情が薄まった、被告人が真摯に反省している、再犯防止策が講じられた、などが挙げられます。
充実した情状弁護により少しでも軽い刑を目指すのであれば、あらかじめ弁護士に事件を依頼して入念に準備する必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に特化した弁護士が、豊富な経験に基づき最適な情状弁護を行います。
ご家族などが傷害罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

脅迫罪で逮捕

2019-09-10

北海道伊達市の脅迫事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

北海道伊達市に住むAは、日常的に同居していた女性に対して暴力をふるっていました。
Aは以前、女性を殴って怪我をさせたことがあり、この日もAは、些細な事から口論になった女性Vさんに対して「外歩けないようにするぞ。」とベランダからゴルフクラブを持って部屋に入ってきました。
身の危険を感じて裸足で家を飛び出した女性が、北海道伊達警察署に届け出た事からAは脅迫罪で逮捕されました。
Aの両親は女性との示談交渉や、Aに対して取調べ対応の助言をする弁護士を探しています。(フィクションです。)

【凶器を示しての脅迫】

相手方に対して、人を畏怖させるに足りる程度の害悪を告知して脅迫した場合、脅迫罪が成立する可能性があります。
この脅迫罪は刑法に規定されたものですが、そのほかに脅迫を罰する法律として「暴力行為等処罰に関する法律」が挙げられます。
この法律は、特定の類型の脅迫事件について、通常の脅迫罪より重い処罰を設けています。
その類型とは、以下の態様のものです。

①「団体若(もしく)ハ多衆ノ威力ヲ示シ」たこと
②「団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ」たこと
③「兇器ヲ示シ若ハ数人共同シ」たこと

①②の具体例としては、たとえば暴力団であることまたはそのの存在をほのめかしての脅迫が考えられます。
③は凶器を用いたり複数名で協力したりしての脅迫が考えられます。
こうした態様での脅迫は特に悪質であることから、上記法律により刑法よりも重く処罰されることになりました。

上記事例では、AさんがVさんにゴルフクラブを示しながら「外歩けないようにするぞ」と脅しています。
このような行為は凶器を示しての脅迫に当たると言え、Aさんには3年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。

【刑事事件における示談の効果】

示談とは、事件の被害者との間で取り交わす合意であって、謝罪の意思や被害弁償などについて確認するものです。
以下では、刑事事件において示談がどのような効果をもたらすのか説明します。

示談は合意の一種なので、その内容について双方が了承していることが前提となります。
ですので、示談を取り交わしたということは、被害者が示談の内容を承諾したことを示します。
被害者と示談を締結したことが明らかになると、当事者間において一応事件が解決したものと評価されます。
このことは、検察官や裁判官が最終的な処分を決めるうえで考慮する事実となる可能性が高いです。
検察官であれば不起訴処分を下しやすくなりますし、裁判官であれば刑の減軽や執行猶予を認めやすくなるということです。

注意しなければならないのは、被害者との示談が必ずしも不起訴執行猶予に結びつくとは限らない点です。
たとえば、児童買春のように社会秩序を害する事件であれば、被害児童またはその親と示談したからといってそれで終わらせるわけにはいきません。
また、犯行が悪質などのマイナスの事情が多ければ、示談を締結してもなお厳しい処分が下される可能性は否定しきれません。
弁護活動は示談以外にも様々なものが考えられるので、不安であれば一度お近くの弁護士に相談されるとよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件のプロを称する弁護士が、示談交渉を含めて充実した弁護活動を行います。
脅迫事件を起こしてしまったら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

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