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強盗罪で逮捕

2019-10-18

北海道静内町の強盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

Aさんは、長年の付き合いがあるBさんからの誘いを断り切れず、面識のないCさんを含む3人で強盗をすることになりました。
そして、Aさんらは北海道静内町のコンビニVに入り、ナイフで従業員を脅して約10万円を脅し取りました。
後日、Vさんが警察に通報したことで捜査が開始され、Aさんらは強盗罪の疑いで逮捕されました。
北海道静内警察署に留置されたAさんは、勾留の際に接見禁止決定が出ました。
Aさんの両親は、Aさんと面会できないことを知り、弁護士接見禁止解除を依頼しました。
(フィクションです。)

【強盗事件】

暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取すれば強盗罪になります。
強盗罪は、法定刑として「5年以上の有期懲役」と非常に重い罰則が定められています。
暴行、脅迫を用いて他人の財物を奪うという点では、恐喝罪とよく似ていますが、恐喝罪は、被害者の任意の財産的処分行為に基づいて、財物の交付又は財産上の利益の移転を受けるのに対して、強盗罪は被害者の意思に反して財物又は財産上の利益を強取する犯罪であることから、暴行、脅迫の程度は恐喝罪よりも強くなければなりません。
法律的に、強盗罪が成立するための暴行、脅迫の程度は、社会通念上、相手方の反抗を抑圧する程度だと言われており、それは犯人の被害者との力関係や凶器等、犯行時の様々な状況が考慮されて判断されます。
ですから、例えば刃物を示して現金を奪い取る犯行態様であっても、強盗罪が適用される事件もあれば、恐喝罪の適用にとどまる事件もあるのです。

【共犯】

共に犯罪を実行すれば共犯となります。
共犯は刑法第60条に規定されており、共犯と認められた場合は正犯と同じ刑事罰を受ける可能性があります。
つまりAさんの場合、強盗罪の共犯として認められれば、強盗罪の法定刑内で刑事罰を受ける可能性があるのです。
また共犯には、実行犯に犯行を教唆した教唆犯(刑法第61条)と、実行犯の犯行を幇助する幇助犯(刑法第62条)があります。
幇助犯の場合は、正犯よりも刑事罰が軽減されるので、もしAさんに強盗罪の幇助が認められた場合は、強盗罪の法定刑よりも軽い範囲内で刑事罰が言い渡されることとなるのです。
共犯として認められるかどうかは、専門家であってもその判断が二分する場合がよくあり、無罪判決が言い渡される刑事裁判も少なくありません。

【接見禁止解除を実現するには】

多くの警察署において、逮捕後の被疑者と面会を行うことはできません。
そのため、もし逮捕中の被疑者との面会を希望するのであれば、その実現は早くとも逮捕から2~3日後の勾留決定後だということは考えておく必要があります。

ところが、事件によっては、たとえ勾留後であっても面会が許されないことがあります。
その理由は、裁判官の判断で勾留の際に接見禁止が付いたからだと考えられます。
接見禁止とは、面会を許すと外部の者の力を借りて逃亡や証拠隠滅に及ぶ可能性が高い場合(たとえば共犯事件)に、弁護士以外の者との面会を禁止する決定を指します。
面会の他に本来一定の範囲内で許される書面や物品の差入れも禁止されることがあり、その場合には一部の日用品の差入れを除いて一切の接触が絶たれます。

接見禁止は裁判官による決定の一種であるため、それに対して不服を申し立てたり陳情をしたりして、接見禁止の全部または一部を解除できる可能性があります。
これが接見禁止解除であり、それまで禁止されていた面会等を行えるようになる点で有益なものです。
ただ、一度裁判官により決定された判断を覆すには、やはり法律も加味した相応の主張を行うことが必要となります。
そうであれば法律の専門家である弁護士の強みを活かすことができるので、接見禁止解除をお考えならぜひ弁護士に相談してみてください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に特化した弁護士が、接見禁止解除をはじめとして依頼者様の要望を真摯にお聞きします。
強盗罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

殺人事件の裁判員裁判

2019-10-17

北海道栗山町の殺人事件における裁判員裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道栗山町に住むAさんは、同町内を車で走行中、前方を走るバイクに対して100キロ以上のスピードであおり運転をした後、車を衝突させてバイクの運転手を死亡させました。
衝突させた車を運転していたAさんに対して殺人罪が適用されました。

【あおり運転】

皆さんもご存知のように、あおり運転が社会問題となり、世間を騒がせています。
警察等の捜査当局は、あおり運転(道路交通法違反)に対して道路交通法以外を適用して取締りを強化しており、これまで、暴行罪傷害罪危険運転致死罪等が適用されています。
しかし、警察の発表によりますと、あおり運転の摘発は増加傾向にあるようです。
その要因の一つとして、車に搭載されたドライブレコーダーがあります。
今回の事例でも、Aさんの車に踏査されたドライブレコーダーの映像と音声が有力な証拠となって検察側は殺人罪での起訴に踏み切りました。

【殺人罪】

殺人罪は、刑法第199条に定められた法律で、皆さんが身近に感じる中で最も重い犯罪ではないでしょうか。
殺人罪の法定刑は「死刑又は無期若しくは5年以上の有期懲役」です。
事件の内容にもよりますが、殺人罪で起訴されて有罪が確定した事件のほとんどは、10年以上の長期服役が言い渡されており、その中では数件の死刑判決も言い渡されています。
しかし、殺人罪で起訴された事件でも、適切な弁護活動を行うことによって執行猶予判決を得たり、傷害致死罪等、殺人罪よりも軽い法律での刑が言い渡される可能性があります。

【裁判員裁判】

裁判員裁判とは
①死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
②短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪のうち故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係る事件
については、通常の裁判官だけの裁判ではなく、裁判員も含めた裁判員裁判で審理が行われる刑事裁判です。
今回、Aさんが起訴された殺人罪の法定刑は「死刑若しくは無期若しくは5年以上の懲役」ですので、上記①に当たります。
裁判員裁判は、殺人事件や強盗致死傷事件だけでなく、通貨偽造事件や営利目的での薬物輸入事件、危険運転致死事件などの、基本的に国民の関心の高い事件が対象となっています。

通常の刑事裁判は、検察官や弁護士、裁判官という法律の専門家が中心となって行われてきましたが、裁判員裁判は、国民の中から選任された裁判員が裁判官ととともに、刑事被告人が有罪であるか否か、どれくらいの刑を課すべきかを決めることとなります。
裁判員裁判は、原則として、裁判官3人と裁判員6人の合議体で行われることとなります。
裁判員裁判は、一般人が裁判に参加することもあり、通常の刑事裁判とは異なり短期間に集中して行われ、第一回公判から判決の言い渡しまでは2週間もかかりません。
そのため、裁判員裁判が開始されるまでに、裁判の争点や証拠を整理する公判前整理手続が、必ず行われます。
公判前整理手続とは、第一回公判前に検察官・弁護人双方の主張すなわち事件の争点や証拠を整理する手続きのことで、この手続きには被告人も出頭することもできます。
公判前整理手続で、裁判の争点と証拠が整理され、被告人にとっては、検察官の手持ちの証拠を開示させることができるという利点があります。
裁判員裁判は、法律家以外がその審査に参加することから、法律的な要素だけでなく、裁判員の印象も、その後の判決に大きく影響すると言われています。
そのため、従来は証人尋問をせずに被害者や目撃者、被告人の調書を読み上げるだけで済まされていたのが、裁判員の前で証人として尋問するようになり、これまで調書で問題となっていた、供述者の供述の信用性についてしっかり尋問できるようになりました。

裁判員裁判の刑事弁護は、従来の刑事裁判とは異なり、卓越した刑事事件専門の知識と、豊富な経験が必要となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、これまで数多くの刑事事件を解決に導いてきた実績と、豊富な経験がございます。
殺人事件を起こしたご家族、ご友人の刑事弁護をご希望の方、殺人事件裁判員裁判に強い弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

脅迫罪で逮捕

2019-10-15

北海道帯広市の脅迫事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道帯広市に住むAさんは、境界線を巡って、3年前から隣人とトラブルになっています。
このトラブルは、お互いが弁護士を代理人に入れて民事訴訟で争っていましたが、結局、Aさんの主張は認められませんでした。
そのことが納得できず、腹を立てたAさんは、先日、自宅前に偶然会った隣人に対して「このままで終わると思うなよ。子供の送り迎えに気を付けろよ。」と言いました。
すると、このことを隣人が、北海道帯広警察署に届け出たのでたことから、Aさんは脅迫罪で逮捕されてしまったのです。
Aさんの家族は、逮捕の知らせを受けて弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです。)

【脅迫罪~刑法第222条~】

人の生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加える旨を告知すれば脅迫罪となります。
脅迫罪は、結果の発生を必要としない危険犯です。
脅迫罪は、相手方だけでなく、相手方の親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加える旨を告知した場合にも成立します。

~害悪の告知~
法律的に、脅迫のことを「害悪の告知」と表現しますが、どの程度の内容が害悪の告知に当たるのでしょうか。
それは、人を畏怖させるに足りるものであれば、その内容や、告知方法に制限はないとされています。
そして人を畏怖させるものかどうかについては、相手方の境遇や年齢、その他の事情を考慮されます。
また人が畏怖したかどうかは、告知した内容だけでなく、告知者の態度や、人柄、その他の状況を総合的に考慮して判断されます。
ちなみに害悪の内容が、犯罪となったり、違法である必要はなく、害悪が一定の条件によって実現する旨を告知した場合や、単に害悪が及ぶ可能性をほのめかしても脅迫罪に当たります。

~脅迫罪の量刑~
脅迫罪の法定刑は「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」です。
初犯であれば、示談がなくても不起訴や略式罰金といった刑事罰となる可能性が非常に高いですが、再犯の場合や、犯情が悪質な場合は実刑となる可能性があるので注意しなければなりません。

【初回接見のメリット】

逮捕・勾留を伴う刑事事件では、弁護士による接見(面会)が被疑者・被告人との重要なパイプとなります。
特に、弁護士との最初の面会である初回接見は、弁護活動の出発点として非常に重要です。
以下では、初回接見を依頼されるご家族やご友人の方から見て、初回接見にどのようなメリットがあるか列挙します。

逮捕の理由を知ることができる
ご家族を含む周囲の方に対して、警察が逮捕の理由を事細かに教えてくれることはあまりありません。
ですので、なぜ逮捕されたのかという点については、逮捕された本人に聞かない限り分からないことが多々あるのです。
そこで弁護士初回接見をすれば、後述する面会の禁止や、立会人(警察官)の存在による会話の制限を受けることなく話を聞くことができます。

伝言のやりとりをすることができる
①とも関連することですが、逮捕中の被疑者は、逮捕から2~3日が経過するまでは原則として面会ができません。
更に、その期間が経過した後であっても、接見(等)禁止決定というものが下されていれば面会は許されません。
こうした制限があっても、弁護士であればいつでも自由に被疑者と面会することができます。
ですので、ご家族などの伝言をお伝えしたり、ご本人からの伝言を承ったりすることができます。

今後の流れを知ることができる
刑事事件というのは、犯した罪の内容や事件の性質などによって、事件の流れや身体拘束の期間が異なります。
そのため、今後の流れは個々の事件によって様々と言えます。
ここで弁護士が介入すれば、今どのような状況なのか、これからどうなるのかということをきちんとお伝えできます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に強い弁護士が、初回接見を通して事件に巻き込まれた方の不安を可能な限り解消します。
ご家族などが脅迫罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

盗撮事件の示談

2019-10-13

北海道小樽市の盗撮事件における示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

会社員のAさんは、JRを通勤で利用しています。
先日、帰宅でJRを利用した際、前の座席に座っていた女性の、組んでいた足の隙間から下着が見えたので、ムラムラしたAさんは、持っていたスマートフォンで女性の下着を盗撮しました。
そして、その様子を目撃した男性に捕まってしまい、この男性によってAさんは、小樽駅で下車させられて駅長室に連れていかれました。
駅長が通報して駆け付けた、北海道小樽警察署の警察官によって警察署に連行されたAさんは、スマートフォンを押収され、取調べを受けました。
(フィクションです)

【盗撮事件】

JR北海道など、北海道内を走行する電車内で盗撮をすれば「北海道公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(以下「北海道迷惑防止条例」とする。)」の適用を受けます。
Aさんのように、電車の中で、女性の下着を盗撮する行為は、北海道迷惑防止条例第2条第2項第2号に該当し、その法定刑は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります。

【盗撮事件の量刑】

盗撮事件で警察に捕まった場合、まず警察の捜査を受けることになります。
警察官による取調べだけでなく、スマートフォンやパソコン等を解析されて余罪についても捜査されます。
そして警察の捜査が終了すれば検察庁に書類送検されます。
そこで検察官が、警察での捜査結果を踏まえて、被疑者の取調べをおこなって起訴するか否かを決定するのです。
それまで被害者と示談している場合や、被害者が特定されていない場合等は、不起訴となる可能性が非常に高いでしょう。
しかし再犯である場合や、余罪が複数件ある場合などは、被害者と示談したり、被害者が特定されていなくても略式罰金の可能性はあります。
「被害者の処罰意思がなければ罰せられないのでは?」と考える方もいるでしょうが、盗撮の被害者の意思に関係なく刑事罰が科せられることもあり得るのです。
何れにしても、初犯であれば悪くても略式罰金までで、起訴されて正式裁判にまで発展する可能性はないと考えられるでしょう。

【示談交渉の困難さ】

盗撮を含む性犯罪のケースでは、被害者の方から示談交渉を含めて一切の接触をしたくないと言われることも珍しくありません。
その理由としては、恐怖心や嫌悪感を抱いている、加害者に対する処罰感情が強い、傷害事件などと異なり金銭的損害を被ったわけではない、などが考えられます。
そのため、盗撮事件においては、一般的に示談交渉が難航しやすいという特徴があります。

弁護士による示談交渉には、以下のようなメリットがあります。
まず、事件の当事者同士が直接交渉を行う必要がない点が挙げられます。
弁護士が介入すれば、被害者と接触できる可能性が高まるだけでなく、非難される側として足元を見られるリスクも回避できます。
被害者としても、加害者と連絡を取る必要がないことから、安心して示談交渉を行うことができます。
次に、法律の専門家としての強みを発揮できる点が挙げられます。
弁護士は刑事事件において意味のある活動を把握しているのが通常であるため、事件との関係で必要十分な活動を的確に行うことができます。
加えて、示談書のかたちで適切な内容の合意を結ぶことで、後々紛争が蒸し返された際に上手く対処できる可能性も高くなります。
以上の点から、示談交渉弁護士に任せるとよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、数々の刑事事件と接してきた弁護士が、示談交渉にも自信を持って取り組みます。
盗撮を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

器物損壊罪で逮捕

2019-10-11

北海道苫小牧市の器物損壊事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

Aさんは、会社の飲み会で大量にお酒を飲み、泥酔した状態で北海道苫小牧市にある自宅の最寄り駅に着きました。
Aさんが駅の近くにあった自動販売機で水を買おうとしたところ、自動販売機が故障しており、お金を入れてボタンを押しても飲料が出てきませんでした。
そのことに苛立ちを覚えたAさんは、自動販売機の飲料の取り出し口を思いっきり蹴り、取り出し口を壊しました。
その様子を見ていた住民の通報により、Aさんは器物損壊罪の疑いで北海道苫小牧警察署に現行犯逮捕されました。
(フィクションです。)

【器物損壊罪について】

刑法
第二百六十一条
…他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
(一部省略)

器物損壊罪は、他人の物(建造物、艦船、特定の内容の文書を除く)を「損壊」した場合に成立する可能性のある罪です。
器物損壊罪における「損壊」とは、物の効用を害する一切の行為を指すとされています。
上記事例では、AさんがVさん宅に向かって野球用の硬球を投げ、窓ガラスを割っています。
このような行為は正に「損壊」と言えるため、Aさんは器物損壊罪として①3年以下の懲役、②30万円以下の罰金、③科料(1,000円以上1万円未満の金銭の納付)のいずれかが科されるおそれがあります。
ちなみに、窓ガラスのような建造物に付随する物が損壊されたケースでは、その物を建造物の一部と見て、器物損壊罪ではなく建造物損壊罪(刑法260条)が成立する余地があります。
裁判例には、工具を使うことで損壊することなく取り外しができた玄関ドアについて、外部との遮断、防犯、防風、防音などの機能上の重要性を重視して建造物損壊罪の成立を認めたものがあります。

【親告罪】

親告罪とは、告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪です。
Aさんの行為に適用されるであろう器物損壊罪をはじめ、名誉毀損罪、侮辱罪、秘密漏示罪、過失傷害罪、私用文書等毀棄罪、略取誘拐罪や親族間の窃盗罪等がこれに当たります。
ちなみに平成29年の刑法改正までは、強制わいせつ罪や強姦罪(現在の強制性交等罪)等も親告罪とされていましたが、現在は非親告罪となっています。

親告罪には、告訴不可分の原則があります。
これは、共犯の1人または数人に対してした告訴または告訴の取消しは、他の共犯に対してもその効力を生じることです。
これを告訴の主観的不可分と言います。
また犯罪事実の一部に対してした告訴または告訴の取消しは、その全部について効力が生じます。
これを告訴の客観的不可分と言います。

【親告罪の刑事弁護活動】

親告罪には
・告訴がなければ起訴できない
・一度取消した告訴は、同じ事実で再び告訴できない
という決まりがあります。
そのため器物損壊罪のような親告罪の刑事弁護活動は、被害者との示談が最優先されます。
未だ被害者が告訴していない場合は、示談書の中で告訴しないことを約束してもらい、既に告訴してしまっている場合は、告訴を取消すことを約束してもらうのです。
そういった内容の示談を、起訴されるまでに締結することができれば、器物損壊罪のような親告罪で警察の捜査を受けていても、刑事罰が科せられることはありません。

北海道苫小牧市の刑事事件でお困りの方、器物損壊罪のような親告罪で警察の捜査を受けておられる方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

強制わいせつ致傷罪で逮捕

2019-10-10

北海道富良野市の強制わいせつ致傷事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

北海道富良野市に住む看護師のAさんは、家の近くで自転車に乗っていたときにすれ違った女性が好みのタイプだったため、引き返して再度すれ違うようにして、すれ違い様に女性の胸を触りました。
女性はその勢いに押されて転倒し、手首を骨折してしまい、全治2か月のけがを負いました。
Aさんはすぐにその場を逃走しましたが、防犯カメラの映像などから特定され、後日、北海道富良野警察署の警察官が自宅に訪れ、Aさんは強制わいせつ致傷罪で逮捕されてしまいました。
(この事例はフィクションです)

【強制わいせつ致傷罪(刑法181条1項】

刑法第176条前段
「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。」

刑法181条1項
「第176条(強制わいせつ)、第178条1項前段(準強制わいせつ)、若しくは第179条第1項(監護者強制わいせつ)の罪、又はこれらの罪の未遂罪を犯し,よって人を死傷させた者は、無期又は3年以上の懲役に処する」

強制わいせつ罪における暴行にはわいせつ行為自体が含まれる場合もあります。
そのため、痴漢行為であっても強度のものは強制わいせつ罪となる可能性があるのです。
そして、強制わいせつ致傷罪の「傷害」の内容については今回の路上痴漢のような外傷による怪我を負った事例だけでなく、心的外傷後ストレス傷害(PTSD)を傷害と認定した裁判例も存在します。
さらに、わいせつ行為後に逃走しようとして、相手を突き飛ばしたような場合であっても相手が傷害を負った場合は時間的、場所的関係が考慮されるものの、強制わいせつ致傷罪となる可能性があります。

【看護師資格の取消しを回避するには】

強制わいせつ致傷罪の法定刑は無期又は3年以上の懲役となっており、裁判で有罪となれば懲役刑が科されることは避けられません。
保健師助産師看護師法によれば、看護師は罰金以上の刑に処せられた場合に看護師免許を与られないことがあります。
そして、現在業務に従事している看護師であれば、①戒告、②3年以内の業務の停止、③免許の取消しのいずれかを行われることもあります。
懲役刑は罰金刑より重いため、看護師資格の取消しや業務の停止に至る可能性は高いでしょう。

上記のような事態を回避するためには、なんとか不起訴を獲得し、裁判となるのを阻止する必要があります。
そのためには、やはり被害弁償や謝罪などを行って被害者と示談を締結し、被害者の処罰感情を和らげることが大切です。
強制わいせつ致傷罪は重大な罪ですが、個人の利益を侵害する罪である以上、その個人の処罰感情次第では不起訴となる可能性があります。
きちんとした内容の示談を交わし、被害者の意思を検察官に伝えることができれば、強制わいせつ致傷罪といえども不起訴となる可能性は高まるでしょう。

一度検察官により不起訴処分が下されれば、よほどのことがない限りその処分が撤回されることはありません。
ですので、たとえ強制わいせつ罪を犯してしまっても、不起訴となれば看護師資格が取り消されるリスクを相当程度抑えることができます。
お困りであれば、ぜひ弁護士に事件を依頼して不起訴を目指してください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件専門の看板を掲げる弁護士が、看護師などの資格の取消しを回避すべく真摯に弁護活動に取り組みます。
看護師の方で強制わいせつ致傷罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

恐喝罪で逮捕

2019-10-09

北海道留萌市の恐喝事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

Aさんは、北海道留萌市内の路上において、Vさんに対して胸倉を掴むなどの暴行を加えつつ金銭を要求しました。
これに対してVさんは恐怖心を覚え、Aさんに対して財布の中に入っていた金銭約5万円を渡しました。
後日、Vさんが北海道留萌警察署に被害届を出したことで、Aさんは恐喝罪の疑いで逮捕されました。
(フィクションです)

【恐喝罪について】

第二百四十九条
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

暴行や脅迫を手段として、人から金銭などの財産を脅し取った場合、恐喝罪が成立する可能性があります。
恐喝罪における「恐喝」とは、財産の交付に向けられた暴行または脅迫であって、相手方を畏怖させるものの、反抗を抑圧するには至らない程度のものを指します。
つまり、暴行や脅迫が恐怖心を覚えるようなものであれば、たとえ抵抗が著しく困難とまで言えなかったとしても恐喝罪に当たる余地があるということです。

ちなみに、暴行または脅迫が相手方の反抗を抑圧するに足りる程度のものだった場合は、恐喝罪ではなく強盗罪が成立することになります。
たとえば、激しい暴行を加えた、凶器を用いて脅迫したなどの事情があれば、反抗を抑圧するに至っているとして強盗罪の成立が肯定されやすいでしょう。

恐喝罪が成立するには、①恐喝行為、②相手方の畏怖、③②に基づく財産の交付がそれぞれ因果関係を持たなければなりません。
そのため、被害者が憐れみの念を抱くなど、②に基づかずに財産を交付したというケースでは、既遂に至らず恐喝未遂罪が成立するにとどまることになります。
上記事例では、AさんがVさんに対して胸倉を掴むなどの暴行を加え、恐怖を覚えたVさんから金銭の交付を受けています。
そうすると、Aさんの暴行から金銭の受領までは因果関係があると言えることから、Aさんには恐喝罪が成立すると考えられます。

【示談による事件の解決】

恐喝罪は、財産の交付(支払免除を含む)を行う相手方が被害者となる罪です。
そのため、処罰の当否を判断するに当たっては被害者の意思が多分に考慮され、最終的な処分が被害者に委ねられているといっても過言ではありません。
そこで、不起訴執行猶予といったより有利な処分にするには、被害者との間で示談を締結することが重要となります。

示談という言葉を聞くと、刑事事件をお金で解決する、といったイメージが強いかもしれません。
たしかに、示談の締結に際して被害弁償が重要な要素であることは否定できません。
ですが、示談の本質はお金を払うことではなく、そうした行為などを通して被害者の許しを得ることにあります。
示談交渉に際してその点を意識するのとしないのとでは、最終的な処分への影響の度合いが大きく異なってくる可能性があります。

以上のことから、示談を締結するに当たっては、円滑な示談交渉や妥当な合意のためのノウハウが重要になってきます。
事件の当事者間で示談交渉を行うのが不可能というわけではありませんが、交渉決裂や過度な要求といった種々のリスクが伴いがちです。
示談をより意味のあるものにするなら、やはり弁護士示談交渉を依頼するのが得策です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、豊富な示談交渉の経験を有する弁護士が、執行猶予や不起訴を目指して最適な内容の示談を締結します。
恐喝罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

公務執行妨害罪で逮捕

2019-10-07

札幌市手稲区の公務執行妨害事件について、あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

札幌市手稲区在住のAさんは、会社の飲み会で大量に飲酒し、泥酔した状態で会社の面々に別れを告げました。
その後、自宅の最寄り駅までなんとか帰ってきたものの、駅の出入口の前で寝転がりました。
そんなAさんの姿を駅員が見つけて声を掛けたものの、Aさんは一向にその場を動かないどころか暴れ始めたため、通報により警察官が臨場しました。
Aさんは支離滅裂な発言をしながら警察官の胸倉を掴むなどしたため、公務執行妨害罪の疑いで逮捕されました。
北海道手稲警察署でAさんと接見した弁護士は、勾留を阻止して早期釈放を目指すことにしました。
(フィクションです。)

【公務執行妨害罪について】

公務員が職務を執行するに当たり、その公務員に対して暴行または脅迫を加えた場合、公務執行妨害罪が成立する可能性があります。
実際の事件では警察官に対するものが多く見られますが、それ以外にも国や地方自治体の職員であれば対象となる可能性があります。
公務執行妨害罪の特徴の一つとして、保護の対象が公務員の職務である点が挙げられます。
たとえば暴行罪や傷害罪であれば、保護の対象としているのは暴行などが向けられる人の身体です。
公務執行妨害罪の場合、公務員の身体を保護しているわけではなく、公務員が行う職務を保護していると考えられています。

上記のような特性は、公務執行妨害罪の成立要件や弁護活動にも影響を及ぼしています。
まず、手段の一つである暴行は、必ずしも公務員に直接向けられたものである必要はないと考えられています。
裁判例では、警察官が証拠物として押収した覚せい剤入りの容器を破壊したケースにおいて、公務執行妨害罪の成立を認めたものがあります。
また、暴行・脅迫の対象となった公務員との示談があまり意味をなさず、そもそも示談に応じてもらえないことが殆どです。
公務執行妨害罪はいわば社会全体の利益を害する罪であるため、公務員という特定の個人への被害弁償などがあまり意味を持たないのです。以上の点から、公務執行妨害罪は単純な暴行事件や脅迫事件と同様に考えるべきではないと言えるでしょう。

【勾留阻止による早期釈放】

公務執行妨害罪の疑いで逮捕されると、その後72時間以内に検察官および裁判官が勾留すべきか判断し、勾留決定により最低10日間拘束が続く危険が生じます。
このことから分かるように、逮捕後に勾留されるかどうかは、逮捕による身体拘束の期間の長短に大きく影響します。
そこで、早期釈放を目指すうえでは、勾留決定を回避できるかどうかという点が非常に重要になってきます。

勾留決定に至るまでには、①検察官による勾留請求と②裁判官による勾留請求の当否の判断という2つのステップを辿ります。
弁護士としては、上記①②の段階において、被疑者を勾留しないよう求めることが重要な弁護活動となります。
具体的な方法は、検察官および裁判官に対し、勾留が妥当でないことを口頭または書面で主張するのが一般的です。
その結果、検察官や裁判官が勾留しないという判断を下すと、被疑者は逮捕による身体拘束から逃れてすぐに釈放されるのです。

一般的に、逮捕および勾留の理由は、逃亡および証拠隠滅のおそれがあるというのが主です。
そのため、もし勾留阻止による早期釈放を目指すには、被疑者側の事情を明らかにして逃亡および証拠隠滅の心配がないことを主張しなければなりません。
ただ、そうした事情の主張を行うには法的な視点が必要であり、なおかつチャンスは多くとも上記①②で計2回と貴重なものです。
もし勾留阻止を目指すなら、刑事事件に詳しい弁護士身柄解放活動を依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件の経験豊富な弁護士が、逮捕された方の早期釈放を目指してあらゆる弁護活動を試みます。
ご家族などが公務執行妨害罪の疑いで逮捕されたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

ストーカー事件で逮捕

2019-10-05

北海道留萌市のストーカー事件について、あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

北海道留萌市に住むAさんは同じ会社で働いているVさんに対して好意を抱いていました。
しかし、Vさんは転職で違う会社に行ってしまいました。
そこでAさんはVさんの家の近くでVさんを待ち伏せたり、休日にも偶然を装って出会うために後をつけたりしていました。
気味悪く感じたVさんが北海道留萌警察署に通報したことにより、Aさんは警察から接近禁止命令を受けることになってしまいました。
警察に通報されたことに対して、怒りを感じたAさんは今度は嫌がらせとして、自分の精液の付いたティシュをVさん宅のポストに入れたり、無言電話を繰り返しかけるようになりました。
恐怖を感じたVさんが再度、北海道留萌警察署に通報したことによりAさんは逮捕されることになってしまいました。
Aさんの両親は、刑事事件、ストーカー事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
その後弁護活動を依頼したことにより、弁護士が示談交渉を行い、Vさんとの示談が成立したことにより、Aさんは不起訴となることができました。
(フィクションです。)

【ストーカー規制法】

上記事例のAさんは、ストーカー行為によって、逮捕されています。

ストーカー規正法違反では、
1.つきまとい・待ち伏せ・押しかけ・うろつきなど
2.監視していると告げる行為
3.面会や交際など義務のないことの要求
4.粗野又は乱暴な言動
5.無言電話・連続した電話、メールなど
6.汚物などの送付
7.名誉を傷つける事項の告知
8.性的羞恥心の侵害 
上記の行為が「つきまとい等」として列挙されており、「つきまとい等」を反復して行った場合が「ストーカー行為」であるとされています。

ストーカー規正法違反で起訴されて有罪が確定すると、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科されます。
もっとも、現行犯や悪質な場合などでなければ、警察は被害者の申し出を受けて加害者に対してまず、「警告」を出します。
それでも改善されないような場合は「禁止命令」を出し、つきまとい等の反復の禁止や、こうした行為を防止するために必要な事項を命じます。
この禁止命令に違反してストーカー行為をした場合は「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」となり、ストーカー行為には当たらないが、禁止命令に違反した場合は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処されます。
今回のAさんは禁止命令に違反してストーカー行為を行った場合となってしまいました。

【ストーカー事件における示談】

ストーカー事件は、ストーカー行為の悪質性から、被害者が被疑者・被告人と一切関わりたくないという意思を示していることも珍しくありません。
そうした状況では、被疑者・被告人本人はもちろん、その家族でさえも示談交渉に及べないことがよくあります。

そこで、ストーカー事件において示談を行うなら、示談交渉を弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士による示談には、以下のようなメリットがあります。
第一に、示談交渉を安全に進め、交渉決裂となるリスクを抑えることができます。
弁護士は法律に関わるトラブルを数多く経験しているのが通常であるため、示談の経験が豊富であり、示談交渉を円滑に進める術を把握していると言えます。
そのため、時には法的知識という武器も駆使しつつ、被害者と加害者との間で妥当な落としどころを見つけられる可能性が高いでしょう。
第二に、適切な内容の示談を締結することで、示談という合意の効果を最大限に発揮することが期待できます。
示談は事件の解決を確認する役割を果たしますが、その役割を引き出せるかどうかは合意の条件や示談書の文言といった要素に掛かっています。
そうした要素の細部に気を配ることができるのは、法律の専門家である弁護士ならではと言っても過言ではありません。

以上のような弁護士の強みは、ストーカー事件での示談交渉においても重要な役割を果たすことが期待できます。
特に早期釈放不起訴を目指すのであれば、ぜひ示談交渉は弁護士に任せてください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件の豊富な経験を有する弁護士が自信を持って示談交渉に取り組みます
ご家族などがストーカー規制法違反の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

文書偽造罪で逮捕

2019-10-03

北海道鵡川町の文書偽造事件について、あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。

【事件】

北海道鵡川町の会社員Aさんは、実際には取引のない会社との売買契約を締結したかのように見せかけた偽造売買契約書に、偽造したこの会社の社印を押印し、偽造文書を作成しました。
そして、この売買契約書を利用して銀行から多額の融資を受けようとしましたが、偽造に気付いた銀行が、北海道苫小牧警察署に相談し、Aさんは有印私文書偽造罪で逮捕されました。
(フィクションです。)

【文書偽造事件】

文書偽造事件は、偽造した文書の種類、その文書に印鑑があるか否か、そして偽造か変造かによって区別されています。

刑法では、文書の種類を(1)公文書(2)私文書の2種類に分類しています。
(1)公文書とは、公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画
(2)私文書とは、権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画
です。
公文書偽造罪は、刑法第155条に定められており、その中で(ⅰ)有印公文書偽造罪(ⅱ)有印公文書変造罪(ⅲ)無印公文書偽造(変造)罪が定められています。
私文書偽造罪は、刑法第159条に定められており、その中で(ⅰ)有印私文書偽造罪(ⅱ)有印私文書変造罪(ⅲ)無印私文書偽造(変造)罪が定められています。

【有印私文書偽造罪】

今回のケースでAが作成した偽造売買契約書は、有印私文書に当たるので、刑法第159条第1項の有印私文書偽造罪に抵触するでしょう。
有印私文書偽造罪は、行使の目的で、有印私文書を偽造することで成立する法律です。
Aは実際に、偽造した売買契約書(有印私文書)を利用して銀行からの融資を受けようとしているので、行使の目的があることについては議論の余地がありません。
ちなみにAのような偽造私文書を使用した事件で警察が捜査する場合、まず偽造私文書行使罪(刑法第161条)で捜査を開始し、その後、私文書偽造事件を裏付け捜査するケースが多いようで、私文書の偽造は逮捕される可能性が高い事件です。
有印私文書偽造、同行使罪で起訴されて有罪が確定すれば「3月以上5年以下の懲役」が科せられます。

【贖罪寄付という選択肢】

贖罪寄付とは、罪を犯したことに対する償いとして行う金銭の寄付を指します。
各都道府県の弁護士会が主な窓口になっており、寄付されたお金は犯罪被害者やその遺族の支援に充てられます。

贖罪寄付が行われるケースというのは、基本的に直接的な被害者が観念できない罪を犯した場合です。
なぜなら、直接的な被害者が観念できる事件では、第一にその被害者に対して被害弁償を行うのが一般的だからです。
文書偽造罪に関して言うと、贖罪寄付をすべきかどうかの判断は個々の事案によります。
文書偽造罪が保護しているのは文書に対する社会一般の信頼なので、理論上は被害者を観念できない罪だと言えます。
ですが、たとえば借用書の偽造により私文書偽造罪を犯した場合には、その借用書により借金を負うことになった者が実質的な被害者になりえます。

このように、贖罪寄付が妥当な弁護活動かどうかは、個々の事案の特殊性によって異なってくるということができます。
刑の減軽などを狙える的確な活動を行うのであれば、やはり弁護士に事件を依頼して選択を委ねるのが適切でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件の経験豊富な弁護士が、贖罪寄付を含めて各事案に応じた最適な弁護活動を検討します。
文書偽造罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

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