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親告罪~示談成立で事件解決~

2020-04-30

示談成立で事件解決に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。

~事例~

北海道札幌市中央区の繁華街で、酒に酔っていたAさんは、路面店の看板を壊しているところを北海道中央警察署の警察官に器物損壊罪現行犯逮捕されました。
酔いが冷めたAさんは、自身の行為を反省し、被害者に謝罪と被害弁償をしたいと考えています。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、急いで刑事事件専門弁護士に相談の連絡を入れました。
(フィクションです。)

親告罪とは

親告罪」というのは、被害者などの告訴権者からの告訴がなければ、検察官が公訴の提起をすることができない犯罪のことをいいます。

告訴」は、犯罪被害者などの一定の人(告訴権者)が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求めることをいいます。
告訴は、捜査機関による捜査の端緒となり、告訴を受理した捜査機関は、申告された犯罪事実に関して捜査を開始します。
同じく捜査の端緒として被害者による「被害届」の提出がありますが、こちらは犯罪被害の事案を申告するものであり、必ずしも犯人の処罰を求める意思が含まれるものではありません。
また、告訴と似た用語に「告発」というものがありますが、告発は、告訴権者以外の者が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告して、犯人の処罰を求めることをいいます。
告訴や告発がある場合、司法警察員は関係書類や証拠物を検察官に送らなければならず、検察官は処分結果を告訴人に通知しなければなりません。

親告罪には、以下のような犯罪があります。
・名誉棄損罪
・侮辱罪
・ストーカー規制法違反
・過失傷害罪
・器物損壊罪
・信書開封・隠匿罪

他に、被害者と加害者の間に一定の関係性がある場合のみ親告罪となるものもあります。
・窃盗罪
・詐欺罪
・横領罪
・恐喝罪
・不動産侵奪罪
これらは、親族間関係がある場合親告罪となります。

なぜ特定の犯罪が親告罪となっているのか、不思議に思われる方も多いのではないでしょうか。
ひとつは、事実が明るみになることで被害者に不利益になる犯罪があるからです。
例えば、性犯罪では、被害者の証言や状況の再現が重要な証拠となるため、被害者の捜査協力は必要不可欠です。
そのため、被害者は捜査機関、時には法廷で、事件について何度も思い出し、人に話さなければなりません。
そのことで被害者が精神的な苦痛を感じてしまうこともあります。
そのため、性犯罪では加害者の刑事責任を追及するかどうかについて、被害者に一定の選択肢を与えるべきだと考えられていました。
しかし、告訴がなければ起訴することができないため被害者が泣き寝入りするケースが多いことや、性犯罪への厳罰化の流れを受けて、性犯罪が非親告罪に変更されました。
旧強姦罪や強制わいせつ罪は、かつて親告罪とされていましたが、平成29年の刑法改正により非親告罪となり、告訴がなくても検察官が起訴することができるようになりました。
また、親族間の問題は、当事者同士で解決すべきだと考えられ、一定の財産犯については親族間では親告罪となっています。

親告罪で事件を穏便に解決するためには

親告罪は、被害者らからの告訴がなければ検察官は起訴することができません。
そのため、親告罪に該当する罪で被疑者として捜査されているのであれば、早期に被害者との示談交渉に着手する必要があります。

しかし、告訴をしている被害者は、加害者に対して処罰感情があり、加害者との交渉に応じようとしない場合もあります。
また、告訴をする前であっても、一般的には、被害者は加害者に対して恐怖や嫌悪感を抱いており、なかなかうまく交渉できないことが多いです。
そもそも、捜査機関が加害者に対して被害者の連絡先を教えることもそう多くないため、連絡すらできないこともあります。

そのため、通常、示談交渉は弁護士を介して行います。
弁護士を通しての交渉であれば、応じてくれる被害者も多く、連絡先を入手し交渉に着手できます。
法律の専門家である弁護士は、被害者の気持ちに配慮しながら、示談を成立させることのメリット・デメリットを丁寧に説明し、被害者・加害者両者が納得のできる示談内容になるよう粘り強く交渉することが期待できるでしょう。

示談が成立し、被害者が告訴を取り下げたり、告訴をしないことを約束することで、検察官は不起訴で事件を終了します。
不起訴となれば、前科も付きません。

このように、親告罪に当たる罪を起こした場合には、できるだけ早く被害者と示談を成立させるべく示談交渉に着手することが重要です。

親告罪に該当する罪を犯し、何とか事件を穏便に解決することができないかとお悩みであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
示談交渉に豊富な経験をもつ刑事事件専門弁護士が対応いたします。
無料法律相談・初回接見サービスに関するお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

傷害事件で起訴猶予

2020-04-28

傷害事件で起訴猶予を目指す活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。

~事例~

北海道札幌市北区の居酒屋で、会社員のAさんは、会社の同僚と飲食していました。
隣に居合わせたグループが周囲を気にせず騒ぎ立てており、居酒屋の店長は何度もそのグループに静かにするよう注意していました。
しかし、一向に静かにする様子がないグループに対して、苛立ちを隠せないAさんは、直接グループに対して、「もう少し周りにも気を遣ってもらえませんか。」と言いましたが、グループの一人が、「うるさいなー、おっさん。」と言い返してきました。
お酒も入っていることもあり、かっとなったAさんは、言い返してきた男性に掴みかかり、男性の頬を殴ってしまいました。
店長の通報を受けて駆け付けた北海道札幌北警察署の警察官は、Aさんから事情を聞いています。
(フィクションです。)

Aさんは、暴行または傷害事件の被疑者として警察の取調べを受けることになるでしょう。
逮捕されない場合には、身体拘束を受けないまま捜査が進んでいきます。
何度か取調べのために警察署に出頭しなければなりません。
警察での捜査が終了すると、今度は事件が検察庁に送られます。
被疑者を起訴するかしないかを判断するのは、検察官です。
検察官は、被疑者を取調べ、収集された証拠を検討した上で、起訴するか否かを決めます。

不起訴処分について

検察官が、今回の事件については起訴しないとする処分を「不起訴処分」といいます。
この不起訴処分は、その理由に応じて、以下の4つの分類されます。

(1)嫌疑なし

捜査を遂げた結果、検察官が被疑者の嫌疑がないと判断した場合に行われる不起訴処分です。
被疑事実について、被疑者がその行為者でないことが明白なとき、または犯罪の成否を認定すべき証拠がないことが明白なときに適用されます。
例えば、新たに真犯人が判明した場合などです。

(2)嫌疑不十分

捜査を遂げた結果、検察官が裁判において有罪であることを立証することが困難だと判断した場合になされる不起訴処分です。
被疑者が当事者であり人違いでないかどうか、被疑者の行為が犯罪に当たるかどうか、といった点について、証拠がなかったり十分な証拠を示すことができなかった場合、検察官は嫌疑不十分として不起訴処分にします。

(3)親告罪の告訴取り下げ

親告罪とは、犯罪被害者などの告訴権者による告訴がなければ、検察官が公訴を提起することができない犯罪のことをいいます。
例えば、名誉棄損罪、侮辱罪、ストーカー規制法違反、過失傷害罪、器物傷害罪などです。
親告罪の場合、被害者が告訴すると、警察は捜査を開始し、検察官に事件を送致しますが、その後、被害者が告訴を取り下げた場合には、検察官は起訴することができません。
その場合には、不起訴処分となります。

(4)起訴猶予

捜査を遂げた結果、裁判において有罪であることを立証することができる場合であっても、被疑者の境遇や犯罪の軽重、犯罪後の状況等を鑑みて、検察官の裁量により起訴を猶予し不起訴処分とします。

不起訴処分の多くが、この起訴猶予によるものです。
容疑を認めている場合には、弁護士は、起訴猶予による不起訴処分獲得を目指した活動を行うことになります。

起訴猶予を目指す活動

起訴猶予とするかどうかを決める際、次のような要素が考慮されます。
・被疑者の性格、年齢、境遇
・犯罪の軽重
・情状
・犯罪後の事情

◇被疑者の性格、年齢、境遇◇
被疑者の性質や素行、前科前歴の有無、家庭状況や職業、特に両親その他監督保護者の有無や住居定職の有無、若年または老年、学生であるか等が考慮されます。

◇犯罪の軽重◇
法定刑の軽重や、法律上刑の加重減軽の事由の有無、被害の程度などが考慮されます。

◇犯罪の情状◇
犯罪の動機・原因・方法・手口、被疑者の利得の有無、被害者との関係、犯罪に対する社会の関心、社会に与えた影響等が考慮されます。

◇犯罪後の事情◇
被疑者の反省の有無、謝罪や被害回復の努力、家族等の監督者保護者の有無を含めた環境調整の可能性の有無、被害者に対する被害弁償の有無、示談の成否、被害感情などが考慮されます。

上の事例のような被害者がいる傷害事件では、何よりも被害者への謝罪被害弁償、そして示談を成立させることが重要な弁護活動のひとつになります。
加害者と被害者が直接交渉することは、感情論的になり交渉が難航したり、法外な示談金が請求されたりするおそれもありますので、弁護士を介して行うのがよいでしょう。
また、お酒が入って気が大きくなった末の暴行とも言えますので、今後はお酒を控えること、家族による監督が期待できることなど、再犯防止に向けて動いていることもしっかり主張することが重要です。

このような活動は、刑事事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が傷害事件を起こし対応にお困りであれば、弊所の弁護士に一度ご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

建造物損壊罪で示談

2020-04-26

北海道紋別郡の建造物損壊事件における示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道紋別郡に住むAさんは、隣の住宅に住んでいるVさん宅からの騒音にうっぷんが溜まっていました。
ある日、Aさんは遂に騒音に耐え切れなくなり、Vさん宅のガラス戸に向かって拳大の石を投げつけました。
これによりガラス戸が割れたことから、VさんはAさんが犯人であることを突き止めたうえで北海道遠軽警察署被害届を出しました。
焦ったAさんは、弁護士示談を依頼することにしました。
(フィクションです。)

【建造物損壊罪について】

刑法
第二百六十条
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

建造物損壊罪は、器物損壊罪や文書毀棄罪と並ぶ毀棄・隠匿の罪の一つです。
建造物損壊罪における「損壊」とは、器物損壊罪と同様、物の効用を害する一切の行為だと考えられています。
そのため、建物の一部が欠けるような行為にとどまらず、たとえば塗料で建物を汚す行為なども建造物損壊罪となる余地があります。

また、建造物を構成する部分のうち、どこまでを「建造物」として建造物損壊罪の対象にするかという点は争いがあります。
たとえば、建造物のうち取り外すことができる部分の損壊につき、「建造物」の損壊とまでは言えず器物損壊罪にとどまるのではないかという問題です。
裁判例は、損壊された物の物理的構造だけでなくその機能も重視すべきだとしており、過去に取り外し可能な住居の玄関ドアも建造物損壊罪の対象になると判断しました。

器物損壊罪の法定刑が①3年以下の懲役、②30万円以下の罰金、③拘留、④科料であるのに対し、建造物損壊罪の法定刑は5年以下の懲役です。
こうした法定刑の違いは、刑法260条が掲げる対象物の重大性から生じていると考えられます。
損壊したのが建造物の一部かどうかで、科される刑がかなり異なってくる点には注意すべきでしょう。

【示談の重要性】

建造物損壊罪は、建造物という他人の財産を侵害する罪です。
こうした罪を犯した事件では、被害者との示談の成立が処分を非常に重要な意味を持ちます。
というのも、たとえ国家が刑事責任の追及を担っているとしても、被害者がそれを望んでいない場合にまで処罰を行うのは疑問だと考えられているからです。
示談とは、事件の当事者が謝罪や被害弁償などに関する取り決めを行うことで、当事者間において事件が解決したことを確認する行為です。
そのため、示談の成立は被害者の許しを示す事実と評価され、それが国家による刑罰権の行使を控えさせる事情となるのです。

ただ、そうした大きな効果を持つだけに、示談の締結およびそのための示談交渉には慎重に対応しなければなりません。
万が一対応を誤れば、示談交渉の決裂や、実が伴わない形だけの示談の締結といった事態に陥りかねません。
もし示談を希望するのであれば、示談交渉の経験を有する弁護士に依頼するのが得策です。
弁護士による示談は、①交渉決裂のリスクを抑えられる、②円滑に示談交渉を進められる、③中身のある示談書を作成できるといった強みがあります。
こうした強みは刑事事件において大きなものなので、示談のことで悩んだらぜひ弁護士に相談してみましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、示談の経験豊富な弁護士が、自身のノウハウを駆使して的確な示談交渉を行います。
建造物損壊罪を疑われたら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

北海道迷惑防止条例違反(下着買い受け)の逮捕の可能性

2020-04-24

北海道網走郡の北海道迷惑防止条例違反(下着買い受け)事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道網走郡在住のAさん(20代・会社員)は、インターネット上の掲示板でVさん(15歳)と知り合い、やがてLINEで個人的に連絡を取るようになりました。
その過程で、Aさんは次第にVさんと会ってみたいと思うようになり、Vさんにそのことを伝えてAさん宅の近くで会うことになりました。
その後何度かVさんと会ったAさんでしたが、ある日Vさんから下着の購入を持ち掛けられ、これを承諾して下着を買い受けました。
しばらくして、Aさんのもとを北海道美幌警察署の警察官が訪ね、「下着買い受けの件で話を聞きたい」と任意同行の申出を受けました。
そこで、Aさんは下着買い受けの事実を認めたうえで、取調べの前に弁護士逮捕の可能性などを聞くことにしました。
(フィクションです。)

【下着買い受けの罪とは】

日本では、青少年(18歳未満の者)の健全な育成を目指すべく、各自治体において青少年を保護するための条例が定められています。
北海道では、北海道青少年健全育成条例(以下、「条例」)がこれに当たり、青少年やその周囲に対して様々な規制を設けています。
代表例としては、青少年との淫行の禁止や、青少年に悪影響を及ぼしうる有害図書の指定などが挙げられます。

条例が定める規制の一つとして、いわゆる下着買い受けの禁止が挙げられます。
下着買い受けとは、青少年が着用した下着またはそう称される下着を買い受ける行為のことです。
条例に違反して青少年から下着を買い受けた場合、下着買い受けの罪として30万円(反復継続して行われれば50万円以下の罰金が科される可能性があります。
この下着買い受けの罪の成否に関して、青少年の同意がある、対価を払っているといった事情は関係ない点に注意が必要です。

【逮捕の可能性】

下着買い受けの罪は、下着を売った青少年が捜査機関に明らかにするということはあまり考えられません。
そうすると、有力な発覚経路としては、下着を売った青少年の補導が考えられます。
捜査機関が下着買い受けの事実を把握すると、たとえ青少年が処罰を望まないとしても、それにより捜査が消極的になるということは考えられません。
なぜなら、下着買い受けは健全な社会に悪影響を及ぼす罪であり、青少年が望んでいないからという理由で処罰を控えるわけにはいかないからです。

ただ、罪を犯したとして捜査の対象になったからといって、そのことが直ちに逮捕に結びつくというわけではありません。
そもそも、逮捕をはじめとする身体拘束は、被疑者が逃亡や証拠隠滅に及ぶのを防ぐために行われます。
つまり、被疑者が逃亡や証拠隠滅に及ぶ可能性が低ければ、逮捕を行うことなく在宅で捜査を進めるということも考えられるのです。

逮捕すべきかどうか、言いかえれば逃亡や証拠隠滅の可能性があるかどうかの判断は、事件の重大性、被疑者の態度、生活の安定性などの様々な要素を考慮のうえ判断されます。
上記事例では、Aさんが下着買い受けの罪という比較的軽い罪を犯しており、なおかつ下着買い受けの事実を認めています。
加えて、Aさんが会社員として安定した生活を送っていることからすると、Aさんが逃亡や証拠隠滅に及ぶ可能性は低いと言うことができます。
そうであれば、逮捕による不利益も配慮される結果、Aさんを逮捕する必要はないと判断される可能性が高いでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に詳しい弁護士が、逮捕の可能性などの疑問に真摯にお答えします。
下着買い受けの罪を疑われたら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

事後強盗罪で示談

2020-04-22

札幌市の事後強盗事件における示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

Aさんは、北海道札幌市中央区内のスーパーマーケットにて、嗜好品や菓子などの商品を万引きして店を出ようとしました。
すると、Aさんの万引きを見ていた警備員に声を掛けられたことから、捕まりたくない一心で警備員に暴行を加えました。
騒ぎを聞きつけた客の協力により、のちにAさんは事後強盗罪の疑いで北海道中央警察署に逮捕されました。
Aさんの夫に事件を依頼された弁護士は、示談を行ってAさんの釈放不起訴を目指すことにしました。
(フィクションです。)

【事後強盗罪について】

刑法第二百三十八条
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

事後強盗罪は、窃盗罪を犯した者だけに成立すると考えられている、強盗罪の一種です。
通常の強盗罪は、暴行または脅迫を手段として、相手方から金銭などの財産を奪取した場合に成立しうるものです。
一方、事後強盗罪は、最初から暴行や脅迫に及ぶつもりがあったわけではないものの、窃盗に及んだ後で暴行などを行った場合に成立しうるものです。

刑法238条を読んでみると、事後強盗罪は「強盗として論ずる」と規定されていることが分かります。
これは、罪名を事後強盗罪としたうえで、その法定刑や他の罪(たとえば強盗致傷罪)との関係などを強盗罪と同様のものとすることを意味します。
事後強盗罪がそう扱われる理由は、一定の目的のもと行う窃盗後の暴行や脅迫に、強盗罪の手段である暴行や脅迫と同様の危険性・違法性が認められるからとされています。

上記事例では、Aさんが万引きを行ったうえ、警備員に対して捕まりたくない一心で暴行を加えています。
そうすると、Aさんは「窃盗」として「逮捕を免れ」るために「暴行」を加えていることから、事後強盗罪として5年以上20年以下の懲役が科されるおそれがあります。
ちなみに、暴行などの程度が弱ければ、相手方の反抗を抑圧するに至らないとして事後強盗罪の成立が否定される余地があります。
逆に、暴行の程度が強く相手方が死傷した場合は、強盗致死傷罪として極めて重い刑が科される可能性が出てきます。

【示談がもたらす効果】

強盗罪は重大な犯罪の一つとして認知されており、それと同視される事後強盗罪についても同様のことが言えます。
とはいえ、事後強盗罪も特定の個人の利益を害する罪である以上、被害者と行う示談が重要となりえます。

まず、示談が成立することによって、逮捕中の被疑者の釈放を実現できる可能性が高まります。
示談の締結は、謝罪や被害弁償などの合意により、当事者間において事件が解決したことを確認する意味を持ちます。
そのため、示談が締結できると、逮捕および勾留の理由である逃亡や証拠隠滅のおそれが低下すると考えられます。

また、示談を通して被害者の処罰感情を薄められる結果、不起訴となる可能性も高まります。
事後強盗罪のような特定の個人に対する罪は、被害者が処罰を望んでいるかどうかが刑事処分に大きく関わってきます。
ですので、示談による処罰感情の軽減は、被害者が処罰を望んでいないとして不起訴につながる要素となるのです。

事後強盗罪は重大な罪ではありますが、以上のとおり示談によって円満に事件を解決できる場合があります。
そうした示談の効果を最大限に発揮するために、示談交渉はぜひ弁護士にお任せください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、これまで数多くの示談を行ってきた弁護士が、重大事件においても真摯に示談交渉に取り組みます。
ご家族などが事後強盗罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

わいせつ目的略取罪で初回接見

2020-04-20

北海道松前郡のわいせつ目的略取事件における初回接見について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

AさんとBさんは、北海道松前郡の居酒屋で酒を飲んだ後、Aさん宅で飲み直そうという話になりました。
そこで、Aさん宅のアパートに向かって2人で歩いていたところ、前からいずれとも面識のない女性Vさんが歩いてきました。
Vさんとすれ違った後、AさんはBさんに「おい、さっきの子可愛くね?ナンパしてみようぜ」と提案しました。
そして、AさんらはVさんに声を掛けましたが、Vさんはそれに反応することなく黙って歩く速度を速めました。
これに怒りを覚えたAさんは、Bさんに対して「こいつ犯すわ」と言い、Vさんを自宅へ連れて行きました。
その後、Vさんが隙をついて警察に通報したため、Aさんはわいせつ目的略取罪の疑いで北海道松前警察署逮捕されました。
そこで、弁護士がAさんの両親の依頼ですぐに初回接見に向かいました。
(フィクションです。)

【わいせつ目的略取罪について】

わいせつ目的略取罪は、性交などのわいせつな行為をする目的で他人を略取した場合に成立する可能性のある罪です。
わいせつ目的というのは略取罪の目的の一つであり、その他の目的として営利、結婚、身体加害があります。

わいせつ目的略取罪における「略取」とは、暴行または脅迫を手段として、無理やり相手方を自己または第三者の支配下に移転させる行為を指します。
たとえば、嫌がる相手の腕を引っ張って自宅に連れ込むような行為が考えられます。
上記事例では、AさんがVさんを姦淫する目的で、無理やりVさんをAさん宅へ連れて行っています。
このような行為は「略取」に当たると考えられるため、Aさんにはわいせつ目的略取罪が成立する可能性があります。

ちなみに、仮に略取ののちにわいせつな行為をしなかったとしても、そのことからわいせつ目的略取罪の成立が直ちに否定されるわけではありません。
わいせつ目的の有無は略取のときの言動などから判断されるものであり、結果的にわいせつ行為に及ばなかったからといってわいせつ目的がなかったと評価されるわけではないためです。

【早期の初回接見のメリット】

弁護士以外の者と異なり、弁護士逮捕中の被疑者と基本的にいつでもどこでも接見を行うことができます。
これは、被疑者に権利をきちんと行使させるうえで、弁護士との自由な接見が極めて重要だと考えられているためです。
特に、初回接見、すなわち1回目の接見については、弁護士の助言を受ける最初の機会として特に尊重されています。

初回接見のタイミングは、被疑者が逮捕されて以降早ければ早いほど良いといっても差し支えありません。
在宅で捜査が進められる刑事事件と異なり、逮捕などの身柄拘束を伴う刑事事件は、時間制限があることから迅速に捜査が進められます。
そのため、初回接見が遅くなれば、弁護士が被疑者と接触する前に不利な証拠が次々と作成されるおそれがあるのです。

もし弁護士初回接見で被疑者と接触すれば、取調べ対応や事件の流れを説明して、立場が悪くならないよう適切な振る舞いを教えることができます。
この迅速な初回接見の効果は、捜査の終盤になってかなり効いてくることもあります。
適切な対応を知らなかったことで大損するのはいたたまれないので、初回接見はお早めに弁護士に依頼してください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件におけるスピードの重要性を熟知した弁護士が、お申込み後速やかに初回接見を行います。
ご家族などがわいせつ目的略取罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

少年の盗撮事件で示談

2020-04-18

北海道苫小牧市の少年の盗撮事件における示談について、弁護士法人あいち刑事総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

大学生のAさん(18歳)は、スマートフォンを使って日頃から女性のスカートの中を盗撮していました。
ある日、Aさんが北海道苫小牧市内のスーパーマーケットに買い物に訪れた際、買い物客の中にAさんの好みの女性がいることに気づきました。
そこで、Aさんはその女性Vさんに近づき、周囲の客の目に警戒しつつAさんのスカートの中を盗撮しました。
ところが、盗撮後スマートフォンを引っ込めようとしたときに、それがスカートの裾に引っかかってVさんに気づかれました。
これにより、Aさんは北海道迷惑行為防止条例違反盗撮)の疑いで北海道苫小牧警察署にて取調べを受けることになりました。
そのことを知ったAさんの両親は、弁護士示談を依頼することにしました。
(フィクションです。)

【盗撮について】

一般的に、「盗撮」という言葉はカメラなどで密かに他人の姿を撮影する行為全般を指します。
盗撮について規制している代表的な法令は、各都道府県が定める迷惑防止条例です。
ですが、あらゆる盗撮が上記条例に抵触するわけではなく、基本的に通常他人に見られない部位や姿の「盗撮」のみが規制の対象となっています。

他の都道府県と同様に、北海道においても北海道迷惑行為防止条例盗撮について規制を設けています。
盗撮に対する規制は都道府県により若干差異がありますが、北海道における規制は以下のとおりです。

①公共の場所または公共の乗物において、衣服等で覆われている身体または下着を撮影したり、撮影機能を持つ機器を向けたりすること
②不特定または多数人が利用するような場所および乗物(事務所、教室、タクシーなど。公共の場所および公共の乗物を除く)において、①の行為をすること
③住居、トイレ、更衣室といった、人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいる場所において、その状態の他人を撮影したり、撮影機能を持つ機器を向けたりすること
④①②の場所において、③の行為をすること

以上のような盗撮を行った場合、6年以下の懲役または50万円以下の罰金(常習犯は1年以下の懲役または100万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。

また、あらかじめ盗撮の目的を持って建造物に立ち入った場合、正当な理由に欠けるとして建造物侵入罪が成立する余地もあります。

【少年事件における示談】

被疑者が20歳未満の者である場合、その事件は少年事件として処理されるのが原則です。
少年事件では、刑罰が科されない代わりに、必要に応じて保護処分保護観察少年院送致など)が行われることになります。
その目的は、非行に及んだ少年に適切な措置を講じることで、少年の更生および健全な育成を実現するという狙いがあるためです。

成人が被疑者・被告人となる通常の刑事事件では、示談による被害弁償の事実が処分の決定に際して重要視されることになります。
盗撮事件の場合は、よほど重いものでない限りは示談により不起訴となる可能性が高いと言えるでしょう。
一方、少年事件では、通常の刑事事件と異なり示談による被害弁償の事実はそれほど重要視されない傾向にあります。
先述のとおり、少年事件において重要なのは少年の更生および健全な育成であり、それを実現するうえでは示談の結果より過程の方が重要視されるためです。
ですので、少年による盗撮事件では、被害者に対する謝罪、自身の性的嗜好の歪み、性犯罪の重み、といったことを、少年自身が示談を通して考えることが大切になります。
非行を犯した少年が真摯に自身と向き合えば、審判不開始あるいは不処分となる可能性は十分あるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、少年事件に特化した弁護士が、少年ひとりひとりに合わせた最善の活動を真摯に検討します。
お子さんが盗撮をしてしまったら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

恐喝罪で示談

2020-04-16

北海道赤平市の恐喝事件における示談について、弁護士法人あいち刑事総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

Aさんは、北海道赤平市の居酒屋「V」に一人で行った際、普段より多めに酒を飲んだためかすっかり酔ってしまいました。
そして、会計をしようと財布の中を確認したところ、お金が足りないことに気づきました。
その店はAさん宅の近所だったため、Aさんは「お金がないから明日払う」と店員に言いましたが、店員は近くのコンビニで下ろすよう粘り強く説得しました。
そこで、Aさんは店員の胸倉を掴み、「こんなちんけな店いつでも潰せるわ」などと怒鳴って支払いを免れました。
後日、Aさんは恐喝罪の疑いで北海道赤歌警察署から出頭を命じられたため、弁護士示談を依頼することにしました。
(フィクションです。)

【支払いの免除で恐喝罪に】

恐喝罪は、暴行または脅迫を加え、畏怖した相手方から財産の交付を受ける罪です。
一般的に、恐喝罪と言うとカツアゲのように金銭などの物を脅し取るイメージがあるかと思います。
ですが、恐喝罪が成立するケースというのはそれだけにとどまりません。
恐喝罪の対象には、財産上の利益という目に見ないものも含まれるためです。

上記事例では、AさんがVの店員の胸倉を掴んだうえ「こんなちんけな店いつでも潰せるわ」と発言し、それにより代金の支払いを免れています。
このような代金の支払いの免除も、財産上の利益の一種として恐喝罪の対象になると考えられています。
そうすると、Aさんは暴行および脅迫を加えて支払いを免れたことから恐喝罪が成立し、10年以下の懲役が科されるおそれがあります。
ちなみに、こうした財産上の利益を対象とする恐喝罪は、恐喝利得罪または2項恐喝罪(条文が刑法249条2項であるため)と呼ばれることがあります。

暴行または脅迫を加えて財産の交付を受ける罪は、恐喝罪のほかに強盗罪が挙げられます。
これらの罪の区別は、暴行や脅迫が相手方を畏怖させる程度のものか、それを超えて抵抗をおよそ困難にする程度のものかが基準とされています。
前者であれば恐喝罪、後者であれば強盗罪となる可能性が高く、強盗罪に当たればより重い刑が科されることが予想されます。
たとえば、暴行が執拗だった、凶器を用いた脅迫だった、といった事情があれば、抵抗を困難にしたものとして強盗罪と判断されやすくなるでしょう。

【示談による事件の解決】

恐喝罪は、財産の交付(支払免除を含む)を行う相手方が被害者となる罪です。
そのため、処罰の当否を判断するに当たっては被害者の意思が多分に考慮され、最終的な処分が被害者に委ねられているといっても過言ではありません。
そこで、不起訴執行猶予といったより有利な処分にするには、被害者との間で示談を締結することが重要となります。

示談という言葉を聞くと、刑事事件をお金で解決する、といったイメージが強いかもしれません。
たしかに、示談の締結に際して被害弁償が重要な要素であることは否定できません。
ですが、示談の本質はお金を払うことではなく、そうした行為などを通して被害者の許しを得ることにあります。
示談交渉に際してその点を意識するのとしないのとでは、最終的な処分への影響の度合いが大きく異なってくる可能性があります。

以上のことから、示談を締結するに当たっては、円滑な示談交渉や妥当な合意のためのノウハウが重要になってきます。
事件の当事者間で示談交渉を行うのが不可能というわけではありませんが、交渉決裂や過度な要求といった種々のリスクが伴いがちです。
示談をより意味のあるものにするなら、やはり弁護士示談交渉を依頼するのが得策です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、豊富な示談交渉の経験を有する弁護士が、執行猶予不起訴を目指して最適な内容の示談を締結します。
恐喝罪を疑われたら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

看護師が強制わいせつ罪

2020-04-14

北海道砂川市の看護師による強制わいせつ事件について、弁護士法人あいち刑事総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

看護師になって3年目になるAさんは、友人のVさんと北海道砂川市の居酒屋で酒を飲み、その後自宅で飲み直すことにしました。
そして、自宅に戻って2人で酒を飲んでいたところ、Aさんは酒の勢いもあってVさんに無理やりキスをしました。
VさんはすぐにAさんを拒絶し、「良い飲み友達だと思ってた」とだけ言い残してAさん宅を後にしました。
翌朝、Aさんは事の重大性を認識してVさんに連絡したところ、「北海道砂川警察署被害届を出します。もう連絡しないでください」と言われました。
Aさんは、仮に強制わいせつ罪で有罪となった場合、看護師資格に影響が出るのではないかと考え、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

【強制わいせつ罪について】

刑法
第百七十六条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪は、暴行または脅迫を手段として(対象が13歳未満の者なら不要)わいせつな行為をした場合に成立する可能性のある罪です。

強制わいせつ罪などに言う「わいせつな行為」とは、裁判例によると以下のように定義されています。
「徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ,かつ,普通人の正常な性的羞恥心を害し,善良な性的道義観念に反するもの」
「わいせつな行為」に当たる代表的なものとしては、胸を揉む、陰部に手を触れる、無理やりキスをする、といった行為が挙げられます。

また、手段となる暴行・脅迫は、相手方の反抗を困難にする程度が要求されると考えられています。
ただ、裁判例では、相手方の意思に反してさえいれば比較的緩やかに暴行・脅迫が認定されるようです。
ですので、たとえ暴行や脅迫の程度が軽かったとしても、強制わいせつ罪に当たる可能性は十分あるでしょう。

【看護師資格の取消しを回避するには】

強制わいせつ罪の法定刑は6か月以上10年以下の懲役となっており、裁判で有罪となれば懲役刑が科されることは避けられません。
保健師助産師看護師法によれば、看護師は罰金以上の刑に処せられた場合に看護師免許を与られないことがあります。
そして、現在業務に従事している看護師であれば、①戒告、②3年以内の業務の停止、③免許の取消しのいずれかを行われることもあります。
懲役刑は罰金刑より重いため、看護師資格の取消しや業務の停止に至る可能性は高いでしょう。

上記のような事態を回避するためには、なんとか不起訴を獲得し、裁判となるのを阻止する必要があります。
そのためには、やはり被害弁償や謝罪などを行って被害者と示談を締結し、被害者の処罰感情を和らげることが大切です。
強制わいせつ罪は重大な罪ですが、個人の利益を侵害する罪である以上、その個人の処罰感情次第では不起訴となる可能性があります。
きちんとした内容の示談を交わし、被害者の意思を検察官に伝えることができれば、強制わいせつ罪といえども不起訴となる可能性は高まるでしょう。

一度検察官により不起訴処分が下されれば、よほどのことがない限りその処分が撤回されることはありません。
ですので、たとえ強制わいせつ罪を犯してしまっても、不起訴となれば看護師資格が取り消されるリスクを相当程度抑えることができます。
お困りであれば、ぜひ弁護士に事件を依頼して不起訴を目指してください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件専門の看板を掲げる弁護士が、看護師などの資格の取消しを回避すべく真摯に弁護活動に取り組みます。
看護師の方で強制わいせつ罪を疑われたら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

痴漢事件で釈放

2020-04-12

北海道江別市の痴漢事件における釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

Aさんは、北海道江別市のショッピングモールに買い物に行った際、同じく買い物中の好みの女性Vさんとすれ違いました。
そこで、Aさんは偶然を装って痴漢をしようと思い、背後を通り抜けるふりをしてVさんのお尻を撫でました。
その様子を他の買い物客に目撃され、Aさんは北海道迷惑防止条例違反痴漢)の疑いで北海道江別警察署逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は、勾留を阻止して釈放を目指すことにしました。
(フィクションです。)

【痴漢について】

海道迷惑防止条例は、公共の場所において、著しく羞恥させ、または不安を覚えるような方法で、他人の身体に触れてはならない旨規定しています。
痴漢」と呼ばれる行為の多くはこれに当たり、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金(常習はそれぞれ1年以下、100万円以下)が科されるおそれがあります。

また、痴漢の内容が悪質な場合、北海道迷惑防止条例違反ではなく強制わいせつ罪に問われる可能性もあります。
「わいせつな行為」の例としては、無理やりキスをする、胸を激しく揉む、膣や肛門に指を入れるといった、痴漢の中でも程度が甚だしいものが挙げられます。
こうした行為を行えば、強制わいせつ罪として6か月以上10年以下の懲役が科されるおそれが出てくるでしょう。

更に、あらかじめ痴漢を目的として公共の場所に立ち入った場合、建造物侵入罪をはじめとする侵入罪が成立する可能性もあります。
公共の場所は通常誰でも自由に立ち入ることができますが、その目的が不当なものであれば「正当な理由」に欠けるとして侵入罪の要件に当てはまります。
法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金であり、痴漢の刑罰に加算されるかたちになるため注意が必要です。

以上のように、一口に「痴漢」と言っても、具体的にいかなる罪が成立するかは個々の事案によります。
取調べ対応などの捜査対策も事件ごとに変わってくるので、やはり弁護士にどうすべきか直接聞くことをおすすめします。

【釈放を目指して】

個々の事案によりますが、痴漢事件は比較的罪が軽く、なおかつ事件の内容も単純であることが多いです。
そのため、逮捕を行わずに在宅で捜査したり、仮に逮捕したとしても短期間で釈放したりすることがよくあります。
ですが、そうした運用がどこの捜査機関でも定着しているかというとそういうわけではありません。

刑事事件では、釈放を実現するうえで①逮捕の期限である72時間、②勾留の期限である10日間(延長されれば20日間)、③起訴後という3段階を意識することになります。
捜査機関はそれぞれの期限内に被疑者の身柄拘束を継続すべきか判断することになっており、それに合わせて釈放を目指す弁護士なども動くことになるからです。
先ほど説明したように、逮捕を伴う痴漢事件の多くは上記①のタイミングで釈放されますが、比較的軽微な事案であるにもかかわらずそれが叶わないことがあるのもまた事実です。
そうしたケースでは、弁護士は適宜裁判官や検察官に意見を申し立て、被疑者の身体拘束の継続が妥当でないことを訴えて釈放を目指すことになります。
この釈放に向けた手段は複数のものがあり、いずれが最適かは状況に応じて変化していきます。
一日でも早い釈放を目指すなら、ぜひ弁護士釈放の実現を依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に特化した弁護士が、釈放に向けた的確な弁護活動に取り組みます。
ご家族などが痴漢をして逮捕されたら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

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